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2021 Jリーグ 第3節 埼玉スタジアム2002 横浜FC戦

2021 Jリーグ 第3節 埼玉スタジアム2002 横浜FC戦 試合前

前節、アウェーで行われた鳥栖戦は相手の整理された立ち位置、プレスに狙いを出させてもらえず、2失点の完敗となりましたが、続く第3節は、ホーム埼スタに横浜FCを迎えて。前節からは中3日での連戦となります。

ここまでルヴァンカップを含めて3試合の公式戦を戦ってきて、得点としては開幕戦の1点のみ。ルヴァンカップはメンバーも大きく入れ替わっていたりと少し状況が違いますから、リーグ戦の2試合でいえば、比較的守備面で雑、というか個の力に任せ気味なFC東京に対しては、ある程度狙い通りの立ち位置が獲れたことでアタッキングサードにボールを運ぶことができましたが、鳥栖のように相手をみつつ立ち位置を調整してくる相手にはまだまだそれを上回れるほどのクオリティには達していない。ある意味、ウチの現在地がわかりやすい状況です。

何度も繰り返して書いていますが、今シーズン序盤の苦労は織り込み済みで、性急に結果を求めるのはあまりよくない。とはいえ、サポーターを安心させる意味でもそろそろ勝点3を獲っておきたい状況で迎える今節、これが終わるとマリノス→札幌→川崎とちょっと簡単には勝点を奪えなそうな相手との対戦が続くことを考えれば、横浜FCさんには悪いですが(マリノスや川崎に比べれば戦力的には落ちるので、という意味です。昨シーズン、ホームでは2失点の完封負けしてるのでそんな強気に言えるほどでもないですが......)、ここで勝点3を獲らないと、(覚悟していたとはいえ)序盤、マジの大コケが現実のものになりそう。そういう意味では序盤の重要ポイントになりそうな一戦となりました。

スターティングラインナップ

2021 Jリーグ 第3節 埼玉スタジアム2002 横浜FC戦 スターティングラインナップ

さて今日のスタメンは、最終ライン、左から山中さん、槙野さん、岩波さん、ウガ。ボランチに阿部ちゃんと伊藤(敦)さん、左のSHに汰木さん、右に小泉さん、2トップに明本さん、杉本さんという並びの 4-4-2 スタート。GKは西川さん。あと、ベンチに興梠さんと関根さんが戻ってきましたね。興梠さん、昨年末に右腓骨筋腱脱臼で手術を受けてた人がまさか第3節でベンチとはいえ復帰してくるとは思ってなかった(普通、患部自体は治ってもコンディション上げるのとかでもう少し時間かかるし)。まじ鉄人。

前節、鳥栖戦からの変更は、達也さん→明本さんに変更した点のみ。並び的にも2トップにしていたので、この位置でもプレー可能で、守備強度も出せる明本さんの方をスタートで使いたいというのがあったのでしょう。明本さん、達也さんの関係性でいえば、達也さんには突破力もあるので、明本さんスタメン→ある程度明本さんにはペースを気にせず前半からガンガン行かせて、後半達也さんと交代させてみたいなプランもベースになりそうです。

対する横浜FCは、最終ライン、左から高木 友也選手、中塩 大貴選手、田代 真一選手、前嶋 洋太選手。ダブルボランチに中村 俊輔選手と安永 玲央選手。SH左に松尾 佑介選手、右に小川 慶治朗選手。2トップに伊藤 翔選手、渡邉 千真選手を並べた 4-4-2 のフォーメーション。GKは南 雄太選手。

横浜FCは前節となる大分戦から大幅にメンバーを入れ替えてきた形(9人入れ替わったんですかね。開幕戦のスタメンに近くなったという感じですが)。横浜FCは開幕戦で札幌に5失点、前節は大分に2失点。しかも両試合とも前半の早い時間帯に失点したということもあってか、今節は攻守転換の速度、守備面での強度がかなり意識された入りになっていたのではないかと思います。

前半は相手に中盤消されてビルドアップが停滞

ウチのビルドアップはボランチの1枚(主に阿部ちゃん)が最終ラインに落ちる形の3枚回し。横浜FCの守備ブロックはフラットな 4-4-2 なので最終ラインにおいては数的優位。本来はここから高い位置を獲ったSBやSHを経由して、相手最終ラインと2列目の中間スペースの攻略、もしくはサイドでのパス交換によるラインブレイクを狙いたいわけですけども、前半に関しては鳥栖戦同様、相手のコンパクトネスとプレスに押し返される形で前線に人が減って後ろが重くなり、なかなか効果的な崩しを発動するところまでには至らなかったのは残念。

ただ、前線を杉本さん、明本さんの2トップにして、明本さんが恐らく意識して杉本さんの周辺で仕事するようにしていたこともあり、鳥栖戦ほど杉本さんが前線で孤立することもなかったですし、前節の敗戦から改善の意図が感じられる部分もあって、試行錯誤しているのはわかります。

また、小泉さんが右のSHでスタートしているものの、実際にはトップ下のように中央に絞ってプレーしている時間帯が多かったように見えました。この辺、ネガトラ時のボールの失いどころによっては右にスペースが空きがちでリスクなんですが、それよりもビルドアップ時の効率を考えてのことなんでしょう。

細かいポジションの調整がみえましたね

で、現地で試合開始直後につぶやいたんですが、

前半に関しては槙野さんと岩波さんの立ち位置が普段(まぁ普段と言ってもまだ数試合しかしていないのであれですが)とは逆になっていましたね。何か意図があったんだろうなと思って試合後にリカさんのコメント確認したんですが、詳しくは語っていないもののビルドアップで少し狙いがあってやったよ、みたいな感じでした。

個人的には槙野さんはビルドアップ時にドリブルで持ち出すってことができるのと、右CBに置けば、持ち出したところから利き足である右足で縦、あるいはトップ下にポジションを獲った小泉さんあたりに斜めに楔を入れたりするのはやりやすそうですから、その辺を狙ったんじゃないかなと。ロングフィードの精度的には岩波さんの方が恐らく上で、対角線上に長いボール蹴ったりするなら岩波さんを右に置いておいた方が良いと思いますが、ビルドアップのバリエーションを色々と試しているという側面もあるのかもしれません。

また、2トップにしたことで当たり前っちゃ当たり前ですが、守備時の立ち位置も少し変わっていて、4-4-2 でブロックを作った場合に、杉本さんと明本さんが最前線になる形でブロックを作っていました。鳥栖戦では相手ビルドアップに対して、プレスでハメていくというのがなかなかうまくいかず、リトリートを重視した結果、相手にボール保持されてディフェンスが後手に回らされる状況になってしまいましたけども、明本さんはプレス強度高いですし、今節は杉本さんとセットで前から相手のビルドアップに対して規制をかけていきたいという意図は明確に見えました。

とはいえ、横浜FCもビルドアップは中村俊輔選手が最終ラインに落ちる形の3枚回し。2トップで規制をかけるには数的不利なわけで、SHやボランチの位置からその辺をどうサポートするかってのは課題でしたが、観ている限り今節でそこがきちっとハマったかといえばそんなことはなかったので、特に前半に関しては横浜FCにボールを運ばれる回数も多く、西川さんの頑張りや最終ラインでの気合いのシュートブロックがなければちょっとやばかったなというシーンも何度かありました。

横浜FCの狙いはサイドからのクロスで明確も浦和もうまく対応

スタメンに中村俊輔さんがいたことや、2トップが伊藤 翔選手と渡邉 千真選手っていう、高さと強さのある2枚を並べていることからも、試合立ち上がりの横浜FCの狙いはかなりわかりやすかったですね。要するに多少シンプルにでもサイドからクロスを放り込んで2トップの空中戦の強さを活かす、セカンドボールを回収して2次攻撃で押し込む。そんなところでしょうか。

まぁあれですよ、昨シーズンのウチのクロスからのやられっぷりを知ってればそこは狙ってくるよねってのは当然ですが、昨シーズンの大きな問題はクロス上げられたあとの守備というより、相手にフリーでクロス上げさせすぎ問題の方が大きく、今節に関していえばサイドはSBとSHがうまく連携してフリーでクロスを上げさせるような状況は作らせていませんでしたし、地味ですがその点が大きく改善されたことでクロスからやべぇっていうシーンはほとんどなかったんじゃないかなと思います。

横浜FCは、前線に5枚~6枚が張ってくる(ボランチの1枚が最終ラインに落ちて3バック、1枚が中盤、残りは前線みたいな 3-1-6 とか 3-2-5 みたいな)形で押し込んでくるので、ウチの最終ライン4枚での対応的には難しい点もあったように思いますが、基本的には横方向に動かされるだけで縦に、特にゴール方向に戻らされるような守備のさせられ方はなかったので、その辺は幸いしたかなと思います。

VARでPKもらって、VARでゴール取り消されて......

右サイドで明本さんがキープして時間を作ったところに後ろからサポートしたウガ、インサイドでパスコースを作った小泉さん、さらにボランチの位置からサイドに流れてサイド深い位置を狙う動きをした伊藤(敦)さんの4枚がいい距離感になったところでインサイドに絞ったウガが相手ペナルティエリア角でボールを受けて、安永選手、中村俊輔選手の間を縦に抜けようとしたところで後ろから引っかけられたプレーが(VAR→OFRで)PKになったのが前半37分の先制点(PKキッカーは杉本さん)。結果的にはPKでしたが、明本さん、小泉さん、ウガ、伊藤(敦)さんの4枚がうまくポジションを入れ替えながらパスコースを作ったことでウガが倒されるプレーにつながったよいシーンでした。

さらに先制直後の前半39分過ぎ、右サイドで杉本さんのチェイスで追い込んでおいて→中村俊輔選手に入ったパスを小泉さんが狙いすましたインターセプトをしたところからカウンター発動。

小泉さんが中央に流したボールを明本さんが相手2人と競りつつ気合いで味方につなぐと(このプレーは相手のファールでしたが主審はアドバンテージの判断。この判断はナイスジャッジでした)、このこぼれ球を拾った伊藤(敦)さんがいいポジションを獲った小泉さんにパス。フリーでゴール前まで持ち出した小泉さんからのマイナスのクロスに、中央で伊藤(敦)さんがミドル叩き込んで追加点ーーと思いきや、VARのレビューにより小泉さんの位置がオフサイドと判定されゴールは取り消しに。流れ的にも素晴らしいゴールでしたし、なにより伊藤(敦)さんのプロ初ゴールかと思ったのに残念でした。

しかしそんな落胆の直後、というか相手フリーキックでのリスタート直後でしたが、リスタートのフリーキックをはじき返したルーズボールを中央で明本さんが拾うと、その脇をものすげぇスピードでスプリントした汰木さんへとパス。パスを受けた汰木さんは相手ディフェンス2枚をぶっちぎりつつペナルティエリアにドリブルで侵入すると、併走してきた中塩選手が耐えきれずに汰木さんを引っかけてこれがPK。

ディフェンスのセオリー的にあのシーンは汰木さんに併走しつつ外に追い出すように中だけ切ってやれば、右利きの汰木さんにシュート打たれる心配もなさそうだし、慌てて滑るようなシーンでもなかったんですけども、それを慌てさせるだけの侵入速度が汰木さんにはありましたし、対応したのが若い中塩選手だったことも影響したかもしれません(余談ですが中塩選手は浦和出身、浦和ジュニアユース→ユースと進んだ浦和アカデミー出身者なので他チームとはいえ頑張っていただきたい)。

PKは阿部ちゃんがサクッと決めてこれで2点のリード。立ち上がりは少し思い通りに行かない時間帯もありましたが、前半で2点のリードを築けたことで、試合展開的にはかなり楽になりました。

後半は浦和が狙いの形を発揮。そして今シーズン初勝利

ウチはハーフタイムに明本さん→田中達也さんと交代。前述した槙野さん、岩波さんの立ち位置は後半元に戻ります。

達也さんが入ったことで前半は杉本さんと明本さんが2トップ的な立ち位置を獲っていたのに対し、杉本さん1トップ、トップ下に小泉さん、達也さんが右のSHという形で少し立ち位置が変更されましたが、小泉さんが中央に君臨して最終ラインでビルドアップに参加したと思ったらトップ下の位置で縦にパスを引き出して攻撃の起点を作るなど、ウチのビルドアップを活性化。

相手が中央を気にして絞れば、両サイドで汰木さんと達也さんによる突破がくるっていう相手にとっては的が絞りにくい形を作れたことでウチの攻撃が活性化します。もちろん、その流れで追加点が奪えればなおよく、逆にいえばまだアタッキングサードまでボールは運べても、最後のフィニッシュワークの部分で整理されていない部分やプレー精度が追いついていない部分も多々あり、その辺は課題なんだと思います。

現状はアタッキングサードで横方向のパスが選択されるケースが多く、それは深くえぐったところからマイナス性質のボール(相手をゴール方向に戻らせながらの状況が作れているなら)などであれば決定機につながるものの、そうでない場合はなかなか決定機にはなりにくい。開幕戦のレビューでも書きましたが、2列目からニアゾーンを獲りに行くような動きがもう少し出ると面白くなるのかなと思います。とはいえ、1点目のPKにつながったシーンなんかはボランチの伊藤(敦)さんが2列目から裏にニアゾーンに近い位置を獲りに行く動きをした結果、内側でウガがボールを受けるスペースができたわけですし、そういう動き方のベースはある程度あると思いますので、これからなのかなとも思いますが。

そんなこんなで後半に追加点とはなりませんでしたけども、試合終盤には興梠さん、関根さんが投入され、無事、今シーズン初のピッチに復帰を果たしてくれましたし、77分に小泉さんと交代した武田さんが、交代直後、右サイドで杉本さんとのワンツーでサイドを抜け出し、切り返し2発でペナルティエリア内侵入→マイナスクロスで山中さんのミドルシュートという決定機を作ったいいプレーもあったりと、見どころの多い後半でした。

さて、これで今シーズン初勝利。新しいことにチャレンジしているシーズン、冒頭にも書いたとおり、序盤で苦労するのは想定内ながら、やはり勝てない試合が続きすぎると、選手も焦りが出るし、サポーター含め、外部からのプレッシャーも高まりがち。3節目で結果がでたことはポジティブに捉えてよいでしょう。

続く第4節はアウェーで横浜F・マリノス、そしてホームに戻って札幌→川崎と、手強い相手、さらに中3日→中2日→中3日という過密日程ですから、楽ではありませんが、川崎戦まで終えると少しだけ日程にゆとりがでますので、何とかうまく乗り切ってもらえることを祈りつつ、次に備えたいと思います。

2021 Jリーグ 第3節 埼玉スタジアム2002 横浜FC戦 試合後

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試合ハイライト

試合データ

観客: 4,524人(上限5,000人)
天候: 晴 / 気温 11.7℃ / 湿度 20%
試合結果: 浦和 2-0 横浜FC(前半2-0)
レッズ得点者:杉本(37分/PK)、阿部(45分/PK)
警告・退場: 伊藤(敦)(警告×1/ラフプレー)
主審: 荒木 友輔 氏
順位: (暫定)11位(1勝1敗1分/勝点4/得失点差±0)

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Yoshiki Kato / burnworks
Yoshiki Kato
埼玉県出身。サッカー、フットサル (観戦 / プレー)、モータースポーツ観戦、格闘技 (主にボクシング) 観戦、インターネット、音楽鑑賞、筋トレ、腕時計収集が趣味。サッカー 4 級審判員、ウオッチコーディネーター(上級 CWC)資格認定者。好物はゼリー、グミ、お酒、ラーメン。