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AFCチャンピオンズリーグ2022 ノックアウトステージ ラウンド16 埼玉スタジアム2002 ジョホール・ダルル・タクジムFC(マレーシア)戦

AFCチャンピオンズリーグ2022 ノックアウトステージ ラウンド16 埼玉スタジアム2002 ジョホール・ダルル・タクジムFC(マレーシア)戦

リーグ戦の方はしばらくお休みして、ここから7日間で一気に行われるのはAFCチャンピオンズリーグ2022のラウンド16→準々決勝→準決勝までのトーナメント3連戦。

もちろん、トーナメントなので負ければ終了の一発勝負。この7日間をACL3連戦とできるか、それとも1試合、2試合しか戦えないのか、そこは結果次第ではありますが、アジアの頂点に返り咲くためにも、ここは3連勝で来年開催の決勝戦進出を決めたい重要な7日間。

その重要な初戦となるラウンド16の相手は、マレーシアのジョホール・ダルル・タクジムFC(以下、ジョホール)。ジョホールは、マレーシアのプロリーグであるマレーシア・スーパーリーグ所属の強豪。普段マレーシアリーグなんて観る機会ないし、グループステージで川崎とやってたのをちらっと観たくらいで全く情報なし。

比較的情報量がまとまっていた英語版 Wikipedia でみる限りはマレーシアリーグ内では近年、ほぼ無敵状態みたいなチームなんですね。2014年から国内リーグ戦は昨シーズンまで8連覇継続中。日本でいう天皇杯のような歴史あるカップ戦、マレーシアカップも直近5年間で優勝2回、準優勝1回。マレーシアカップ王者とリーグ王者が対決する、スーパーカップ(日本でいうところの FUJIFILM SUPER CUP ですけども)は2015年~2022年の8年間で7回優勝と国内最強って言っていい存在。

メンバー的にもほぼマレーシア代表に外国人選手が加わってるような感じですし、グループステージでは川崎を勝点で上回ってグループ首位突破を果たすなど、決して侮れない相手。しかも初対戦ということで色々とやりにくい点も多そうですが、それでもリーグのレベル含め、クオリティ的にはウチが上回っているのは間違いなく、ここで格の差を見せつけつつ、しっかり勝って準々決勝に駒を進めることができるか、注目の一戦となりました。

スターティングラインナップ

AFCチャンピオンズリーグ2022 ノックアウトステージ ラウンド16 埼玉スタジアム2002 ジョホール・ダルル・タクジムFC(マレーシア)戦 スターティングラインナップ

さて今日のスタメンは、最終ライン左から大畑さん、ショルツさん、岩波さん、酒井さん。ダブルボランチに岩尾さんと敦樹さん、左のSHに大久保さん、右にモーベルグさん、トップ下に小泉さんを配置し、1トップに松尾さんを置いた 4-2-3-1 スタート。GKは西川さん。サブには知念さん、馬渡さん、関根さん、明本さん、安居さん、柴戸さん、松崎さん、江坂さん、ユンカーさん、そして彩艶さんが控えます。

メンバー的には直近のリーグ戦、6発叩き込んで快勝した磐田戦から変更なし。ここ数試合の起用をみていれば、このスタメンが現状でのベストメンバーと言えるでしょう。ACLで試合にエントリーできる外国籍選手は3枠にアジア枠が1。ウチには現状アジア枠の人はいないので、3枠になりますが、シャルクさんとリンセンさんが負傷して離脱中ですので、ショルツさん、モーベルグさん、ユンカーさんの3人はほぼ自動的に確定です。

対するジョホールは、最終ライン左からシェーン ロウリー選手、シャフルル サード選手、マシュー デイビス選手。アンカーの位置にジョルディ アマト選手、左のWBにラベル コービンオング選手、右WBにアリフ アイマン選手。2シャドーにナズミ ファイズ選手とナチョ インサ選手、前線2トップにベルクソン選手とフェルナンド フォレスティエリ選手を置いた 3-5-2(3-1-4-2)スタート。GKはファリザル マルリアス選手。

(言い訳ですけど)ちょっと今回、スタジアムで観ていた席が前列の方だった関係でピッチの状況があまり見やすくなく、相手も初見のチームだったこともあってどういうシステムなのかわかりにくかったんですが、多分3バックスタートでしたよね。事前情報で4バック(4-3-3)が基本だと聞いていたのですが、立ち位置的には2トップだし最初、4-4-2(4-1-3-2 が近い) が基本システムで攻撃時可変の疑似3バックかなと思ったんですが、守備ブロック的には 5-3-2 ブロックだったので、恐らく最初から3バックだったんじゃないかなと。

早い時間帯の先制、追加点で相手の出鼻を挫くことに成功
難しい相手を要所で上回り結果は快勝

相手の3バック、ジョホールからすれば、ウチをある程度リスペクトした上で、守備を優先した入りという感じだったのかもしれませんが、ジョホールの選手たちは技術力も高かったですし、攻撃時にはかなり積極的にWBが高い位置まで入り込む 3-2-5 みたいな感じになるのでアタッキングサードでの迫力はあり、さらに2トップも縦に推進力のあるタイプだったので、立ち上がり、少し様子見で入ったように見えたウチは一瞬ですがその勢いで自陣に押し込まれそうになる時間帯もありました。

ただ、時間経過と共にウチも落ち着きを取り戻すと、いつも通り2CB+岩尾さんを起点に相手初期プレスを裏っ返してアタッキングサードに侵入しはじめます。特に相手の左WBにいたコービンオング選手はかなり積極的に高い位置を獲るので、彼が空けたスペースをモーベルグさんと酒井さんが積極的に狙いに行くことで右サイドから前進。

一方、セントラルでは守備時、相手アンカーのジョルディ アマト選手とシャドーからナチョ インサ選手がきっちりプレスバックしてスペースを埋めてくるので、本来、アンカー横で起点を作りたい松尾さんや2シャドーの背中に落ちてくる小泉さんのところではなかなかいい形でボールを受けられずに主に立ち上がりは少し苦労した印象。とはいえ、そこはうまく立ち位置を調整しつつ、中盤でパスコースがなければ相手最終ライン裏狙いも織り交ぜながら相手の背中を獲って縦パスを付けていきます。

ジョホールも前線プレス、中盤でのプレスバックも各選手が献身的に遂行し、インテンシティ(ボールに寄せる判断、スピード、強度)も高く、コレクティブなチームだなという印象を受けましたが、さすがに国内リーグで普段、ウチのように選手間、あるいはその背中にオートマチックにポジションを獲ってパスを引き出してくるポジショナルな対戦相手とやり合う経験はあまりないのでしょう。

サイドでも内側でボール受けるウチの選手に対して相手サイドの選手が身体を内側に向けたところでその背中側を縦に走られたりするので後手に回る守備に徐々に混乱が生じ、撤退守備を余儀なくされるなど、ボール保持部分ではクオリティの差を見せつけられたのではないかと思います。

そんな中で早い時間帯に試合を動かせたのは大きな勝因。

8分、コーナーキックを一旦弾かれたところから右サイドで岩尾さんが回収→再びクロス。これも相手GKに弾かれますが、クリアが小さかったところを酒井さんが中央でダイレクトボレーシュート。これは相手の寄せもあったことで振り切れず、当たり損なった感じになってハイボールがGKとディフェンスの間に飛びますが、これに素早く反応してヘディングしようとしたのが松尾さん。

GKもこれに反応しますが、対応が遅れたことで、松尾さんが頭で触った後に松尾さんの頭をパンチング。レフェリーがこれをしっかり見てくれていたおかげでファール判定。PKをゲットしますが、これをショルツさんが相手GKの動きを冷静に見極めつつ決めると立ち上がり早々に先制。イーブンな立ち上がりに先制できたことで試合が少し楽になりました。

さらに16分過ぎ、右サイドで酒井さんの持ち上がり→ハーフスペースで敦樹さん→中央小泉さんと横パス繋いで小泉さんが溜めた隙に逆サイドからインサイドワークした大久保さんが相手ディフェンスライン裏にスプリント。小泉さんからの鋭い縦パスでラインブレイクしたかなと思ったところで相手がたまらずファールでストップ。中央、ゴールまで20m程度の好位置で直接フリーキックを得ます。

キッカー候補は岩尾さんとモーベルグさん。まぁウチのサポ的にはモーベルグさんが蹴るの決定ってところではありますが、相手からすれば岩尾さんの右もあるので壁の作り方は難しい。相手GKはゴール向かって左を壁で消しつつ、右に飛んできたら自分の守備範囲という立ち位置を獲りますが、これはオーソドックスな選択ですし、壁の作り方も問題なかったと思われますが、相手にとって問題だったのはモーベルグさんの左足の精度。

あの角度とスピード、さらにポストの上角にぶち当たりながら入る超絶フリーキックは、相手が世界最高のGKでも止めるの無理っていうスーパーゴール。まさに相手からすれば理不尽な追加点でさらに試合を有利な状況に。

2点リードしたことで無理はせず、相手を動かしながら追加点のチャンスをうかがう展開に。39分の追加点は右サイドに流れた松尾さんが逆サイドで相手ディフェンスの背中からこっそりニアゾーンに入ってきた小泉さんを見逃さずゴール前を横切るクロス。これで相手を大きく揺さぶると、小泉さんのマイナスクロスにモーベルグさんがダイレクトで合わせて追加点。この辺で試合的にはほぼ決まり。3点のリードを持って後半に折り返しますが、あとは残り45分をどう締めるか。

3点の余裕を持ったウチはハーフタイムに3枚交代。敦樹さん→安居さん、大久保さん→江坂さん、大畑さん→明本さんとして中2日で予定される準々決勝に備えます。小泉さんが大久保さんのいた左サイドに移動。江坂さんがトップ下に入る形はいつも通り。

ジョホールも後半は守備ブロック、最終ラインを4枚にしていたように見えましたので、多分これが本来のやり方なんですかね。中盤に人数を増やし、3点を追って出てきます。それに対して押し込まれるような状況ではありませんでしたが、自陣で相手にボールを持たれる時間も少し増えて60分くらいには西川さんへの戻しのパスを狙われて詰められたところからあわや失点(岩波さんが素晴らしいカバーリングで事なきを得ましたが)というシーンがあったり流れ的にはジョホールが少し掴みつつある展開に。

この状況を見てか65分には小泉さん→関根さんとして左サイドに推進力を追加。さらに76分には松尾さん→ユンカーさんとして終盤、相手が出てくるならユンカーさんでトドメ刺す準備。そしたらその通りになりましたね。

84分、右サイドで大外を下がりながら受けに来たモーベルグさんと入れ替わる形で江坂さんがハーフスペースをスプリント(モーベルグさん、下がって受ける時に江坂さんに縦に走れって指さしてるので狙い通り)。モーベルグさんからのパスダイレクトが裏のスペース、フリーの江坂さんに出た時点で相手ディフェンスを完全にひっくり返して勝負あり。

ここから先の江坂さん→ユンカーさんの関係性はさすが。ユンカーさんの欲しいタイミングで、はいどうぞ決めてくださいという優しいパスを供給。落ち着いて左足でワンタッチしてから鋭いグラウンダーのシュートを流し込んだユンカーさん。これで相手の心を完全にブチ折って試合を終わらせる4点目。

さらにこれで終わらないトドメがアディショナルタイム。西川さんのレーザービームのようなライナーパントキックが一直線に江坂さんへ。江坂さんはこれを落ち着いて胸トラップ→左サイドの関根さんに預けてからのリターンで相手最終ラインをブレイクしたところから、ユンカーさんへのまたもや優しいパスで5点目をお膳立て。

西川さんのパントキックは芸術品でしたし、それを受ける直前にユンカーさんの位置を確認しつつ胸トラップターンで相手1枚外した江坂さんもエグいし、関根さんの江坂さんへのパスも絶妙なタイミングと、最後の最後に格の違いを見せつけるようなゴール。いやぁ良いもの観させていただきました。

ということで今シーズンACLでグループステージを突破した外国チームの中で、前評判的には恐らく最も高かったジョホールでしたが、序盤のイーブンな展開を早々の得点で自分たちの流れに。そこから要所要所で相手を上回り、最終的には5得点、無失点の快勝。スコアほど相手との差があったとは思わないですが、初見の相手をきっちり倒して準々決勝に駒を進めたことは文句なしに素晴らしい結果です。

ちょうどこの記事書いている最中に準々決勝のドローがあって、次の対戦相手はタイのBGパトゥム・ユナイテッドFCに決まりました。

BGパトゥム・ユナイテッドFCはリカさんの古巣(前クラブ名である「バンコク・グラスFC」時代)、現監督は手倉森誠さん、さらにセレッソ大阪とパートナーシップを締結してJリーグにも選手を何人か輩出していたりと、色々と因縁(?というかJリーグと関係性)のある相手。実績、選手層等、立場的にはウチが挑戦を受ける側なのは間違いありませんが、かといって楽に勝てる相手でもありませんから、油断せずにしっかり叩いて、まずは準決勝に駒を進めてもらえることを期待します。

AFCチャンピオンズリーグ2022 ノックアウトステージ ラウンド16 埼玉スタジアム2002 ジョホール・ダルル・タクジムFC(マレーシア)戦 試合終了後の様子

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試合ハイライト

試合データ

観客: 20,691人
天候: 晴れ / 気温 27℃ / 湿度 90%
試合結果: 浦和 5-0 ジョホール(前半3-0)
レッズ得点者: ショルツ(8分/PK)、モーベルグ(19分)、モーベルグ(39分)、ユンカー(84分)、ユンカー(90+1分)
警告・退場: -
主審: クリストファー ビース 氏

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