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2020 Jリーグ 第19節 埼玉スタジアム2002 横浜FC戦

前節はアウェーで清水を相手にボール保持される時間は作られながらも山中さんのゴラッソと相手ハイラインの裏を一発で突いたカウンターで2得点の勝利。リーグ後半戦の初戦を勝利で飾ってくれましたが、中2日で迎える第19節は、ホーム埼スタに横浜FCを迎えて。

今節が終わると中3日で水曜日には前倒しで行われる第29節のFC東京戦。さらに週末日曜日には、これまた中3日で第20節の名古屋グランパス戦と上位チームとの連戦が控えている関係もあって、ここでしっかり勝って連勝しておくことが重要なホームゲームとなりました。

2020 Jリーグ 第19節 埼玉スタジアム2002 横浜FC戦

写真は「DAZN」中継映像から引用

スターティングラインナップ

2020 Jリーグ 第19節 埼玉スタジアム2002 横浜FC戦 スターティングラインナップ

さて、今日のスタメンは最終ライン、CBは岩波さん、槙野さんのコンビ。右のSBにはトーマスデンさん、左に山中さん、ボランチのコンビはエヴェルトンさんと柴戸さん、SH右が柏木さん、左が関根さん。2トップにはレオナルドさん、杉本さんを配置した 4-4-2。GKは西川さん。

対する横浜FCは、最終ライン、左から袴田裕太郎選手、小林友希選手、伊野波雅彦選手、マギーニョ選手。ボランチに安永玲央選手と手塚康平選手。左のSHに松尾佑介選手、右に松浦拓弥選手を配置。2トップは皆川佑介選手、レアンドロ・ドミンゲス選手を並べた 4-4-2 のフォーメーション。GKは六反勇治選手。

ボール保持するもビルドアップで苦戦する浦和

横浜FCはGKを含めて最終ラインからしっかりパスをつないでポゼッション。ピッチの深さを利用して最終ラインのビルドアップに対する相手プレスで中盤を引き出しておいて空けたスペースでボランチや2トップの1枚が落ちて受けるっていう形を狙いして持っていて、今節でいえばウチのボランチの背中、最終ラインとの間ですね、そこでボールを引き出すというところから逆算したボール回しと人の配置。そこで起点を作れれば、引っ張り出した相手CBとSBのギャップをSHや2トップがラインブレイクすることでフィニッシュまで持って行くという狙い。

上記のような狙いを持った横浜FCにとっては、相手が前線からプレスをハメに出てきてくれる方が狙いを出しやすい(実際にはそこでミスってそのまま失点っていうのも多いっちゃ多いんですがそれはもう割り切ってやってる)わけですけども、ウチはそこに関しては相手の思惑に乗らず、守備ブロックを作ることを優先して堅い入りをしました。しかし、特徴的にエヴェルトンさんは前でボールを奪いたい人なのである程度相手ボランチに対して出ていくわけですけども、そこの背中でボールを受けるという形は、恐らく横浜FCはひとつのポイントとして明確に狙ってきていたように見えました。

一方で横浜FCは守備時、4-4-2 のブロックを作るわけですが、2トップの一角がレアンドロ・ドミンゲス選手ということもあってそこまで前線からのプレスをかけてきたわけではありません。これをみてDAZN中継で解説の福さんは「横浜FCは浦和にボール持たせようとしている」という感じのことをおっしゃってましたが、そこまで意図的に持たせているというより、ウチが中央を個の力でぶち抜きたいという意図を理解した上で、無理に前からハメずにサイドに追い出す方を優先していただけじゃないのかなと個人的には感じました。

レアンドロ・ドミンゲス選手に前線からプレスに行けっていうのはまぁ無理でしょうし、ヘタに食いついてスペース空けるくらいなら、動かず中央のパスコースだけ消しといてねみたいな。実際にレアンドロ・ドミンゲス選手は守備面ではそれ程ハードワークしていませんでしたけども、ビルドアップではサイドに流れたり、ボランチの位置まで落ちてボール引き出したりと、2トップというよりはトップ下のゲームメーカーのような動きをしていました。守備の負担は限定的にしておいて攻撃面で彼の持ち味を活かす狙いだったのでしょう。

で、ウチはいつも通り、基本的には2トップに早めに入れることを優先。インサイドに絞った関根さん、柏木さんが2トップをサポートしつつ、最終ライン、あるいはボール奪ったところから当てる第一選択は2トップ周辺という狙いでこれはいつも通り。開始2分くらいに槙野さんがドリブルで持ち出したところから相手最終ライン裏に蹴ったロングフィードに杉本さんが抜け出してフィニッシュまでいったシーンがありましたが、狙いとしてはまさにその形。

ただし、最終ラインでボール保持した状態からボランチ2枚は中盤でボールを引き出すようなポジショニングを取らず、中盤をすっ飛ばして前線に当てようとするため、そのパスコースは限定的。さらに前述の通り横浜FCが前プレでポジションを動かすことをあまりしてこなかったため、ビルドアップに対してそれ程プレッシャーもかかっていないにもかかわらず、パスコースを探して考える時間が長く、仕方ないのでなんとなくサイドに振ってみるもののスペースもなくて、みたいな流れで相手ディフェンスライン1列目を越えていくこともままならない時間帯が続きます(柏木さんや関根さん辺りにいい形でボール入って前向けた時はアタッキングサードに侵入できてはいたんですけどね)。

まぁウチがボール保持して前進できないのは今に始まったことではないですしもう期待してないので別にいいんですが、ストロングポイントである前線の個を活かすためにも、本来は横浜FCのビルドアップに対して中盤で引っかけてカウンターを当てる展開、要するにウチが得意な中盤でトランジションがバンバン発生する状況に持って行きたいところ(実際に横浜FCはビルドアップでミスって失点っていうパターンが多いわけですし)。そこで先制できれば1点を追って出てくる相手によりカウンターを当てやすくなりますし、清水戦もまさにその形で勝利したわけですので、もう少しボール奪取ポイントを明確に戦って欲しかったんですけどもその辺が曖昧なまま横浜FCにボール保持される中で自分たちのミスから先に失点します。

16分、ゴールキックからのリスタート。一旦ショートパスで岩波さんに付けたところから西川さんにパスが戻ったところで相手のプレッシャーがかかりますが、これを西川さんが中央、ロングフィード一発で前線につなごうとします。しかしこれを中盤で手塚選手にあっさりカットされると、ボールは相手左サイド、ペナルティエリア角にポジションを獲った松尾選手へ。

松尾選手には岩波さんが対応しますが、松尾選手は若手とは思えない落ち着きで右足を一閃、まいたシュートは西川さんの指先をすり抜けつつファーサイドのポストに当たりながらゴールに吸い込まれるゴラッソ。蹴った方を褒めた方がよいような失点ではありましたけども、手塚選手がボール奪取したのがウチのボランチの裏、そこからバイタルエリアに起点作られてハーフスペースでSHにフィニッシュまで持って行かれるという形は横浜FCの狙いがしっかり形になったもの。きっかけはウチのミスでしたけども、横浜FCとしては思惑通りの先制点だったのではないでしょうか。

これで1点を追わなければならなくなったウチは前線からのプレスを敢行する回数を増やしますが、これは逆効果。ウチの前線プレスは全く整理されておらず、例えばレオナルドさんがプレスに出ていっても後ろが付いてこないシーンも多く、逆にスペースを与える結果に。レオナルドさんが出ていくもんだからエヴェルトンさんもポジション上げにいきますけども、再三狙われていたその背中でより一層簡単にパス引き出されたりと悪循環。

そんな中やっちゃいけない追加点をあっさり奪われます。

35分、相手左サイドに流れて中盤でボールを受けたレアンドロ・ドミンゲス選手から左足アウトサイドで絶妙なフィードがウチの最終ライン裏へ。素晴らしいタイミングでSB、デンさんの内側を獲った松尾選手が一発でラインブレイクするとそのままペナルティエリアに侵入。必死にカバーに入る岩波さんの位置と西川さんの位置を冷静に見つつ、右足で流し込んだシュートはこの日2得点目。1点目もそうでしたけども、シュートコース自体はほぼここしかないっていう狭いところを冷静に流し込む技術と落ち着き。何なのこの人......

このシーン、柏木さんが治療のためピッチ外に出ていて一時的にウチは10人になっていたわけですけども、杉本さんが柏木さんの位置に落ちてブロックに入ったものの、ちと寄せが甘かったのと、裏に出たときの岩波さんのカバーリングの仕方がちとよくなくて遅れたってのが重なってしまいました。残念。

柏木さんボランチ起用でなんか形になったようには見えたけど

2点を追わなければならなくなった状況でハーフタイムに2枚替え。エヴェルトンさん→汰木さん、岩波さん→ウガとすると、柏木さんを柴戸さんと並べてボランチの位置に。ウガを右SB、左のSHに汰木さんを入れて関根さんを右SHに移動するという配置転換。これによって第3節以来なんですかね、柏木さんがボランチで起用される形に。

柏木さんはここのところSHで起用されるケースが多く、まぁそれはSHにインサイドに絞ってプレーするタスクが与えられているので実際にはトップ下っぽく動けるし、みたいな感じなんだと思いますが、柏木さんの特性的にはビルドアップ時にプレッシャーの厳しくない中盤の底でボール持ってリズムを作り、そこからボールを散らしたり、一発チャレンジングなパスで決定機を演出するだけでなく、機をみて前線に顔を出すことで相手にとって捕まえにくい存在になるわけで、SHでの起用は彼の特性を活かすという意味ではあまり得策とはいえないと思われます。

今はボランチに対人での強さと広範囲のカバーリング能力が求められているので柏木さんが選択肢から外れているというのはあると思いますが、本来はこのポジションが適正。実際に柏木さんがボランチに入ってからは、中盤で彼がボールを引き出しつつ細かいパスでリズムを作ってくれるので、中盤でのボール保持は改善しました。ただしアタッキングサードまではそれで良いものの、最終的なフィニッシュに関しては前線での連動性はあまりなくて個人頼りなので、今節はそこで決めきるところまではいきませんでしたけども。

中盤でのボール保持がある程度うまくいったと考えたのか、59分には杉本さん→興梠さんとして最後のフィニッシュ精度を興梠さんに託します。終盤の84分には山中さん→マルティノスさん、関根さん→長澤さんとして、長澤さんを右のSB起用、ウガを左SBに移動させ(っていうかウガは復帰戦でお疲れさまですホント)、マルティノスさんは関根さんがいた右SHに配置。恐らくは長澤さんでマルティノスさんの裏のスペースをケアしつつ、マルティノスさんを高い位置で張らせてクロス供給源にという感じだったと思いますが、「いいシーンもあったけど、それ程うまくハマったってほどでもなかったですよね」って感じのまま試合終了。勝っておかなければならない相手に2失点の完封負けという結果になってしまいました。

柏木さんのボランチ起用は緊急策的なものだと思いますので細かく言及はしませんけども、今さら彼をボランチで起用したところで現状で目指しているコンセプト(中盤での守備強度、そこでトランジションして縦に速い攻撃)とは全く合ってないでしょうと。これでなんとなくリズム出たしボールも収まったし、次からこれで行こう、みたいに思うんだったらもう末期ですよ。コンセプトが形になるのに時間がかかるのはまぁ許容できますけどもコンセプトがブレブレなのは困りますからね。

さて、冒頭にも書いたとおり、次節は週明けの水曜日、第29節のFC東京戦が前倒し開催、さらにその週末には名古屋との対戦、連戦です。上位との連戦やる前に勝っておきたかったんですけどね...... まぁずーっとホームで戦えるのが多少はアドバンテージといえるかもしれませんけども、何とか勝点を拾える戦いにしたいものです。

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試合ハイライト

試合データ

観客: 6,401人(入場制限付きマッチ)
天候: 曇 / 気温 19.1℃ / 湿度 88%
試合結果: 浦和 0-2 横浜FC(前半0-2)
レッズ得点者: -
警告・退場: 関根(警告×1/遅延行為/次節出場停止)、トーマスデン(警告×1/繰り返しの違反)
主審: 高山 啓義 氏
順位: 9位(9勝7敗3分/勝点30/得失点差-8)

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