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2019 Jリーグ 第30節 県立カシマサッカースタジアム アウェー 鹿島アントラーズ戦

前節のアウェー広島戦は苦しみながらも先制したものの、不運な形で同点に追いつかれる引き分け、続く連戦は中2日、金曜日開催のアウェー鹿島アントラーズ戦です。

青木さんが離脱中、29節の大分戦で負傷した武藤さんもその後の公式発表で右肩関節脱臼、全治4ヶ月と今シーズン復帰ができないことが確定するなど、中央レーンで替えの効かない選手が離脱し、攻守にわたってなかなかチームとしての完成度が上がらない中での残留争いとACLの両立という非常に困難なタスクを強いられています。そんな中での鹿島戦。鹿島とは今シーズン、ルヴァンカップを含めるとすでに3試合やってますが、2分1敗と勝てていません。

とはいえ、現在首位の鹿島とアウェーでの対戦。残留争いを考えれば最低限の勝点1でも及第点というところ。逆に鹿島は優勝争いでFC東京と勝点が並んでいることを考えれば勝点3がマストの試合。まずは失点を避け、0-0の時間を長くしてやれば、焦って出てくるのは鹿島ということで、試合展開に注目の対戦となりました。

2019 Jリーグ 第30節 県立カシマサッカースタジアム アウェー 鹿島アントラーズ戦

金曜の夜は帰ってから疲れて寝ちゃって、土曜日も朝から用事があったのでレビュー書くのが遅くなりました...... 簡単にまとめようと思います。

さて、今日のスタメンは最終ラインに岩波、マウリシオ、槙野。ディフェンシブハーフに柴戸、エヴェルトン。ウィングバック、左に関根、右に橋岡。インサイドハーフにファブリシオ、柏木。杉本のワントップ。GKは福島。

ACL決勝の第1戦では西川さんが準決勝でもらったイエローカードの影響で出場できず、福島さんの先発が予想されますが、そのためにも彼に実戦経験が必要。ということでこのタイミングでJ1デビュー戦となる福島さんが先発。その他も疲労が溜まっていそうな興梠さん、ここのところ連戦だった阿部ちゃん、鈴木さん、長澤さんをお休みさせてそれぞれ、杉本さん、柴戸さん、マウリシオさん、柏木さんを起用する形で少し人を入れ替えてきました。フォーメーションはいつも通りの 3-4-2-1 スタートです。

特にその中でも今節の大きなニュースは柏木さんのスタメン復帰。第12節の湘南戦でフル出場を最後に、第20節磐田戦、第23節神戸戦と途中出場のみ、第24節の松本戦で久々の先発をするもその後再び離脱していましたが、ACL準決勝の第2戦、および前節の広島戦ではベンチ入りしていて、そろそろ復帰が近いのでは?と期待されていたところで、この試合で待望の復活となりました。彼の中盤での運動量、そしてゲームメイク力はもちろん、左足からくり出される正確なキックは、特に苦しい状況でのセットプレーに活路を見いだしたいウチとしては貴重な能力。彼のコンディションがどこまで回復しているのかは注目ポイント。

対する鹿島はいつも通りの 4-4-2。土居選手、伊藤翔選手の2トップ、ダブルボランチに三竿選手とレオ・シルバ選手、CBにブエノ選手、チョン・スンヒョン選手という中央ライン。SHは左に白崎選手、右に遠藤選手。SBは左に町田選手、右に永木選手、GKはクォン・スンテ選手というスタメン。ボランチのレオ・シルバ選手、三竿選手は両選手共に久しぶりの復帰ですかね。

相手の 4-4-2 に対してウチの守備ブロックはいつも通りの 5-4-1。システム的には前節の広島戦とは異なりミスマッチですので、各所で数的優位な状況、不利な状況が起こりますし、お互いにそこをうまく利用できるかという駆け引き。

相手4バックのビルドアップに対しては、CB2枚に対してウチの1トップ2インサイドハーフが出れば数的優位。最終ラインはウィングバックが最終ラインに吸収されている分には相手2トップを3バックの数的優位な状態で押さえ込みつつ、相手SHの進出にはウィングバックが対応することで数的優位に立てますが、一方で、中盤からインサイドハーフ2枚が前に出ると、相手のダブルボランチにSBを加えた4枚に対してウチのディフェンシブハーフは2枚で完全に数的不利となります。

この状態でウチのディフェンシブハーフ両脇のスペースを誰が抑えに行くかというところで、選択肢としては3バックが前に向かって潰しに出る、ウィングバックが出る、もしくはインサイドハーフがプレスバックするという感じになりますが、3バックが最終ラインから出ていけば相手2トップに対してディフェンシブハーフへのマークの受け渡しが発生しますし、ウィングバックが出ていけば最終ラインに人が足りなくなるというところで、インサイドハーフがプレスバックしつつスペースを埋めて対応という選択がされていました。ここについて柏木さんはさすがのポジショニングと運動量でしたが、やはり守備面でのファブリシオさんには課題あり(繰り返しになりますがファブリシオさんは攻撃面で違いが出せる人なので守備面で多少問題があるのは織り込み済みですし、彼が悪いわけではありません)と感じました。

とはいえ、ファブリシオさんも前半は頑張って守備のタスクもこなしてくれていたため、相手SH、およびSBのサイドからの進出に対してはウィングバックがSHを見つつ、SBに対してはインサイドハーフがサイドに流れて対応という形で 5-4-1 ブロックをしっかり固め、鹿島に決定機といえるようなシーンは作らせなかったものの(唯一11分くらいにあったGKが出るか出ないかの微妙なところに落とす三竿選手からの縦方向のフィードを土居選手に先に触られたシーンはヒヤッとしましたけども)、どうしても重心が後ろになるため攻撃面ではいつも通り前線が孤立。この日はワントップに杉本さんがいることで比較的ハイボールを彼に向かって蹴るケースが多かったですが、そういうボールだと杉本さん自身が収めるのは難しく、落としてもインサイドハーフのサポートは遠く、いい距離感で杉本さんの落とし→インサイドハーフがサポート→インサイドハーフのもう1枚が裏抜けみたいな連動性が出るところまでは行かなかったのは残念。

まぁインサイドハーフに入っているファブリシオさんが裏に抜けるより足元でもらいたい人なので、柏木さんがいい位置でボール持っても動き出すのが杉本さんしかいないっていうのが根本的にあり、これだと選択肢が1つなので相手も守備対応がしやすくてなかなか相手ディフェンスラインを混乱させるような状況にならなかったあたり、やっぱ武藤さん、興梠さんがいてくれたらなという感じになってしまうのが苦しいところです。それでも何度かいい形で杉本さんに縦が入った時はアタッキングサードまではいい流れ出行けてたんですけどね、最後のフィニッシュのところで人数不足というのはここ数試合の課題。

なかなか攻撃面でよい形が作れず、守備面でもしっかりブロックは保っているものの最終ラインが押し込まれて耐えているような状況。こちらがゲームをコントロールしている感はほとんどないながらもスコア的には 0-0 で後半に折り返し。広島戦でもこういう流れで先制していますし、これで鹿島が前から出てくれば、そのスキを突いてワンチャンスものにできるかもという後半。鹿島の方が予想通りギアを上げてきます。

特に試合が動いたのは65分に鹿島がセルジーニョ選手を遠藤選手に替えて投入してから。セルジーニョ選手が積極的にサイドに流れることで関根さんのサイドを圧迫し、同サイドのファブリシオさんのプレスバックが甘くなったスペースに永木選手や鹿島ダブルボランチが起点を作って押し込みにくると、ウチの左サイドは守備に大忙しな状況に。これに対して大槻さんも68分に関根さん→ウガとして守備面での強化を図りますがその数分後に耐えきれず被弾します。

72分、ウチの右サイド、ペナルティエリア内でレオ・シルバ選手がボールを受けると、橋岡さん、柴戸さんの2枚で対応したところを縦に仕掛けられてクロス。ファーに流れたクロスを逆サイドから永木選手に再度中央へクロスを入れられると、セルジーニョ選手が競ったこぼれ球を土居選手のミドルシュート。このシュートは福島さんが気合いでビッグセーブするも、弾いたボールをセルジーニョ選手に詰められ、ゴール上角に叩き込まれ失点。完全に押し込まれてしまったところから相手の左右に大きく揺さぶりつつ厚みのある波状攻撃に耐えきれずという失点でした。

これで1点を追わなければならなくなったウチは74分にファブリシオさん→興梠さん、さらに77分には柴戸さん→長澤さんとして温存していた主力組を続けざまに投入しますがどうしても対応が後手に回っている感じは否めず、結局大きく流れを変えることもかなわずそのまま敗戦となってしまいました。興梠さん投入後は、2トップ気味にして杉本さんがサイドに流れつつボールを受けたりと工夫は見られましたがなかなか前線でボールが収まらずでしたね...... ついでに大槻さんが鹿島の永木選手を突き飛ばしてレッドカードで退席処分を喰らうなど、もうなんていうかどうしようもない事態まで発生して踏んだり蹴ったりですよ。

大槻さんの件、きっかけは永木選手がエヴェルトンさんをピッチ外で投げ飛ばしたラフなプレーがあって、それに対して永木選手が全くエヴェルトンさんを気遣うでもなくその場を離れようとしたのにキレちまったっていう状況や、大きなプレッシャーの中で大槻さん自身にも気持ちの余裕がなくなっているという事情はあるにせよ、最後まで冷静に指揮を執るべき監督が相手選手に手を出して退場なんてのは全く擁護できるようなことではなく、ベンチ、ピッチ上の選手達を混乱させ残り時間で同点に追いつく可能性を大きく損ねたと考えればかなり残念な出来事でした。まぁ大槻さんも衝動的にやっちまったあとで猛反省してるでしょうから必要以上に批難しても仕方ありませんが、Jリーグがどういう結論を出すかは未定として、川崎戦でのベンチ入りは厳しくなると思いますので、その影響が大きくならないことを祈るばかりです。

ということで試合結果も残念ながら、別の部分でも後味の悪い試合になってしまいましたが、続く第32節は中3日、ホームに戻っての川崎戦です。直後のACL決勝を見据えて、どういうスタメンで挑むのか注目です。

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試合データ

観客: 14,439人
天候: 晴 / 気温 17.4℃ / 湿度 80%
試合結果: 鹿島 1-0 浦和(前半0-0)
レッズ得点者: -
警告・退場: 杉本(警告×1/ラフプレー)
主審: 荒木 友輔 氏
順位: 暫定11位(9勝12敗10分/勝点36/得失点差-13)

試合ハイライト

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Yoshiki Kato / burnworks
Yoshiki Kato
埼玉県出身。サッカー、フットサル (観戦 / プレー)、モータースポーツ観戦、格闘技 (主にボクシング) 観戦、インターネット、音楽鑑賞、筋トレ、腕時計収集が趣味。サッカー 4 級審判員、ウオッチコーディネーター(上級 CWC)資格認定者。好物はゼリー、グミ、お酒、ラーメン。