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2021 Jリーグ 第13節 埼玉スタジアム2002 ベガルタ仙台戦

2021 Jリーグ 第13節 埼玉スタジアム2002 ベガルタ仙台戦

リーグ戦、前節は福岡を相手にアウェーで完敗。続くルヴァンカップのアウェー柏戦も先制しながら一度は逆転され2点差をつけられるっていう苦しい展開の中、後半アディショナルタイムに気合いで2得点してなんとか引き分けと、5月に入っての公式戦は少し勢いに乗り切れていない状況ですが、2試合ともアウェーゲーム。5月最初のホームゲームとなる今節は、ベガルタ仙台を迎えての第13節。

仙台は前節終了時点で勝点「6」の19位、前節、柏を相手に 1-0 で勝利してこれが今シーズンのリーグ戦初勝利と、ここまで難しいシーズンを送っている相手。こういう相手だからこそ、ウチはホームできっちりこれを倒し、勝点を積み上げなければならない重要な一戦です。

スターティングラインナップ

2021 Jリーグ 第13節 埼玉スタジアム2002 ベガルタ仙台戦 スターティングラインナップ

さて今日のスタメンは、最終ライン、左から明本さん、槙野さん、岩波さん、西さん。ダブルボランチに阿部ちゃんと伊藤(敦)さんを配置し、2列目左から、小泉さん、武藤さん、関根さん、1トップにユンカーさんを置いた 4-2-3-1 スタート。GKは今日がリーグ戦では初スタメンデビューとなる鈴木彩艶さん。サブのメンバーとしては山中さん、達也さん、金子さん、汰木さん、杉本さん、興梠さん、それに西川さんが控えます。

ユンカーさんは直近のルヴァンカップ、柏戦で移籍後初出場ながらいきなりゴールを決めて強烈なデビューを果たしましたが、こりゃリーグ戦でも使わないわけにはいかないでしょうという感じで早くもリーグ戦スタメンデビュー。入団会見で本人も言っていたとおり、ゴール前でのポジショニングのうまさは柏戦を観ただけでも相当なレベルなことはわかりましたのでここからどこまで得点を積み重ねてくれるのか期待が高まる選手。杉本さんや興梠さんもウカウカしてられない状況ですが、そういういい意味での競争が生まれるというのはプラス材料です。

彩艶さんもついに西川さんの牙城に切り込むきっかけになるか。前節レビューにも書いた通り西川さんだけの問題ではないものの、福岡戦ではGKのミスによる失点から入ってしまったことで少し流れを変えたいというところだったのでしょう(もちろん、リカさんは西川さんが悪かったからではなく彩艶のパフォーマンスが相対的によかったから彼を起用したと思いますが)。しっかり結果を出せばGKのスタメン争いがめちゃくちゃ久しぶりに活性化しそうですね。

対する仙台は、最終ライン左から石原 崇兆選手、平岡 康裕選手、吉野 恭平選手、蜂須賀 孝治選手。ダブルボランチに松下 佳貴選手と上原 力也選手。左のSHに氣田 亮真選手、右に加藤 千尋選手。トップ下に関口 訓充選手、ワントップに西村 拓真選手を配置した 4-2-3-1 のフォーメーション。GKはヤクブ・スウォビィク選手。システム的には同じ形からスタートする両チームとなりました。

ビルドアップが停滞した立ち上がり、彩艶さんの好セーブで命拾い

試合立ち上がり、というか前半に関しては中央を締めてコンパクトな 4-4-2 ブロックを作る仙台に対してなかなか効果的なビルドアップが行えず、ブロックの外側を迂回させられたところで詰まらされてミスからボールロストというシーンが多々観られるうまく行かない流れ。ネガティブトランジション時にもプレスの強度と連動性が伴わなかったことで仙台前線の西村選手を起点にワンタッチでうまくボールを動かす仙台にアタッキングサードまで侵入され、6分には自分たちのミスから仙台、西村選手にGKとの1対1のシーンを作られあわや失点というピンチも(彩艶さんのビッグセーブで命拾いしました)。

小泉さんが左サイドに定位気味だったこともあって、前半のウチは中盤、中央から人がいなくなっちゃう感じで、サイドで起点を作ってもそこから相手最終ラインをブレイクするところまではいけず。阿部ちゃんと伊藤(敦)さんは互いにポジションを調整して1枚が相手2トップの裏にポジションをとってはいましたが、仙台が 4-4-2 ブロックの前線 2枚、ワントップの西村選手とトップ下から西村選手と並ぶ形で前に出た関口選手の2枚に加えて、右SHの加藤選手が2トップとほぼ横並びになる形で 4-3-3 に近いような立ち位置をとってくるため、ウチは人数的にビルドアップ時にボランチが最終ラインにサポートに入る必要があるのと、仙台が中央に関してはかなりきっちりとスペースを消す立ち方をしてきたことでなかなかインサイドで起点を作れなかったなと。作れたとしても仙台のプレスバックも速く、即座に複数人で囲まれるので難しかったってのもありますけども。

この辺、仙台は特に前からガンガンプレスに出てくるような形ではありませんでしたけども、守備ブロックをコンパクトに、中央エリアでは素早く寄せることで時間と空間を奪いにくるやり方。仙台としては守備ブロックを間延びさせられるのは避けたいので、ウチが最終ラインに戻しても無闇に前からは出こないし、こういうやり方をされるとまだまだウチはうまく行かない傾向が強いですね。特に時間を奪われたときにミスを連発して変な失い方から相手に決定機を作られるっていう。繰り返し書いていますが、この辺は今シーズン通しての課題というか、そういう狭いスペース、少ない時間の中でも素早くパスコースを作って精度の高いビルドアップが可能になったときがひとつの完成形と言えるでしょう。

現状少し気になるのは、各選手、パスを出したあとの動き直しが少し遅いかなというのはあったり(とは言っても後半の得点シーンは武藤さんのパス&ムーブから素晴らしい崩しを生んだので、出るときは出るんですけど)、誰かが動いてマークを引っ張り、その裏で誰かがフリーになれるような動きをしているのにそのマークを引っ張った選手にパス付けちゃうとか、まだちょっと素直すぎる部分がみられたりするところでしょうか。

また、今節の仙台もそうでしたが、4バックで中央を締めにくるということは逆に言えばサイドはブロック全体のスライドの速度でカバーするしかないということで、もう少し大きなサイドチェンジなどを使って揺さぶってやるとか、ショートレンジのパスと大きな展開を組み合わせることで相手も的が絞りにくくなると思いますが、特に前半なんかはそういう長短パスのメリハリみたいのが足りなかった気がします。

後半の修正力、ユンカーさん2試合連続ゴールと阿部ちゃんの芸術的フリーキック

後半流れが変わったのは前半はサイドに流れがちだった小泉さんがトップ下にポジションを移動し、積極的に中央スペースで武藤さん(小泉さんとポジションを入れ替え)と連動する形になったことが大きかったと思います。立ち上がりの46分、ハーフスペースを獲った武藤さんに明本さんから斜めに入ったところを武藤さんがフリック→武藤さんの内側を縦に獲った小泉さんがペナルティエリア内に侵入したシーンなんかはその典型。また、武藤さん、小泉さんがインサイドに入ることで明本さんに対する相手SBの監視を緩め、相手SHとSBの中間ポジションで明本さんが前を向いてボールを受けられるようになったのも副次的な効果に。

そしてその流れを引き戻した勢いで58分に待望の先制点。

右サイドで相手SBとSHの中間ポジションをうまく獲った関根さんに西さんから鋭い縦パス。関根さんは一旦ハーフスペースをサポートしてきた武藤さんに預けて縦にスペースを獲りに行きますが、武藤さんはプレスバックしてきた相手ディフェンスをうまくターンして外すとバイタルエリアで縦にパスコースを作った小泉さんに預けながらスプリント→小泉さんからヒールでダイレクトに落としを受けると前向きにバイタルエリアに侵入してきた武藤さんに対応しようとした相手CBの背中を獲ったユンカーさんがフリー。ここに武藤さんからパスが通ると、飛び出してくる仙台GK、ヤクブ・スウォビィク選手の脇下を冷静に通してゴール。

このシーン、武藤さんが逆サイドに流れつつもインサイドでポジションを獲ることで相手SBを内側に引っ張った結果、関根さんに対する監視が緩んだところをうまく関根さんと西さんが使ったところからでしたが、ポジショニングで相手を動かしてフリーな選手、スペースを作るというのが体現できた形でした。それに武藤さんが前向きにボール持った瞬間に相手CBの背中を獲ったユンカーさんの動き出しは素晴らしかったです。これで2試合連続ゴール。しかもまだ来日してから公式戦2試合ですからね。マジすげぇなこの人。

ポジショニングの修正という点では後半の阿部ちゃんのポジショニングもかなり積極的に相手陣の高い位置に入っていく動きを見せていて、この辺は前半からしっかり修正してきたなと。

そして追加点となった阿部ちゃんのフリーキックはすごかったっすね。相手の壁の作り方からすると仙台は壁で(相手GKにとっての)ゴール右側を切っていましたし、小泉さんの左足、もしくは阿部ちゃんが蹴るにしても巻いてゴール右隅というボールをイメージしたんでしょう。仙台GK、ヤクブ・スウォビィク選手もそれを警戒して右寄りにポジションを獲っていたのですが、仙台の壁の作り方は(相手GKから見て)一番左端に背の低い選手(松下選手)が立っていて、阿部ちゃんの右足で壁のその低いところ越えて速いボールを(相手GKから見て)ゴール左隅に飛ばせば入るんじゃね?っていう感じでしたけども、まさかその通りにドンピシャであのコースに叩き込むとは。ほんますごい人やで。

この追加点が非常に大きく、終盤追いすがる仙台を完封して 2-0 で勝利(まぁ阿部ちゃんの得点直後、75分くらいにミスから岩波さんが西村選手にボールかっさらわれてペナルティエリア内で後ろからユニフォーム引っ張って倒したシーンがあって、「あぁ終わったこれはPKでも文句言えん」って思ったシーンがあったんですけども、ラッキーなことに主審もVARも特に反応せず助かりましたね。ああいうところで1点返されたりすると試合の流れがわからなくなってたかもしれませんし)。後半の修正力は素晴らしく、難しい入りをした試合をしっかり勝ち試合に持って行ってくれました。

ということで、前節あまりよくない負け方をしてしまったところで連敗だけは避けたかった状況ですが、勝たなければならない試合でしっかり勝利して勝点を「20」に。なんだかんだ、今シーズンのリーグ戦、試行錯誤している中で当然うまく行かない試合もあるんですけども、それでも連敗していないのは素晴らしいことだと思います。次はアウェーでガンバ大阪戦。今大事なことは自分たちより順位が下のチームにはしっかり勝ちきって勝点を積むこと。ぜひガンバを倒して連勝といきましょう。

2021 Jリーグ 第13節 埼玉スタジアム2002 ベガルタ仙台戦 試合終了後

今節の勝利に大きく貢献したお三方(iPhone のカメラだとこれが限界)。

2021 Jリーグ 第13節 埼玉スタジアム2002 ベガルタ仙台戦 試合終了後 ユンカー選手、鈴木彩艶選手、阿部勇樹選手

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試合ハイライト

試合データ

観客: 4,750人
天候: 曇 / 気温 27.6℃ / 湿度 33%
試合結果:浦和 2-0 仙台(前半0-0)
レッズ得点者:ユンカー(58分)、阿部(75分)
警告・退場:-
主審: 高山 啓義 氏
順位: 8位(6勝5敗2分/勝点20/得失点差-4)

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Yoshiki Kato / burnworks
Yoshiki Kato
埼玉県出身。サッカー、フットサル (観戦 / プレー)、モータースポーツ観戦、格闘技 (主にボクシング) 観戦、インターネット、音楽鑑賞、筋トレ、腕時計収集が趣味。サッカー 4 級審判員、ウオッチコーディネーター(上級 CWC)資格認定者。好物はゼリー、グミ、お酒、ラーメン。