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2021 Jリーグ 第7節 埼玉スタジアム2002 鹿島アントラーズ戦

2021 Jリーグ 第7節 埼玉スタジアム2002 鹿島アントラーズ戦

リーグ戦、前節は川崎さんに完全なる力負け、続くルヴァンカップ、柏戦でも内容的には悪くなかったもののセットプレーからもったいない失点を喰らって敗戦と、ここまで公式戦8試合を戦って、1勝4敗3分(リーグ戦は 1勝3敗2分)と、なかなか結果が伴わず苦しい序盤戦となっていますが、ルヴァンカップでは超期待の戦力として新加入しながら負傷で出遅れていた西大伍さんが初の先発、さらに同じく前シーズンの負傷で出遅れていた興梠さんも約70分の出場を果たすなど徐々にコンディションが上がってきているのがわかるポジティブな面も見られました。

また、結果はまだ伴っていませんが、川崎戦も前半の40分過ぎまでは十分狙いの形を出せていましたし、柏戦もセットプレーで最後やられたとはいえ、内容的には悪くなく、あとはいいプレーの回数、時間帯をいかに増やして行けるかというところ。そんな状況で迎えるリーグ戦、第7節は、ホーム埼スタに鹿島アントラーズを迎えて。鹿島も序盤出遅れて現在 1勝1分3敗、勝点「4」で15位と、我々よりも下位に位置しています(ただし、鹿島はガンバ大阪戦が中止になっているので1試合消化試合が少ないです)。

昨シーズンから新監督にザーゴ監督を迎え、ポゼッションスタイルに舵を切った鹿島ですが、基本的には高い位置からのハイプレスで相手陣内でのボール奪取を狙いつつ、前線に人数をかけるやり方をするため、ここのプレスがハマらないとライン間にスペースができてそこから攻略されるっていうのはここ数試合(全時間観たわけじゃないですけども)見てとれる部分。逆にいえば今のウチとは(鹿島からみて)相性が悪いともいえるため、ウチにとっては狙いが出しやすい相手です。

まぁ相性とか関係なく鹿島にホームで負けるのは単純にムカつくのでぶっ倒す以外の選択肢はないんですけども、上記も踏まえて、どこまでウチの狙いが出せるのか、相手のプレスに押し込まれず、うまくいなしてボールを前進させることができるのかがまずは注目ポイント。そして、ここまでの課題であるアタッキングサードでのプレー精度がどの程度向上し、ゴールを奪うという最終目的に到達できるのか、その辺が見どころの一戦となりました。

2021 Jリーグ 第7節 埼玉スタジアム2002 鹿島アントラーズ戦 試合前スタジアムの様子

余談ですけども、今日の試合前のスタジアムの雰囲気、よかったです。メインスタンドを除くスタジアム全体でビジュアルが再現されていて、気持ちが上がりました。リカさんの誕生日ってこともあるし、この雰囲気の中できっちり勝ちたいとマジで思いました。

スターティングラインナップ

2021 Jリーグ 第7節 埼玉スタジアム2002 鹿島アントラーズ戦 スターティングラインナップ

さて今日のスタメンは、最終ライン、左から山中さん、槙野さん、岩波さん、西さん。ボランチに小泉さんと柴戸さん、左のSHに明本さん、右に関根さん、トップ下に武田さん、ワントップに武藤さんという並びの 4-2-3-1 スタート。GKは西川さん。サブのメンバーとしてはウガ、伊藤(敦)さん、汰木さん、杉本さん、興梠さん、工藤さん(2種登録)、それに彩艶さん。

武藤さんはリーグ戦初スタメン。ルヴァンカップの柏戦で先発した西さんも満を持しての移籍後、リーグ戦初スタメンとなりました。その西さんと縦関係を作るのは関根さん。西さんが後ろから支えることで彼の突破力をいかんなく発揮させたい、そんな狙いも見えますし、関根さん同様に運動量のある武藤さん、明本さんをあわせて前線からの守備強度を上げる狙いもあったのかもしれません。

中盤では柴戸さんと小泉さんがボランチのコンビ。この2人の役割分担は明確で、柴戸さんをアンカーにおいて小泉さんとは縦関係。フォーメーション的にも 4-1-4-1 に近いような立ち位置になっていて興味深かったです。これによって小泉さんが必要以上に最終ラインまで落ちる必要がなく、常に相手ボランチの間、もしくは脇のスペースなど中間ポジションを狙える位置にいてくれるため、攻撃に関しては活性化しました。また、武藤さんがポジションを下げた時に、空けた前のスペースに明本さんや関根さんがきちんと入っていくという連動もみられ、この並びはひとつの解としてありですね。

対する鹿島は最終ライン、左から永戸 勝也選手、町田 浩樹選手、関川 郁万選手、常本 佳吾選手。ダブルボランチに三竿 健斗選手とレオ・シルバ選手。左のSHに白崎 凌兵選手、右に荒木 遼太郎選手。最前線はエヴェラウド選手、上田 綺世選手の2トップという並びの 4-4-2。GKは沖 悠哉選手。

序盤は完全に試合をコントロール。先制までの流れも今シーズンベスト。
セットプレーからの失点は課題だけど仕方のない面も

鹿島はオーソドックスな 4-4-2 ブロック。前半の立ち上がりに関しては 4-4-2 のまま前の2トップがウチのビルドアップに対してプレスをかけに出てくる形でしたが、ウチは柴戸さんが最終ラインに落ちる形の 3枚回しでプレス回避。相手1列目を越えると相手ボランチ裏にポジションを獲った武田さん、武藤さん、インサイドに絞った関根さんや明本さんを使いつつ山中さんのオーバーラップを絡めて相手最終ラインをブレイクする流れが作れていました。またボールを失った瞬間の切り替え、プレスバックも非常に速く、特に試合開始から最初の飲水タイムくらいまでは鹿島から完全にボールを取り上げてほぼ一方的な試合展開に持ち込むことができていました。素晴らしい。

前半の飲水タイム後は、鹿島もさすがにウチのビルドアップに対して2トップで規制をかけるのは無理と気がついたのか(気がつくの遅くね?)、相手左サイドの白崎選手が出てくる形で対面の岩波さんに対して規制をかけにくるやり方をしてきたため、プレスがハマってしまうとさすがに鹿島の圧力にミスを誘発されたり、可能性の低いボールを蹴らされたりというケースはありましたが、全体として主導権はウチに。

正直、鹿島がサイドを起点にしてクロスで中央の高さと強さ勝負、みたいな感じにしてきたらめんどくせぇなと思っていたのですが、中央エリアで繋ぐことの方に固執してくれた感もあり、それならウチも最終的には中央に人を集めて壁作っちまうことである程度対処できましたし、セットプレー以外ではそこまで怖いシーンを作られなかったのは助かったかなと。ウチは高さがある選手が最終ラインの槙野さん、岩波さんしかいないし、個人的に岩波さんってそこまで空中戦強いイメージもないですからね。

で、流れがあるうちに先制しておきたいと思っていた前半の37分、素晴らしいゴールが生まれます。鹿島の攻撃終わり、自陣でボールキープしたシーンからですが、一旦は左サイドで詰まらされるものの、明本さん、小泉さんのパス交換で溜めを作ると、そこから逆サイドの西さんに対して小泉さんからの絶妙な展開。ボールサイドに人を寄せていた鹿島を一発で剥がします。

ボールを受けた西さんも素早くドリブルに移行してボールを前進させると、左サイドからインサイドに絞ってハーフスペースを駆け上がった明本さんの足元、スピードを殺さない絶妙なところにフワッと落とすビューティフルなフィード。これを明本さんがピタッとファーストタッチしてペナルティエリア内に侵入すると後は流し込むだけという状況を冷静に左足で決めて移籍後初ゴール。いやぁ、マジで素晴らしい流れの中からのゴールでした。

このシーン、地味ですがスプリントする明本さん、柴戸さんに対してあえて自分は突っ込みすぎずにギャップを作る武藤さんの動きは秀逸でした。下にその瞬間の DAZN の映像を引用しますが、西さんがボール運んでルックアップした瞬間、明本さんと柴戸さんは一気に相手ラインの裏に向けてスプリントしてるんですが、そこで引っ張られた相手ディフェンスラインの前面スペース(下画像 赤斜線のエリア)でボール受けられるように武藤さんは動き直してるんですよね。

2021 Jリーグ 第7節 埼玉スタジアム2002 鹿島アントラーズ戦 37分、先制点のシーンでの武藤さんの絶妙なスペース創出

この武藤さんの動きによって、鹿島の対応するディフェンス、関川選手(上画像 黄色の丸と矢印が付いた選手)は、そのスペースをケアしないといけなくなって一瞬戻る速度を緩めて武藤さんをみますが、これによって西さんから明本さんへのパスコースがはっきり見える形になりました。この関川選手を引っ張る武藤さんの動きがなければ、もしかすると西さんのクロスは戻りながら関川選手が頭で触っていた可能性もあり、こういうオフザボールで気の利いたプレーしてくれるのが武藤さんの素晴らしさですね。もちろん、ゴールを決めた明本さんも、美しいラストパス通した西さんも最高でしたけど。

ただ、ひとつもったいなかったのは先制しながらリードした状態で前半を終えられなかったことでしょう。

前半アディショナルタイムの47分に関川選手に喰らった同点ゴールは、セットプレーでクリアが中途半端になったセカンドボールを頭で合わされたものですが、関川選手に対応した武田さんが対応をミスって競れなかったことで西川さんの頭を越えるようなヘディングシュートを許してしまったもの。関川選手相手に空中戦で勝てとは言わないのですが、せめて身体を当てて自由にプレーさせないようにという基本的なところはきちんと押さえないとやられますよねという。

明本さんのPKゲットで勝ち越し、山中さんのクロスからネットを揺らすもノーゴールで残念

後半は立ち上がりに鹿島の決定機があったりとちょっと入りはよくなかったですがそれでも前半同様しっかりボール保持しつつ追加点を狙います。

そして待望の追加点は66分、最前線から2列目に落ちて関根さんからのパスを引き出した武藤さん、そして落ちてきた武藤さんを一気に追い越しながら左サイド、ハーフスペースを最前線にスプリントする明本さん。鹿島の右SB、常本選手は一瞬アウトサイドにコースを取った明本さんに対応しようと外側にターンしますが、その刹那、明本さんが常本選手の背中を獲る形でCBとの間のスペースを狙いに行きます。そしてそこに武藤さんからの絶妙なスルーパス。明本さんがペナルティエリア内でボールをタッチしようとした瞬間、少し遅れてアタックした常本選手が明本さんを引っかける形で倒すと、これがPKの判定。明本さん、実質この日2点目ですよ。ホント素晴らしい。このPKを槙野さんが冷静に決めて勝ち越し。

ウチの選手交代は追加点を奪った直後の68分に武田さん→伊藤(敦)さんとして小泉さんをトップ下に、ボランチを伊藤さん、柴戸さんの組み合わせに。69分には左サイドで明本さん→武藤さん→明本さん→武藤さんという細かいパス交換の間にその脇をオーバーラップした山中さんへのスルーパスで鹿島最終ラインをブレイク。山中さんの素晴らしいアーリークロスに逆サイドで関根さんがダイビングヘッドっていう超絶ビューティフルなゴールが決まったかと思われましたが、その前の武藤さんのところでハンドリングの反則があったことがVAR→OFRで確認されてノーゴール。残念。

74分には前線を2枚交代。武藤さん→興梠さん、小泉さん→杉本さんとして、興梠さんをワントップに、トップ下に杉本さんを配置する形。43分くらいに相手ビルドアップを興梠さんがうまく引っかけて杉本さんで相手GKとの1対1のシーンを作りますが、杉本さんがGKに当てちゃってゴールとはならず、なんて惜しいシーンもありつつ試合は終盤。

86分には足を攣った関根さんをウガに交代させ、西さんを1列前に出してウガと縦関係に。うまく時間を使いつつ1点のリードを守り切って勝利。横浜FC戦以来、リーグ戦では4試合ぶりの勝利で勝点3をゲットしてくれました。

2021 Jリーグ 第7節 埼玉スタジアム2002 鹿島アントラーズ戦 試合後挨拶

ということで、中断明け最初の試合、相手も鹿島という難しい状況でしっかり勝点3を奪ってくれたことは大きな収穫ですし、チームが着実に進化していることを証明してくれました。続く第8節はミッドウイーク、水曜日に開催されるアウェー清水戦。そして週末にはホームに戻ってリカさんにとっての古巣対決となる徳島戦が待っています。ここで連勝できるとチームも自信をつけて勢いに乗れると思いますので、なんとかいい試合をして、勝点を持ち帰って欲しいなと思います。

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試合ハイライト

おまけ

Jリーグが定める2021シーズンの第1登録期間(所謂、冬の移籍ウインドーですね)の期限も迫り、ちょっと諦めムードもあった外国人選手の獲得ですが、ギリギリになってデンマーク人FW、Kasper Junker(キャスパー・ユンカー)選手の完全移籍での獲得が発表されましたね。まだメディカルチェックの段階で来日しているわけではないですが、クラブの話では今月下旬にはチームに合流できるとのこと。ちなみにクラブ公式でも日本語表記は「キャスパー・ユンカー」になっていますが、スペル的には「カスパー」さんの方が近い気がします。英語読みだと「キャスパー」さんになるのかな。

Transfermarkt 上の情報だと下記のような感じです。

1994年3月5日生まれのデンマーク人、27歳、身長186cm、左利きのセンターフォワード。市場価値は 200万ユーロ(約2億6,000万円)。

クラブ経歴としては下記の通り。デンマークでキャリアをスタートし、ノルウェー1部(Eliteserien)、Stabæk Fotball(スターベク)への期限付き移籍(買取オプション付き)を経て、昨シーズンは同1部、FK Bodø/Glimt(FKボーデ/グリムト)に3年契約で完全移籍し主力選手としてプレー。25試合で27得点11アシストと大活躍、リーグ優勝に貢献すると同時に得点王と年間最優秀選手をダブル受賞してノリノリの状態でウチへの移籍を決めてくれたと。

  • 2013-2016 Randers FC(デンマーク)
    • 2015 → FC Fredericia(デンマーク / loan)
  • 2016-2018 Aarhus Gymnastikforening / AGF(デンマーク)
  • 2018-2019 AC Horsens(デンマーク)
    • 2019 → Stabæk Fotball(ノルウェー / loan)
  • 2020 FK Bodø/Glimt(ノルウェー)

代表歴としてはデンマーク U-21 で代表4キャップ(国際親善試合4試合出場、2017年の UEFA U-21欧州選手権では招集はされていますが出場はなし)。U-20でも5キャップ、データ上は付いていますがどの試合かはちょっとわかりませんでした。フル代表への選出経験はなしですね。

ノルウェーリーグとか観たことないし、実際にどういうプレーヤーなのか全くわからないのでとりあえずYouTubeとかで見つけたプレー動画観てみたんですけどね(例えば下記とか)。

こういうプレー動画ってゴールシーンだけしかないのであまり当てにならないというか、試合を通しての動き、特にオフザボールでの動きなんかはこの手の動画では分かりにくいためあくまで参考までにだとは思いますが、プレースタイル的に、今ウチにいるFWとしては興梠さんに近いというか、興梠さんにミドルレンジからのパンチ力を足した感じでしょうか。相手の背中獲るのがうまくて、難しいボールでもワンタッチであわせてゴールする能力は高そう。そしてスルーパスに抜け出すタイミングやファーストタッチのコントロールも正確に見えます。

局面を1人で打開してゴリゴリ持って行ってしまうようなプレースタイルではありませんが、昨シーズン、11アシストという結果をみても、周りもうまく使える選手のようですから、リカルド・ロドリゲス監督体制でのウチにはマッチしそうなプレーヤー。強化部の方々、いい仕事したんじゃないでしょうか。早いところ実際のプレーが観てみたいですね。楽しみ。

ちなみに、昨シーズンの FK Bodø/Glimt は 4-3-3 を基本にしていたようで、前線3枚がかなり強烈だったみたいですね。左の Jens Petter Hauge 選手(ACミランに移籍)、右の Philip Zinckernagel 選手(イングランド、ワトフォードFCに移籍)とユンカーさんの組み合わせで60ゴールを奪っていて、その活躍で3トップが全員移籍するっていう FK Bodø/Glimt にとっては結構キツイ感じになっていますが、移籍金も入っただろうし勘弁してくれ。

試合データ

観客: 9,975人(上限10,000人)
天候: 晴 / 気温 20.7℃ / 湿度 41%
試合結果: 浦和 2-1 鹿島(前半1-1)
レッズ得点者:明本(37分)、槙野(66分/PK)
警告・退場: 山中(警告×1/ラフプレー)
主審: 荒木 友輔 氏
順位: (暫定)11位(2勝3敗2分/勝点8/得失点差-7)

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