2018 Jリーグ 第4節 埼玉スタジアム2002 横浜F・マリノス戦
ミッドウィークに開催されたルヴァンカップの第2節では、開幕から公式戦4連敗中だったガンバ大阪を相手に4失点するっていう完敗を喰らい、チームを取り巻く雰囲気もなかなか厳しい状況に追い込まれている今日この頃ですが、3月連戦の最後となる今節は、ウチ同様、リーグ戦では今シーズンいまだ未勝利という横浜F・マリノスをホーム埼スタに迎えて。
マリノスさんも今年からポステコグルー監督が新たに就任してチーム再編の真っ只中。丁寧にパスをつなぐポゼッションサッカーを指向する中、まだ完全にチーム戦術が浸透しない状況からかアタッキングサードでの精度がまだまだだったり、パスを繋ぎに行った結果、要所でミスして失点するなど、リーグ戦ではいまいち勝ちきれない試合が続いています。
しかし、対戦相手や時間帯によっては流動的なパスサッカーの片鱗を見せるなど、現状のウチにとってはかなり厄介な相手。とはいえ、ウチとしても状況的にホームで勝利必須な対戦となりました。
さて、今日のスタメンは最終ラインに菊池、マウリシオ、槙野、ウガ。アンカーに青木、インサイドハーフに長澤、柏木、両ワイドに武富、武藤。ワントップに興梠。GKは西川。
ルヴァンカップのガンバ戦、前半のみで交代した遠藤さんは右股関節部筋損傷で2週間の離脱(なのに代表には帯同させられるんですって......)。ヒラさんが別メニュー調整中、森脇さんも負傷から練習復帰はしているもののまだコンディション調整中という、右のSBやる人がいねぇよという状況でしたが、今節ここに入ったのは菊池さん。また、ルヴァンカップで移籍後初ゴールを決めた武富さんがスタメン(右ワイド)に名を連ね、右サイドはリーグ戦では初の組み合わせに。
対するマリノスは、ウーゴ・ヴィエイラ選手をトップに、両ワイドに韓国代表のユン・イルロク選手、年代別代表でも活躍する遠藤渓太選手というかなり強力なアタッカーを配置した、4-1-2-3 でのスタート。つまりシステム的にはウチと同じということですね。
冒頭にも書いたとおり、マリノスは丁寧にパスを繋ぐポゼッションサッカーを指向していて、特にディフェンスラインの選手にとっては今まで前に向かって蹴っていたシーンでも後方から繋いでビルドアップするという、ちょっと未経験なことが求められていますから、特に前半に関しては前線からプレスをきっちりかけてやれば、ミスで引っかけてカウンターというのは狙いやすいかなと思っていたのですが、その意図は見られる立ち上がりになりました。
また、今日はちょっと今までと違うやり方してたんですね。立ち上がりからワイドの武富さんが興梠さんと並ぶ形で前線に2トップっぽくポジションをとり、長澤さんが右にずれる形で中盤に青木さんが入ると、4-4-2 のような形を作って攻撃を組み立てるやり方をしていました(もちろん状況によって柏木さんが最終ラインまで下りたり、青木さんが最終ラインに落ちて3バックにしてみたりと従来のやり方と併用という感じでしたが)。
これは特にマリノスの最終ラインがかなり高い位置をとってくることは事前にわかっていたので、中盤を厚くして前線からプレスをかけ、そこで奪って裏のスペースに興梠さんや武富さんが飛び出していくことを狙ったんじゃないかなと思います。相手のCB、2枚に対して2トップで人数合わせてプレスを当ててやればハメやすいですからね。立ち上がりに関してはある程度その狙いが出せていたんじゃないでしょうか。
ただ、前で引っかけるにしてもちょっとウチのプレスのかけ方には連動性がなく、前線が個別にプレスかけに行ってしまう感じなのでなかなかボールの奪いどころが定まらず、マリノスにうまく外されて形を作られるケースもあり、やりたいことと、それを実現するためにやるべきことが整理されていない感が出てしまいました。
また、前線が前掛かりに行くのに対して最終ラインがなかなかついていくことができず、時間が経つにつれて最終ラインと前線が間延びしてしまったことでさらにプレスがハマりにくくなると、中盤の主導権はマリノスに握られる展開に。
攻撃面に関して、相手の高いバックラインの裏のスペースをある程度シンプルに狙っていくというやり方は悪くなかったと思いますが、どうしてもパスの出し手と受け手の1対1の関係でしかボールが動かないし、味方が連動してスペースを作ってあげるとか、相手ディフェンスを引っ張るような動きがほぼなく、マリノスのディフェンス陣としても対応がしやすい状況が多かったのではないかと思います。
この辺はもう去年から何度も同じ事を書いている課題ですが、もう少し複数人で連動して仕掛けないと、相手のディフェンスラインにギャップも生まれにくいですし、ラインがきっちりそろっていればオフサイドに引っかかる可能性も高くなるのでもうひと工夫が必要かなという印象でした。
ちなみに、得点にはつながらなかったですが、右サイドに入った菊池さんのオーバーラップは、特に前半は効果的に機能していたかなと思います。マリノスがある程度サイドは捨てる守備の仕方をしていたので(マリノスは中央にデカいCBがそろっているので、横からのクロスに関しては強いため)、うまく中央に起点を作った上でサイドに振ってやれば、左右のSBがオーバーラップするスペースはあったのですが、あとはそこからのクロスに対して中がどうマークを外す動きができるかですね。
とはいえ決定機は少なく、後半は運動量が落ちて......
で、前半に関してはある程度狙った形を作れていたとは思いますが、裏への抜け出しはことごとくオフサイド(理由は前述の通り)、なかなか中盤のコンパクトネスも保てず、決してウチが主導権を握っていたわけではありません。結局はワンプレー、ワンプレーをまだ考えながらやっているウチはプレースピードが遅く、球離れも悪くなる傾向があって無理なドリブルやミスからボールロストするシーンも相変わらず目立ちました。
それに対してマリノスは、まだまだやるべきことを不慣れながらもやり抜こうと試行錯誤している様な状況ながら、常に各選手が動いてパスコースを作ることは怠っていませんでしたし、それによって着実にウチのゴール前に迫り、決定機に関してはマリノスの方が多い展開に(西川さんに2点は救われました)。
ある程度狙いが出せている前半に先制点を取れていればまた試合展開も変わったかもしれませんが、惜しいシーンはあったものの決定機と呼べるようなシーンは少なく、マリノスが作った決定機も西川さんの活躍で何とかしのぐと両チーム無得点のまま後半に折り返し。
後半は徐々に運動量が落ちると、中盤のコンパクトネスはさらに失われ、オープンな展開に。最終ラインが引いてしまうことで、ボール奪取位置が低くなってしまうと、そこから前に出て行くのにパワーが必要になりますが、なかなか後ろが重たくて全体を押し上げられない→前線や中盤でサポートがなくボールロスト→押し込まれるの繰り返しで悪循環になってしまいました。
そんな中、63分には長澤さん→直輝と、最初の交代カードを切ります。直輝さんは復帰後初出場ですね。さらに79分には武富さん→ズラタンさんとして、興梠さんを左ワイドに、柏木さんとズラタンさんを並べる形で前半からやっていた2トップの形を維持します。
ところが、この直後の81分、ウーゴ・ヴィエイラ選手に決められて失点。ウチの右サイドから山中選手にドリブルでバイタルエリアを横切るように仕掛けられると、逆サイドのウーゴ・ヴィエイラ選手にボールが渡ったところでマークに付いた興梠さんを振り切る形でシュートを流し込まれる形。
相手のドリブルに対してマークの受け渡しがうまくいかずに対応が後手に回ったこと、さらに山中選手のドリブルと連動して途中交代で入っていた吉尾選手が縦に仕掛ける形でマウリシオさんを引っ張ると、さらにマリノス右ワイドの遠藤選手がウガを引っ張る形で中に絞ったことで、それに連動して中央から少しサイドに流れたウーゴ・ヴィエイラ選手がフリーに。
危険を察知した興梠さんがなんとか付きに行きますが、遅れたことで先にボールを触られてしまってはどうしようもなく、右足でファーサイドに流し込まれてしまいました。今節も先に失点して苦しい展開。
86分には足をつった興梠さん→荻原さんとしますが、時間短く効果的な交代ともならず、そのまま逃げ切られて試合終了、またもホームでの勝利はおあずけという結果に。トンネル長いっすね......
オフザボールの動きは少なく、無駄走りが多いジレンマ
前半からそうだったのですが、前からプレスをかけたいという意図はわかるものの、じゃあどこで、誰が、どのようにプレスのスイッチを入れて、チーム全体でどうやって相手を網にかけるのかという明確な意図は見えず、各選手がバラバラにプレスをかけにいっているような状況。一見、運動量が多いように見えますが、チーム全体で明確な意図を持って走らないならそれはただの無駄走りです。
一方で自分たちがボール保持している状況では、ボールホルダーとそのパスを受けたい選手以外はオフザボールでほぼ動かず、前で張って待っているだけだったりするわけですが、上げるべきはこちらの運動量ですね。
例えばマリノスさんの先制点は上で詳しく書きましたが、ドリブルで仕掛けた選手にきちんと複数人が連動し、相手ディフェンスを引っ張ったり、スペースを作る動きができたことでウチのディフェンスラインが完全にずれました。失点時、ウチのディフェンスラインには十分な人数がそろっていたわけですが、相手の連動したオフザボールの動きに引っ張られたことでスペースができたわけです。ウチはこういう当たり前のことが今はできていない状況なので、なかなか崩すところまではいけないわけですが、この状況がずーっと変わらないあたり、結構深刻です。
簡単に言ってしまえば、攻守にわたってチームとしての意思統一がまだまだできていない印象で、各選手がバラバラに戦っている状態。もちろん選手の1人1人は全力で戦ってくれているのですが、それらがチームの力として相乗効果を生むような状態には全く達していない。いくら個の能力が高い選手がそろっているウチでも、各選手の力がチームとして機能しなければ、実力が拮抗したJリーグで勝ちきることは難しいでしょう。
これを改善するには時間をかけてチーム戦術の浸透を待つか、監督を交代するなどの大きな変化を加えるか、どちらかになると思います。堀さんを交代させるとしても、じゃあ次誰が? というのが大きな問題としてありますから、そう簡単な話ではありません。
とはいえ堀さんに監督交代してからすでに8ヶ月程度が経過しようとしており、使った時間に対して現状で出ている成果はさすがにトップチームで許容できるレベルでもない気がします。クラブがどういう決断をするのかわかりませんが、現体制を継続するにしても、体制を変えるにしてもどちらも大きなリスクをとることになるのは明かですので、難しい決断になるだろうなと。
とか言ってたらクラブ的には堀さん続投で確定みたいですね。公式な発表ではありませんが、淵田社長のコメントとして報道されています。
さて、これで一旦は中断期間に入りますが、4月に入ると、毎週ミッドウィークと週末に試合が入る、地獄の連戦月間に突入です。まずは4月1日のアウェー、磐田戦(第5節)がスタートになりますが、これが始まっちゃうと5月19日の第15節、アウェーのガンバ戦までノンストップです。この連戦に入る前になんとかトンネル脱出の道筋くらいは見つけて欲しいところです。
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試合データ
観客: 33,168人
天候: 晴
試合結果: 浦和 0-1 横浜FM(前半0-0)
レッズ得点者: -
警告・退場: ウガ(警告×1/ラフプレー)、武富(警告×1/ラフプレー)
主審: 山本 雄大 氏
順位:17位(0勝2敗2分/勝点2/得失点差-2)
おまけ
浦和美園駅にできたっていうキャプテン翼のステンドグラス、ちょうど通ったので見てきた。
そういえば浦和美園駅通ったからステンドグラス見てきた pic.twitter.com/UirH1XG1rC
— Yoshiki Kato (@burnworks) 2018年3月18日
あと峠の釜めし、スタジアムに持ち込める紙のどんぶり仕様で売ってるんですね。初めて買ったけど、よかった。
そして今日のスタジアム飯は峠の釜めしじゃ(スタジアムに持ち込めるように紙のどんぶり仕様) pic.twitter.com/urzrCYKCF1
— Yoshiki Kato (@burnworks) 2018年3月18日
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