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2021 Jリーグ 第35節 県立カシマサッカースタジアム アウェー 鹿島アントラーズ戦

前節はアウェーで川崎を相手に引き分け、勝点を「59」としましたが、現状でウチと直接的に上位(3位~6位)を争う神戸、名古屋、鹿島は勝利。3位の神戸が勝点「64」で少しだけ先を行き、続く名古屋が「61」、鹿島とウチが「59」で並んでいる状況。

そして今節はその直接順位を争っているどころか、現在勝点で並んでいる鹿島との直接対決。アウェー、カシマスタジアムに乗り込んでの対戦です。

リーグ戦、残り試合数は今節を入れて「4試合」。今節の対鹿島、そして最終節の対名古屋と、前述した直接的に順位を争う相手との直接対決は「2試合」。それ以外ではこの4チームの直接対決はないため、計算上、ウチがここから全勝したとして到達する勝点は「71」、名古屋と鹿島が残りを3勝したとしてそれぞれ名古屋「71」、鹿島「68」。神戸が4試合全勝すると勝点「76」ですから、我々が自力で到達できる順位としては「4位(得失点差による)」が最高位になります。

なので、現時点でとり得る最善の戦略は、リーグ戦では自力でいける最高位を目指しつつ、天皇杯の決勝進出をなんとしても実現する。天皇杯でタイトルを獲れば当然そのままACLですし、最悪準優勝でもリーグ戦で4位につけていれば決勝の対戦相手が川崎だった場合は4位でACL出場権を獲得できます。

もちろん、他チームが負けたり引き分けたりすることはあると思いますが、そこはもう自分たちでコントロールできる部分ではないため、とにかく目の前の試合をすべて勝つ、話はそれからだ。ってのが現状。そのためにもアウェーとはいえ絶対に負けられない注目の一戦となりました。

2021 Jリーグ 第35節 県立カシマサッカースタジアム アウェー 鹿島アントラーズ戦

写真は「DAZN」中継映像から引用

スターティングラインナップ

2021 Jリーグ 第35節 県立カシマサッカースタジアム アウェー 鹿島アントラーズ戦 スターティングラインナップ

さて今日のスタメンは、最終ライン、左から山中さん、ショルツさん、岩波さん、西さん。ダブルボランチに敦樹さんと平野さんを配置。左SHに汰木さん、右に関根さん、トップ下に江坂さん、1トップにユンカーさんを置いた 4-2-3-1 スタート。GKは西川さん。サブのメンバーとしては槙野さん、ウガ、小泉さん、金子さん、大久保さん、興梠さん、それに彩艶さんが控えます。

酒井さんが代表に選出されていますけども、今節終了後に合流だと思っていたのでベンチ外というのは意外でしたが、前節の同点ゴール時に結構激しい接触があって痛そうにしていたので、その辺もあって大事をとったのかもしれません。酒井さんがいないっていうのは大きいですが、今節は右SBに西さんが先発、古巣相手に奮闘してくれることを期待。

さらに前節のアクシデントで柴戸さんも離脱してしまいました。ここ数試合は柴戸さんの運動量を活かした広範囲にわたるカバーリング、さらに球際の強度で中盤を制圧しつつ、平野さんの広い視野とパス供給能力が組み合わさって非常に質の高いセントラルを形成していましたけども、今節は柴戸さんの代わりに敦樹さんが先発。敦樹さんと柴戸さんは能力の差というより少しタイプが違うので、この辺がどう影響するか。

チームとしては明本さんが離脱中で(一応そろそろ復帰できそうっていう話を聞きましたけども)、柴戸さんも怪我、酒井さんが代表の関係もあるとは思いますがベンチ外となると、正直ちょっと手駒が足りない感じですね。ベンチには興梠さん、大久保さんがいますが、アタッカーというか点を獲るという役割のポジションとしてはこの2人だけ。攻撃面で小泉さんが流れを変えられる可能性はありますが、結構選択肢が少ねぇなというのがありますので、先発メンバーで鹿島に対してある程度ハマらないと(要するにリードする展開にならないと)難しくなっちゃいそうな予感が。

対する鹿島は、最終ライン左から安西 幸輝選手、町田 浩樹選手、関川 郁万選手、常本 佳吾選手。ダブルボランチにディエゴ・ピトゥカ選手と三竿 健斗選手。左のSHにアルトゥール・カイキ選手、右にファン・アラーノ選手。2トップに土居 聖真選手と上田 綺世選手を配置した 4-4-2。GKはクォン・スンテ選手。

鹿島は伝統的にというか、各選手の能力も高くハードワークしますし、球際の強度を武器に中盤で引っかけてショートカウンターというのは彼らの強み。一方でビルドアップに関しては近年のモダンサッカーとは少し方向性が異なり、あまりポジションも動かさないし、選手の配置で相手をズラすという意図はあまり見られないチーム。

つまり、局面で1対1が多く発生するような展開にされてしまうとあちらが圧倒的に有利。逆にそれを選手の配置でズラして外すことができればウチが有利という対戦で、どちらが自分たちに有利な戦い方に持ち込めるかに注目しつつのキックオフ。

鹿島の強靱なブロックを崩せず前半は完敗。
後半小泉さん投入で押し返すも1点が遠く痛い敗戦

前述の通りどちらがうまく相手を自分たちの有利な土俵に乗せるかっていう立ち上がりだったんですけども、前半に関しては特にですが、鹿島の強みが出る状況にうまく誘導されてしまいました。

ウチのビルドアップは(基本的には)平野さんが最終ラインに落ちる3枚回しで、鹿島の最前線2枚+サポートしてくるSH 1枚に対して数的同数~数的優位を作り、相手2トップ両脇から前進する意図はいつも通り。しかし鹿島はしっかりとコンパクトなブロックを形成した上で、出足鋭く縦に入ってきたところを連動しつつブロック全体で潰しにくる守り方。これがハマちまったのが痛かった。

ウチの選手が中盤で中間ポジションに立つことはできてるんですが、鹿島の各選手は無理に突っ込まずにボールが入ってきた瞬間に寄せられる距離感を保ちつつ待ち構える感じで、ウチのパスの出し手からパスがでて、受け手に届くまでのボールの移動時間中にガッと鋭く寄せきってインターセプトを狙ってきますが、その出足が鋭く強度も高いのでこちらの繋ぎがことごとく中盤で引っかかる流れに。

鹿島は奪ってから縦に鋭く少ないタッチ数で一気に前進してくるので、ゴールに向かって戻りながらの守備をさせられるシーンが多く、何とか最後のところで失点せずに踏みとどまったもののウチは鹿島ゴール前までほとんど侵入できず、鹿島に一方的にアタッキングサードに侵入される。

じゃあってことでロングボールで中盤を飛ばして裏を狙いにいっても、鹿島の最終ラインは高さも強さもあるのでハイボールの競り合い、空中戦では全部負けるし、ボールが全く収まらなくて時間の経過と共にユンカーさんが孤立して消えちゃう感じに。失点こそ1点で済んだので結果は異なりますが、10月にアウェーで神戸にやられたような展開に持って行かれてしまいました。

前半の失点は36分にセットプレーから。鹿島は高さでウチに対して優位なのはわかっているのであえて滞空時間の長いハイボールを蹴っていたと思いますが、高さ勝負にされたところでクリアしきれずこぼれたセカンドボールを上田選手に流し込まれ、中央で三竿選手がスラし、関川選手がシュート打ち損なってファーに流れたところを土居選手に押し込まれた形。ゴール前でごちゃごちゃっとした状況にされた上で横からのボールが2つズレたというか、相手が触ったため、西川さんもカバーに入った岩波さんもさすがに反応できなかったですね。

一方で前半、ウチのシュートは中継のスタッツだと 0本。鹿島にはシュート13本を放たれたことになっていました。ボール保持率自体はほぼ半々だったので、それだけボールを持たされたというか、鹿島が罠を仕掛けて待っているところに突っ込んでいっては鹿島の狙い通りに引っかかり、カウンターを喰らっていたということがわかります。

こういう相手が中盤で網を張っている場合、重要になるのは素早く正確なポジショニングに加え、パススピードを上げて、相手の寄せを上回る速度でボールを動かすしかありません。前半はパススピードもイマイチ上がらず、ゆるいパスを入れては寄せられて潰されたり、相手の鋭い出足にインターセプトされたりの連続でしたので、ここをどう向上させるかは今後の課題でしょう(とまぁ神戸戦のレビューでもそういう細部のクオリティ上げないともう一つ上には行けないよねと書いたので新しく出た課題ではなく既知の問題なんですが)。

後半は、ハーフタイムにユンカーさんを諦めて小泉さんを投入。江坂さんをワントップに上げて小泉さんをトップ下に。さらに汰木さん→大久保さんとして左サイドをリフレッシュ。加えてビルドアップ時にボランチが最終ラインに落ちるのをやめて、2CBのみでビルドアップをスタートする形に。これによって小泉さんを含め中盤の人数を厚くして鹿島の守備ブロックを食い破りに行きます。

この交代策とビルドアップの修正はある程度うまくいったと思います。小泉さんは右に流れてボールを受けることが多かったですが、そこで少し溜めが作れると、山中さんが高い位置を獲れますし、そこから一発サイドチェンジできれば、山中さんがフリーでボール受けるシーンも増やすことができるのでウチのストロングポイントが活きる流れに持っていけます。

後半の立ち上がりは少しミスから相手に決定機を作られたりもしましたが、後半10分過ぎくらいからは前述した小泉さん投入効果もでて少しずつ相手陣地内での時間を作り出します。

大久保さんが積極的に裏に仕掛けて相手最終ラインをけん制。同時にうまく幅を使いつつ最終的には山中さんからのクロスで相手ゴールに迫り、64分くらいには(オフサイドフラッグは上がりましたが)山中さんの鋭いクロスを江坂さんが胸トラップから惜しいボレーシュートを放つなど徐々に攻撃を活性化させます。

しかし運の悪いことにこの時間帯に関根さんが相手との接触プレーで肩を痛めてしまったようで、これからっていうタイミングで交代する流れに。攻撃の形が少しできてきたところで右サイドを個で打開できる能力のある関根さんがアクシデント交代というのはウチにとっては厳しいところですが仕方ない。とにかく大きな怪我でないことを祈ります。

72分に関根さん→ウガ、さらに平野さん→興梠さんとして、ウガを右のSBに、西さんを1列上げて右のSH、小泉さんをボランチの位置に下げて江坂さんをトップ下に、興梠さんを最前線にという配置転換。ここまでで攻撃的なカードは全部切っちゃったので、これで追いつけないと厳しい感じですが、そこは興梠さんにがんばってくださいと祈りつつ試合時間は残り20分。

同時間帯に鹿島も土居選手→荒木選手、上田選手→エヴェラウド選手として前線をリフレッシュ。カウンターチャンスを虎視眈々と狙う感じに。

ただ関根さんが交代してしまったことで右サイドのダイナミズムは減衰したのは確かで、興梠さんがさすがの動き出しで裏に抜け出したりするシーンは作りましたが決定機というところまでは至らず。

最後の手段、87分に西さん→槙野さんとして、槙野さんを興梠さんと並べる2トップ気味に配置。それに対応する形で88分には鹿島がファン・アラーノ選手を下げて犬飼選手を投入。最終ラインを固めて逃げ切り態勢に入ると槙野さんを狙ったパワープレーに出ますが不発。結局前半に喫した1失点を奪い返すことができず、鹿島に逃げ切られて痛い敗戦となってしまいました。

色々と考えはあると思いますが、正直個人的には槙野さんの前線投入は疑問。ビルドアップ部分に難ありで守り切りたい局面以外だと最終ラインでは投入しにくいというのはあるのかもしれませんが、元々槙野さんは(ディフェンダーにしては攻撃的とはいえ)バカスカ点獲るようなタイプの選手ではないので、余程相手を押し込んでコーナーキックやセットプレーの機会がたくさんあるような場合以外ではそんなに効果的とは思えません。

槙野さんが最前線にいることで的が増えて相手が引っ張られることで、試合終了間際のラストプレーになった山中さん→興梠さんヘッドみたいなシーンにつながったというのもありますから一概に駄目とは言わないんですけども、ちょっと攻撃のオプションとするには効果が薄いかなというのが正直な感想でした。

さて、このタイミングで鹿島を相手に敗戦。直接対決で負けてしまったことでリーグ戦の方は「ACL圏内へ」という意味では状況になってしまいましたけども、諦めたらそこで終了。まだリーグ戦は残り3試合ありますので、何とか目の前の試合を1つでも多く勝って、勝点を積めるように切り替えましょう。4位までに入れば強化理念配分金ももらえますし、来年につながりますからね。

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試合ハイライト

試合データ

観客:16,518人
天候:曇 / 気温 19℃ / 湿度 43%
試合結果:鹿島 1-0 浦和(前半1-0)
レッズ得点者: -
警告・退場: 平野(警告×1/反スポーツ的行為)
主審: 飯田 淳平 氏
順位: 6位(17勝10敗8分/勝点59/得失点差+7)

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Yoshiki Kato / burnworks
Yoshiki Kato
埼玉県出身。サッカー、フットサル (観戦 / プレー)、モータースポーツ観戦、格闘技 (主にボクシング) 観戦、インターネット、音楽鑑賞、筋トレ、腕時計収集が趣味。サッカー 4 級審判員、ウオッチコーディネーター(上級 CWC)資格認定者。好物はゼリー、グミ、お酒、ラーメン。