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2021 Jリーグ 第36節 埼玉スタジアム2002 横浜F・マリノス戦

2021 Jリーグ 第36節 埼玉スタジアム2002 横浜F・マリノス戦

代表戦ウィークの関係で前節の鹿島戦から少し時間が空き、その間に阿部ちゃんの今シーズン限りでの引退が正式に発表されたり、槙野さんの契約満了、さらにウガまで契約満了が公式にアナウンスされたりとシーズン終盤、来シーズンに向けてクラブも色々と動き始めてるんだなというのを感じつつ久しぶりに迎えるリーグ戦はホーム、埼スタでの第36節。

対戦相手は現在リーグ戦で2位につける横浜F・マリノスです。マリノスさんとの対戦は今シーズンリーグ戦のみで2回目。初回の対戦はリーグ戦の第4節でしたが、リカルドさん体制になったばかりの状況で対戦した結果、ウチのビルドアップに対してハイプレスを思いっきりハメられて3失点、無得点の完敗。ちなみにその2節後の第6節には川崎戦でもボコられてるんですけども、マリノスとの初戦も、川崎戦も、前半戦でまだチームとしてやりたいことが十分に発揮できない中、完成度の高い相手に真っ向からぶつかって打ち砕かれた象徴的な試合でした。

そこから時間は流れてシーズンも終盤戦。川崎とのその後の再戦では相手を上回ることはできませんでしたが、何とか互角の勝負に持ち込めるところまでチームとしては成長を遂げてきた中、マリノスに対してしっかりやり返すことができるのか、約1年間でのチームの成長を計る上でとても興味深い一戦です。

スターティングラインナップ

2021 Jリーグ 第36節 埼玉スタジアム2002 横浜F・マリノス戦 スターティングラインナップ

さて今日のスタメンは、最終ライン、左から山中さん、ショルツさん、岩波さん、西さん。ダブルボランチに敦樹さんと平野さんを配置。左SHに大久保さん、右に達也さん、トップ下に関根さん、1トップに江坂さんを置いた 4-2-3-1 スタート。GKは西川さん。サブのメンバーとしては槙野さん、ウガ、酒井さん、金子さん、汰木さん、興梠さん、それに彩艶さんが控えます。

前日時点の情報だと明本さんが復帰までもうちょっとという感じ、ユンカーさんは前日練習が別メニューだったとの情報ありで、今節のベンチ外もコンディションの問題か。小泉さんはちょっとわかりませんが(数日前の練習で接触して少し痛めたみたいな話はちらっと聞きましたけども)、対マリノスということもあって、交代枠には守備で強度を出せる人が多めに入っていることから、今回はそちらを優先したのかもしれません。

対するマリノスは、最終ライン左からティーラトン選手、岩田 智輝選手、チアゴ・マルチンス選手、小池 龍太選手。ダブルボランチに扇原 貴宏選手と喜田 拓也選手。トップ下にマルコス・ジュニオール選手を配置し、前線の3トップが左からエウベル選手、前田 大然選手、仲川 輝人選手という並びの 4-3-3(4-2-1-3)。GKは高丘 陽平選手。前節、FC東京を相手に8得点でボッコボコにしたメンバーがそのまま先発ですね。

勝つための割り切り、
集中力高く、堅い守備からカウンターを炸裂させて2得点勝利

ウチのスタートのフォーメーションは前述の通り 4-2-3-1 でしたが、実際に見ている限りは平野さんが少しアンカー気味に、インサイドハーフのように関根さんと敦樹さんが前に並ぶ形の 4-1-4-1 にも近かった気がします。明確に普段のやり方と異なったのは、守備時のブロックを江坂さんだけをワントップに残した 4-5-1 の形にしていて、この辺はマリノスの並び、およびストロングポイントから逆算した人の配置でしょう。

マリノスのビルドアップは最終ラインのチアゴ・マルチンス選手からの配球が起点。ボランチの1枚が最終ラインの2CBをサポートしつつ、ウチがもしいつも通り 4-4-2 ブロックを作っていたとすればボランチのもう1枚は相手2トップの背中に立つ形はウチと基本的には同じ。

インサイドワークするSBと、トップ下から相手ボランチ脇に落ちてきつつ、中盤、ハーフスペースを獲りに来るため、ここで数的不利作られると、最終ラインから潰しに出なければならなくなったギャップを最前線のスピードのある3選手にブレイクされる、最終ラインとGKの間にものすごい勢いで突っ込んでくる前田大然選手でフィニッシュみたいなやられ方があるあるです。

そこで、今節は中盤の並びを変えて 5枚にすることで、ここで網を張るというか中盤の5枚をフィルターにして相手の最終ラインから縦に入ってくる楔を引っかけるというのは狙いとして見えました。

まぁ本来はもっと前からハメて高い位置でのトランジションを狙っていたように見えましたけども、やはりそこはマリノス、前から勢いを持ってハメに行ってもうまく人の配置で外されるため、そこまでウチの前線守備はハマんなかったですね。逆にこりゃハマらないなとなったら素早く切り替えて守備ブロックをコンパクトに形成し、マリノスにスピードに乗らせない守り方、そしてフィニッシュエリアとなる最終ラインとGKの間のスペースを消すことができていたのは素晴らしかったと思います。ここで無理にハメに出て行ってしまうとバランスが崩れて台無しですし。

実際、試合開始から序盤はマリノスに押し込まれて自陣ゴール前で耐える感じになりましたけども、そこを焦れずに耐えきると前述の通りコンパクトにした守備ブロックと素早いスライド対応でマリノスのビルドアップを外に誘導してボールサイドに圧縮する、あるいは縦に入ってきたところを敦樹さんあたりが鋭くインターセプトしてマリノスのハイラインの裏を狙いに行くカウンターで相手ゴールに迫れる時間帯を徐々に作れるようになります。

この流れの中で先制点が前半に奪えたのも大きかった。18分、左サイドを勢いよく突破した大久保さんが倒されてペナルティエリア左脇の深い位置からフリーキック獲得。キッカーは江坂さんでしたが、江坂さんのボールは恐らく速くて低いボールをゴール前の密集に叩き込んで「誰か触ればゴール」みたいな感じのボール。

この意図がピッタリはまり、ニアで西さんが競ったことで微妙にコースが変わったボールは中央のショルツさん(ちょこっと触ったように見えましたが)を経由してファーサイドまで抜けてきます。ここにいいポジションを獲っていた敦樹さんがドフリー。抜けてきたボールを冷静に叩き込んで先制。敦樹さんにとってはこれがJリーグ初ゴール。めでたい。

耐える時間もありつつ、うまくワンチャンスを活かして先制。これで後半に折り返すと、後半立ち上がりに完璧とも言えるカウンターが炸裂します。マリノスが後半立ち上がりから1点を追って出てくることは予想されましたが、その出鼻をくじく追加点は後半立ち上がりの3分。

ウチの左サイドをマリノスに押し込まれますが、深い位置でボール保持した前田大然選手をショルツさんがサイドに追いやったところで苦し紛れに蹴ったボールがショルツさんに当たってフリーの敦樹さんの元へ。即座にドリブルでボールを持ちだした敦樹さんから左サイドに流れていた江坂さんへの縦パスでハーフウェイラインを越えると中央で関根さん、逆サイドで達也さんが敦樹さんと併走してマリノスのディフェンスライン3枚(しかも江坂さんのサイドに流れる動きでマリノスディフェンスラインで最も守備強度の高いチアゴ・マルチンス選手はサイドにつり出している状態)に対して数的優位なカウンター発動状態に。

江坂さんは内側を見つつハーフスペースを獲った敦樹さんへの横パスを蹴りますが、これを敦樹さんがナイススルーしてそのままライン裏に仕掛け。スルーしたボールを中央で受けた関根さんがこれをダイレクトで敦樹さんに絶妙なスルーパス。これでGKと1対1の状況を作って決定機。

マリノスGKの高丘選手もタイミングよく飛び出してきましたが、敦樹さんは右足アウトサイドで大外を走ってきた達也さんへのラストパス(だと思ったら試合後インタビューでは「シュートでした」っだって)。全力で突っ込んできた達也さんがこれをきっちりゴールに流し込んでゴール。人数をかけてマリノスのハイラインを一発で切り裂いた素晴らしいカウンターからのゴールでした。

余談ですがこのシーンでもそうでしたし、試合全体を通して敦樹さんの出来は個人的に素晴らしいなと思いながら見ていました。ゴール前でしっかり身体張って守備をしたところから今度は相手ゴール前まで積極的に進出してゴールに絡む。所謂、ボックス・トゥ・ボックスな働きができる人だというのは当初から期待も込めて思っていましたけども、徐々にその片鱗を見せつつあるんじゃないですかね。

57分には得点した達也さん→汰木さんと交代。これで大久保さんを右に移動させ、汰木さんが左のSHに。この時間帯までボール保持よりも奪って相手ディフェンスライン裏に速く、というやり方をしてきましたが、汰木さん投入で少し左サイドでボール持つ時間を作りたいという意図でしょうか。ぶっちゃけ守備的には少し落ちましたけどね。

62分にはマリノスがレオ・セアラ選手、天野選手、渡辺選手と3枚同時交代。さらに74分には水沼選手を投入して2点を追ってギアを上げてきます。

それに対してウチは78分、敦樹さん→金子さん、大久保さん→酒井さん、江坂さん→興梠さんと3枚交代。江坂さんは少し足つった感じだったのでアクシデント的な要素もあったようにみえましたが、基本的には中盤の守備強度を上げに行く策。酒井さんを1列前の右SHで使っていたのは面白かった(これは前半に達也さんがやっていた、状況によっては右SHが右SBの外側に落ちて5バックになるというやり方から考えてもそこが酒井さんなら納得)ですし、終盤押し込まれた時間帯に興梠さんの最前線での守備の立ち位置やボールを収める能力は非常に重要ですから理にかなった交代策だったと思います。

実際に試合時間のこり10分くらいまでは、守備ブロックをコンパクトに保ち続けて集中した守備を見せてくれましたし、このままクリーンシートで終われればかなり大きな自信になるなと思っていたんですけども、残り5分ってところでロングボールから少しラインを下げさせられたセカンドボールを回収されて押し込まれ、前田大然選手のシュート(だと思いますが)が運悪くクロスっぽくなって逆サイドに流れたところを水沼選手の折り返しに途中交代で入っていたレオ・セアラ選手にフィニッシュされる形で失点。

勢い的にはマリノスに持って行かれそうな状況ではありましたが、アディショナルタイムには山中さん→ウガとし、さらに酒井さんと西さんの縦関係を入れ替えて最終ラインの強度を上げると、残り時間をなんとか守り切って勝利。2位のマリノスを相手に価値のある勝点3をゲットしてくれました。

関根さんなんかは最初から最後まで攻守にわたって走り回っていてすごかったっすね。試合後のインタビューでも言ってましたが、阿部ちゃんはじめ偉大な先輩がチームを去る中で、中堅選手として自分がみんなの見本になるようなプレーを見せてこれからのチームを引っ張っていく覚悟みたいなものがみられたのは素直にうれしかったですよ。

さて、リーグ戦ラスト3試合の初っぱなはいい形で勝利できました。次節はいよいよ今シーズンのホーム最終節、清水エスパルス戦となります。清水は清水で今節でもまだ残留が確定しておらず、次節のウチとの対戦で勝てば、17位、徳島の結果次第で残留確定という絶対に負けられない状況で埼スタに乗り込んできます。順位が下とはいえこういう相手は厄介なのが常。油断せず、しっかり勝ってホーム最終節を締めたいですね。

2021 Jリーグ 第36節 埼玉スタジアム2002 横浜F・マリノス戦 試合終了後の様子

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試合ハイライト

試合データ

観客:21,257人
天候:晴 / 気温 17.3℃ / 湿度 51%
試合結果:浦和 2-1 横浜FM(前半1-0)
レッズ得点者: 伊藤敦樹(18分)、達也(48分)
警告・退場: 大久保(警告×1/ラフプレー)、平野(警告×1/ラフプレー)
主審: 佐藤 隆治 氏
順位: 6位(18勝10敗8分/勝点62/得失点差+8)

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Yoshiki Kato / burnworks
Yoshiki Kato
埼玉県出身。サッカー、フットサル (観戦 / プレー)、モータースポーツ観戦、格闘技 (主にボクシング) 観戦、インターネット、音楽鑑賞、筋トレ、腕時計収集が趣味。サッカー 4 級審判員、ウオッチコーディネーター(上級 CWC)資格認定者。好物はゼリー、グミ、お酒、ラーメン。