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天皇杯 JFA 第101回全日本サッカー選手権大会 3回戦 浦和駒場スタジアム SC相模原戦

天皇杯 JFA 第101回全日本サッカー選手権大会 3回戦 浦和駒場スタジアム SC相模原戦

梅雨の長雨でスッキリしない天気が続く今日この頃ですが、七夕の夜、ミッドウィークの水曜日に行われるのは天皇杯の3回戦、J2のSC相模原を浦和駒場スタジアムに迎えて。

対戦相手となるSC相模原は、現時点でJ2の最下位(22位)。21節を戦って、2勝12敗7分。今シーズンは三浦文丈監督での3シーズン目、J2では初のシーズンとしてスタートしていましたが、第15節終了時点で最下位転落。翌、第16節でも敗れたことで三浦監督を解任、高木琢也監督を新監督に迎えて心機一転していますが、リーグ戦では監督交代以降も勝ちなし(2分3敗)と厳しいシーズンを送っています。

相模原の試合を通しできちんと観たことがないので大雑把な印象ではありますが、前任の三浦監督時代から、大量失点で大崩れ、みたいな不安定感はないものの、J2のレベルにおいては得点力に乏しく、それによって勝点が積めていない印象。高木監督就任以降は4バック→3バックに変更して守備面での立て直しから入っているように見えますが、こういう引いて守ってくることが予想される相手に対してどういう戦い方ができるかは注目ポイントとなる一戦。

スターティングラインナップ

天皇杯 JFA 第101回全日本サッカー選手権大会 3回戦 浦和駒場スタジアム SC相模原戦 スターティングラインナップ

さて今日のスタメンは、最終ライン、左から山中さん、槙野さん、岩波さん、ウガ。ダブルボランチに柴戸さんと金子さんを配置。左SHに大久保さん、右に関根さん、トップ下に武藤さん、1トップに興梠さんを置いた 4-2-3-1 スタート。GKは西川さん。サブのメンバーとしては工藤さん、達也さん、明本さん、小泉さん、ユンカーさん、杉本さん、それに塩田さんが控えます。

一発勝負のトーナメント戦、最下位とはいえJ2に属する相模原ですから、そう簡単な相手ではありません。週末にリーグ戦を控えている関係上、直近のリーグ戦からは大きく人は入れ替えましたが、ベンチメンバーとしてはユンカーさん、小泉さん、明本さんなど、攻撃面で違いが出せるメンツを配置。さらに杉本さんも久々のベンチ入りしました。

1トップとトップ下には興梠さんと武藤さんが抜擢。同ポジションではユンカーさん、小泉さんが圧倒的な存在感を見せる中、そろそろこのお二人にもゴールという結果を出しつつ調子が上がってきている感を見せて欲しいところですがその辺がどう出るか、注目ポイント。

対する相模原は、最終ライン左から川﨑 裕大選手、白井 達也選手、クンデ選手。ダブルボランチに梅鉢 貴秀選手、川上 竜選手、左のWBに舩木 翔選手、右に石田 崚真選手を配置。インサイドハーフに星 広太選手、清原 翔平選手、1トップが平松 宗選手という並びの 3-4-2-1。GKは三浦 基瑛選手。

引いてブロックを作る相手をどう崩すのか、スペースを創出するための策は

大方の予想通り、相模原は守る、ウチは攻めるという試合展開で全体としては進む事になります。カップ戦ですから引き分けはないわけですし、戦力的に分が悪い相模原のとる策としては、とにかく守ってワンチャンスにかける、90分を通してチャンスを創り出すのは難しいので、前半耐えて、後半にギアを上げてカウンターからワンチャンスものにできれば勝機、みたいな考え方になるのは当然かと思います。最悪、延長、PK戦まで引きずり込んでもいいし、PK戦なら実力はあまり関係なくなるので試合展開によってはそこも見据えた戦い方になるでしょう。

実際に相模原の守備ブロックは堅く、とにかくスペースを消すというところに注力されていたため、ウチの選手たちがどのような立ち位置を獲って、相手を動かし、スペースを創出するのか、ポジショナルにプレーするリカさんのサッカーにおける完成度、引き出しの数を試される試合となりました。

相模原は3バックを採用しているため、守備時は両WBが最終ラインまで落ちる形の5バック。さらにボランチの右脇に2シャドーの一角、清原選手が落ちる形で、5-3-2、もしくは2シャドーがボランチ両脇に落ちた 5-4-1 をベースとしたディフェンスブロックを形成、試合立ち上がりはそこから2シャドーが最前線に出る 5-2-3 でウチの最終ライン、3枚回しのビルドアップに対して積極的にプレッシャーをかけてくる形。

それに対してウチは 5バックとその前面の2列目の間、ライン間にインサイドに絞ったSHを含め人を配置。相模原のプレスが前に出てきたところでその裏を獲る形から何度かアタッキングサードに侵入。立ち上がり早々の興梠さんの裏抜け、11分ごろには興梠さんのヘディングシュートで惜しいシーンなど、立ち上がりのゲームコントロールには成功。この流れで得点が獲れればという印象に。

しかし、ウチのビルドアップに対して前からハメに行くと普通に裏っ返されるなと気がついた相模原が15分辺りからはリトリート、守備ブロックのコンパクトネスを優先した立ち方をするようになったため(これは狙ってというより、前から行ってもハマらないから結果として下がるはめになったという感じだとは思いますが)、使えるスペースが激減。相手守備ブロックは 5-4-1 でコンパクト。ボールは持ててほとんどウチの攻撃練習的な流れになるものの、なかなか相手にとって危険なところまで入り込むという状況にはならず、我慢の展開となります。

それでもウチも狭いスペースに臆せず、ライン間にポジションを獲った選手に対して果敢に縦や斜めに相手の急所を突くパスを付けていくというのはやっていて、そこでしくじって攻守転換しても素早く囲んで即時奪還というのもできていましたし、この辺は繰り返していくことで徐々に精度、完成度が高まっていく部分なんじゃないかなと思って観ていました。

34分にはアクシデント。山中さんがモモ(?)を痛めたようで急遽明本さんに交代。自分で歩いてピッチを出ていたので軽い負傷だと思いますが心配な交代。

両チーム無得点で折り返した後半、先に選手交代で動いたのはウチ。66分に興梠さん→ユンカーさん、武藤さん→小泉さんとします。

個人的にはこの時間帯、サイド攻撃を主軸に相手陣地で深い位置はとれていましたし、そこからアーリー気味にクロスを入れてもちょっと難しいなという感じだったので、前線のターゲットとして杉本さんなんか入れたら面白いんじゃないかなとか思いながら観ていたんですが、リカさんの選択はユンカーさん、小泉さんでした。まぁ普通はそうなりますよね。

ただ、このサイドを起点に押し込めているという状況を相模原にうまく利用されて流れを持って行かれそうになります。きっかけは67分の相模原の選手交代。

平松選手→ユーリ選手、舩木選手→夛田選手としますが、ここが相模原とすればギアを上げたタイミング。ウチが中央を固める相模原に対してサイドを起点に押し込んでいる一方で、両翼を広げている分、中央の人数的には少し手薄になる状況が生まれます。小泉さんも右サイドに流れることが多かったので、アタッキングサードで攻守転換してウチのボランチを越えられると、2CB+西川さんしかいない状況。

もちろんこれはウチも織り込み済みで、そのためにSHをインサイドに絞らせたりしつつ、中央エリアからあまり人がいなくなりすぎないようにしているわけですが、それでも流れやボールの失い方によっては中央に人が足りない状況になりがちです。

これを逆手にとって、途中交代したユーリ選手が中央エリアにポジションをとり、カウンターの起点となることで相模原の攻撃を活性化。ディフェンスラインでボールを奪ったらとりあえずユーリ選手に当てるっていうやり方ですが、ユーリ選手は身体が強く、かなりボール収まるので、そこで時間を作られると、彼を運動量豊富なボランチが追い越していくことでウチのボランチの裏のスペースを一気に持って行かれるという状況が何度か続きました。

73分あたり、そのユーリ選手を起点に、星選手との関係性で槙野さんのところで2対1作られてユーリ選手にペナルティエリア内に侵入されたシーンなんかは最後槙野さんがなんとか足だしてシュートブロックしましたが、相模原にとっては大きな決定機になりましたし、75分くらいにも、今度はユーリ選手を囮に中央を抜け出した清原選手がフィニッシュまで行っていて、それで得たコーナーキックの流れから梅鉢選手(だったと思いますが)のミドルがクロスバーを直撃するなど、引いて守ってカウンターっていうわかりやすい形から相模原がゴールに迫り、ウチからすれば少しいやな流れに。

結局はユンカー神降臨で全部解決

流れ的にはちょっと相模原に持って行かれそうになっていて、ウチは押し込むけどゴールが遠いな、槙野さんあたりが流れの中から積極的に前線に上がってクロスの的になりつつみたいな動きは見せるもののフィニッシュまでは至らず、何か次の手を打たないと延長突入かも...... と少し長期戦を覚悟しはじめた87分、前プレから相手ディフェンスのパスをインターセプトしたユンカーさんが相手ディフェンスをぶっちぎってGKと1対1、ディフェンスに身体寄せられながらも左足でGKの脇下をぶち抜くシュートをゴール左隅に叩き込んで欲しかった先制点を奪います。

あぁなんだろう、心配してた自分がなんだったんだと思わせる程さくっとゴールを決めるユンカーさん......

横から身体を寄せてくる相手CBに対して、左足においたボールには絶対に触らせないよう身体をうまく相手の走るコース入れる動き、そしてトップスピードでも冷静に相手GKの位置を見ながら正確にシュートを枠にぶち込む技術力、ワンチャンスあれば確実に決めきるメンタル...... もう感想が「すごい」しかない、語彙力すら消失させるユンカーさんは神。

ということで終盤までウチを無得点に抑え込み、ワンチャンスものにしようと善戦する相模原を無慈悲に葬るユンカー神の一撃で無事3回戦を突破。ラウンド16に駒を進めることができました。ユンカーさん頼みじゃんって、まぁその通りなんですが、トーナメントは勝つということが重要。課題はあるもののしっかり勝ちきったということを今回は喜びたいと思います。

ちなみにラウンド16の対戦相手は京都サンガF.C.ですね。忠成さんに森脇さん、武富さん、あとレンタル移籍中の荻原さん、福島さんに監督も曺さんだったりと浦和とは関係の深い方々が多いチームですのでその辺も含めて楽しみな相手になりそう。開催場所などはまだ未定ですが、日程的には8月18日になります。

さて、次はリーグ戦、アウェーでの大分戦ですね。この試合が終わるとオリンピック開催による中断期間に入ります。中断前最後の試合をしっかり勝って気持ちよく中断期間に入れるように期待しましょう。

天皇杯 JFA 第101回全日本サッカー選手権大会 3回戦 浦和駒場スタジアム SC相模原戦 試合終了後の様子

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試合ハイライト

試合データ

観客: 4,528人
天候:曇 / 気温 26.4℃ / 湿度 75%
試合結果:浦和 1-0 相模原(前半0-0)
レッズ得点者:ユンカー(87分)
警告・退場:-
主審: 御厨 貴文 氏

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Yoshiki Kato / burnworks
Yoshiki Kato
埼玉県出身。サッカー、フットサル (観戦 / プレー)、モータースポーツ観戦、格闘技 (主にボクシング) 観戦、インターネット、音楽鑑賞、筋トレ、腕時計収集が趣味。サッカー 4 級審判員、ウオッチコーディネーター(上級 CWC)資格認定者。好物はゼリー、グミ、お酒、ラーメン。