2019 Jリーグ 第32節 埼玉スタジアム2002 川崎フロンターレ戦
ACL決勝前、地獄の平日3連戦(広島→鹿島→川崎)もいよいよ最後の一戦。前節、アウェー鹿島戦から中3日で迎えるのは第32節、ホーム埼スタでの川崎フロンターレ戦です。
広島戦のレビュー冒頭で書いたんですけども、この3連戦開始前の時点におけるウチの勝点(35)と例年の残留ライン勝点を考慮すると、この3連戦をできれば1勝1分1敗くらいで切り抜けて、勝点「4」は積んでおきたいと思っていたわけですが、今のところ1分1敗で勝点「1」しか積めていません。
実際のところ上位チームを相手に正直勝てる試合内容ではなく、引き分け狙いが精一杯という状況でしたが、広島戦は先制したものの1点を守り切れず、鹿島戦も何とか後半まで耐えたものの最後こじ開けられる感じで敗戦でしたので、1勝1分の可能性もあったことを考えれば状況は悪いながらも紙一重のところでは踏ん張っている状態。今節もリーグ戦の優勝争いからはほぼ離脱したとはいえ、直近でルヴァンカップのタイトルを獲得し、ACL出場権に向けてモチベーションも高い上位の川崎相手ということで楽じゃないのはわかっていますが、何とか勝点を積みたい戦いとなりました。
さて、今日のスタメンは最終ラインに森脇、マウリシオ、ウガ。ディフェンシブハーフに柴戸、青木。ウィングバック、左に山中、右に岩武。インサイドハーフに汰木、柏木。マルティノスのワントップ。GKは西川。
チームはこの試合終了直後にACL決勝の第1戦に向けてサウジアラビアへ移動という強行スケジュール。結果としてこの試合は前節、鹿島戦から8人を入れ替え、ACL決勝でスタメンとなるであろう選手を思い切って休養させる策。朗報としては青木さんが予想外に早く復帰してくれたこと。この日は柴戸さんとディフェンシブハーフでコンビを組みます。左サイドは山中さん、ウガという縦関係、右は岩武さんを森脇さんが後ろから支え、マウリシオさんがリベロという並び。システム的にはいつも通りの 3-4-2-1。
対する川崎はSB右がマギーニョ選手、左、車屋選手。CBは山村選手、谷口選手のコンビ。ダブルボランチに守田選手とU-22でも活躍する田中碧選手。2列目はSHの右に家長選手、左に齋藤学選手。中央に脇坂選手を配置し、レアンドロ・ダミアン選手をワントップにした 4-2-3-1。GKは新井選手。
川崎も前節の広島戦から中2日という厳しいスケジュール。結果前節からは6人を入れ替える大幅なメンバーチェンジ。広島戦で負傷してしまった中村憲剛選手は長期離脱確定。大島選手や小林悠選手などもベンチスタートとなりましたが、一方で前節は出場停止だった家長選手、谷口選手、車屋選手などがスタメンに名を連ねました。
ウチのスタメンを見たとき、前線の並びがどうなるかなと思っていたのですが、マルティノスさんをワントップに、汰木さんと柏木さんがインサイドハーフというトライアングルでしたね。川崎の守備は前線4枚がサイドに追い出すようなプレスのかけ方をしてくるので、大外にボールを持っていった時に同サイドに寄せてきた相手のプレスに対してハーフスペースでボールを引き出せる選手がいれば相手の前線プレスを外せますし、外せば相手ボランチ脇に起点を作ったところから相手CBーSBの間を突いて最終ラインの裏は狙いやすい。
そういう意味でポジショニング感覚に優れボールを引き出せる柏木さん、裏に抜けるスピードのあるマルティノスさん、ハーフスペースで前を向けば鋭いドリブルがある汰木さんという前線トライアングルがどういう効果を発揮するのかは注目していました。狙いとしてはマルティノスさんを使ったカウンター一発狙い、もしくは柏木さん、汰木さんを起点にマルティノスさんの裏抜けやそこに左サイドから山中さんが絡んでクロスみたいなものが明確だったので。
ただまぁ結論から言ってしまえばウィングバックとの組み合わせ含め、急ごしらえ感は否めませんでした......
中でも特に気になったのは、ウィングバックの左に高速クロスが売りの山中さんを配置しておきながら前線にはクロスに対して飛び込むタイプの選手がゼロっていうミスマッチ。彼がいるなら前線には特にクロスに対してニアサイドにズバッと入ってくるようなタイプの選手がいないと折角のクロスが宝の持ち腐れなんですが、マルティノスさんにそういうプレーを求めても仕方ないし、柏木さんや汰木さんも全くタイプが異なるので、あとは逆サイドから岩武さんが入ってくるとか、そんくらいしか可能性がないのでフィニッシュの部分で駒がいない印象。
杉本さんなんかはそういう状況でのフィニッシャーに適任かと思いますが、ACLの方を考慮してかベンチにはいたものの先発せずでしたし、カウンターでのスピードを考えてマルティノスさんという選択をした以上は仕方ないんだと思いますが、このフィニッシャー不在という状況が90分を通して課題になっちゃいました。特に後半、立ち上がりから2失点目を喰らう直前の20分(65分)くらいまでは相手の運動量が落ちたことで中盤でボールを保持できる時間が増え、アタッキングサードまで侵入する回数は多かったのでもったいなかったなと。
まぁ、そもそも山中さんがフリーでクロスを上げるシーンがそれ程多くあったかという課題は別にありまして。これは汰木さんとのコンビネーションの問題(前述の通り山中さんがサイドでボール受けたときに汰木さんがハーフスペースでうまくポジションを取ってあげればいいんですがそれがないので山中さんが2対1の対応ばっかさせられて詰まっちゃう)もありますし、右サイドは柏木さんが岩武さんをうまくサポートしてハーフスペースでボールを引き出す動きをしてあげていましたが、逆に岩武さんはそれでフリーになっても(失礼ながら現時点では)仕掛けにもクロスにもそれ程特徴がないので何かを打開するような働きもできず。どっちにしろ今節のメンバーでは、アタッキングサードでの質に関してちょっと厳しかったかなというのはありますけども。
試合は立ち上がりから予想通り川崎がある程度ボールを握る展開。それに対してウチはいつも通り 5-4-1 でブロックを作り迎え撃ちます。ディフェンスラインの間で中間ポジションを取ってくるのがうまい川崎に対してライン間の距離が空くとそこを使われがちということもあってウチは 5-4 ブロックの縦関係をコンパクトに。とはいえ最終ラインが上げすぎると齋藤学選手はじめ、裏に抜けてくるスピードがある選手が厄介ということで、ラインのアジャストは前に合わせるのではなく最終ラインのセット位置に2列目が引いて合わせるという感じに見えました。
ですので比較的ウチは後ろ重心で待ち構える形。ボール奪取位置はどうしても低くなるのでなかなかマルティノスさんを使ってのカウンターという形にはならず、特に前線のマルティノスさんにとってはイライラする展開だったとは思いますが、ウチのプラン的にはとにかく0-0の時間を長くして相手の隙をうかがう(とかいうと狙いがあってそうしてるみたいでカッコいいですが、残念ながら現状は積極的に相手を崩す術がなく、耐えて耐えてのリアクションしか策がないってのが悲しいところですけどね......)というところでのまずは守備からという割り切りを感じるやり方。
とはいえ、中盤でボールを持てたときは積極的に前線のマルティノスさんを使うことで相手最終ラインへのプレッシャーはかけ続けていましたし、前述した「耐えて耐えてワンチャンスをものにする」という可能性を残したまま試合は進みます。
ただ悲しいのはこの目論見が前半のウチに瓦解してしまったこと。35分、相手左サイドから入った齋藤学選手のクロスをペナルティエリア内でマウリシオさんが一旦クリア。このクリアボールを中盤で川崎の守田選手がヘディングで落としたところ、ラインを押し上げつつ汰木さん、柴戸さんがこれに寄せに行きますが汰木さんが脇坂選手のポジションを確認していなかったために逆をつかれる形でコケた瞬間、脇坂選手がトラップ→後ろから寄せた柴戸さんをターン一発で外してそのままグラウンダーの鋭いミドルシュート。このシュートはさすがの西川さんも触れず、ゴール左隅に突き刺さると川崎が先制。
先制されてしまうとウチも出ていくしかなくなります。後半は立ち上がりからギアを上げ、前半同様、前線のマルティノスさんをうまく使う形で積極的に仕掛けると、その流れから相手ペナルティエリア内に侵入したマルティノスさんがクロスバー直撃の惜しいシュートを放つなど、少し流れをこちらに引き寄せます。
58分には青木 さん→阿部ちゃんとして負傷明けの青木さんに無理はさせない交代。青木さんからマルティノスさんへの縦パスが結構効いてたように見えたので少し残念ですが、まぁ怪我明けの選手に無理させても仕方ないですし、阿部ちゃんも前にボールを運べる選手なので問題なし。とはいいつつも全体的に後ろ重心なことは変わらず、攻撃も単発で厚みがでないのは辛いところながら、それでも1点獲れればという中で試合の流れを押し返されそうになっていた川崎が動きます。
すでに川崎はハーフタイムにマギーニョ選手→大島選手としてボランチの守田選手を右SBに移動、山中さんをケアさせるという部分で守備面の修正はしてきていましたが、67分にレアンドロ・ダミアン選手を下げて小林悠選手を投入すると、この交代が川崎にとってはどんぴしゃり。ウチにとっては最悪の2失点目を喰らうハメになるとはね。
78分、(相手)右サイドからインサイドに入ってきた守田選手に対してマークの受け渡しが完全に失敗。アウトサイドに流れた家長選手に山中さんが大外に引っ張られる中で守田選手はバイタルエリア、ハーフスペースでフリー。そこから余裕を持って上げられたクロスは、ファーサイドから森脇さんがボールを見て視線を切った瞬間に一気にカットインしてきた小林悠選手の頭にきっちり合うと、これでほぼ試合が決まる2失点目。普段、興梠さんのゴール前での動きをべた褒めしているわけですけども、Jリーグでも同等のレベルでゴール前での動き出しがうまいのがこの小林悠選手。悔しいですが見事でした。
ウチの選手交代は75分の岩武さん→関根さん、これは2失点目を喰らう前の交代。失点後の79分には山中さん→興梠さんとしますが、この辺の交代は何の意味があってやってんのかわかりませんでした。特に興梠さんに関してはほぼ試合が決まってんのにあの時間帯から興梠さんを入れてどうすんだと。しかも山中さん下げちゃってクロスも上がって来ないのに。ACLを見据えてお休みさせるためにベンチスタートにておきながら、1点差のままの状況ならまだしも、2失点目喰らってほぼ試合が決まっているような状況でわざわざ彼を中途半端に使う必要性はありません。
スタメンの時点であーもうACLのためにこの試合はある程度捨てたんだな...... ってサポももうある程度は覚悟してるんで、荻原さんとか、ACLで使うにしてもリーグでは出場機会の少ない杉本さんとかをぶっ込むなど、どうせ思い切るなら最後まで思い切ってやって欲しかったなと。何ですの困ったら中途半端に関根さんと興梠さんに頼るって。
とまぁあまり文句ばかり言ってても仕方ないので切り替えますが、結局平日3連戦は2敗1分で勝点「1」を積むに留まるという結果に終わりました。残留争いを考えるとこれは非常に厳しい結果といえますし、32節まで終了しての勝点「36」ってのは、2011年シーズン以来、2番目に悪い状況ですので、笑えないんですが、一旦ACLの方に集中して頂いて、アジアのタイトル奪取後に、残りの2試合でどう勝点を積むかを考えましょう。
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試合データ
観客: 21,817人
天候: 晴 / 気温 17.6℃ / 湿度 39%
試合結果: 浦和 0-2 川崎(前半0-1)
レッズ得点者: -
警告・退場: -
主審: 笠原 寛貴 氏
順位: 暫定11位(9勝14敗9分/勝点36/得失点差-15)
試合ハイライト
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