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2019 Jリーグ 第21節 埼玉スタジアム2002 名古屋グランパス戦

ACLの関係でミッドウィークに開催された第16節では鹿島を相手に 1-1 の引き分け、これで消化試合数が全チーム足並みそろったところで行われる第21節はホーム埼スタに名古屋グランパスを迎えて。

名古屋さんとは今シーズン第11節にアウェーで対戦してほぼ為す術なくボコられ、その試合を含めたリーグ戦4連敗がオリヴェイラ監督解任につながったとっても苦い思い出がありますが、大槻さんに監督が交代しての初対戦。

勝点的に名古屋はウチのすぐ下、今シーズンのJ1は現時点でウチと名古屋(9位、10位)を境目に上も下も団子状態。ここでの1勝が上に食いついて行くために重要なのと同時に、ここで負ければ残留争いに巻き込まれかねない重要な試合。ミッドウィークの鹿島戦からは中3日、引き続き厳しい猛暑の中の開催となりましたが、負けられない戦いとないました。

2019 Jリーグ 第21節 埼玉スタジアム2002 名古屋グランパス戦

さて、今節のスタメンは最終ラインに岩波、鈴木、槙野。中盤は青木、柴戸、両サイド、ウィングバックの左に関根、右に橋岡を配置。ファブリシオ、武藤をインサイドハーフ、興梠の1トップという並び。GKは西川。

前節、前半のみで途中交代したマウリシオさんが離脱。代わりに3バックのセンターには鈴木さんがスタメン。エヴェルトンさんはベンチ入りしましたが先発は回避して、磐田戦でのレッドカード→1試合サスペンションから復帰した柴戸さんが青木さんとディフェンシブハーフでコンビを組みます。前線も長澤さんをベンチスタートにしてファブリシオさんが先発。システム的にはいつも通りの 3-4-2-1。

対する名古屋は数試合前から3バックを採用、さらにFC東京から太田選手を補強し、3バックの左に配置します。最前線、ワントップにはジョー選手、それをインサイドハーフのガブリエル・シャビエル選手、前田直輝選手が支える前線。ディフェンシブハーフはジョアン・シミッチ選手とエドゥアルド・ネット選手の外国人コンビ。ウィングバックの左に吉田豊選手、右に和泉選手を配置した 3-4-2-1 (ウチよりもインサイドハーフ2枚がジョー選手と並ぶ 3-4-3 に近い感じですかね)はシステム的にマッチアップする形。ウチは中3日での対戦なのに対して名古屋は今節が中断明け、2週間しっかりお休みしてきていますので、その辺のコンディションの差がどう出るか。

前回対戦時は立ち上がり 5-3-2 で前からハメに行って玉砕。前線の守備が裏っ返されたところでディフェンシブハーフの両脇、前線のプレスに追随してラインを上げられない最終ラインの前で起点を作られるとワンタッチで面白いようにギャップを突かれて17分に失点、前半のうちに追加点を喰らって撃沈されましたが、今回はシステム的にマッチアップ、ミラーゲームになることから、無茶な前プレとかを敢行しなければ守備的には人を当てやすい状況。ところがシステム的なマッチアップをうまく利用したのは名古屋の方でした。

名古屋は守備ブロックを 5-4-1 でセット。無理に前プレはかけず、しっかりブロックを作って最終ラインと2列目の間をコンパクトに保ち、3バックがウチの前線トライアングルをほぼマンツーマン気味に監視すると、そこに入ってきたところを潰して攻守転換する狙い。ウィングバックが最終ラインにしっかり落ちて5バックを形成するため、ウチの攻撃の起点である両ウィングバックもなかなかフリーでボールを受ける状況が作れず、サイドに展開しても詰まって戻すの繰り返し。うまくサイドを封じられ、中央で待ち構えられてしまったことでウチの攻撃は沈黙する流れになってしまいました。

さらに最悪だったのは立ち上がりの1分にコーナーキックから失点してしまったこと。鹿島戦でも立ち上がりにクロスバー直撃のシュートを喰らうなど、試合の入り方という点で少し問題が感じられる試合が続いていますが、この日も立ち上がりの前半2分、名古屋、太田選手のコーナーキックは一旦ファーサイドに流れますが、セカンドボールを拾った前田直輝選手に縦に突破されると、グラウンダーの速いクロスを中央で和泉選手に合わせられて失点。前田選手に対応した青木さんが一発でぶっちぎられたので、中はボールウォッチして対応ができなかったですね。

ウチの守備は興梠さんを頂点にした 5-4-1 でしたが、名古屋と異なり立ち上がりから前線が積極的に前からハメに行く守備。ただこれはちょっと裏目に出ました。元々ウチの最終ラインは走力の問題で前が出ていくのに対してラインを上げられないのに加え、名古屋は前線の3枚がウチの最終ラインに駆け引きして高い位置をとりにくくしつつ、後ろでしっかりボールを保持してビルドアップしてきます。この状態でウチが前プレかけようとディフェンシブハーフまで含めて出て行ってしまうと、最終ラインの前にスペースが生まれますが、名古屋はここによいタイミングでジョー選手がポジションをとり、そこを起点としてインサイドハーフが追い越してくるので、この形で押し込まれて生まれたコーナーキックが立ち上がりの失点につながりました。

ただし、ディフェンシブハーフの裏、最終ラインの前にスペースができがちなのは同じシステムを採用している名古屋も同様。試合立ち上がりにいきなり失点してしまったウチですが、気を取り直して1点を追いにいきます。

前述の通り相手が5バックにしていることでサイドが有効に使えない状況、中央も閉められていて起点が作れないので、関根さんがインサイドにカットインしていく形で中央の人数を増やし、相手ディフェンシブハーフ周辺で数的優位を作ってそこを圧迫しに行きます。ウチの最終ライン前に入ってくる相手のボールに対しては柴戸さん、青木さんが気合いで寄せて奪い取ると、相手ディフェンシブハーフ周辺、最終ラインの前にポジションをとったファブリシオさんをうまく使って起点を作り、名古屋ゴールに迫ります。

この時間帯に決定機が作れればよかったんですが、ファブリシオさんと武藤さん、興梠さんのコンビネーションの部分でまだまだ物足りない。足元でボール受けて持ちたいファブリシオさんと、裏に仕掛けた瞬間にタイミングよく縦パスが欲しい興梠さんの意図はほぼあっておらず、興梠さんがボールを触れずに孤立する流れに。それならもうファブリシオさんが強引にでも持ってっちゃうことができればいいんですが、名古屋の中央の守備も堅くなかなか侵入できないため、ボールは保持できるもののフィニッシュまで持っていけない時間帯が続きます。

そんな状況でウチにとっては痛恨の失点が25分。中央でジョー選手がボールを収めると、高い位置をとっていた橋岡さんと最終ライン岩波さんの間のスペースを突いてウチの右サイド裏に抜け出したガブリエル・シャビエル選手へスルーパス。一気にペナルティエリア脇まで侵入されるとそこから上がったクロスはファーサイドの前田選手へ。これをフリーで叩き込まれて失点。中央に和泉選手、その裏にジョー選手が入ってきたことでこの2枚に完全にウチのディフェンスは引っ張られる形で逆サイド、一旦は中央に入るそぶりを見せつつファーに開いた前田選手はどフリー。あとはあわせるだけっていう状態でしたので西川さん的にもノーチャンス。悪くはない流れで追加点を喰らってしまったのは痛かった。

2失点後、前線で少し変更が見えました。興梠さんがインサイドハーフの位置に下がってボールを引き出す役割を担い、ファブリシオさんをワントップにおいてゴールに近いところでプレーさせます。これが監督の指示なのか選手がピッチ上で独自に判断したのかはわかりませんが(途中で元に戻ったりはしていたので状況を見つつ選手間で判断したっぽいですけども)、これで興梠さんがボールを触れるようになると積極的に縦の楔を受けて状況を変えにいきます。しかし名古屋の勢いは止まらず。テンポよくワンタッチで回すパスをウチはなかなか限定できずに外されてはゴール前に迫られ、34分にはジョー選手に西川さんとの1対1を作られあわや3失点目という状況も。一方でウチはなかなかパスがつながらずフラストレーションの溜まる試合展開。

右サイドで青木さんが橋岡さんとのパス交換で抜け出したところからファーサイドの興梠さんヘッドというところで決定機があったり、惜しいシーンはありつつも状況は大きく好転せず、どうしようかな、人を代えるなどやり方変えないと難しいかな、後半どう修正するかな...... なんて思いはじめた前半アディショナルタイム。無理矢理こじ開けた感はありますが、興梠さんのゴールでなんとか1点を返します。

45+2分、相手バイタルエリアで中央関根さんが気合いのスライディングタックル→ボール奪取すると右に開いた武藤さんへ。これを武藤さんが一旦強引にシュートに行きますが弾かれてこぼれたボールを再度関根さんが拾うと、裏に抜けた武藤さんにパス→クロスをファーサイドでフリーになっていた興梠さんが頭で合わせてゴール。攻守転換時、相手のボールコントロールが少し大きくなったところを関根さんが気合いで刈り取ったところからでしたが、なんとか前半のうちに1点を返したことで後半の入りは楽にできたかなと思います。非常に大きな1点でした。興梠さんは3試合連続得点と。

後半立ち上がりからペースを握ったのはウチ。ビルドアップ時は青木さんが最終ラインに落ちる形で槙野さんを左サイドに押し上げ、関根さんを後ろから近い位置でサポートさせることで攻撃に厚みを加えます。これで名古屋ディフェンスを押し込むと、この暑いコンディションの中でもインテンシティを高めて素早くボールを奪い返しては名古屋ゴールに迫りますが得点までには至らず。

61分、橋岡さん→山中さんとして、関根さんを右に移動。両サイドを攻撃的な布陣にシフト。さらに67分には柴戸さん→長澤さんとして中盤の負荷がかかる部分をリフレッシュ。76分にはファブリシオさん→杉本さんとして前線にターゲットとなる選手を投入。両チームとも体力的には限界に近づき、ウチも猛攻かなわず1点が遠い状況で試合は後半アディショナルタイムへ。

そして劇的同点ゴールは90+3分。直前に名古屋のカウンターで3対4の数的不利を作られ、やべぇってシーン。名古屋的には時間使えばよい状況だったと思いますがここで無理にシュートを狙って鈴木さんのシュートブロックに当たったことで攻守転換。鈴木さんから関根さん→武藤さん→興梠さんと縦に経由して一転ウチのカウンターが発動。興梠さんを追い越す形で左サイドを上がった青木さんがペナルティエリア脇まで持ち運んで上げたクロスは相手に当たってスローイン。ここでエドゥアルド・ネット選手が足攣ったかなんかで少し時間が止まりますが、これで名古屋ディフェンスは少し集中力が切れたか、左サイド、スローインからのリスタートで山中さんが入れた高速クロスを、中央で関根さんが頭で合わせて叩き込んで土壇場での同点。山中さんは前節に続いて同点ゴールをアシスト。素晴らしい。

残り時間は1分ちょっと。最後に勢いを持って怒濤の攻撃を見せますが、岩波さんのシュート→枠外だけど相手に当たって跳ねかえる、逆サイドから山中さんのシュートが枠外に抜けていったところでタイムアップ...... 最後膝から力が抜けるような結末でしたが、結果的にはなんとか2点のビハインドを追いついての引き分けとなりました。

ホーム2連戦で2引き分けは結果としては正直物足りないですし、両試合とも先制されて追いつくという形で、支配の入り方としてはうまくない。とはいえビハインドの状況でも諦めずにしっかり戦い、勝点を1ずつでも積んだことは評価すべきかと思います。

さてここからはアウェー2連戦(天皇杯も入れれば3連戦ですかね)。真夏の連戦で厳しい状況は続きますが、我々もしっかりサポートしてここをなんとか勝って切り抜けたいものです。

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試合データ

観客: 37,238人
天候: 晴
試合結果: 浦和 2-2 名古屋(前半0-0)
レッズ得点者: 興梠(45+2分)、関根(90+3分)
警告・退場: -
主審: 家本 政明 氏
順位: 9位(8勝8敗5分/勝点29/得失点差-7)

試合ハイライト

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Yoshiki Kato / burnworks
Yoshiki Kato
埼玉県出身。サッカー、フットサル (観戦 / プレー)、モータースポーツ観戦、格闘技 (主にボクシング) 観戦、インターネット、音楽鑑賞、筋トレ、腕時計収集が趣味。サッカー 4 級審判員、ウオッチコーディネーター(上級 CWC)資格認定者。好物はゼリー、グミ、お酒、ラーメン。