天皇杯 JFA 第103回全日本サッカー選手権大会 2回戦 浦和駒場スタジアム 関西大学戦
今年も始まった天皇杯。初戦は2回戦からになりますが、対戦相手は関西大学(大阪府代表)、駒場スタジアムでの対戦となります。
天皇杯はACLにつながる重要なタイトルですが、2回戦、3回戦あたりはカテゴリー的に下のチームと対戦することが多く、トップカテゴリーのチームとしては「勝てて当然」の空気の中での試合になります。
もちろん、その予想通りになるケースが多いわけですけども、過去何度も所謂ジャイアントキリングが起こっているもの事実。こちらは大きくメンバーを入れ替える可能性が高い、相手は失うものなくチャレンジしてくるっていう双方の状況が我々にとって悪い方向でかみ合うとやらかす危険性もゼロではありません。
そんな独特の緊張感がある天皇杯、初戦ですがここはきっちり力の差を見せつけて3回戦に駒を進めてもらいたい一戦。恐らく大きくメンバーを入れ替え、リーグ戦でなかなか出場機会のない選手たちにとってはアピールの機会となると思いますので、その辺がどうプラスに作用するかも注目しながらの観戦となりました。
スターティングラインナップ
さて今日のスタメンは、最終ライン左から大畑さん、犬飼さん、岩波さん、馬渡さん。ダブルボランチに柴戸さんと平野さん、左のSHにリンセンさん、右にモーベルグさん、トップ下に小泉さんを配置し、1トップにカンテさんを置いた 4-2-3-1 スタート。GKは牲川さん。サブにはホイブラーテンさん、荻原さん、明本さん、大久保さん、敦樹さん、髙橋さん、そして西川さんが控えます。
予想通り、リーグ戦からはメンバーを総入れ替え。気になったのはリンセンさんの左SH起用(鹿島戦では全く機能せず早々に諦めてましたが)がこのレベルの相手であれば機能するのか。あと久しぶりに戻ってきた小泉さんのパフォーマンスも気になります。
対する関西大学、メモ取りながら観ていたわけではないので各選手の配置については今回は省略しますが、システム的には 4-2-3-1 (守備時 4-4-2) に見えたので、ウチと同様ってところでしょうか。
トーナメントは勝てばOKなのでなんも言わんけど、今日のスタメンが今後リーグ戦のポジション争いに絡めるのか心配になる
関西大学の守備ブロックは 4-4-2。(大変失礼な言い方かもしれないが)戦術的な独創性、何か飛び抜けた選手みたいのはいないものの、フィジカル的にはプロと真っ向からぶち当たっても十分戦えるものを持っていたし、チーム全体のオーバナイズもしっかりしていて、バランスのとれたチームだなという印象。
4-4-2 ブロックをコンパクトに保ちつつ、中央で起点を作れないウチに対してしっかり外に追い出してから刈り取ってショートカウンターという流れは明確な意図を感じ、実際に前半立ち上がりに関して効果的にアタッキングサードに侵入したのは関西大学の方でした。
ウチとしてはやはり左サイドのリンセンさんが守備的な問題を抱えていて、守備ブロックの1列目を越えられたとき、SHはボランチの脇のスペースまでプレスバックしないと相手SBとSHによって味方SBのエリアが数的不利になっちゃうわけなんですけども、リンセンさんはやはり攻撃で出てきたい人なので、ここに戻らず攻め残りっぽい立ち方をするので左サイドがヤバいことになる。
これは鹿島戦のレビューでも書いたんだけど、相手が同カテゴリのチームだったら即座に決定機まで持って行かれるレベルで、今回は相手が下位カテゴリーということもあってそこまでヤバイ感じにはならなかったですけども、やはり左SHで起用されたならこれが許容されちゃいけないと思う。
実際に途中からなぜかカンテさんがそこのスペースにプレスバックしてたし、その後は諦めてリンセンさんと小泉さんを入れ替え、小泉さんが左SHに出る形に。守備的にはこれである程度整理はされます。
ところが問題はこれだけじゃなかった。スコルジャさんがリンセンさんを左SHで起用するのは、恐らくですが、右から攻撃を作ってクロスって流れになった場合に、左サイドからなるべくフリーな状況でリンセンさんにフィニッシャーとしてゴール前に入ってきてもらいたいからだと推測しますが、肝心の右サイドが機能しない。
この要因としては馬渡さんとボランチ2枚のポジショニングがちょっと低すぎたかなと。
普段のリーグ戦では岩尾さんが最終ラインに落ちる3枚回しはよくやります。岩尾さんが落ちてCBが思い切った幅の獲り方をすることでSBを前方に押し出すと同時に、2CBの幅によって相手最前線のプレスを分散、その脇から高い位置にいるSBへのパスコースを作ることが狙いですけども、一方で前節の前半なんかもそうでしたが、ボランチが落ちることをせず、2CBだけで回して、ボランチは相手2トップの背中で踏ん張るってのもスコルジャさんは意図して求めてるように見えます。
恐らくスコルジャさん的には本来は後者のやり方でボランチ2枚には常に高い位置でのプレーを求めてる(実際にインタビューで8番タイプ×2が理想のボランチ像みたいな話してましたし)ようですから、今日のように相手が下位カテゴリーのチームであれば当然ボランチは落ちずに中央で起点作れ、高い位置でSHやSBの内側からサポートに行って攻撃に絡めってことになると思いますが、関西大学が中央をコンパクトに締めてきたことによってボランチの2枚がそのスペースでボール受けることができず、プレッシャーを嫌がってか(2枚とも)低い位置で留まってしまったのがひとつの問題。
で、中央使えないからサイドからいくか、ってのは別にいいんですが、まずSBのポジショニングが低すぎることで、SBにボールが入っても相手SHが潰しに出てきやすいエリアでしかボールを受けられなかった。さらに右サイドにおいては馬渡さんも外に張る、モーベルグさんも外に張る、前述の通り低い位置に留まってしまったボランチは内側にサポートに来ないっていうポジショニング的な不備により、サイドでボール受けても次のパスの出しどころがない状況が続いてしまって、結果突っかけてボールロスト、ミスしてボールロストみたいな流れ。
もちろん前述したとおり、大学生ってのはフィジカル的にはプロに遜色ないレベルを持っていますし、簡単ではないのはわかるんですが、とはいえこのレベルを相手にスペース消されたらパス受けられなくてポジション下げちゃう、1対1の局面を多少強引にでも打開できないみたいなことだとちょっとだけ心配になる。
結局、後半途中(57分)からほぼ怒りの3枚替えみたいな感じでリーグ戦でのスタメン組を投入。柴戸さん→敦樹さん、小泉さん→明本さん、モーベルグさん→大久保さんとして、明本さんを左SHに、右SH、大久保さん、ボランチ、敦樹さんはそのままのポジションでの交代とすると、特に敦樹さんが積極的に前線に出て行って右サイドの大久保さんを内側からサポートすることで一気に攻撃が活性化。
ただフィニッシュ精度が低いですね問題はここでも発生して90分ではスコアレスドロー。延長戦に入って大畑さんに代わって入った荻原さん、途中交代組みの明本さんと絡んで最後に敦樹さんが押し込むっていう形で105分にやっと先制すると、あとは手堅く時間を進めて勝利。3回戦進出となりましたが、得点に絡んだのが結局はリーグ戦のスタメン組じゃねーかとなると今日のスタメン組でアピールできた人は皆無ということで、それはそれでもうちょっとがんばってくださいよというのが正直な感想でした。
トーナメント戦はどんなクソ試合しようが勝つことがすべてですので、勝って次に駒を進めたということでミッションコンプリートではありますからそこはポジティブに。続くリーグ戦の方につなげて欲しいと思います。
試合ハイライト
試合データ
観客: 5,351人
天候: 晴 / 気温 26.2℃ / 湿度 54%
試合結果: 浦和 1-0 関西大学(前半0-0 / 延長戦前半1-0)
レッズ得点者: 敦樹(105分)
警告・退場: -
主審: 高山 啓義 氏
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