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2018 Jリーグ 第10節 三協フロンテア柏スタジアム アウェー 柏レイソル戦

前節はホーム埼スタで札幌戦。暫定監督として指揮を執った大槻監督が一旦のラストマッチ、相手が元浦和監督のミシャさん率いる札幌ということで、当人達はともかく、外から見ればとてもドラマチックな対戦ということで気合いが入った一戦ではありましたが両者ゆずらずスコアレスドロー。ホームで勝てなかった悔しさも残るものの、大槻体制としてはリーグ戦、ルヴァンカップ含めて6試合を戦い、負けなしの4勝2分という素晴らしい結果を残してくれました。

大槻さんのもとでチームも自信を取り戻し、いい流れを作ってくれたところで正式な後任を引き継いだのは、元鹿島でJリーグ史上初の3連覇を果たすなど黄金期を築いたオリヴェイラ監督。コリンチャンス、サントスFC、サンパウロFC、CRフラメンゴ、アトレチコ・ミネイロ...... などなど、ブラジルの強豪でも多くの指揮を執った名将が、浦和でどういうチーム、サッカーを構築するのか楽しみな中、オリヴェイラ体制での初戦となったのが今節、アウェーでの柏戦。

2018 Jリーグ 第10節 三協フロンテア柏スタジアム アウェー 柏レイソル戦

さて、今日のスタメンは最終ラインに岩波、マウリシオ、槙野。ボランチに遠藤、長澤。ウィングバック、右に橋岡、左にウガ。2シャドーに柏木、武藤を置いた上で、1トップに興梠という並び。GKは西川。

大槻さんから指揮を引き継いだオリヴェイラさんですが、連戦の真っ只中で指揮を引き継いでいる関係上、時間のない中でやり方を大きく変えるのはリスクと考えたのでしょう。実際にインタビューでも大槻さんがリーグ戦で採用していた3バックを継続すると言っていたとおり、システム的には大きく変えず、興梠さんを頂点に置いた 3-4-2-1 でスタートしました。

対する柏は 4-2-3-1(4-3-3 の方が近かったですかね)。攻撃時にはクリスティアーノ選手がサイドに流れて動き回りつつ、前4枚がウチの5バックに対して張ってくるような形。守備時は 4-4-2 にして前2枚を中心に前線から果敢にプレスをかけてくるやり方ですが、そこで蹴らされると柏ペース、逆にファーストプレスをうまく外せれば中盤にはある程度スペースがあるという状況だったので、とにかくウチとしてはいかに柏の前プレを外して中盤、フリーでボールを受けて前が向けるか、あとはアタッキングサードでの工夫と決定力次第という試合になりました。

ウチは見た限り攻撃面でのやり方は大きく変えていないものの、守備時のブロックの作り方やプレスのハメ方に関しては早速オリヴェイラさんっぽい色が出ていたんじゃないでしょうか。

大槻さんの時は、守備時(試合によって多少差はあったものの)、ウィングバックが最終ラインに落ちつつ、トップ下の柏木さんが前線に上がる形で 5-2-3 でブロック作るやり方が基本でした。中盤の2枚のところはどうしても人が少なくなるので、そこに入ってきた相手に対してはボランチのスライドと、最終ラインから前向きに当たりに出ることで潰してという形。

相手のアタッキングサードにおいては5バックでサイドのスペースを消しつつ、ボランチのスライドでハーフスペースに入ってくる相手を潰してそこからカウンターなりという狙いでしたが、オリヴェイラさんは興梠さんだけを1トップに残したまま、ウィングバックが最終ラインに落ちつつ、2シャドーがボランチの両脇に落ちてくる 5-4-1 でブロックを作るやり方をしていました。

とはいえ、単に 5-4-1 でブロックを作って引くのではなく、相手アタッキングサードでボールがサイドに入った場合は、最終ライン全体的にがボールサイドにスライドしつつ、ボールサイドのウィングバックを前に押し出すような形で4バックに変化し、ウィングバックとシャドー、ボランチの選手で相手をサイドに追い出しつつプレスをハメに行く守備(例えば右サイドなら橋岡さんが最終ラインから出て行きつつ、長澤さんと柏木さんで囲い込むような形)が見てとれました。そこで奪えれば、ボランチを経由して縦、もしくは逆サイドに展開みたいな流れでショートカウンターを発動するイメージですかね。

また、相手の攻撃の起点となるボランチ2枚やトップ下にいる中川選手に対しては長澤さん、遠藤さんの2人が縦関係を作ってしっかりケアし、フリーではやらせない状況を作るなど、特に前半に関してはある程度狙いは出せていたように見えましたが、逆にそこで外されるとピンチになったりとここの攻防は見どころでした。ウチは中3日、柏にいたっては中2日とは思えない運動量と球際の激しさでお互い譲らず、決定機も両GKが素晴らしいセービングを見せるなど決めきれず、なかなか緊張感のある展開。この前半の運動量がいつまで続くのか、心配な面もありつつ試合はスコアレスのまま後半へ。

ウチの選手交代は66分に武藤さん→武富さんとして武富さんをそのまま武藤さんの位置へ。しかしその直後の72分に失点。ウチの右サイドをワンツーで柏、SBの中山選手にオーバーラップされると、そこからファーサイドにクロス。これを江坂選手に競り勝たれて落とされたところに中央で中川選手に詰められてという形。左右に大きく振られて、高さのないウチのSBのところで高さのある江坂選手とマッチアップを作られてしまったので、この時点で勝負ありという感じでした。清水戦でも同様の失点してるんですが、このパターンはウチに限らずサイドからのクロスに対する入り方としてはよくあるパターンなのでもったいなかったなと。

先制を許したウチは、78分に興梠さん→忠成さんとして前線に高さを追加。84分にウガ→菊池さんとして、クロスの供給源をピッチに送り出します。ここまでの交代カードの切り方は想定内というか、大槻さんがやっていた頃と大きく変化はないのですが、ビックリしたのはその後。

アディショナルタイムを含めたラスト5分くらいですが、なんと遠藤さんをリベロ、途中交代で投入した菊池さんを左ストッパーの位置に下げると、その代わりに槙野さんとマウリシオさんを前線に上げてのパワープレー。ただ、縦に放り込むボールが多く、前線がばたついただけでそれ程相手に脅威を与えたとは思えず、結果として1点を返すこともかなわず、そのままタイムアップとなってしまいました。菊池さん入れたんだし、もう少しサイドからの攻撃でアクセントを付けるとかできたらよかったんじゃないかなとも思ったんですが、まぁたらればですね。

試合全体を通しての印象としては、前述の通り、守備面では少しやり方に変化が見えたものの、攻撃面では特に大きな変化は感じませんでした。すでに大槻さんが監督を引き継いだ時点で、ミシャさん時代のコンビネーションはすでに過去のものとなって失われており、システム的には元の3バックに戻したとしても、選手個人の能力に依存した個人打開とパスワークで相手ゴールに迫る堀さんのやり方を継続するしかない状況だったわけですが、オリヴェイラさんもさすがにそこに手を付けるまでには至っていない状況。

さらに今節は柏の前プレでビルドアップを自由にさせてもらえず、蹴らされてしまうケースが多かったため、前線や中盤でいい形でボールを収める時間帯も多くなく、ほとんど持ち味が出せないまま押し切られた感じになってしまいました。その意味では柏が一枚上手だったとも言えます。

最後のパワープレーだけはビックリでしたが、あれも実際の効力がどうのより、オリヴェイラさんが様々な可能性を試すためにとった策かもしれませんので、今節の敗戦、そこから得られたものが今後にどう活かされるのかに注目したいと思います。

ということで、オリヴェイラ監督のもとでリスタートしたチームは、残念ながら黒星スタートとなってしまいましたが、次は中2日で週末の湘南戦が控えています。時間はないですが、早めに新体制での初勝利をして勢いに乗れるよう、ホームでしっかりサポートしていきましょう。

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試合データ

観客: 11,257人
天候: 曇
試合結果: 柏 1-0 浦和(前半0-0)
レッズ得点者: -
警告・退場: -
主審: 福島 孝一郎 氏
順位:12位(3勝4敗3分/勝点12/得失点差-1)

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