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2021 Jリーグ YBC ルヴァンカップ プライムステージ 準決勝 第2戦 ヨドコウ桜スタジアム アウェー セレッソ大阪戦

水曜日に行われた第1戦はさい先よく先制したものの後半に同点ゴールを喰らって 1-1 の引き分け。相手にアウェーゴールを1つ与えての前半戦が終わった形になりますが、逆にいえば第2戦で勝った方が勝ち抜けっていうわかりやすい状況。準々決勝の川崎戦も同じ状況で迎えた第2戦でしたが、あの時は一時的に2点リードにされてかなり際どい感じになってしまったので、今回は早い時間帯に1、2点奪って相手にプレッシャーかけて追い込みたいところ。

ポジティブな面としては大敗した神戸戦も含め、直近のリーグ戦では全試合得点ができているということ(オリンピック中断明けでいえば無得点だったのは第27節の湘南戦だけですね)。つまり今のチームは点は取れるということで、その辺に期待しつつの試合開始となりました。

2021 Jリーグ YBC ルヴァンカップ プライムステージ 準決勝 第2戦 ヨドコウ桜スタジアム アウェー セレッソ大阪戦

写真は「Spoox (スカパー!オンデマンド)」中継映像から引用

スターティングラインナップ

2021 Jリーグ YBC ルヴァンカップ プライムステージ 準決勝 第2戦 ヨドコウ桜スタジアム アウェー セレッソ大阪戦 スターティングラインナップ

さて、今日のスタメンは、最終ライン、左から明本さん、ショルツさん、岩波さん、西さん。ダブルボランチに伊藤敦樹さんと柴戸さんを配置。左SHに江坂さん、右に関根さん、トップ下に小泉さん、1トップにユンカーさんを置いた 4-2-3-1 スタート。GKは彩艶さん。サブのメンバーとしては槙野さん、平野さん、山中さん、達也さん、汰木さん、大久保さん、それに西川さんが控えます。

第1戦からはCBコンビ、ボランチコンビ、左SB、両SH、トップ下という、計5人を入れ替えた形。平野さんをスタメンから外した以外は、関根さんや岩波さん、小泉さんをスタメンに入れ、前線の組み合わせ的には初の試みながら、最終ラインに関してはリーグ戦でのベストメンバーに近い形に戻したわけですけども、ボランチを柴戸さん、敦樹さんコンビでスタートしたのは中央でのプレー強度を意識してのものでしょうか。

中盤セントラル以降はいつものメンバーで安定させ、特にセレッソのストロングポイントでもある右サイドの坂元選手に対して少なくとも試合立ち上がりでは山中さんより運動量とプレー強度のある明本さんをぶつけることで押さえ込みたい意図みたいのは感じられました。

対するセレッソは、第1戦から人の入れ替えはなし。最終ライン左から丸橋 祐介選手、瀬古 歩夢選手、西尾 隆矢選手、松田 陸選手。ダブルボランチに原川 力選手と奥埜 博亮選手。左SHに乾 貴士選手、右に坂元 達裕選手。2トップが加藤 陸次樹選手、山田 寛人選手という組み合わせの 4-4-2。GKはキム・ジンヒョン選手。あちらとしては第1戦うまくいったという印象が大きいでしょうから、その勢いのまま同じメンバーでというのは理にかなった選択だと思われます。

被ハイプレス時のプレー精度、3人目4人目の連動性など、細かい部分での課題は見えるも新監督初年度の現在地としては及第点なのでは?

えっと、負けちゃったので今回はあまり試合の内容には触れず現時点での感想を簡単にまとめて終わります。

久しぶりのルヴァンカップ決勝の舞台、楽しみにしてたんですけどね...... ここで敗戦してしまったのはもちろん悔しいし残念ではありますが、この準決勝に関していえばセレッソに180分をうまく戦われてしまったなと。ウチはそこまで決定機を作れたわけでもなく、結果的に無得点で終わってしまったことでセレッソの決勝点となった1失点がなくても結局敗退。失点したことよりも90分で決定機を多く作れなかった点を課題とした方がよい気がします(まぁいうても敦樹さんのダイレクトボレーやユンカーさんのミドルなど、キム・ジンヒョン選手のビッグセーブがなければ1点っていうシーンはあったんですけどね...... ただ、ペナルティエリア内の深い位置から決定的なシュートというシーンはほぼ作れなかったですよね)。

Jリーグは(個人的にはいい傾向だと思っていますが)実力が拮抗したリーグで、通常時、全18チームいるJ1所属チームのうち、半分くらいのチームに関してはどこが優勝してもおかしくないくらいの高いレベルで戦っています。そして年々相手をスカウティングするためのツールや分析官のような人たちの実力も向上し、同じ事をやっていてはすぐに対策されて次の対戦でひっくり返されるのがプロ同士の戦い。

そういう前提の中、リカさんは就任1年目、戦術的引き出し、選択肢もチーム内にそこまで蓄積がない状態で試行錯誤しつつチーム力を高めている最中。選手の配置で殴るサッカーは初見殺しはしやすいですが、短期間内での対戦回数が多くなればなるほど相手は対策してきますし、一方でこちらはそれを上回る次の手を生み出す時間が足りないという状況になりやすいとも言えます。

直近1ヶ月で3試合やることになったセレッソとの関係では9月に完勝、第1戦の前半は同様に圧倒するも、後半に相手の対策がハマるようになって追いつかれ、第2戦ではその流れのまま相手を上回る時間が多く作れなかったという感じで対戦する度にいいところを消されてしまった感がありましたが、そういう点も影響しているでしょう。

ウチのビルドアップは基本的に中央で相手守備ブロックの中間ポジション、今回のように 4-4-2 ブロックの相手であれば乾選手や坂元選手の背中、両ボランチの周辺にきちんと立ち位置を獲って最終ラインの2CB、もしくはサイドにズラしたところからまずはそこを狙って起点を作り、相手の中央圧縮に対してはサイドでフリーな状況を創出というのが基本になります。

あとは相手の立ち位置や前プレのかけ方に応じてボランチが落ちたり、トップ下が落ちたり、あるいはサイドからインサイドに絞るSHの選手が落ちた選手のスペースを埋めるという形での連動がキモになるわけですし、それでも中央にスペースがなければデカ目のサイドチェンジによる広いサイドへの展開、サイドチェンジを封じる立ち位置を相手がしっかり取ってきた場合には最終ライン裏への縦一発も選択肢にすることで相手に的を絞らせずというのが理想。

そういうセオリー的な面に関しては直近のチームはきちんと実行できていて、ある程度相手のプレス強度がゆるかったり、例えば最前線が前プレはかけるけど外されるとプレスバックしてこない、みたいなアリバイ守備してくれるような人が数人いるチーム相手ならほぼ一方的にぶん殴れるようにはなりました。

しかし、そういう悪く言えばサボる選手がいない相手、さらに90分運動量を落とさず高強度なプレーが出来るチームを相手にすると、もうワンランク上の完成度が必要になっていて、その辺の課題がまとめて出てしまっているのがリーグ戦では神戸戦でしたし、ルヴァンカップ準決勝でも第1戦後半の一部時間帯、そしてこの第2戦ではその時間帯が広がっちゃったって感じでしょうか。

相手としては「どこかで中央を経由してくるんでしょ」というのはわかっているわけですし、ある程度的を絞って強度を出す部分と捨ててもいい部分を割り切って守られたりすると「引っかかりやすい場所」ってのは生まれがちです。実際にこの試合では落ちてボール受ける小泉さんのところが狙われていて、小泉さんももう少しシンプルに周りを使って自分がもらい直すとか出来ればよかったとは思いますが、ボール保持にこだわった感もあったのでちょっとボールが落ち着かなかったですよね。

あの位置でボールロストすると両サイドは高めにポジション獲ってるわけですし、相手にとってはサイド裏のスペース使いやすく、セレッソのようにそこにわかりやすいストロングポイントがあるチームにとっては狙いが出やすくなります。

この状況を打破するにはもう細部のディテールを上げていくしかないのかなと思っていて、例えばボールもらう瞬間の身体の向きやボールの止めどころといったプレー精度の向上、各選手の連続した動き直しによる素早く正確なポジション獲りをワンタッチやダイレクトで預けてもらい直してみたいな素早いボール回しによるプレス回避など細部の作り込みが重要になるでしょう。

ボールもらう瞬間の身体の向きの作り方やボールの置き所みたいな話は各選手のスキルも影響してくるところですし、「そんなのプロなら出来て当たり前なのでは?」と思う人も多いかもしれませんが、この辺って個人のセンスだけで何とかなるものではなく、普段のトレーニングの中から常に意識して訓練しなければ上達はしませんし、逆に言えばプロになってからでもいくらでも向上する部分です。

もちろん、リカさんがその辺をなおざりにしているなんて思っていませんが、現状ではそういう細部よりも全体の戦術浸透の方が優先順位高いだろうなというのは容易に想像がつきますし、一方で個人的にはたった1年未満の短期間で「細部のディテールを上げていく必要性」くらいのところまで持って行くリカさんはすげぇなと素直に感心します。ミシャさん退任以降のここ数年そういうレベルの監督がいなかったので、正直何を見せされられてんだよっていう感覚が強かったんですが、やっと未来をポジティブに語れる状況になったなと。

Jリーグのチームって攻撃面では浦和、川崎、マリノス、鳥栖や徳島、あるいは札幌や大分のように選手の配置で相手をズラして優位性を獲るっていうチームは増えてきていますけども、一方で守備面に関してヨーロッパの強豪チームではスタンダードな、パスコースを切るような立ち位置のとり方、各ポジションが連動したボールサイドへの圧縮守備みたいな高度な守備戦術を実行しているチームはまだなく、(判断やパススピードを含めた)プレースピードの向上で十分上回れると思っていますし、ウチの選手層ならできるでしょう。

ルヴァンカップが準決勝で敗退となってしまったことは残念ではありますが、まだリーグ戦も残っていますし、天皇杯もタイトルのチャンスがある状態。まだまだ今シーズンも楽しめるシチュエーションが多いということで、まずは次のリーグ戦、ホームでのガンバ戦にきっちり勝利できるよう、再度ギアを入れ直して挑んでいただきたい。セレッソにやられた憂さ晴らしはガンバをボコって晴らしましょう。

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試合ハイライト

試合データ

観客: 8,654人
天候:晴 / 気温 29.2℃ / 湿度 51%
試合結果: C大阪 1-0 浦和(前半0-0)
2試合トータルスコア: 浦和 1-2 C大阪
レッズ得点者: -
警告・退場: -
主審: 福島 孝一郎 氏

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Yoshiki Kato / burnworks
Yoshiki Kato
埼玉県出身。サッカー、フットサル (観戦 / プレー)、モータースポーツ観戦、格闘技 (主にボクシング) 観戦、インターネット、音楽鑑賞、筋トレ、腕時計収集が趣味。サッカー 4 級審判員、ウオッチコーディネーター(上級 CWC)資格認定者。好物はゼリー、グミ、お酒、ラーメン。