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2018 Jリーグ 第11節 埼玉スタジアム2002 湘南ベルマーレ戦

前節は新監督として就任したオリヴェイラ監督のもとで初のリーグ戦となりましたが、アウェーで柏のハイプレスにハマって良いところを出せずに敗戦。大槻さんのショック療法によってリーグ戦3連勝し、勢いが出てきたチームにとっては痛い敗戦ではありましたが、同時に果敢なハイプレスで時間を与えないという柏の策を跳ね返す程の戦術的オプションは、今のウチにはまだないという現実を思い知らされたミッドウィーク。

落ち込んでいる暇もなく、続く中2日での第11節は、ホーム埼スタに湘南ベルマーレを迎えて。湘南も柏同様に豊富な運動量とスプリントでガンガン前に出てくるのが持ち味のチームですので厄介な相手。時間なく短期での修正・対策は難易度高いとは思いますが、その中でどういう戦い方が見られるかに注目したい対戦となりました。

2018 Jリーグ 第11節 埼玉スタジアム2002 湘南ベルマーレ戦

さて、今日のスタメンは最終ラインに遠藤、マウリシオ、槙野。ボランチに阿部、直輝。ウィングバック、右に橋岡、左に菊池。シャドーに柏木を置いた上で、トップに武藤、興梠という並び。GKは西川(J1通算400試合出場おめでとうございます)。

前節柏戦でもそうですが、オリヴェイラさんが新監督として就任したとはいえ、中2日でやってくるリーグ戦となると、試合翌日はダウントレーニングしかできないし、試合前日にフルのトレーニングするわけにもいかないので、実質まともなトレーニングができるわけもなく、フォーメーション的には 3-5-2(3-4-1-2)を継続しつつ人の入れ替えで連戦での疲労をケアするくらいが精一杯。今節もそんな感じで前節からウガと菊池さんを入れ替えたり、長澤さんを休ませて直輝を入れたりという調整のみでのスタートとなりました。

対する湘南は基本的に 3-2-4-1 を採用していますが、前節のガンバ戦などを見る限りは 3-5-2(3-3-2-2) のフォーメーションにして中盤をトリプルボランチにするようなやり方もしていて、今節も同様のやり方を継続してきました。両サイドのアタッカー(今節だとミキッチ選手と高橋選手)が積極的に相手陣内深くに進入。そこからのクロスに対して2トップはもちろん、中盤の3枚を加えた、4~5枚が常にゴール前に突っ込んでくるようなアグレッシブな攻撃が厄介。

さらに守備もかなりオーガナイズされていて、ウチと同様の3バックを採用しているものの、サイドが最終ラインに吸収される5バック守備を基本とはせず、両サイドアタッカーが高い位置からきっちりプレスをかけてくるのと、全体のスライドも素早く、ウチのボールホルダーに対する寄せも早い。一方で被カウンター時など、スライドや前プレが間に合わないときは割り切ってしっかり帰陣し、ブロックを作るといった約束事もかなり整理されていて、これを崩すのは容易ではないなという印象でしたが、実際にウチはほぼ攻撃の形を作れませんでした。

ウチは 3-4-1-2 でスタートしましたが、守備時は柏戦のように 5-4-1 にはせず、阿部ちゃんをセンターに両脇に直輝さんと柏木さんが落ちる形で 5-3-2 を作っての守備ブロック。さらに阿部ちゃんが最終ラインに落ちたり、アンカーの位置に残る一方で、直輝さんは前に出て行って柏木さんと2シャドーのような並びになったりしつつ(3-3-2-2、というか 3-1-4-2 のような形や、ビルドアップ時に阿部ちゃんが最終ラインに落ちると、直輝さんと柏木さんが縦関係の 4-1-3-2 のような形も見られました)、前線の興梠さん、武藤さんに積極的に関係していくやり方をしていました。

その流れの中で、直輝さんが2列目から興梠さんへのスルーパスで興梠さんゴール前に侵入→直輝さんそのままゴール前に入っていって、興梠さんの横パス戻しにフリーでシュートを放ったGK正面に蹴っちまって決めきれなかったシーンなんかはこの試合ではほぼ唯一と言っていいほどの決定機でした。

で、立ち上がりこそ比較的シンプルに最終ラインから相手ディフェンスラインの裏を狙ったフィードで何度かチャンスを作りますが(この時間帯に前述した直輝さんの決定機がありましたが、これが決まってればまた違った展開もあったかもしれませんね。たらればなので言っても仕方ないですが)、ボールを持たされてしまうとあまり連動性のない各駅停車パスのみなので湘南の守備ブロックを崩すには至らず、低い位置からのロングカウンターでは持ち出す距離が長くて相手ディフェンスがそろいきる前に攻めきれないし、なかなか人数をかけた攻撃になりにくい。

さらに両ウィングバックは運動量的には文句なしなものの、長い距離のスプリントにおいて圧倒的な速さや、個人打開力のある選手ではないこともあってサイドからの崩しといった点でも活きず、20分を過ぎたあたりからはチャンスらしいチャンスも作れない感じになってしまったのは残念。

そんなこんなしているうちに失点。前半30分、最終ラインからのビルドアップ時に左サイドに流れてボールを受けた柏木さんがなんか知らんけどフリックしますが、そこには誰もおらず、あっさりボールロストします。この時菊池さんがミキッチ選手を捕まえずに思いっきり中途半端なポジショニングを取っていたこともあって、湘南の山根選手からペナルティエリア脇に見事な縦パス通されると、完全にフリーのミキッチ選手に抜け出される結果に。もうこの時点でほぼ勝負ありな感じでしたが、ミキッチ選手はそこから落ち着いてマイナスのグラウンダークロスを中央へ。そこに2列目から入ってきた石川選手にフリーで叩き込まれて今節も先に失点する流れ。

ウチの最終ラインはニアを縦に入ってきた相手FW(イ・ジョンヒョプ選手)に引っ張られてマイナス方向誰もいない状態でしたし、湘南の選手はウチのペナルティエリアに4枚入ってきている状態でしたので、まぁ見事に崩されましたねと。これは今に始まったことではないのですが、ウチは点を獲る形がまだ確立されていないので、先制されると結構厳しいんですが、とにかくまずは同点に追いつくことがミッションとなりつつ試合は後半へ。

ウチの選手交代はハーフタイムに直輝さん→長澤さん。直輝さんは彼なりに持ち味を出そうと奮闘していたとは思いますが、どうしても動きすぎる傾向があって味方とポジショニングがかぶってしまったり、逆にネガトラ時にいて欲しいところにいなかったりと、ちょっと周囲とのマッチという点では微妙な感じで前半のみとなってしまいました。

これで明確に阿部ちゃん、長澤さんのダブルボランチにして、興梠さんをワントップに、柏木さん、武藤さんを2シャドーの並びに変えてきました。興梠さんと武藤さんを縦関係にして前線の連携に少し変化を加えた形。

その後の交代もかなり早めに、58分、菊池さん→ナバウトさん(武藤さんをウィングバックの位置に出してナバウトさんを武藤さんがいた位置へ)、橋岡さん→ウガと両ウィングバックを一気に2枚替え。リスクをとって早めの交代カードを切った形ですが、橋岡さんも菊池さんもマッチアップする湘南のワイドに対して優位に立てたとは言えず、早めに見切ったベンチの判断は妥当だったかなと思います。

この選手交代後はナバウトさんが持ち前の推進力を活かして積極的に縦に仕掛けることで多少ウチの攻撃が活性化された感はありますが、根本的な部分で攻撃面が整理されていないため、個人の能力に依存した攻撃にしかならず、パスも前述したとおり各駅停車でボールを受けてから次を探しているような状態では相手ディフェンスをずらすようなところまではいかず、押し込んだものの完全に崩すまでには至らず、窮屈なシュートを無理矢理放つくらいで決定機と言えるようなシーンもないまま終盤へ。

試合終了間際にはマウリシオさんを上げて(阿部ちゃんを最終ラインに)のパワープレーを選択しますが、結局同点に追いつくことはかなわず残念ながら柏戦に続いて連敗という結果になってしまいました。なんか湘南さんには21年ぶりくらいに負けたらしいっすね。そんなに負けてなかったんだという驚き。

さて、柏戦のレビューでも書きましたが、やはり当面の課題は攻撃面の構築。フォーメーションを慣れ親しんだ3バックに戻したとはいえ、攻撃に関しては堀さんの元でやっていた足元のパスを繋ぐやり方に、中途半端に個人の感覚でフリック入れたりみたいなことをやっているだけなので、堀さんの時から課題だった「どうやって点を獲るか」という点に対して全く答えは出ていません。

これは大槻さんが監督を引き継いだ状況でも同じで、ある種ショック療法と短期に集中したやり方で一時的にチームを立て直したものの(大槻さんの仕事自体は素晴らしいものだったので全く文句なしです)、根本的な解決策は見つからないままオリヴェイラさんにチームが引き継がれ、ここにきて連戦の疲労が溜まる中で振り出しに戻ってしまっている状態。ここをどう打開するのかがオリヴェイラさんに求められている点ですね。

とはいえ冒頭に書いたとおり、まともなトレーニングをする時間もない今の状況ではそう簡単ではありません。オリヴェイラさんも多少時間はかかる覚悟で、選手交代や終盤のパワープレーなどを試しつつ、色んな可能性を探っている段階でしょう。

現実的には来週末の鹿島戦が終わって、ミッドウィークの試合がルヴァンカップになる5月第2週、第3週の14節(ホーム鳥栖戦)、15節(アウェーガンバ戦)辺りまでは今の状況で乗り切るしかない気がしますが、よりによってその前に対戦するのが川崎や鹿島ってのは...... まぁそこは言っても仕方ないのですが、1つ勝てば多少は流れも変わると思いますので、とにかく我々はサポートに集中しましょ。

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試合データ

観客: 33,132人
天候: 晴
試合結果: 浦和 0-1 湘南(前半0-1)
レッズ得点者: -
警告・退場: -
主審: 山本 雄大 氏
順位:14位(3勝5敗3分/勝点12/得失点差-2)

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