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2022 Jリーグ 第21節 埼玉スタジアム2002 FC東京戦

2022 Jリーグ 第21節 埼玉スタジアム2002 FC東京戦

前節、ホームでの京都戦は2度のPKチャンスを含む多くの決定機を作りながら2得点にとどまり、さらに自分たちのミスも含めて与えた2失点が響いて悔しいドロー。中断明け、リーグ後半戦は負けこそないものの、勝てそうな試合で勝点3を積み損なうという残念な試合が続き、思うように勝点を積めていけない状況は継続中。そんな中行われる第21節は、ホーム埼スタにFC東京を迎えて。

FC東京は今シーズンから監督に前新潟監督のアルベル・プッチ・オルトネダ監督が就任。4月の第8節、アウェーで対戦していますが、その際はウチが多くのチャンスを作りながら決定機を決めきれずスコアレスドロー。お互いにボール保持時の人の配置という点に特徴があるチーム同士ですが、前回対戦した際のFC東京の印象は、新監督就任直後でまだまだ発展途上というところ。その後も福岡や鳥栖に5失点してボコられるなど、少し安定しない状況に見えましたが前節は札幌を相手に3得点無失点での勝利。

相手にとっても今節は連勝を狙う重要な試合でしょうし、こちらとしても前節、京都戦の引き分けをよい流れにもっていくためにも勝利が必須の一戦です。

スターティングラインナップ

2022 Jリーグ 第21節 埼玉スタジアム2002 FC東京戦 スターティングラインナップ

さて今節のスタメンは、最終ライン左から大畑さん、ショルツさん、岩波さん、酒井さん。ダブルボランチに岩尾さんと敦樹さん、左のSHに大久保さん、右にモーベルグさん、トップ下に小泉さんを配置し、1トップに松尾さんを置いた 4-2-3-1 スタート。GKは西川さん。サブには知念さん、馬渡さん、関根さん、平野さん、江坂さん、明本さん、そして彩艶さんが控えます。

前節、京都戦からはスタメンを2枚変更。前節の前半で少し筋肉系の違和感により離脱してしまった明本さんをベンチスタートに(大きな怪我じゃなくてよかったです)、小泉さんが本来の立ち位置であるトップ下で先発。また、前節は左のSBで関根さんを先発させるという少しイレギュラーな立ち位置を採用しましたが、今節はここに大畑さんを入れて最終ラインの並びはオーソドックスに。

小泉さんに関してはやはり真ん中で使って欲しいというのが以前からあって、もちろん、スタートポジションなんてのは流れの中でいくらでも変えられるので実際にはボール保持時、彼は真ん中でプレーすることが多いんですけども、どうしてもボール非保持時にサイドの守備をやらなければならない状況になると彼の良さが消えちゃうというか、そこでの仕事に追われてポジティブトランジションしたときに彼がいい位置にいられないというのはもったいない。今節はトップ下起用ということで彼の持ち味が活きることに期待できそう。

対するFC東京は、最終ライン、左からバングーナガンデ 佳史扶選手、森重 真人選手、木本 恭生選手、長友 佑都選手。ダブルボランチに東 慶悟選手、梶浦 勇輝選手。左のSHに松木 玖生選手、右SHに渡邊 凌磨選手。トップ下にレアンドロ選手を配置し、ワントップにディエゴ オリヴェイラ選手という並びの 4-2-3-1。GKはヤクブ スウォビィク選手。

前節なんかをみると、FC東京は東 慶悟選手をアンカーに置いた 4-3-3 でやってて、今シーズンはこれが基本形かなと思っていたんですが、今節はダブルボランチにしてましたね。この辺はFC東京、アルベル監督のコメントなどを見る限りではわからないんですけども、ウチに対して何か意図があってのシステム変更だったのか、永井 謙佑選手や紺野 和也選手をスタメンで使えなかったなどの事情でそういう並びにした、自分たちの都合だったのかはわかりません。そういえば全く余談ですが永井 謙佑選手は名古屋に移籍するって話が出てるみたいですね。

チーム全体でのハードワークが実を結ぶ3得点。久々の快勝で上昇気流に乗れるか

FC東京は前述の通り、4-2-3-1 スタート。立ち上がりはウチのビルドアップに対してワントップのディエゴ オリヴェイラ選手だけが規制に出てきて、レアンドロ選手はディエゴ オリヴェイラ選手が出ていった背中でパスコースを作る岩尾さんを監視するような立ち位置からの守備スタート。相手両SHがディエゴ オリヴェイラ選手の両脇から機を見てプレスに出てくるものの、前節、京都戦でのウチの守備のように、そこで奪いきろうと言うよりはビルドアップに対する規制だけして、中盤で回収という狙いが見えるやり方。

相手の規制に対してウチは岩波さんとショルツさんの2枚で幅を獲ってディエゴ オリヴェイラ選手のプレスをいなすと、その背中で松尾さんがパスを引き出して前を向く、もしくはショルツさんがうまく左サイドを持ち上がることで、相手1列目守備は比較的容易に突破。このショルツさんのドリブルに相手右SHの渡邊選手が食いついてきたらその背後、ワイドで大畑さん→長友選手が付きに来たところで内側を獲った大久保さんという立ち位置で相手左サイドを攻略し、早い時間帯からニアゾーンを獲りに行くことができていてました。

この辺は相手前線の外国人選手の守備面での不備(本来、ショルツさんの持ち出しに対してはSHではなく、レアンドロ選手なり、ディエゴ オリヴェイラ選手が付いていかないといけないと思うんですが、彼らは前にプレスには出て行くもののプレスバックをほとんどしないので)をうまく突いてボールを前進させることができたのではないかと思いますし、その辺を踏まえて岩尾さんが最終ラインに落ちたり、あるいは酒井さんを低い位置に置いた疑似3バックにしてみたりと、相手最前線の守備がそこまでオーガナイズされていない部分を立ち位置で優位性作って上回れたと思います。

加えてボール非保持時についてもかなりうまく守れた印象がありました。ウチの守備ブロックはいつも通り最前線にワントップとトップ下の2枚、今節であれば松尾さんと小泉さんを並べた 4-4-2 ですが、小泉さんも松尾さんもファーストディフェンダーとしての強度が非常に高く、運動量もあるため、ここでしっかり相手ビルドアップを規制できましたし、それに呼応してサイドも早めにスペースを消す守備ができたため、相手SBやSHに前を向いてプレーさせる機会を与えず、苦し紛れに縦に蹴るくらいしかできない状況に追い込めたのは素晴らしかった。

スタジアムで観ている限りFC東京はボール保持時、東選手をアンカーに置いた 4-1-4-1 になるんですけども、東選手のところを松尾さんと小泉さんでしっかり締めて自由にさせなかったこともあり、ここをサポートしようとしてか、左SHの松木選手が下がってボール受けに来る状況が多く見うけられました。松木選手だけをみればこれで彼が頻繁にボール触ることにはなるんですけども、そのトレードオフの結果としてFC東京は前線に人が足りない状況になっていたので、相手のボール保持で、厚みのある怖い攻撃と感じることは少なかったかなと。

もちろん、相手前線の外国人選手はボール収まるしテクニックもあり、ちょっと油断するとこの2人だけで点を獲り切っちゃうくらいのある意味、理不尽さみたいのは持ってる選手たちなので油断はできなかったですけども、最後のところはショルツさん、岩波さんがしっかり相手を抑えつつ、周囲もきっちりプレスバックしてフィニッシュまでは持って行かせない粘り強い守備が展開できていたのではないかと思います。

個人的に圧巻だったのは敦樹さんの働きぶり。後半にぶちかましたチーム2得点目となる左足ミドルも凄かったのはもちろんなんですが、岩尾さんが中盤で相手ディフェンスを引きつけつつうまくボール受けるのに対して敦樹さんは積極的に縦の深い位置に入っていく姿勢が立ち上がりから強く出ていて、10分過ぎにも大久保さんからのパスを松尾さんが跨いだ裏から一気にニアゾーンに抜け出してシュート(これは惜しくもスウォビィク選手にセーブされますが)したシーンなんかは、これは今日なんかやってくれそうだなと思わせる素晴らしいプレーでした。

また、守備面でも前向きに相手のボールをインターセプトして一気に前進したりといった縦への推進力、中盤で相手に前向かれてちょっとヤバイかなというシーンで敦樹さんが猛烈な勢いでプレスバックして攻撃の目を摘むなど、攻守にわたって非常によい仕事をしてくれたなと思います。

先制点は31分、左サイド、FC東京、CBの木本選手だったと思いますが、一旦前の梶浦選手(?)につけたところでリターンのパスを受けたのが少しズレたのを松尾さんが見逃さずに強烈なプレスで一気に奪いきるとそのままドリブルでニアゾーンへ突入。ペナルティエリア内に侵入する直前、木本選手は後ろから掴んで、それでも止まらないので恐らくファウル覚悟でスライディングにいきますが、これをスルッとかわした松尾さん、この時点でペナルティエリア内、ニアゾーンでドフリー。

中にはニアに大久保さんが突っ込んで行きつつ、マイナスのパスコースを作ろうとストップ。中央は小泉さんが森重選手と併走する形で突っ込んでいて、奥にはモーベルグさんがフリーと、選択肢の多い状況を作りますが、ここで松尾さんは冷静に一番奥のモーベルグさんを選択。あとはドフリーのモーベルグさんがほぼ無人のゴールに流し込むだけでした。

松尾さんの突破はもちろん素晴らしかったですが、大久保さんと特に小泉さんがしっかり中央に走り込んで森重選手を引っ張ったこと、その裏でモーベルグさんがフリーになり、松尾さんもそこをしっかり認識してパスを通したことで生まれた、個人のスキルだけでなく、複数人の動きが絡む素晴らしいゴールでした。そしてモーベルグさん、前節から引き続きのゴールで、2試合3得点は凄いっす。

前半は1-0で折り返しますが、前半終盤に小泉さんのシュート(相手ディフェンスに当たる)のこぼれ球から岩尾さんの惜しいミドルなど、もう1点奪えそうな雰囲気があったこと(後でスタッツ見たら前半はシュート 10本、うち枠内7本でFC東京のシュート2本、枠内1本に比べれば圧倒)、39分あたりにFC東京、松木選手が蹴ったフリーキック(左足アウトにかけて曲げて落とすエグいやつで西川さんも反応できなかった)がポスト直撃で命拾いしたことなどを考えると、押し込んでチャンスも作った割には1点しか差をつけられなかったとも言える前半。過去の試合の流れを考えるとこの時点ではそこまで楽観的になれるような状況ではありませんでした。

なので後半、まずは早い時間帯に追加点をと思っていたんですが、50分、敦樹さんがやってくれます。スローインからのリスタートで松尾さんが右サイドのニアゾーンを獲ったところからの流れで相手を敵陣深くに押し込む中、中央でボールを受けた敦樹さん、数メートルドリブルで縦に持ち出すと、利き足ではない左足で振り抜いたグラウンダーのシュートは、スーッと地を這うようにスウォビィク選手の届かないゴール右隅に吸い込まれて追加点。思わずすげーって声出てしまう感じのナイスゴールでした。

54分過ぎ、FC東京にアクシデント。ゴールキックになりそうなボールを恐らくスライディングしてスローインにしようとしたディエゴ オリヴェイラ選手が、芝に足を取られて変な転び方してしまいそのまま負傷退場。スパイクが芝に引っかかって膝が芝にめり込む感じのコケ方だったので観ていて思わず「あぶなっ」って思ったんですけど大きな怪我にならなかったんでしょうかね。ちと心配。

FC東京はハーフタイムにボランチで先発していた梶浦選手に替えて紺野 和也選手を投入。システム的には 4-3-3 にし、さらにこのアクシデントで山下 敬大選手を投入します。対してウチは前からプレスに出てくるFC東京を、岩尾さんを中心に中盤の立ち位置調整でうまく外しては裏っ返してアタッキングサードに侵入という流れは作れましたので、うまく相手の出てくる圧力を利用してある意味効率的に3点目を狙いにいくという展開に持っていけたかなと。

66分に小泉さん→江坂さん、松尾さん→明本さん、大畑さん→馬渡さんと一気に3枚カードを切って前半から運動量が多かったところをリフレッシュ。相手にしてみれば前から強度高くハメてくる松尾さん、小泉さんが下がったと思ったらさらに強烈な強度と馬力のある明本さんがでてくるって最悪だと思うんですけども味方からすれば心強い。そしてこの途中交代した江坂さんが素晴らしい働きで追加点をお膳立てします。

70分、中央で馬渡さんからのスローインを受けた江坂さん。相手を背負いながらうまく胸トラップして反転すると、一発で右サイドを走ったモーベルグさんに飛ばすロングフィード。これをモーベルグさんが収めてペナルティエリア角から仕掛けるところをパスを出した江坂さんはそのままスプリントしてモーベルグさんの背中側をオーバーラップする素晴らしいサポート。これを感じたモーベルグさんがカットインからのシュートモーションで相手を引っ張りつつヒールで江坂さんに流すと、江坂さんから中央にダイレクトのグラウンダーパス。これをうまくあわせた大久保さんのシュートがゴールに突き刺さって追加点。これでほぼ試合は決まりました。

大久保さん、ここしばらくはチャンスは作れどシュートは決まらずってところで惜しい人みたいになっていましたけど、やっと決まった今シーズン初ゴールは試合を決める追加点でした。これで感覚掴んでゴール量産の流れになってくれたらうれしい。そしてゴール自体も複数人が有機的に連動した動きの中からのゴール。これこれ、こういうのを待ってたんだよっていうね。

3点のリードを奪って余裕ができたこともあり、77分には岩波さん→知念さんとして知念さんに出場機会を。知念さん、ショルツさん、岩波さんの2CBが安定している関係でなかなか出場機会を得るのが難しいですけども、こういうチャンスでしっかりできることを見せつけるのも重要。ビルドアップ時の縦に付けるパスの精度やタイミングなんかは非常によいものを持っている人ですから優位な状況で進める試合が増えれば自然とチャンスも巡ってくるでしょう。

85分には大久保さん→関根さんへと交代。現地では関根さん投入の前に平野さんがベンチに呼ばれて準備してたのがみえたので、敦樹さんあたりを交代して平野さん投入、ボール保持する時間を伸ばして押し込みに行くイメージの交代かなと思ったんですが、ちょっと目を離したら関根さんが交代に立ってて、大久保さんのところの疲労をケアすることを優先したか。

今日の両SHは運動量が多く、モーベルグさんも終盤は相当消耗していて、ちょっと守備面で危ない感じになっていましたけど、彼は前向きにボール持つと相手を押し込めるので変えにくいという面はあるのかもしれません。

この辺りの時間帯からはクリーンシートで試合を締められるかというところが注目ポイントになりましたが、終盤は相手に何度かミドルシュート打たれるものの決定機にはさせず試合をクローズ。前節、西川さんと岩尾さんのところで小さなエラーが起きて失点する事態になりましたけども、今節はその失敗を踏まえて恐れるのではなく、しっかり精度と集中力を高めた上でそこを起点に相手を剥がして前進するなど内容的にも素晴らしい形で快勝してくれました。

そして西川さん、この試合でJ1リーグ通算無失点試合数の新記録を樹立(170試合)。守備的なチームに長年所属しているわけではなく、ミシャさんみたいに「失点なんか関係ねぇ、それより多く点獲りゃええやんけ」というアグレッシブな監督さんの元で長年プレーしていてのこの記録は凄い。これからも記録をガンガン伸ばして行ってくれることに期待したいところです。

さて、やっと勝ったという感じですがおかげさまで久しぶりに気持ちよく埼スタから帰宅できました。この勝利をここからの逆襲につなげるためにも、こういういい勝利をした試合の次が重要。続くリーグ戦はアウェーでの清水戦。清水は現状降格圏にいるチームですが、容赦なくぶっ倒して連勝とし、ホームでの川崎戦につなげて欲しいなと思います。期待して時節を待とうと思います。

2022 Jリーグ 第21節 埼玉スタジアム2002 FC東京戦 試合終了後の様子

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試合ハイライト

試合データ

観客: 26,293人
天候: 晴 / 気温 28.1℃ / 湿度 69%
試合結果: 浦和 3-0 FC東京(前半1-0)
レッズ得点者: モーベルグ(31分)、伊藤敦樹(50分)、大久保(70分)
警告・退場: 関根(警告×1/反スポーツ的行為)
主審: 清水 勇人 氏
順位: 9位(5勝5敗11分/勝点26/得失点差+6)

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