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2022 Jリーグ 第25節 エコパスタジアム アウェー ジュビロ磐田戦

2022 Jリーグ 第25節 エコパスタジアム アウェー ジュビロ磐田戦

写真は「DAZN」中継映像から引用

直近のルヴァンカップに関しては名古屋をホームで3得点、無失点の完勝で破り、無事準決勝進出。ルヴァンカップ→リーグ戦→ルヴァンカップという名古屋との3連戦でお腹いっぱいの1週間は、1勝1敗1分けの結果になりましたが、ルヴァンカップ準決勝進出の代償として、リーグ戦の前節は名古屋に敗戦。

第24節のレビューでも書いた通り、個人的にはリーグ戦を最優先して欲しいところで、ルヴァンカップを優先したともとれるメンバー選考。もちろんリカさん的にリーグ戦を捨てたなんて意識はなく、メンバーを替えてもしっかり結果を出してくれることを期待してピッチに送り出したんだと思いますが、結果としてはそれで上位に食いついていけそうな重要なタイミングでのリーグ戦を落としてしまったので、今節はアウェーとはいえ勝点3が求められる試合。

その重要な今節の相手は、現在最下位に沈むジュビロ磐田。磐田とのホーム、前回対戦は 4-1 の大勝。モーベルグさんのデビュー戦、即初ゴールっていうおまけ付きで圧倒した試合でしたが、シーズン終盤、降格圏に沈んでいる相手との試合は、前回大勝しているからとはいえ安心できない怖さがあります。ここでしっかり最下位を叩いて勝点を積めるのか、注目の一戦となりました。

スターティングラインナップ

2022 Jリーグ 第25節 エコパスタジアム アウェー ジュビロ磐田戦 スターティングラインナップ

さて今日のスタメンは、最終ライン左から大畑さん、ショルツさん、岩波さん、酒井さん。ダブルボランチに岩尾さんと敦樹さん、左のSHに大久保さん、右にモーベルグさん、トップ下に小泉さんを配置し、1トップに松尾さんを置いた 4-2-3-1 スタート。GKは西川さん。サブには知念さん、馬渡さん、明本さん、安居さん、江坂さん、ユンカーさん、そして彩艶さんが控えます。

メンバー的には直近のルヴァンカップから西川さん以外は変更なし。中2日での試合のためコンディション的にはかなり厳しいところもあったと思いますがこのメンツが現状でのベストメンバーと考えれば、リーグ戦、前節は名古屋に敗戦して連敗(どころか相手の順位を考えれば引き分けさえ)は許されない状況でここは踏ん張りどころ。理想的には早い段階で先制点を奪い、試合を優位に進めつつ負荷の高いポジションに関しては交代策でうまくローテーションさせたいところです。

対する磐田は、最終ライン左から小川 大貴選手、伊藤 槙人選手、鈴木 雄斗選手。ダブルボランチに遠藤 保仁選手と山本 康裕選手。左のWBに松原 后選手、右のWBに吉長 真優選手、インサイドハーフに大森 晃太郎選手と金子 翔太選手を配置し、ワントップにファビアン ゴンザレス選手を置いた 3-4-2-1 スタート。GKは梶川 裕嗣選手。

直近の磐田の試合をみる限り、金子選手とジャーメイン 良選手の2トップにして縦に速い攻撃(比較的シンプルに裏を狙って、セカンドボール即時奪還からの2次攻撃狙い)を志向しているようにみえましたけれども、今節は最前線をファビアン ゴンザレス選手の1枚に、中盤に遠藤 保仁選手を置くなど、少し変化がありました。遠藤 保仁選手を中盤に置くあたりからするとある程度ボール握ってじっくり攻めたい意向がみえましたが結果論的には磐田が事前準備してきたプランの片鱗くらいしかみえない時点でウチが立て続けに2点獲ってしまったので、相手もプラン変更せざるをえない状況に追い込みました。

磐田にプランはあれど、うまく出鼻を挫いて前半で3点先行。
あとは無慈悲に追加点を積み重ねて大勝でシーズンダブル

前述の通り、磐田は中盤の構成的にボールをある程度握って動かしたい狙いがみえる入り。相手WBがウチのSBを引き出しておいてその裏に遠藤選手が流れてきたりとウチのSBの裏のスペースをビルドアップの出口に、そこにCBをつり出しておいて中、あるいは逆サイドで高い位置まで押し出してくるWBで左右に振ってみたいな攻撃は狙いとしてはみえましたし、実際にそれがハマっていたら危なかったなと。

ウチは相手が3バックの場合、相手WBに対してSHが抑えにはいかず(どちらかというとインサイドで中央へのパスコースを消しに行く)、SBが最終ラインから出て潰しに行く傾向が強いですが、当然、SBが空けたスペースは誰かがケアしなければならず、原則的にはCBがスライドして対応することになります。磐田としてはワントップに高さと強さがあるファビアン ゴンザレス選手を配置し、特に左サイドにショルツさんを引っ張り出して中央からどけたところで、ファビアン ゴンザレス選手や2列目から金子選手あたりがフィニッシュに入ってくる形をイメージしていたように感じましたが、幸い、その狙いが帰結する前にサイドでうまくボール奪取して相手を裏っ返したところから先制点が奪えたのは大きかった。

3分過ぎ、左サイドで磐田の右WB、吉長選手が大畑さんの前面でボールを受けて前述の狙い通り大畑さんを釣りだし、その背中に遠藤保仁選手が入ってきます。大畑さんの背中をサポートしていたのは岩尾さん。セオリー的にはここで遠藤選手にボールが入った場合、岩尾さんが遠藤選手に出ていって、大畑さんはそのまま吉長選手に付いていくんですけども、大畑さんが吉長選手を捨て、素早く遠藤選手に寄せ、さらに大久保さんが吉長選手のところに戻ってきてくれたことで磐田は一旦このエリアでのブレイクを諦めて後方でサポートした右ストッパーの鈴木選手までボールを戻すことに。

ここで凄かったのが小泉さん。鈴木選手にボールが戻ったところで鋭く寄せると、(多分意図的にだと思いますが)縦を切るようなボディーフェイントで内側にいた山本選手へのパスを誘導しておいて、出たところを素早く右足でパスカット。一発で相手を置き去りにして縦に持ち出します。

この瞬間、相手ディフェンスは2枚に対して中央には松尾さんがスプリントして数的同数のカウンター。さらに逆サイドではモーベルグさんがきちんと反応してスプリントを開始しており、磐田の左WB、松原選手がかなり高い位置まで入り込んでいたことでモーベルグさんに対して完全に出遅れた状態となり、状況的には2対3が作れそうなビッグチャンス。

小泉さんはうまくドリブルのスピードを調整しつつ(ここでスピードを上げすぎるとプレー精度下がるし角度もなくなっちゃいますからね)少しインサイドへ。これに呼応して松尾さんが左サイドに少しだけ流れながら縦に仕掛けて相手ディフェンスを引っ張ると、小泉さんは冷静に逆サイドを駆け上がってきたモーベルグさんへとラストパス。

余裕を持ってファーストタッチを足元に止めたモーベルグさん。彼にペナルティエリア内であれだけ時間と余裕を与えたらもう楽勝。冷静に左足で逆サイドネットに正確なシュートを流し込んでこれが先制点。素晴らしいカウンターからしっかり決めきってくれました。

さらに12分、一旦は右サイドでウチの攻撃が未遂に終わり相手最終ラインがボール保持したところ。素早くいつも通り 4-4-2 ブロックを作りつつも小泉さんがファーストディフェンスのスイッチを入れてボール保持した鈴木選手に寄せます。

鈴木選手は右側にいたリベロの伊藤選手に預けようとしますが、このボールがかなり雑な浮き球になって伊藤選手がトラップミスしたところを松尾さんが見逃さず鋭く寄せてボール奪取すると一気に縦、ペナルティエリア内に進入。即座に小泉さんも中央にスプリントすると松尾さんからの折り返しを冷静に合わせて追加点。相手のミスを見逃さず仕留める強さを発揮。

ちょっと気になるのは磐田の鈴木選手。自分のミスでボール奪取されてピンチなのにスプリントする小泉さんに対して反応が遅れて後追いになって全く競ることなくやられてたり、直近の試合から1週間近く間が空いているにもかかわらず中2日で戦っているウチの選手たちより圧倒的に出足が遅いってのは戦術以前の問題な気がしますがまぁ他人事なのでいいか。

この、攻守転換時の反応速度、セカンドボールに対する出足の鋭さなどの部分では試合を通してウチが圧倒していたかと思います。特にウチはピッチコンディションの関係などもあって繋ぎでのミス自体は結構するんですけども、失った瞬間に複数人で即座に囲い込んで即時奪還するという選手の距離感がよいからこそ成り立つ初期プレスがしっかり機能していて、この辺が大きく勝敗を分けた部分じゃないかなと。

39分には右サイドでモーベルグさんと磐田左WB、松原選手との1対1のシチューエション。ここのところモーベルグさんを相手と1対1の状況にするというのはチームとしての共通理解になっているようで、あえて周りはサポートに行かず、逆に相手のサポートを引っ張ってモーベルグさんから遠ざけるような動きでモーベルグさんがやりやすい状況を作ってあげられているのは大きい。

このシーンでもモーベルグさんが1対1になるやいなや、後ろから猛烈な速度で酒井さんが外側を周りにいってモーベルグさんが仕掛ける隙を作るナイスサポート。

モーベルグさんはモーベルグさんで、最も強力なカットイン→左足だけでなく、ここ数試合、縦→右足クロスでのアシストの印象を相手に与えているので対応する相手としても難しい。左を切りに行けば縦に行かれれるし、縦を気にしすぎればカットインから強烈な左足が飛んでくる。ただでさえ磐田、松原選手としては考えることが多いところに後ろから酒井さんまで突っ込んできたらそりゃ判断も遅れますよってことでその刹那、縦に抜けたモーベルグさんが右足クロスを上げると、これが逆サイドのゴールポスト内側に当たって直接ゴールに吸い込まれる3点目。

モーベルグさん自身は試合後インタビューで「あれはスーパーシュートだ」って言ってましたけど、乗っている時ってのはああいうのがポストに当たっても入ったりするもんです。ま、どっちにしろファーサイドには松尾さんがフリーで詰めてたので、クロスになっていたとしても決まってたとは思いますけどね。

3点リードして折り返した後半。ハーフタイムにウチは3枚交代。大畑さん→明本さん、モーベルグさん→江坂さん、松尾さん→ユンカーさんとして、小泉さんを右SHの位置に、大久保さんを左SHに移動。江坂さんがトップ下、ユンカーさんワントップ。明本さんは大畑さんのいた左SBに入ります。

磐田も大津選手と最前線に投入して、恐らく(中継だとピッチ全体像がみえないのでわかりにくいんですが)2トップ、3-3-2-2 の並びにしたように見えました。

磐田としては前線の枚数を増やして裏への仕掛けの回数を増やしつつ、セカンドボールに対して高い位置からプレスはめてショートカウンターという狙いに変更してきたものと思いますが、それに対してウチは冷静に空いたスペースに立ち位置を獲り、出てくる相手の裏でユンカーさんや明本さんの推進力、運動量を活かす策。

ただ、後半立ち上がりにペースを握ったのは磐田で、48分辺りには松原選手が酒井さんを抜いて縦に仕掛けたところを酒井さんが後ろから倒してあわやPKみたいなシーンもありましたし、ここの立ち上がりで1発喰らっていたら、それで試合をひっくり返されるほどの危うさはないにしても、後半の試合展開はそんなに楽観できるような流れにはならなかったかもしれません。

しかし今節の流れは完全にウチでした。62分、左サイドからのゆっくりした攻撃に、岩尾さん→小泉さん→明本さんのパス交換で縦にブレイク。余裕を持ってボールコントロールした明本さんに、ゴール前中央に入ったユンカーさん、ニアに入り込む動きを見せた江坂さんに引っ張られて磐田ディフェンス陣は完全にボールウォッチ状態。ファーサイドで完全に敦樹さんと大久保さんがドフリーだったんですが、ここをケアする選手はおらず(磐田の鈴木選手が負傷で一時的にピッチ外に出ていた影響もあるとは思いますが)、明本さんから上がったクロスに敦樹さんがルヴァンカップを思い起こさせるような左足ボレーシュートを見事に叩き込んで4点目。これで試合は完全に決まり。

磐田も心が折れちゃったかな。65分には右サイドペナルティエリア内でボール受けた大久保さんに対して敦樹さんが見事なタイミングで追い越しながらニアゾーンを獲って折り返し。ペナルティエリア内で冷静に胸トラップした小泉さんが相手ディフェンスの股下を通すグラウンダーシュートで5点目。

71分には酒井さん→馬渡さん、ショルツさん→安居さんとすると、敦樹さんを最終ラインに下げてCBとしてのテストを敢行(結果終盤に足攣ってプレー続行できなかったんですけどね)。いい機会だし敦樹のCB試しとこっていうもう余裕ありすぎの采配。安居さんはボランチとして岩尾さんとコンビを組みますが、個人的には安居さんはできる子なのでこのくらいの時間ボランチとして出場できるのはよい機会。そして期待通り非常によい仕事してくれました。

78分、中盤で安居さんがボール受けて素早くターンしたところから一発で縦に江坂さんへのパス。ちょっとボールが緩くて江坂さんは相手に囲まれそうになりますがうまくターン。江坂さんがターンした瞬間、最前線ではユンカーさんが裏に鋭く仕掛けますが、一番いいタイミングではパスが出てこず、多分ユンカーさん的にはちょっと遅れ気味にパス出されて「チッ」って感じだったと思いますが、結果オーライ。

多分鈴木選手だったと思いますが、磐田の選手に当たってコースが変わったボールが素早く反応してターンしたユンカーさんの元へ。このターンに付いていけず磐田の選手がスッ転んでくれたことでユンカーさんは完全にGKと1対1。まぁ余裕っすねという感じでユンカーさんがゴールに流し込むとこれが6点目となって今シーズン最多得点。

試合終盤に押し込まれて何度か決定機を作られますが(前述の通り敦樹さんが足攣ってしまって交代枠も使い切っていた関係で10人で最後戦う感じになってしまったので)、西川さんはじめ、ディフェンスが集中して守り切り、クリーンシートで試合終了。対磐田、今シーズンダブルを達成して勝点3を積んでくれました。素晴らしい。

さて、これでしばらくリーグ戦は中断。ここからACLの集中開催となります。まずは19日の金曜日にラウンド16(対ジョホール・ダルル・タクジム)。勝てば翌週月曜日に準々決勝、さらに勝てば中2日で木曜日に準決勝というまるでやっつけ仕事のようなハードスケジュール。

もちろん、決勝進出を目指して戦うことになりますが、幸い、ACLで準決勝まで戦っても、次のリーグ戦までは1週間のインターバルが取れること、ACLが埼スタでの開催ということでほぼホームゲームのような感じでのぞめることはウチにとっては利点となるでしょう。

ということで、まずは金曜日のACLに向け、コンディションを整えていただきましょう。

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試合ハイライト

試合データ

観客: 12,462人
天候: 雨のち曇 / 気温 26.3℃ / 湿度 78%
試合結果: 磐田 0-6 浦和(前半0-3)
レッズ得点者: モーベルグ(5分)、小泉(13分)、モーベルグ(40分)、伊藤敦樹(63分)、小泉(66分)、ユンカー(79分)
警告・退場: 酒井(警告×1/反スポーツ的行為)
主審: 山本 雄大 氏
順位: 7位(8勝6敗11分/勝点35/得失点差+12)

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