2022 Jリーグ 第9節 埼玉スタジアム2002 ヴィッセル神戸戦
先週末に行われたJリーグの開幕戦はアウェーでの京都戦でしたが悔しい敗戦。そこから中3日で迎える水曜日開催の今節は、ACL出場チームのみスケジュールの関係で繰り上げ開催となった第9節。
試合とは関係ないところで色々と苦しい状況があったり、そこに過密日程も重なったりと、なかなか状況は我々にとって追い風にはならないですけども、そんな中でも結果を出さないといけない重要なホーム開幕戦。対戦相手はヴィッセル神戸です。
スターティングラインナップ
さて、ホーム開幕戦のスタメンは、最終ライン、左から大畑さん、ショルツさん、岩波さん、馬渡さん。ダブルボランチに柴戸さんと敦樹さん、左のSHに関根さん、右に松崎さん、トップ下に江坂さんを配置し、1トップに明本さんを置いた 4-2-3-1 スタート。GKは西川さん。サブには酒井さん、犬飼さん、知念さん、岩尾さん、安居さん、小泉さん、そして彩艶さんが控えます。
個人的に加入発表時から期待していた大畑さんが京都戦での残り数分の出場から今節はスタメン起用に。キャンプ時の情報では昨シーズンの負傷の影響で本格稼働まで少し時間がかかりそうというのを聞いていたので、今回のスタメン起用はちょっと驚いたんですが、最初から途中で交代するプランだったとしても先発できるところまでコンディションが上がっているということはポジティブ。
左利きのSBが左にいてくれるっていうのは攻撃面でメリットが大きいですし、さらに馬渡さんが本職の右で使えるっていうのもどういう変化が起こるか楽しみな起用。また、松崎さんが右のSHで起用され、関根さんが左SHでのスタートになりましたが、左での関根さんにも期待といった感じで注目ポイントが多いスタメンでした。
対する神戸は最終ライン左から初瀬 亮選手、小林 友希選手、槙野 智章選手、酒井 高徳選手。中盤はトリプルボランチ気味に左から山口 蛍選手、セルジ・サンペール選手、郷家 友太選手を配置し、トップ下にボージャン・クルキッチ選手。これで中盤はダイアモンド型が基本に。最前線には2トップとして武藤 嘉紀選手と大迫 勇也選手が並ぶ、4-4-2(4-3-1-2)スタート。GKは前川 黛也選手。
立ち上がりから試合が動きまくって忙しない展開に
まずウチのボール保持の状況においては、神戸が前線の並び、人選的にそこまでハイプレスに適した感じでもなかったですし、それもあってウチのビルドアップにおける2CBによるボール保持に対して相手2トップの規制がかかったかというとそんなこともなく、中途半端に前から出てきてくれたところを裏っ返して相手守備1列目を比較的簡単に越えることができていたため、立ち上がりをみる限り、「これ、今日は結構狙いが出せそうだな」という印象。
一方ウチのボール非保持時、要するに守備時に関しては江坂さんが2トップの位置に出ていくことで 4-4-2 ブロックを作るいつも通りのやり方でしたが、嫌らしくサイドに流れてウチのSBの裏のスペースを獲りにくる武藤選手や大迫選手、ボージャン選手の最前列、さらにそれを誘発するためにうまくウチのSBをつり出したり、ボランチを中盤にピン止めするようなポジションを獲る酒井高徳選手や初瀬選手、山口選手や郷家選手との連動は厄介。
全体として神戸はそこまでポジショナルに立ち位置を変えないものの、SBの裏のスペースを起点にしたサイド攻撃から逆算し、ウチにとってはマークの受け渡しが面倒くさい感じの動きをしてくるため、相手の狙い通りにSB裏を獲られたときにはCBがサイドに引っ張られることで空いた中央の危険なゾーンまで侵入されるシーンが何回かみられました。
神戸はサンペール選手が最終ラインに落ちる形での3枚回し。それに対してウチは守備ブロックは2トップなので数的には不利なんですが、神戸はビルドアップ時にあまり深さを作らないので、現地でみている限りはもう少し前からハメにいってもよかったんじゃないかな、よかったというか、もう少しプレスをハメられたんじゃないかなみたいな印象はありましたけど、立ち上がりは別として前半の45分でいうと、時間の経過につれてウチは守備ブロックを作って待ち構える時間帯が多くなりました。
まぁ前半20分の時点で勝ち越してるわけですし、無理に前からいかなくてもってのはあったと思いますが、神戸の選手は全体的に高スキルな選手が多いため、待ち構えて時間的なゆとりを与えてしまうと比較的正確なボールが危険なエリアに入ってきてしまいますし、最前線が大迫選手などJリーグでもトップクラスのポストプレーヤーだったり、武藤選手も正確なボールが入ってくるとワンタッチで決めきる能力のあるストライカーなので結構めんどくせぇなと。もう少し相手から自由を奪ってこちらのボール保持する時間が延ばせたらってのと、その中であわよくば3点目獲っておきたかったよねというのが個人的な感想。
で、試合の方は開始早々の10分にいきなり動きます。きっかけはそれより少し前、開始4分過ぎに起こった神戸コーナーキックからの流れで与えてしまったPK。
神戸のコーナーキックはショルツさんが身体に当ててはじきますが、ペナルティエリア内でそれを拾った関根さんがカウンターに出ていこうと馬渡さんに一旦預けたパスが微妙にずれてコーナーキックを蹴るために同サイドにいた神戸、初瀬選手が再奪取、ウチは全体がポジトラして前に出て行こうとしていたタイミングでその裏を獲った大迫選手にダイレクトでパスが入ってしまったため、左サイド、ペナルティエリア角で大畑さんと大迫選手が1対1になるスクランブルが発生。
さらに食いついた大畑さんが大迫選手のターンに付いていけず振り切られたことでペナルティエリア内に侵入しようとする大迫選手には松崎さんがアタックしに行きますが、ボールを突こうと松崎さんが足を出したのより一瞬早く大迫選手が先にボールを触ってパスを出したため、松崎さんが大迫選手の足を踏む形でファウルコンタクト。VAR → OFR でPKの判定は残念ながら妥当。
松崎さんも試合後のインタビューで「先にボールを触れると思って足を出したが、大迫選手が想像以上に(ボールへの動きが)速かった。あの速さは今まで体感できていなかった部分」ということをおっしゃっていて、初めて対峙した日本代表クラスはハンパなかったってことでしょう。これも経験ですね。
ただしこのPK自体は西川さんが身体を倒しながらも左手一本残してゴール上方向にはじき出すというビッグセーブで得点は阻止。これで終わってれば西川さんすげぇで語り継がれるシーンでしたけど、それでタッチラインを割ったボールのリスタートからまさかの失点っていう直前の興奮を帳消しにされる流れに。
スローインはウチの右サイドから初瀬選手。コーナーフラッグ付近でスローインを受けた大迫選手に対してショルツさんが潰しに寄せますが、この時至近にいた松崎さんが初瀬選手を捨ててショルツさんのチャレンジに対するカバーに入ったんですけど、これによって初瀬選手がドフリー。大迫選手から初瀬選手にボールが戻ったところで当然松崎さんは初瀬選手に寄せに行きますが、敦樹さんとの立ち位置の関係で2人が門になってしまったことでその間をニアサイドに入ってきた山口選手に通され、パス2本で3人が置いてかれる状況になっちゃいました。
ペナルティエリア内に侵入した山口選手には岩波さんが対応し、体を入れて奪いきったかなと思ったら奪いきれず。サポートした武藤選手に足先でちょこんとボールを浮かせてからの左足ボレーシュートという月間ベストゴールに選出されそうなおしゃれシュートを西川さんの頭を越える形でファーに流し込まれて失点。
スローイン直後の守備対応に問題があったのも残念ですし、ペナルティエリア内で岩波さんが山口選手の前に身体入れた時点でセーフティにコーナーキックに逃れてプレーを切るなどできていれば......と少し悔やまれる失点でした。
ただ、この日素晴らしかったのはこの失点直後に2得点して試合を即座にひっくり返したこと。12分、左サイドで相手のタックルを受けながらも倒れずねばって突破した関根さんからのパスをペナルティエリア内で受けた松崎さんが右足でコントロールしつつ相手ディフェンスを外しながら左足を振り抜いたシュートは、寄せた相手ディフェンスに当たりましたがうまく間を抜ける形で枠に飛び、これが神戸GK、前川選手の脇をすり抜けるようにファーサイドに吸い込まれるナイスゴール。松崎さん移籍後初ゴールおめでとう。
さらに19分、今度は左からのコーナーキックにキッカーは馬渡さん。右足のインスイング、スピードのあるニアへのボールを明本さんが気合いでスラすと、ファーに抜けたボールを柴戸さんが頭で合わせて勝ち越し。ニアで明本さんがスラした時点で勝負ありっていう状況で、ファーの酒井高徳選手のところで敦樹さんと柴戸さんがフリーで浮いている状態になりましたが、ブラインドから抜けてきた決して簡単ではなかったボールに柴戸さんがうまく合わせてくれてこちらもナイスゴールでした。
試合をぶっ壊した退場。残り30分は耐えるだけの展開に
前半の戦いぶりを観るに、攻撃面ではかなり狙いも出せていて3点目の匂いもしつつ、あとは後半、相手も選手交代などで動いてくるだろうからそれに対してどうリードを保ったまま試合を進めるか、楽しみな感じでハーフタイムを過ごすなど、ここまでは気分も上々。
試合の方はハーフタイムで大畑さんに代えて酒井さんを投入、彼を右SBに、馬渡さんを左に移動しての後半開始。大畑さんのコンディション的に元々酒井さんと半分づつっていうプランだったのか、それとも攻撃面はいいとして、守備時に大畑さんの裏を使われてた印象もあったのでそこの守備強度を出すためだったのかはリカさんの試合後インタビューでは質問されていなかったのでわかりませんが、神戸が狙ってくるSB裏のケアっていう意図は明確な交代。
ところがこのあとまさかの展開が。後半開始から13分、相手の執拗なホールディングとその後の売り言葉に買い言葉みたいな状況に熱くなった明本さんが弁解の余地なしな、ど真ん中の暴力行為をぶちかまして一発レッド。彼が退場して後半早々に10人の状況になると、ここから先はもうレビュー書く気も失せる感じで試合は台無しに。
明本さんの行為には個人的には「呆れ」というか「残念」しかないです。明本さんは応援している選手ですし、ここ数試合の経緯を踏まえれば当然擁護したい気持ちにはなるものの、ファウル取ってもらえないフラストレーションとかなんとか、そんなものなんの理由にもならないというのも一方であり。
自分が退場になることで試合がぶっ壊れること、結果としてチームが勝点を失い、仲間の頑張りが無駄になってしまう可能性、さらに出場停止により続くガンバ戦、下手すればさらに数試合 (幸い1試合の出場停止、つまり次のガンバ戦でこれを消化ということで確定しました)、主力である自分が抜けることでチームの戦い方にマイナスな影響を与えかねないこと、そんなことプロであればわかった上でプレーしてると思ってましたけど、一時の感情を抑えられず直情的な行動をとるとは...... 熱く戦うっていうのは気持ちは熱くしつつも頭はクールにという意味であって、粗暴であることは全く違いますからね。まぁやっちまった本人が一番反省してると思いますし、今後同じミスはしないものと信じてますけど。
ということで残り30分もある状態でウチは10人で戦うことに。得点差は1点。神戸は直前にイニエスタ選手と汰木選手の投入を決めていて、ボール握って押し込みたい意図は見えているところにこちらが1人減ってしまったので状況的には神戸に優位。
この状況に対して63分、松崎さん→岩尾さんとして中盤の真ん中に岩尾さんを投入。右に移動させた関根さんを最終ラインまで落とす形で最終ラインを5枚、その前面に敦樹さん、岩尾さん、柴戸さんの3枚を並べ、最前線に江坂さんだけを残した 5-3-1 でブロックを作るとここからひたすら神戸の攻撃練習に耐え続ける時間に突入。
前線が1枚なので江坂さんにできることはほぼなく、守備時の規制も当然なんもできないので、ひたすらボール握られて押し込まれてクロスがバンバン入って切る状況。この状況を見て76分には江坂さん→犬飼さんとして明確に3バックにすると、犬飼さんの高さでクロスをはじき返す策に。これで耐え切れればよかったんですけども、87分に決壊。
直前にフィフティーなボールを関根さんが前に出て行って追いかけたところで神戸の小林選手のホールディングっぽいプレーで止められるっていうシーンがあったんですけど、これがファールにならなかったことで関根さんが守備ブロックから抜けた状態でサイドの深い位置にボールが入って来ちゃう状況に。
ウチの右サイドでボール保持した初瀬選手(だったと思いますが)には柴戸さんが対峙し、そのカバーに酒井さんっていう並びになりますが、初瀬選手が縦に仕掛ける動きをしたため、一瞬酒井さんがゴール方向にポジションを直したところでペナルティエリア角にサポートしたイニエスタ選手へとパス。これでイニエスタ選手が一時的にドフリーで前向いてボール持つ状態になってしまったのが致命的でした。
この瞬間、ゴール前は犬飼さん、岩波さん、ショルツさん、馬渡さんがセットしていて人数はそろっていましたが、岩波さんの背中を獲った武藤選手にショルツさんが引っ張られたその背中に槙野選手に入り込まれて合わされる形で失点。馬渡さんは自分の背後から出てくる大迫選手のマークで槙野さんには対応できず、ショルツさんと馬渡さんの間で槙野選手がフリーになってしまった形。残念。
失点直後には関根さん→安居さんとして彼を最前線に置いて気合いでボールを追いかけさせつつ打開策を探りますが、実際のところ何かできることもなく、引き分けを目指して守り切るってのが精一杯のアディショナルタイム。なんとかこれ以上の失点はせずに試合をクローズし、勝点1を死守してくれました。
苦しい状況にもかかわらず、90分最後まで戦い抜いた選手たちにはお疲れさまとしか言い様がない。よく耐えてくれました。
さて、次は中2日で週末、土曜日のガンバ戦へと続きます。ガンバは今年から監督が片野坂さんに代わり、チーム構築の真っ最中。チームの完成度が低いうちに叩いておきたいところですし、開幕から未勝利のウチとしては勝点3以外はなしっていう状況ですけども、どういう人選で戦うのかも含め、興味深い戦いになりそうです。
このレビュー記事について浦和レッズサポーター向けFacebookグループでメンバーの方々との意見交換などもしています。詳しくはこちらをご覧ください。
おまけというか私事のご報告
Twitter でもつぶやいたんですが、今シーズンのシーズンチケット更新をきっかけに、Jリーグ開幕以来(駒場時代から)ずーっと通っていたゴール裏での観戦を引退しまして、指定席の方に移り住むことにしました。今後は指定席から試合を楽しもうと思います。
完全に私事ですが、今シーズンからシーズンチケットを Reds Business Club(RBC)に切り替えましてゴール裏からは退きました。今後は指定席からゆるりと応援しやす。 pic.twitter.com/4H0hPLvnj1
— Yoshiki Kato (@burnworks) February 23, 2022
試合ハイライト
試合データ
観客: 19,446人
天候: 晴 / 気温 10.9℃ / 湿度 20%
試合結果: 浦和 2-2 神戸(前半2-1)
レッズ得点者: 松崎(12分)、柴戸(19分)
警告・退場: 松崎(警告×1/ラフプレー)、伊藤敦樹(警告×1/遅延行為)、明本(退場/乱暴な行為/次節1試合出場停止)
主審: 木村 博之 氏
順位: 14位(0勝1敗1分/勝点1/得失点差-1)
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