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2021 Jリーグ 第8節 IAIスタジアム日本平 アウェー 清水エスパルス戦

前節はホームで鹿島を相手に 2-1 と勝利。ここにきてリカルド・ロドリゲス監督が目指すサッカーが徐々に形になり始め、結果もついてきたことでここからの巻き返しに期待がかかる状況。

例年、リーグ戦序盤、10試合での勝点が「10」を越えないとその年の残留争いに関してかなり厳しい状況になるというのがあり、今年からチームを再構築している状況を考慮したとしても、このラインは越えておいて欲しい中、ここまで7節を消化、前節の勝利で勝点を「8」まで上げている状況ですから、ここで連勝できると大きい1勝となる第8節は、前節から中3日、ミッドウィークの水曜日にアウェーで行われる清水エスパルス戦。

清水は前節徳島と対戦して 0-3 の完封負け。徳島といえばある意味仮想浦和戦を前節やってるわけで、敗戦を通して修正されると嫌だなというのはありましたが、ここまでウチにとっては対戦成績の相性的にはよい清水ですからアウェーとはいえきっちり勝点を奪って帰りたい一戦となりました。

2021 Jリーグ 第8節 IAIスタジアム日本平 アウェー 清水エスパルス戦

写真は「DAZN」中継映像から引用

スターティングラインナップ

2021 Jリーグ 第8節 IAIスタジアム日本平 アウェー 清水エスパルス戦 スターティングラインナップ

さて今日のスタメンは、最終ライン、左から山中さん、槙野さん、岩波さん、西さん。アンカーに柴戸さんを配置し、左のSHに明本さん、右に関根さん、トップ下に小泉さんと武田さん、ワントップに武藤さんという並びの 4-1-4-1 スタート。GKは西川さん。サブのメンバーとしてはウガ、伊藤(敦)さん、汰木さん、杉本さん、興梠さん、工藤さん(2種登録)、それに彩艶さんが控えます。

4-1-4-1 の並びは、前節もレビューで書きましたが同様の立ち位置を獲っていて、鹿島戦から引き続き相手が 4-4-2 ということもあってこの形を継続したものと思われます。メンバー変更もなく、この辺は「勝ってるときは下手にいじるな」のセオリー通りですね。

対する清水は最終ライン左から奥井 諒選手、鈴木 義宜選手、ヴァウド選手、原 輝綺選手。ボランチに宮本 航汰選手と竹内 涼選手のコンビ。左のSHに中村 慶太選手、右に中山 克広選手。最前線にディサロ 燦 シルヴァーノ選手とチアゴ・サンタナ選手を並べた 4-4-2。

清水は今シーズンから新監督としてロティーナ監督を迎え特に守備面での安定化をまずは優先して行っているように見えます。まぁ前年の失点が大変なことになってましたからね(失点 70 はリーグワースト)。

ロティーナさんはセレッソで指揮を執っていた時も同様ですが、まず守備時の立ち位置をしっかりチームに落とし込み、リスク管理をしっかりやる監督さんという印象です(まずは守備、次に攻撃みたいな感じで数年でいいチーム作るイメージですけどセレッソではそこまで待ってもらえませんでしたね)。相手アタッキングサードまでボールを持ち込まれた場合は自陣低い位置までしっかり人を戻して人数をかける守備をしてきますし、そう簡単に大崩れはしてくれないチームを作りますからフィニッシュのところでまだまだ課題の残るウチが、どこまで崩しきれるのか、その辺は注目ポイントでした。

ボール保持しながらも清水の堅い守備を崩しきれず、でも困ったときのセットプレーで先制

立ち上がりからボールを保持して主導権を握ったのはウチ。前節から引き続き採用した 4-1-4-1 が効果的に機能。守備時のブロックも柴戸さんを最終ライン前面に置いた 4-1-3-2 の形にしていたように見えましたが(テレビ中継の画面だと相手が最終ラインでビルドアップしているときのウチの2列目以降が写らないんでわかりにくいんですよね......)、相手の3枚回しに対しては2トップ+2列目の3枚がしっかり規制をかけて縦に速くは前進させず、局面での守備強度、攻守転換速度もウチが清水を上回ったことで(清水が中盤省略して前線に付けてくるようなやり方をしたときに中盤のプレスが無効化されちゃうシーンはありましたけども)うまく清水からボールを取り上げて、相手陣地に押し込む流れは作れていました。

清水の守備ブロックは 4-4-2、ウチのビルドアップに対しては2トップがそのまま出てくる場合と、SHの1枚が加わって3枚で数的同数を作ってくる場合とがありましたが、ウチは柴戸さんが相手2トップの間、裏のスペースに立ち位置を獲りつつ、西川さんが2CBの間に出て疑似的な3バックを作る形でのビルドアップを行っていました。この辺は足元がある西川さんがいてくれて助かる部分。

また、柴戸さんに関して、少し前までは最終ラインでボール持っているCBに対して近寄りすぎる癖があるというか、サポートに落ちるのはいいんですけども、自分のマークを引き連れたまま、まっすぐボールホルダーに近づいちゃうもんだから自分もボール受けてもターンできないし、ボールホルダーは詰まらされちゃって選択肢減るしでもう少し我慢して相手にとって嫌な立ち位置を獲ってくれたらもっといいのになと思う部分がありましたけども、今日はしっかり中間ポジションを獲って縦パスを引き出すことができていましたし、狭い空間でパスを受けてもきちんとターンする意思と、慌てない落ち着きみたいのが見えて、あぁなんか成長したなと。

さらに、所謂ポジショナルプレーの話をするときによく出る「5レーン」について、各レーンに立ちましょう、みたいのは比較的簡単というか誰でもできるんでいいんですけども、一歩進んでレーンを跨いでのポジションチェンジがスムーズに連動してできるかがとても重要だったりします。同一レーンでの縦の動きだけでは相手にとっては対応しやすく、レーン間での横移動に、縦に落ちたり追い越したりの動きや裏への仕掛けが加わることで相手守備ブロックを混乱させることができるわけです。

ここ数試合、特に西さんが入って今の並びになった鹿島戦から顕著ですが、大外レーン(SHやSB)と中央、およびハーフレーンのポジション交換がかなりスムーズに行われるようになっていて、その延長線上として、少し前のレビューで書いた、アタッキングサードでもう少しニアゾーンを獲りに行くような動きが欲しいんだよねっていう部分に関しても、今節は何度かいいタイミングで獲りにいけていましたし、ワンタッチ、ダイレクトプレーが増えてきたのも、各選手の中で「このタイミングでこのスペースに蹴れば味方がいるはず」という確信みたいなものが芽生えてきたってことなんじゃないかなと感じました。

とはいえ、さすがに清水の守備ブロックも堅く、前節徳島に前からプレスをハメに行って引き込まれたところからの疑似カウンター喰らって慎重になったのか、今節は前から出てきてくれないし、いざとなったらゴール前に人数をかける清水を相手になかなか決定機、というところまでは持っていけない時間帯が長く続きます。

一般的にそういう状況で状況を打開する武器にとして期待したくなるのはセットプレーなんですけども、現状、ウチは高さを売りにするような人選ではないのでちょっと厳しいのかな、とはいえ槙野さんか岩波さん、なんとかしてくれって思ってたら岩波さんがやってくれましたよ。

40分、左サイドからのコーナーキックにキッカーは山中さん。清水は基本ゾーンディフェンスでしたが、槙野さんに対してはヴァウド選手がマンツーマンで押さえにくるなど、対策はとられていました。しかし、その槙野さんがニアに入ったことで生まれた中央スペースで、相手ディフェンスとの駆け引きからうまくマークを外した岩波さんが山中さんからのボールを頭で叩き込んで先制。均衡を破ります。

岩波さんのプルアウェイの動きも素晴らしかったですし、なによりニアにいたストーンの頭の上を全部越えつつ、中央の岩波さんのところにスピードのあるボールを蹴り込んだ山中さんのコーナーキックの質が素晴らしかったです。あのボールを蹴れる人はそういないのでさすがという感じでした。

終盤清水に押し込まれる時間帯がありつつも選手交代で対策→杉本さんのゴラッソでトドメ

後半10分ごろ、清水はエウシーニョ選手を右サイドバックに投入すると、そこから飲水タイムを挟んで後半の35分くらいまで清水に押し込まれる時間帯が続きます。エウシーニョ選手がうまくウチの守備ブロック最前線、2トップ脇の中間ポジションを獲ってそこから縦、あるいは斜め、アンカー脇のスペースに正確なパスを付けてくるため、少し後追いの守備をさせられることで何度かシュートを枠に飛ばされるなど、清水が息を吹き返し、嫌な流れ。

ウチの選手交代は68分に武藤さん→興梠さんとしてワントップを入れ替え。さらに76分には武田さん→杉本さん、関根さん→ウガとして、ウガを右のSBに、西さんを1列上げる策。ただしここまでの交代は前述した清水優勢の時間帯を覆すほど、効果を発揮しませんでした。

84分には西さん→汰木さんとして、汰木さんを左のSHに、明本さんを右に移動させると、さらに小泉さん→伊藤(敦)さんとして柴戸さんとのダブルボランチに。エウシーニョ選手には汰木さんをぶつけて、さらに彼の空ける裏のスペースを汰木さんに獲らせつつ、柴戸さんと伊藤(敦)さんで中盤の守備強度を上げにいきますが、これがうまくハマったかなと。

これで再度ボールを保持して試合を落ち着かせることに成功すると、90分、スローインのボールを杉本さんが競ったルーズボールに興梠さんが相手と競りながら奪いかけますがこのボールはエウシーニョ選手が収めそうになります。しかしそこに汰木さんがプレッシャーをかけてコントロールミスを誘い奪うと、こぼれ球を興梠さんが収めて→左ハーフスペースを一気にスプリントした伊藤さんへとパスしたところでショートカウンターが発動。

伊藤さんがバイタルエリアまで運んだところで中央で汰木さん、その脇に杉本さん、さらにファーサイドでは明本さんがゴールに向かって入ってきていましたが、伊藤さんの選択はマイナス気味のクロスで汰木さんの頭の上を飛ばして杉本さん。ちょっと難しいボールに見えましたけども、その難しいクロスをダイレクトボレー、右足アウトサイドにかけたような杉本さんのシュートは目が覚めるようなゴラッソ。試合終了間際に清水の心を折るには十分な追加点を決めて試合を決めてくれました。これはもう月間ベストゴールじゃね。

ということで、これで今シーズン初の連勝。勝点を「11」へと伸ばし、4月はよいスタートダッシュを決めてくれました。続く次節はホームに戻って徳島ヴォルティスとの対戦。リカさんにとっては古巣。相手はウチと同じサッカーを志向しつつ、4年先を行く先輩なわけですので、今シーズンの昇格組とはいえ簡単な相手ではないですけども、ホームでいい試合して3連勝と勢いに乗って欲しいものです。

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試合ハイライト

試合データ

観客: 5,548人
天候: 晴 / 気温 12.6℃ / 湿度 69%
試合結果: 清水 0-2 浦和(前半0-0)
レッズ得点者:岩波(40分)、杉本(90分)
警告・退場: -
主審: 岡部 拓人 氏
順位: (暫定)10位(3勝3敗2分/勝点11/得失点差-5)

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Yoshiki Kato / burnworks
Yoshiki Kato
埼玉県出身。サッカー、フットサル (観戦 / プレー)、モータースポーツ観戦、格闘技 (主にボクシング) 観戦、インターネット、音楽鑑賞、筋トレ、腕時計収集が趣味。サッカー 4 級審判員、ウオッチコーディネーター(上級 CWC)資格認定者。好物はゼリー、グミ、お酒、ラーメン。