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2021 Jリーグ 第33節 埼玉スタジアム2002 柏レイソル戦

2021 Jリーグ 第33節 埼玉スタジアム2002 柏レイソル戦

前節はガンバ大阪を相手に、特に前半はほぼ一方的に押し込みながらも得点を奪えず、結果としてちょっともったいない感じでの引き分けで終わってしまいましたけども、気を取り直してのぞむ第33節は、ホーム埼スタに柏レイソルを迎えての一戦。

ガンバ同様、柏も順位的には下のチームですし、続く天皇杯の準々決勝に向けてよいイメージを取り戻すためにもきっちり勝って10月最後のリーグ戦を締めくくりたいところ。前節課題になったゴール前、フィニッシュの部分でのプレー精度や崩しの質的な部分も含め、チームとしてもう一段階の成長を示せるのか、注目の戦いとなりました。

スターティングラインナップ

2021 Jリーグ 第33節 埼玉スタジアム2002 柏レイソル戦 スターティングラインナップ

さて今日のスタメンは、最終ライン、左から山中さん、ショルツさん、岩波さん、酒井さん。ダブルボランチに柴戸さんと平野さんを配置。左SHに汰木さん、右に関根さん、トップ下に江坂さん、1トップにユンカーさんを置いた 4-2-3-1 スタート。GKは西川さん。サブのメンバーとしては槙野さん、ウガ、敦樹さん、達也さん、大久保さん、小泉さん、それに彩艶さんが控えます。

前節、負傷交代してしまった明本さんがこの時期に痛い一時離脱。興梠さんも膝の怪我から完全復帰出来ていない中でユンカーさんが今節に間に合ってくれたことでユンカーさん、江坂さんの縦関係でスタートとなりました。前節のこともあって得点が欲しい今節、ユンカーさんがスタメンに名を連ねてくれたことは心強い。

対する柏レイソルは、最終ライン左から三丸 拡選手、古賀 太陽選手、エメルソン・サントス選手、川口 尚紀選手。ダブルボランチに椎橋 慧也選手とヒシャルジソン選手。左のSHに神谷 優太選手、右に戸嶋 祥郎選手、2トップにマテウス・サヴィオ選手とクリスティアーノ選手を配置した 4-4-2。GKはキム・スンギュ選手。

完璧な崩しからの先制点、完成度を上げ最強に近づいたボランチコンビ

柏の試合立ち上がりの狙いは結構わかりやすくて、恐らく前節のガンバ戦をきちんとスカウティングしてきたんだろうなという点では左サイドの山中さんのところをきっちり抑える形の入りをしてきたこと。

インサイドにポジションを獲る汰木さんに対しては柏、右SBの川口選手が捕まえる一方で、ショルツさんが持ち出して相手1列目を越えたあとの山中さんへのパスに対して右SHの戸嶋選手が素早く寄せてスペースを与えずそこをボールの狩り場にするやり方。

山中さんにボール入れさせたところで引っかけて、その山中さんが出た裏のスペースにクリスティアーノ選手などが流れて起点を作り、サイドからのクロスに中央マテウス・サヴィオ選手、あるいは逆サイドから神谷選手みたいな形は狙いとして見えましたし、さらに守備ブロックの作り方も、4-4-2 をベースにしつつ、前線の2トップはクリスティアーノ選手だけがショルツさんに対してのみ規制をかけにきていたこと、さらに状況によっては右SHの戸嶋選手が最終ラインまで落ちて 5-3-2 ブロックになっていたことなどを考えると、とにかくウチの左サイドからの前進に関しては阻止したいという意図があったのかもしれません。

しかし、ウチも特に慌てることなくしっかりと柏守備ブロックの中間ポジションに立ち位置を獲りつつボールを動かしますが、15分、最終ラインでのボール保持から一発で相手前線守備を裏っ返して素晴らしいゴールが生まれます。

ちょうどウチの公式 Twitter でゴールシーンのリプレイ動画が上がっていたので下記に。

左サイドから相手に前進されたのを山中さんが気合いで奪い返してビルドアップが始まったところからなんですけども、まず平野さんと柴戸さんが相手2トップの裏に立ち位置を獲って右の酒井さんからそこにボールが入ります。この瞬間、柏のディフェンスライン2列目はぎゅっと縦に圧縮をかけて平野さん、柴戸さんのところでボール奪取にきますが、この瞬間、江坂さんがその相手2列目の裏にスッと落ちてきてドフリーに。

平野さんは相手のプレスを引きつけつつ柴戸さんにパスを出すと、柴戸さんがすかさずフリーの江坂さんに対してダイレクトで斜めに楔。この一連のプレーで柏は前線の5人が完全に置いて行かれる状態になって、最終ラインの4枚と、ウチの攻撃陣は数的同数。この時点でぶっちゃけ勝負ありという状況を作ります。後方にあえてオーバーロードを作っておいて相手を引き込み、アイソレーションが生じたスペースで江坂さんが受けてスイッチオン。まさに狙い通り。

江坂さんがボール受けて前を向いた瞬間にはユンカーさんが鋭くファーに微妙に逃げるようにスプリントして相手ディフェンスラインの裏に仕掛け(この辺の動きの質、タイミングはさすが一流ストライカー)。同時に汰木さんはユンカーさんの走るコースをみてそれと斜めにクロスラインで江坂さんに縦方向のパスコースを作るダイアゴナルラン(この判断も素晴らしい)。

この動きをおとりに江坂さんが絶妙なタイミングでユンカーさんへのスルーパス。ユンカーさんがペナルティエリア付近でボールを受けた際にはそのまま縦に仕掛けてフィニッシュという選択肢に加え、中央をスプリントした汰木さんへのパスコースという2つの選択肢が。

エメルソン・サントス選手の寄せを確認するとユンカーさんは汰木さんへのパスを選択。このパスは少しずれた感じはありましたが、ゴールから離れながらも思い切って右足を振り抜いた汰木さんのシュートは、ファーサイドのサイドネットにブッ刺さるスーパーゴールで先制。教科書に載るレベルの素晴らしい崩しからしっかり仕留めてくれました。スゴイ。

特に中央で酒井さんからボールを受けた平野さん、狭いスペースでしたがボールを受けつつスッと身体を開いて視野を確保すると、相手ボランチ、椎橋選手を引きつけつつ柴戸さんへのパスはあの人なんでいつもあんなに落ち着いてプレーできるんでしょうかと不思議になる程の冷静さ。さらに江坂さんがフリーになっていることを確認した上で平野さんからのパスをダイレクトで縦に付けた柴戸さん。この辺はチームとしてしっかりとした共通イメージができあがっているからこそでしょう。

さらに21分には柴戸さんがペナルティエリア内で倒されて得たPKで追加点。PKゲットまでの流れも、中央で作っておいて関根さんから山中さんへの素晴らしい展開でフリーの状況からクロス。このとき、ゴール前にはニアに柴戸さん、中央の深い位置にユンカーさん、さらに汰木さん、関根さんもペナルティエリア内に侵入していてしっかり多くの選択肢を作ることが出来ていました。

結果、ニアに入った柴戸さんのところにきたボールをユンカーさんに落とし、ユンカーさんが相手背負ってキープしたところからの落としを再度柴戸さんが前向きに受けてフィニッシュに持ち出そうとしたところで柏のエメルソン・サントス選手がたまらず後ろから引っかけてという形でしたし、しっかり崩した結果のPK。まぁまさか関根さんが蹴るとは思わなかったですけども、入ってよかった(笑)。コース甘かったんでちょっとヒヤッとしましたけどね。

3点目も岩波さんからの対角線上への素晴らしいサイドチェンジに山中さんがフリー。ニアに走り込んだ江坂さん、中央に走ったユンカーさんという2枚の選択肢がある中で、山中さんのクロスはニアの江坂さんの足元にピンポイント。惜しくも柏のエメルソン・サントス選手が先に触ってクリアしますが、戻りながらのクリアが小さくなったボールが汰木さんの足元にピタッと収まったところはまさに「汰木ゾーン」。鋭く振り抜いた右足のシュートは美しいコースを描いてファーサイドに突き刺さると汰木さんこの日2点目となる追加点で 3-0 と大きくリード。

33分の失点は、柏、左SHの神谷選手にインサイドに向かって仕掛けられたところで中の立ち位置が少しずれていたのが残念。ショルツさん、岩波さんの間で柏の選手2枚(戸嶋選手とマテウス・サヴィオ選手)が浮いている状態になってしまったため、神谷選手のクロスが柴戸さんの頭を越えて入ってきたときにはどうしようもない状況。結局、マテウス・サヴィオ選手に頭でフィニッシュされましたが、あの状況だと西川さん的にはノーチャンス。あの時間帯、柏が少し並びを変えていたことで少しマークが曖昧になっていた点、スローインからのリスタートだったこともあってちょっと気持ちが切れて油断した感じはあったかもしれませんね。もったいない。

しかし、前半終了間際にユンカーさんが4点目を決めて再度3点差にします。

相手ゴールキックからのリスタートを岩波さんがはじき返したところからなんですが、中盤で平野さんがボール受けるとダイレクトで相手ディフェンスライン裏にロングフィード。平野さん蹴る瞬間はユンカーさんを見てないんですけども、ボール受ける前の段階で2回くらい素早く前線を見ていたので、恐らくそのタイミングであの辺に蹴ればユンカーさんいるなみたいな感覚なんですかね。とにかく平野さんのボールはユンカーさんの裏へのスプリントにドンピシャ。

最終ライン裏にユンカーさんとよーいドンして勝てるディフェンスってのもそんなにいないと思いますが、まさに今回もその通りで、エメルソン・サントス選手と併走しつつもスプリント能力で上回って半歩前に出ると、ボールにコンタクトしてきたエメルソン・サントス選手の前にスッと身体を入れてブロックしながら得意の左足でシュート打てる空間を作りつつ、柏GK、キム・スンギュ選手の立ち位置を冷静にみてその脇を通すシュートを冷静に流し込むエグい得点。これ、地味なんですけどドリブルのコース選択、身体の使い方、シュートのタイミングやコース、どれも素晴らしく高等な技術が詰まったゴールでした。やっぱユンカーさんすごいな。

天皇杯に向けて主力選手の温存もしつつの快勝

後半はハーフタイムにユンカーさん→小泉さんという交代。ユンカーさんは怪我明けですし、点差がある中で無理させても仕方ないという判断で妥当でしょう。これによって江坂さんを最前線に置いた形に変更。ユンカーさんがいなくなることで、クリアボールに近いような縦ポンが相手にとって殺傷能力のある裏抜けになっちゃうみたいなことは減りますが、中盤でよい距離感を作ってパスを繋ぎつつボールを前進させる形に変化。点差もあるし、うまくボール保持する時間を延ばしつつ、隙あらば5点目を奪ってしまいたいという展開に。

そしたら59分にその追加点。スローインでのリスタートから江坂さん→小泉さんで相手最終ラインをブレイクしペナルティエリア脇へ侵入。ニアに斜めに関根さんが入ってくることで相手ディフェンスを引きつけた裏にパスを出した江坂さんが侵入すると小泉さんのクロスはその江坂さんへのマイナスクロス。これを冷静に胸トラップした江坂さんは寄せてきた相手SB、古賀選手の股下を右足の膝下を鋭く振り抜いてぶち抜く技ありのシュート。この辺のシュートセンスはさすが。

前節のレビューで、決定機逃したのを個人のスキルの問題だけで終わらせずに、ゴール前での動き、入り方、人数のかけ方みたいなチームとしての詰めの部分はもう一歩必要だと思うよ的な事を書いたんですが、この試合ではクロスに対してしっかりニア、中央、そしてそれとギャップを作る形でもう1~2枚がしっかりペナルティエリア内に侵入するという形が作れていて、恐らくこの辺は意識してやってきたことだと思いますが、こういう前節の課題をしっかり修正してチャレンジするあたりは素晴らしいなと思いました。

江坂さんのダメ押しゴールで 5-1 となると、65分には江坂さん→大久保さん、関根さん→達也さん、山中さん→ウガと一気に3枚交代。江坂さんは温存、現在イエローカードの累積が3枚になっている関根さん、山中さんも安全策として交代させる余裕を見せ、あとはしっかり無駄な失点をせずに試合を締めましょうという空気に。

さらに、78分には汰木さん→槙野さんとすると、槙野さんを最終ラインの中央に配置して3バックへ移行。ウガと酒井さんをWB的な役割にして、フォーメーション的には 3-4-3 (というか 3-1-4-2 が近かったですかね) のような形ですね。サイドからの放り込みに警戒が必要な柏に対してしっかりサイドをフタして、中央の3枚ではじき返すという守り方にシフトすると、終盤、柏の猛攻に何度かゴールを脅かされますが、西川さんの素晴らしいセービングもあって失点は前半の1失点にとどめ、そのまま試合をクローズしてくれました。

ということで、前節の鬱憤を晴らすような5得点の快勝。よい弾みをつけたところで続く週明け、水曜日は天皇杯の準々決勝です。ACL出場権にもつながる重要なカップ戦。決勝の舞台に立てるよう、アウェーでの戦いになりますが、よい試合を期待したいと思います。

2021 Jリーグ 第33節 埼玉スタジアム2002 柏レイソル戦 試合終了後の様子

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試合ハイライト

試合データ

観客:11,172人
天候:雨 / 気温 11.5℃ / 湿度 90%
試合結果:浦和 5-1 柏(前半4-1)
レッズ得点者: 汰木(15分)、関根(21分)、汰木(23分)、ユンカー(45分)、江坂(59分)
警告・退場: -
主審: 笠原 寛貴 氏
順位: 暫定 4位(17勝9敗7分/勝点58/得失点差+8)

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Yoshiki Kato / burnworks
Yoshiki Kato
埼玉県出身。サッカー、フットサル (観戦 / プレー)、モータースポーツ観戦、格闘技 (主にボクシング) 観戦、インターネット、音楽鑑賞、筋トレ、腕時計収集が趣味。サッカー 4 級審判員、ウオッチコーディネーター(上級 CWC)資格認定者。好物はゼリー、グミ、お酒、ラーメン。