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2021 Jリーグ 第27節 レモンガススタジアム平塚 アウェー 湘南ベルマーレ戦

前節はホーム駒場スタジアムで広島を相手に途中押し込まれる時間帯もありつつも、レビューにも書いた通り対3バックで新しい工夫を見せたり、新加入選手が短時間でうまく機能しはじめているなど、ポジティブな要素もありつつ前半に奪った1点を守り切って勝利。中断明け、札幌で喫した1敗はあるものの、そこから公式戦4連勝、リーグ戦も3連勝と結果がついてきている状況でリーグ戦も残り12節の終盤戦へ突入。

そんな中迎える第27節は、アウェーでの湘南ベルマーレ戦。湘南との前回対戦は第18節のホーム埼スタでしたが、ユンカーさんの素晴らしい2ゴールがあったものの、3失点して敗戦。しかも試合後に例の出場選手エントリーの不備が発覚して試合結果自体は 0-3 負け扱い(ユンカーさんの個人記録自体はそのまま)にされるっていう最悪の試合に。

湘南は前節、セレッソを相手に5得点の大量得点ぶちかましてクルピ監督を解任に追い込み、順位も15位と、降格圏から抜け出して何か勢いに乗っている感じではありますが、下位からは勝点をしっかり奪わなければならないこの状況でアウェーとはいえきっちり前回対戦の借りを返しつつ、勝利して戻ってきたい一戦となりました。

2021 Jリーグ 第27節 レモンガススタジアム平塚 アウェー 湘南ベルマーレ戦

写真は「DAZN」中継映像から引用

少し余談になりますが、リーグ最下位から前節までを振り返ったときに、今シーズンよくいわれた「対3バックで苦戦しがち」問題に関してはある一定の解は見つかった感があります。

まず守備対応の部分ではそれが前節広島戦でやっていた、どちらかのサイドでSBを上げたとしても2CB+SBではなく、守備能力の高い3CBの3バックになるメンツを集めた上で4バックの最終ラインを形成。守備時には左サイドはSHを3バックでいうところのWBとのハイブリット的な役割を与え、状況に応じて相手WBを抑えに行くことで、4-4-2 ブロックを基本としながらも、後ろ4枚での対応だと曖昧になりがちな相手WBへの対応を整理する方法ですが、代表戦などで酒井さん不在の状況での右サイドの守備対応という部分では多少の懸念(まぁその時はウガあたりを入れれば解決な気もしますが)はあるものの、この応用である程度3バックを採用する相手に対しても機能的な守備が実現しそう。

4バックを全体的にスライドさせ、つまりどちらかのSBをインサイドに絞って疑似3バック化すること自体はビルドアップの状況で以前からやっていましたけども、これを守備面でも応用。さらにメンツ的に最終ラインの選択肢が増えたことで、SHを最初からに最終ラインまで落とさなくても強固なブロックを形成できるようになったという感じでしょうか。これは4バックのままだとWBへの対応が曖昧になりがち、でも5バックにしちゃうと後ろが重くなって前に出て行きづらくなるというジレンマに対して光明が差した感じ。

攻撃面においてこのSBのスライドによる3枚回しを採用する利点はボランチがビルドアップ時に最終ラインまで落ちなくてよくなること。ここまでウチがポゼッションできずに押し込まれる状況ではボランチの立ち位置が問題になるケースが多く、そこは平野さんが入ることで少し改善はされていましたけども、広島戦ではダブルボランチが最終ラインには落ちず、相手前線プレスの裏にポジショニングすることで中央に起点を多く作り、相手の前線プレスで的を絞らせず、ボールを前進させることができた時間帯も多く、これはビルドアップのバリエーションとして有効になりそう。

あとの課題は、相手のシステム関係なく、マンマーク傾向で全体的にガッっと前からスペースを消しにこられた場合の対応を含めた、試合全体を通してのボールポゼッションの割合と質になると思います。

リーグのカテゴリーもチーム編成も異なるので単純な比較はできませんが、昨シーズン、J2で優勝した際の徳島ヴォルティスのポゼッション平均は58.4%とJ2トップ。特にデータをみていて今シーズンここまでの浦和と差があるなと感じたのは中央エリアでのポゼッションからシュートに到達する割合が昨年の徳島はかなり高かったという点でしょうか。昨シーズン徳島は特に中央攻撃偏重のチームではありませんが、しっかり中央で作れているからそこを起点にフィニッシュまで到達できていることはデータからも見てとれ、単純なデータからそれと比べると現在のところのウチは右サイドに攻撃が依存しがちというイメージ。

また、究極的な理想としてはゲーム全体を通してボールを保持し続け、相手から攻撃の機会を奪った上で自分たちが一方的に殴り続けるというのがあって、どうしても難しい場合は相手の裏のスペースに蹴ったりということで一時的なプレス回避策を織り交ぜながら主導権を握りたいわけですけども、現時点でのウチの状況を見ている限りでは、まだプレス回避のために蹴るシーンも多く、それがボール保持できない場合の「一時回避策」というよりは、そちらの方が回数が多くなりがちという現状があります。

プレス回避のために蹴るにしてもある程度前線にボールが収まる人がいないといけないわけで、ユンカーさんは前線で「相手を背負って」良さが出る人ではないですし、その点では興梠さんがスペシャルなわけですけども、ここまでなかなか本来の良さがプレーで出せていない状況。結果的にその役割が前節なんかは明本さんに与えられているわけですけども、さすがの明本さんも相手CBが高くて強いチームだとそこまでボールを収めて時間を作るというところまでは難しい。

木下さんの加入はその辺を見越してのことだと思いますが、やはりプレス回避のために単純に裏に蹴っちゃう、というシチュエーション自体はあくまで「オプション」といえる程度にポゼッションができるところまではチーム全体のボール保持時のクオリティを上げていくことは必要かなと。もちろん、焦る必要はないですが思った以上にそこのクオリティを上げるのに苦労している感はあります(それはリカさんの能力がどうこうという話ではなく、人の入れ替えやコロナ禍でのトレーニング事情、試合間隔など色々なことが絡み合ってのことですが)。

それを踏まえて今回の対戦相手である湘南は、3バックシステムを採用しつつ、前からガンガンプレスをハメに出てくることもいとわないっていう、現状でウチの課題となっている部分を全部詰め込んだみたいな相手。めんどくせぇったらないんですけども、逆にいえば相手の前線プレスをうまく裏っ返す中盤の立ち位置が獲れれば、前節の大量得点で勢いに乗っている相手をうまく料理できる可能性もあり、そこはひとつ試合の大きな見どころかなと思います。

と、ここまで試合前に書いておいた部分なので予測も含まれていますが、そろそろ実際の試合の話に進みましょう。

スターティングラインナップ

2021 Jリーグ 第27節 レモンガススタジアム平塚 アウェー 湘南ベルマーレ戦 スターティングラインナップ

さて今日のスタメンは、最終ライン、左からウガ、槙野さん、ショルツさん、酒井さん。ダブルボランチに敦樹さんと平野さんを配置。左SHに大久保さん、右に関根さん、トップ下に小泉さん、1トップにユンカーさんを置いた 4-2-3-1 スタート。GKは西川さん。サブのメンバーとしては岩波さん、柴戸さん、明本さん、達也さん、江坂さん、木下さん、それに彩艶さんが控えます。

前節、ベンチに復帰し途中出場を果たした小泉さんがスタメン復帰。ショルツさんが槙野さんとのコンビで初のCBスタメン。リーグ戦では久しぶりにスタメンのウガが左のSBに起用されました。

週明けにはルヴァンカップの川崎戦などもあり、さらに中断明けからの連戦ということもあって、特に運動量の多いSHを中心に試合ごとに少しずつ人を入れ替えながらコンディションを整えている感はありますが、それでも夏の連戦となると疲労は溜まっていそうな状況。本来は同じメンツである程度固定してプレー時間を長くする方がチーム戦術の浸透という面では有利かもしれませんが、そこには多少目をつぶりつつ、誰が出ても同じようなクオリティが出せるようにという進み方。歩みは多少遅くなるかもしれませんが、長期でみればそれが正解なんでしょう。

対する湘南は、、最終ライン左から杉岡 大暉選手、大岩 一貴選手、石原 広教選手。アンカーの位置に田中 聡選手、左のWBに高橋 諒選手、右に古林 将太選手。インサイドハーフに山田 直輝選手、茨田 陽生選手を配置し、2トップがタリク選手、大橋 祐紀選手というコンビの 3-3-2-2。GKは谷 晃生選手。

相手前線プレスとのかみ合わせを考慮した最終ラインのボール保持
決定機も作るが決めきれず妥当なドロー

湘南は2トップが中央エリアをケアした上でその両脇から2シャドーが2CBに対して規制をかけに出てきつつ、サイドに入った場合はそこにWBを押し出すことで前線プレスをハメにくる形。後ろが5枚、守備ブロック的には 5-2-3 になりつつ、最終ライン5枚の両翼が前線まで状況に応じて出てくる形なるわけですが、最終ライン中央の3枚も単純にベタ引きしているわけではなく、ウチの前線をある程度捕まえに来るため、単純に前にウチの1トップ+2列目の4枚が張ってしまってもそこで起点を作るのは難しい。

一方でウチのビルドアップに関しても前節広島戦のように酒井さんだけ上げて左SBがインサイドに絞る疑似3バックを形成した3枚回しだと、湘南の前線プレスが人数的にハマりやすくなってしまうため、その辺をどうやってかみ合わせをズラすか、みたいなところは注目でした。

そこで最終ラインに関しては酒井さんはオーバーラップを少し自重してそのまま通常の4バックを維持。センターの2CBと、SBの4枚でビルドアップすることで、湘南の前プレに対して数的同数~数的優位な状況を作るという調整が行われると共に、広島戦同様、ダブルボランチの2人はあまり最終ラインには落ちずに中盤、相手2トップの裏、アンカーの脇を獲る形で湘南の前線プレスを回避するパスコースを作るという立ち位置は踏襲されていました。

とはいえ、2CBだけでは相手2トップに対して人数がかみ合ってしまうため、状況に応じて平野さんが最終ラインをサポートしつつビルドアップ。ボランチ2枚の立ち方は、平野さんが落ちて敦樹さんとは縦関係を作りつつ、狙いたいポイントとしては相手WBがプレスに出てきたところの裏、もしくは前線プレスを裏っ返した相手最終ライン前面、アンカー脇といったところで、立ち上がり早々にユンカーさんがそこに落ちてうまくボールを引き出すといった形は作れていて、入りに関してはある程度うまくいった印象はありました。

守備時に関しては広島戦同様、状況によって必要なら左サイドで大久保さんが最終ラインまで落ちて相手ワイドを捕まえに行く形はとっていましたが、基本的には後ろは4枚を維持し、逆に普段なら1トップと横並びで立ち位置をとる小泉さんを2列下げ、中盤を厚くした 4-5-1 ブロックを形成し、高い位置で相手WBのスペースを消しに行く対応がとられていて、この辺は相手を見つつ調整した部分なのかなと。

で、前半の35分、相手GKが前線に向かって蹴ったロングフィードにショルツさんが競って落ちたセカンドボールを平野さんが半ばクリア気味に中央へダイレクトパス→これを中に絞ってうまくフリーで受けた大久保さんから裏に仕掛けたユンカーさん→中央で走り込んだ小泉さんとその裏で併走した大久保さんへのユンカーさんからのグラウンダーのクロスに小泉さんスルーの大久保さんが左足であわせたシーンでこの日最大の決定機を迎えますが、左足を振っちまったことでシュートを抑えられず、大きく枠外に外してしまう結果に。

この日は気温も28度以上と高く、湿度もハンパない感じで不快指数はマックス。中継をみていても選手の汗のかき方が前半の早い時間帯からすごくて、早い時間帯に先制できないと終盤辛そうな感じは予想できたこともあり、こういうワンチャンスものにできるかが勝敗を分けるシチュエーションでしたからもったいなかったですね。もちろん大久保さんを責める気はないですし気にする必要ないと思いますけども、試合としてはそういうワンチャンス決めた方が勝つっていうシビアな試合でした。

実際に試合が進むにつれ徐々に運動量は低下。湘南の出足に中盤で引っかかるケースも多く、徐々に全体が後ろ重心になってユンカーさんが孤立といううまくいっていないときのパターンになりつつ前半終了。やっぱ前線でハードワークできる明本さんが必要かもねとか思っていたら予想通りハーフタイムで明本さん(関根さんOut)と江坂さん(小泉さんOut)を投入。

明本さんを広島戦同様ユンカーさんと横並びの2トップに配置、とりあえず前線で彼に頑張ってもらって起点を作る策。江坂さんは2列目でサイドに流れたりも含めてある程度自由に動きつつ、後半立ち上がりに一気に押し返しますが、後半11分の、江坂さん→ユンカーさん→大久保さんのクロスに2列目から走り込んできた江坂さんフィニッシュという決定機を作るも、これも枠に飛ばせず。前後半に1度ずつ作った大きな山場で得点を奪うことができず、後半も時間が進むと徐々に運動量が低下してスローダウン。

59分に湘南が畑 大雅選手、ウェリントン選手を投入してサイドでの突破力に加え前線にターゲットマンを配置すると、それに対抗して73分にはウガ→達也さん、平野さん→柴戸さんとし、ショルツさん、槙野さん、酒井さんの3バックへと移行。大久保さんと達也さんをWBに、中央スペースを柴戸さんにケアさせつつ、サイドで優位性をとりにいきますが、なかなか思うようには行かず。雨脚も強まる中、シンプルに裏を突いてくるウェリントン選手への対応でなかなかラインが上げられなくなると83分にはユンカーさん→木下さんとして最前線での起点作りと運動量を上げに行きますが時間も少なく尻すぼみ。

両チームとも相手ゴールをこじ開けるのは至らず、スコアレスドローで勝点1を分けあう結果となりました。

湘南との前回対戦の没収試合もあったりして、現状、ウチの得失点差ってほぼ横並びの勝点で3位を争っている中ではちょっと不利な数字。そう考えると明確に勝点で上に行く必要があり、前節のレビューや今回の冒頭でも書いた通り、下位のチームからはきっちり勝点「3」を奪わないといけない状況ではあったんですが、まぁあれです、アウェーで引き分けという結果自体は別に悪くない。

個人的な考え方ですが、クラブがACLが今年の目標って言っていたとして、仮にその目標を逃したとしても、それが理由でリカさんが解任されるなんてことは現状を見れば常識的に考えてありえないわけで、目標はあくまで目標として精一杯目指してもらいつつも、実際には来シーズンタイトルを狙えるチームを作ってもらうことの方が重要。その意味で苦手な湘南にまたも勝てなかったわけではありますが、4試合連続、無失点で抑えて勝点「10」を積み上げたことは十分評価に値するんじゃないかなと思います。

ということで、週が明けた水曜日にはルヴァンカップの準々決勝、川崎戦の第1戦が待ち構えています。前節やっと今シーズン初黒星を喫した川崎さんですが、今節は普通に札幌さんを 2-0 で倒していてやっぱ強ぇなと。ここは現状のチームがどこまで川崎に対抗できるかを試すよい機会。まずはホームでの対戦ですが、粘り強く戦ってよい結果を出してくれることを期待したいと思います。

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試合ハイライト

試合データ

観客: 4,635人
天候:曇のち雨 / 気温 28.6℃ / 湿度 83%
試合結果:湘南 0-0 浦和(前半0-0)
レッズ得点者: -
警告・退場: -
主審: 福島 孝一郎 氏
順位: 7位(13勝8敗6分/勝点45/得失点差+3)

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