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2021 Jリーグ YBC ルヴァンカップ プライムステージ 準々決勝 第2戦 等々力陸上競技場 アウェー 川崎フロンターレ戦

水曜日に行われた第1戦はいい時間帯に先制しつつも、ゴール前での接触プレーからVAR→OFRによるPK判定により後半失点して 1-1 のドロー。結果的には引き分けでしたが、川崎を相手にほぼ互角にボール支配し(ボール支配率等詳細スタッツがルヴァンカップの場合公開されないので正確なところはわからないんですけども)、十分戦えることを示しました。

第1戦の結果から、第2戦となるアウェーでの試合は勝てば文句なし、引き分けの場合は 2点以上奪っての引き分け(要するに 2-2)で準決勝への進出が決まります。負ければ当然ながら敗戦。0-0 の引き分けの場合もアウェーゴール差で敗戦です。1-1 の引き分けで終わった場合のみ延長戦突入ということになります。

こういうホーム&アウェー方式で難しいのは、第1戦で引き分け、ほぼ互角の戦いだったからといって、第2戦も同じような展開になるとは限らないこと。当然お互いに前回対戦を踏まえての対策をとってきますし、川崎からみたときにも、ウチのウィークポイント、狙い所はある程度見えたでしょう。一方でウチにしても、第1戦は第2戦のことなども考慮しつつの選手起用、交代策だった点もあるでしょうし、お互いにその辺をどう考えつつこの第2戦を戦うのかは非常に興味深い部分。

ミッションは「準決勝に進むこと」であり、この結果が得られるのであれば、5-0 で勝つもの延長戦突入→PK戦での勝利だろうがぶっちゃけ同じ。もちろん90分で勝つことがベストですが、そういう部分まで見越した上で90分(場合によっては+30分)をうまくコーディネートできるか。リカさんは外野から見ている限りリアリストな印象を受けますし、その辺はよく考えた上で戦いに臨んでくれると思いますのでスタメンのチョイス含めとても楽しみです。

2021 Jリーグ YBC ルヴァンカップ プライムステージ 準々決勝 第2戦 等々力陸上競技場 アウェー 川崎フロンターレ戦

写真は「スカパー!オンデマンド」中継映像から引用

スターティングラインナップ

2021 Jリーグ YBC ルヴァンカップ プライムステージ 準々決勝 第2戦 等々力陸上競技場 アウェー 川崎フロンターレ戦 スターティングラインナップ

さて今日のスタメンは、最終ライン、左から明本さん、ショルツさん、岩波さん、ウガ。ダブルボランチに柴戸さんと平野さんを配置。左SHに汰木さん、右に関根さん、トップ下に小泉さん、1トップに江坂さんを置いた 4-2-3-1 スタート。GKは彩艶さん。サブのメンバーとしては槙野さん、敦樹さん、西さん、達也さん、大久保さん、ユンカーさん、それに塩田さんが控えます。

スタメンは第1戦と変更なし。サブのメンバーに西さんとユンカーさんが入ったことで、早い時間帯に先制できなかったり、1点が欲しいという状況になった場合にはユンカーさんあたりを投入してフィニッシャーのクオリティでぶん殴る策も考えられるメンバー構成。

ユンカーさんを先発にしなかったことに関しては個人的には納得で、ユンカーさんが入ると当然前線でのフィニッシュのクオリティに関しては上がりますが、ファーストチョイスがユンカーさんを狙ってある程度シンプルに蹴る形になりがちなので、ボール保持という面ではロングボールが増えることで低下する可能性があります。もちろんその一発で得点できてしまうならよいのですが、川崎を相手に蹴って回収されてという流れで長時間ボールを持たれると失点する可能性が高まるため、最初からその選択はしにくいだろうなと。

また、第1戦では同じスタメンでうまくボール保持して狙いを出せていたこともあり、よいときはいじらないの鉄則をあわせても、同じメンツでスタートし、あわよくばうまく前線プレスをハメて先制点を奪い、試合を優位に進めつつ、最後どうしても1点が欲しいというときに満を持してのユンカーさん投入というのがこの試合を考えると妥当な起用方法かなと思います。

対する川崎は、最終ライン左から登里 享平選手、田邉 秀斗選手、山村 和也選手、橘田 健人選手。アンカーの位置にジョアン・シミッチ選手を配置し、2列目、インサイドハーフに家長 昭博選手と脇坂 泰斗選手。最前線の3トップが左から宮城 天選手、レアンドロ・ダミアン選手、小林 悠選手という並びの 4-1-2-3。GKはチョン・ソンリョン選手。

第1戦で守備の要ともいえるジェジエウ選手が負傷。ベンチ入りはしていますが先発は回避で山村選手がスタメン。車屋選手も第1戦で負傷交代した影響から最終ラインのメンツは大きく入れ替わりました。橘田選手を最終ラインに下げたことで家長選手をインサイドハーフに、さらに小林悠選手を最前線に投入と、スタートポジション的には少し調整が入っています。

とりあえずウチとしては早いうちに先制して試合を優位に進めたい。特にジェジエウ選手がいないことはかなり大きいので、彼が後半出てくるタイミングまでにスコア的に先行して進められれば御の字ですがさてその辺がどうなるか、期待しつつのキックオフとなりました。

前半20分までは完璧に機能した守備
狙い通りの先制点も川崎の修正に対処できず

立ち上がりから前線3枚でビルドアップに対して規制をかけてくる川崎に対してウチは左サイドの汰木さん、明本さんのところでうまくプレス回避の出口を作って対応。一方で相手最終ラインがボール保持した状態では 4-4-2 ブロックの前線2枚+SHでボール同サイドに圧縮しつつボールホルダーにしっかり寄せることでビルドアップを規制。1列目守備を越えられた場合は素早くリトリートして守備ブロックを形成する流れで川崎に危険なエリアには侵入させず、前線プレスからのショートカウンターなどを交えてリズムを作ります。

特にビルドアップではウガ、岩波さん、ショルツさんの3バックで最終ラインのボール保持をすることで中央のCB間を適切に保ちつつ、平野さんが相手1列目の裏に立ち位置を獲って効果的に相手1列目プレスを外してボールを前進させることができていましたし、特に左サイドでは高い位置を獲った明本さんがうまく相手SBとSHの中間ポジションを獲りつつ、内側を江坂さんや汰木さんがサポートすることで大外→ハーフスペース攻略が狙い通りに出せているように見えました。

1列目プレスが外されるので川崎が徐々に前線プレスに出てこられなくなると今度はショルツさんを中心にSBが持ち出すのと同時に前線が相手最終ライン裏に駆け引きすることで川崎ディフェンスラインを交代させつつ最終ライン前面にスペースを作るといった、現代サッカーにおけるビルドアップの原則的な部分がきちんと踏襲されていたのはさすがリカさんというところ。

開始早々の2分過ぎには高い位置でうまくプレスかけて奪いきったところから最後は関根さんのボレーシュートが惜しくも相手GKにセーブさせるシーンなど、立ち上がりからチャンスを創出し、前半8分には早くも先制点。

最終ライン、岩波さんの右足から放たれた素晴らしいロングフィードは前線で相手SB-CB間のスペースを縦に仕掛けた江坂さんへ。速くて難しいボールでしたけども、いとも簡単に胸でトラップした江坂さんは、横から寄せてくる川崎SBの橘田選手にうまく身体を当てつつボールとの間にスペースを確保すると、右足を一閃。飛び出してくるチョン・ソンリョン選手の股下をぶち抜くグランダーのシュートを川崎ゴールに流し込むスーパーゴール。岩波さんのフィードもスーパーでしたし、江坂さんのプレーはさすがのひと言。これでまずは1点獲ってアウェーゴール数で並ぶ、要するに川崎のアウェーゴールを無効にするという最初のミッションは完了となりました。

1点先行したことで、もし2点目を奪うことができれば、その時点でウチは負けなければよいという状況にできるため、かなり優位に。先制点の時間帯も早く、先制後もウチの守備とビルドアップが川崎を相手にうまくハマっていたので飲水タイムで試合が切れて修正される前に試合を決めきってしまえると満点だったわけですが(17分過ぎに関根さんのマイナスクロスから汰木さんフィニッシュで決定機があったり、この辺が決め切れてると楽だったんですけどね)、まぁさすがにそう簡単にはやらせてくれない相手。

飲水タイム明け、30分過ぎくらいでしょうか、川崎は小林悠選手とレアンドロ・ダミアンを最前線で並べる修正。さらに35分過ぎくらいからは家長選手を右のSHの位置に移動させ、より高い位置のワイドで起点を作らせる形に。

家長選手は元々スタートポジションにあまり関係なく自由に動き回りながらリズムを作る役割ですが、インサイドハーフにいた時間帯は中央でそこまで効果的にボールに絡めた印象がなく、うまく彼の特性を消していた状況。

加えてレアンドロ・ダミアン選手を孤立させ、選択肢の減った川崎から効率よくボール奪取することができていましたが、この川崎の修正後、2トップ+2列目からインサイドハーフ2枚の4枚でウチのビルドアップに対して規制をかける形に変更されたところで少しボール保持が難しい状況に。さらに前半の残り時間の関係もあってか、少しウチが引いて守る状況になったことから川崎にボール保持されて押し込まれる時間帯に。

ちょっと流れ悪いけど、残り時間なんとか無失点で抑えてくれれば後半修正して...... と思っていたら40分についに守備が決壊。川崎の左サイドに流れつつボールを触っていたところから中央、バイタルエリアに入ってきていた家長選手が、最前線からふら~っと落ちる形で中間ポジションへ。この時、当初マークに付いていた岩波さんはラインをケアして家長選手には付いていかず、近くにいた柴戸さんにマークを引き継げればよかったんですけどもそれもなかったので完全にスペースで家長選手が浮く形に。

そこに川崎の左サイド、SHの宮城選手から斜めに入ったところをワンタッチでフリック→ライン裏に小林悠選手に抜けられたところでほぼ勝負あり。あとはクロスを中央でレアンドロ・ダミアン選手に合わされて失点。そこまでうまく押さえ込んでいただけにもったいない失点。相手のポジション修正に対して少し受けに回ってしまったことで川崎の良さが出る形になってしまいました。

セットプレーからの失点2発は大きな課題ながら
気合いで帳尻合わせしてベスト4進出

川崎はハーフタイムにジェジエウ選手を投入。守備の要が戻ったことで最後のところはやらせないという最終ラインに。一方のウチは63分に汰木さん→ユンカーさんとして、1点を奪いに行く策。

しかし無情にも試合を動かしたのは川崎。77分、コーナーキックから山村選手に頭で合わせられて失点。これを受けて80分に平野さん→敦樹さん、関根さん→達也さん、ウガ→西さんとして何が何でも1点獲ってこいというベンチからのメッセージ。ところが83分にまたしてもコーナーキックからジョアン・シミッチ選手のヘディングシュートを喰らって3失点目。ほぼ絶体絶命のピンチ。

セットプレーからの両失点とも言ってしまえば彩艶さんの判断というか、ディフェンスとの連携ミス。山村選手にやられたシーンではジェジエウ選手にスクリーンされたのもありますが、あのエリアで自分が出て触りたいなら味方選手にうまくコーチングして出ていくスペースを空けさせないといけないわけですけども、味方が密集しているところに突っ込んでいって自分は触れず、山村選手に先に触られてしまうという結果に。シミッチ選手のゴールもほぼ同様で、ジェジエウ選手と小林悠選手にスクリーンされた前でシミッチ選手にあわせられた形とこの辺はもしかすると川崎にスカウティングされた結果として狙われた感はあるかもしれません。

ただここからがもう理屈じゃないところ。残り時間が10分を切った状態で2点差。諦めてもおかしくない状況ではありましたが逆にいえばウチはもう失うものはない状態。ここからさらに失点しようが結果は変わらず、逆に1点でも奪えれば「勝ち」以外は敗退になる川崎にプレッシャーを与えることも可能に。

そんな中、残り時間も3分を切った87分、中央でボールを持った小泉さんから逆サイドにフィード。多分ですが本来は大外、右サイドにいた達也さんへの展開を狙った感じには見えましたが、これをインサイドで西さんがセクシートラップ。ファーストタッチ一発で川崎左SBの登里選手をふっちぎると、そのままファーサイドへのクロスを供給。このボールはチョン・ソンリョン選手に弾かれますが、弾いたボールが詰めていたユンカーさんと競っていたジェジエウ選手に当たってユンカーさんの方に転がると、ユンカーさんがうまく(というより運良く)足に当ててそのままゴールへ。これで1点差として望みを繋ぎます。

さらにアディショナルタイムの90+2分、柴戸さん→槙野さんとすると槙野さんはFW起用。怒濤のパワープレーでとにかく1点を目指します。そして劇的ゴールはもう最後のプレーが見えてきた状況の90+4分。

まずは右からのコーナーキックに彩艶さんも参加しての勝負。槙野さんの落としに岩波さんが頭で突っ込んでいったところにクリアしようと振った山村選手の足が岩波さんの頭をキッキングしたように見えましたがこれはノーファール(多分当たってないという判断?)、こぼれ球をショルツさんが詰めてシュート→GKに当たって逆サイドからのコーナーキックに(これ地味なんですけどもPKアピールとかしてプレー止めてたら次のコーナーキックなかったと思うので諦めずにシュートで終わってコーナーキック獲得したショルツさんグッジョブ)。

続く左からのコーナーキックにターゲットは槙野さん。頭に当てたシュートは相手にも当たって枠に飛ばず右に逸れますが、これをショルツさんが気合いのボレーで折り返し。この折り返しにユンカーさんが頭であわせたシュートは枠へ飛んでこれを弾くチョン・ソンリョン選手。そこへ動きを止めずきっちり詰めていた槙野さんがちょこんと触って押し込むと、土壇場での同点ゴールはベスト4進出を決める値千金のゴールとなってリカさんの采配が大当たり。

先制しながらも逆転され、さらに2点差にされる難しい試合。しかもその失点がセットプレーからの2発だった点に関しては色々と課題も見え、反省すべき点もありますけども、最後まで諦めずに戦い抜いて勝ち抜いてくれたことは大きな収穫でしょう。今シーズン、1試合に最大でも2失点までしかしていなかった川崎を相手に3点奪えたというのも終盤戦に向けて自信になったと思いますし、これを続くリーグ戦に活かして欲しいなと思います。

いやぁ今シーズンで一番興奮した。

試合ハイライト

試合データ

観客: 4,936人
天候:曇 / 気温 24.3℃ / 湿度 59%
試合結果: 川崎 3-3 浦和(前半1-1)
2試合トータルスコア: 浦和 4-4 川崎(アウェーゴール数差で浦和勝利)
レッズ得点者: 江坂(8分)、ユンカー(87分)、槙野(90+4分)
警告・退場: -
主審: 家本 政明 氏

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Yoshiki Kato / burnworks
Yoshiki Kato
埼玉県出身。サッカー、フットサル (観戦 / プレー)、モータースポーツ観戦、格闘技 (主にボクシング) 観戦、インターネット、音楽鑑賞、筋トレ、腕時計収集が趣味。サッカー 4 級審判員、ウオッチコーディネーター(上級 CWC)資格認定者。好物はゼリー、グミ、お酒、ラーメン。