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2017 Jリーグ 第22節 ヤンマースタジアム長居 アウェー セレッソ大阪戦

天皇杯の熊本戦以降は、親善試合でのドルトムント戦啓太さんの引退試合を挟む形でしばらく公式戦はお休みでしたが、再開後の初戦は現在首位のセレッソ大阪と、敵地、大阪に乗り込んでの対戦。

なお、今節は8月15日にスルガ銀行チャンピオンシップ2017 シャペコエンセ戦が開催される関係で、他のチームが8月13日に行う予定の第22節を前倒しての変則開催になっています。

中断前の状況はお世辞にもよい状況とは言えず、この中断期間でどの程度出ていた課題を修正できたのかが試される首位との対戦でしたが、まぁなんていうか課題は一切解決されることなく、運動量でも相手に上回られる状況でほとんどいいところもない4失点での敗戦。状況が好転する見込みも立たない厳しいアウェーゲームとなってしまいました。

今日は大阪行けなかったのでおとなしくおうちでテレビ観戦です。現地行かれた方々お疲れ様でした。

さて、今日のスタメンは最終ラインに森脇、遠藤、槙野。ボランチに阿部ちゃん、柏木。両ワイドにウガと関根。ラファエル・シルバ、興梠をシャドーに、ズラタンのワントップ。GKは西川。

今回は前線トライアングルを少しいじってきましたね。ドルトムント戦のレビューでも書いたんですが、純粋な並び的には興梠さんがワントップ固定がベストだと思っていて、ラファさんをシャドーにというのが見てみたいとは思っていたのですが、実際に公式戦で試すには守備面での問題などもあって難しいだろうなとは思っていました。ところが今日のスタメンはラファさんをシャドーでスタートさせる並び。ちょっと驚きました(と同時に大丈夫かよと思ったらあんまり大丈夫じゃなかったわけですがその件は後述します)。

スタメン見て、ワントップはズラタンさん、興梠さんとラファさんがシャドーに入る形かなと予想しましたが、実際には興梠さんがワントップに入って、シャドーでラファさんとズラタンさんが動く感じのやり方になっていました。ちなみにズラタンさんは今シーズンのリーグ戦初スタメンですね。

対するセレッソは杉本選手をワントップに置いた4-2-3-1。トップ下にサイズのある山村選手、テクニックとドリブルに優れる柿谷選手を左サイドに、運動量とクロスの質が高い水沼選手を右サイドに配置した布陣。守備時には4-4-2でブロックを作るやり方で、奪ってからウチのボランチの両サイドのスペース(遠藤さんと森脇さん、槙野さんの間ともいう)を狙ってくる形。

で、基本的にセレッソがどうこうよりも、ウチの問題点が多く出た立ち上がりになりました。まず攻守転換時の切替えが圧倒的に遅い。またシャドーにズラタンさん、ラファさんという比較的運動量の少ない選手を置いてしまっていることで前線でボールロストした際のファーストディフェンスがほぼ機能せず。パスコースを限定できないのでボランチのところでのフィルターも効かず、簡単に最終ラインの間に縦に入れられてしまうのですべて守備が後手に回る状態に。

それでも最終ラインで球際強く行ければいいのですが、そこもワンタッチプレーなどで外されてしまうし、なんとか引っかけても余裕のある奪い方ができないのでクリアも中途半端。結果としてセカンドボール拾われて2次攻撃を喰らうという流れから、開始早々に2失点。

ソウザ選手のクロスが柏木さんに当たってこぼれたボールを(浦和から見て)左サイドで水沼選手に拾われた時に、ゴール前のマークを確認するでもなく全員がボールウォッチした挙げ句、簡単に中で杉本選手に合わせられた1失点目、右サイドでボールを持った柿谷選手に対する寄せが甘くなったところをフリーでクロス上げられて、中央で同じく杉本選手に頭で合わされての2失点目、どちらもゴール前に人数はそろっていながらボールホルダーに対する寄せが甘くなったところでフリーでクロス上げられ、中では簡単にマークを外してしまってやられるという、守備をしているようでしていない安い失点。同様の失点が繰り返されるあたり、状況は何も改善していないことがよくわかる開始10分でした。

18分には、森脇さんからのクロスをラファさんが頭で落として興梠さんが絶妙なボレーシュート。これを相手GKが弾いたボールにズラタンさんが詰めて1点を返しますが、1点返して喜んだのもつかの間、27分に山口蛍選手にミドル、35分には丸橋選手にペナルティエリア内で胸トラップされるとそのままハーフボレーのような形で叩き込まれて前半だけで4失点。ほぼ試合が決まってしまいました。

山口選手のミドルは、一旦クリアしたボールが興梠さんに渡るも3人に囲まれて潰されますが、攻守転換した瞬間、至近にいた柏木さんは山口選手にプレスにも行かず簡単にドリブルでの持ち出しを許すと、危険を察知した遠藤さんが慌てて最終ラインからシュートブロックに飛び出した時にはすでに手遅れ。ほぼフリーで放たれたグランダーのシュートは遠藤さんの股下を抜けてゴールへ。丸橋選手の4点目も一旦はじき返したボールを拾われてからの2次攻撃でサイドからのクロスにマークがズレたもの。

振り返ればすべてカウンターで人が足りない状況からやられたわけではなく、全失点がしっかりブロック自体は作っている状態でやられているわけで、ゴール前でのマーク確認、ポジショニング修正、ボールホルダーへの寄せといった基本的なところができていない結果です。人はいるけど、逆に言えば人がいるだけで守備組織を成していない状態ですから、どうしようもない感じですね。

で、こういうブロックを作った守備(要するにゾーンディフェンス)ができないのは別に驚くことではなく、元々ミシャさんはそういう組織的な守備を構築する気が無いので当たり前っちゃ当たり前のこと。ミシャさんが守備面での練習をしないことは周知の事実ですが、攻撃面での連動性、ポジショニングとそのバリエーションを徹底してすり込んでいく一方で、守備に関しては個人の自主性と能力にまかせた守備(要するに両ワイドを吸収した5バックや時にはボランチも下りる6バックで人を並べて、ゾーンではなくマンツーマンで守らせておけば何とかなるでしょという守り方)で今まで何とかしてきたわけで、ここに来てそれが機能しなくなっているのは選手の加齢、疲労、メンタル的な問題を含めたパフォーマンスの低下? 色々あるとは思いますが、同じ人を使っている限りは劇的に改善することはないでしょう。

一方でじゃあ人を代えればいいんじゃないのと思うかもしれませんが、攻撃面で求められるタスクを今のレギュラーメンバー以上に、最低でもほぼ同レベルでこなせる選手が今のところいないため、今度は攻撃面が停滞することになります(現時点で問題なく最終ラインに交代では入れるのって那須さんかヒラさんくらいでしょ。あとはウガのポジションチェンジ)。

ミシャさんが組織的守備の構築を重要視しないのは、自分たちがボールを保持して攻撃の時間が長ければそもそも守備にさく時間は少ないはずという理屈ですから、攻撃面が停滞してしまえばその根本が揺らいでしまいます。当たり前ですが点が取れなければ試合には勝てませんし、ウチの選手構成も目指すサッカーから逆算してそろえてるわけで、とにかく引いて守ってという守備に向いている選手もいなければ、その状態でボール預ければ1人で点取ってくれるようなFWもいませんから、やり方を変えることはほぼ無理だと思った方がよいでしょう。

もちろんショック療法で思い切って選手を入れ替えてみるっていうのもありかもしれませんがかなりの博打になりますしね......

ってここまで書いてて詰んでる感じがすごいんですが、やはり、根本的には相手に走り負けて勝てるサッカーではないことは確かだと思いますので、そこの運動量を上げてくしかないんじゃないですかね。実際今日の試合でもチーム走行距離がセレッソさんの108.755kmに対して、ウチは104.905km。スプリント回数もセレッソさんの138回に対して100回と、運動量で負けていることはデータでもわかります。

もちろん、闇雲に走ればいいというものではありませんし、やっているサッカーの特性上、日本の夏のような過酷な環境ではウチの方が消耗が激しいという可能性はあるかもしれませんが、中盤でのプレスによって相手の攻撃の芽を摘む(つまりブロックを作った守備ではなく前からのプレスで相手をハメて奪いきる守備)と同時に、そこからのショートカウンターでサイドや前線の攻撃力を活かすサッカーをやっているチームが、相手より走らなければそりゃ勝てませんよねという当たり前の結果が今の現状だと思いますので、ここをどう上げていくのかが鍵になりそう。

話を試合に戻しましょう。

前半で4失点という最悪の流れでしたが、前半ロスタイムにラファさんが半ば強引にぶっ放したミドルシュートが決まって1点を返し、2点差として後半に折り返します。2点取れたことは喜ばしいことなんですが、1点目はまだしも、2点目は完全に個人技のレベル。いつのレビューだったか、ちょっと前に前線トライアングルの連動性がなくなってやべぇって話を書いた気がしますが、前線トライアングルのコンビネーションが消えてしまって久しいまま、これも復活の兆しがみえないですね......

前半はセレッソが4バックでやってたことで、うまくサイドチェンジができればサイドでの1対1も作りやすく、ああいう形で早い時間帯に複数失点していなければ、もう少し丁寧に左右に振ってスライドがズレたところで中央でみたいな崩しができたかもしれませんが、やっぱり先に2失点もしてしまうとゲームプランどころじゃなくなっちゃいます。

で、まずはあと2点返さないといけない状況の後半ですが、15分経過した頃からセレッソが山村選手を下げての3バックにして、守備時5バックでサイドのスペースを消しに来るやり方をされてしまったため、ボール保持率は圧倒的にウチながら、相手の守備ブロックの外側でボールを回している(正確には回させられている)状態からの単調なクロスくらいしか攻撃のバリエーションがなく、高さのあるセレッソの最終ラインにはじき返されるという繰り返し。正直ほぼ見どころもないまま時間を消費し、そのまま2点差で試合終了となってしまいました。

こちらの交代カードはすべて後半に3枚。ハーフタイムに森脇さん→那須さん、ウガ→駒井さんと2枚交代。那須さんを最終ライン中央に入れて森脇さんのところに遠藤さんを移動する形。ウガのところは駒井さんを右サイドに入れて、関根さんを左に移動させるいつものやり方。

さらに83分には関根さん→ウメとしますが、相手が5バックにしてサイドのスペースは消えてる、ラインも高く設定せずに裏のスペースもないという状態でウメを入れてもそれ程活きるシチュエーションが思い浮かばず。個人的にはミドルレンジでのパンチ力があり、コーナーキックも蹴れる高木さんの方がよいのではと思ったりもしましたが、まぁ結局前述の通り特に見せ場もないまま終わってしまったので残念だったなと。

ということで、もう酒飲んで忘れるくらいしかなさそうな試合ではありますが、お次は引き続きアウェーゲーム。北海道にお邪魔して、コンサドーレ札幌さんとの対戦となります。久しぶりに北海道遠征行けるの楽しみにしてたわけですがチームがこんな状況だと心配になりますね...... ま、とにかく次に向けてしっかりトレーニング積んで、サポーターのせっかくの北海道遠征が楽しい思い出になるよう、選手達にはがんばって頂きたいなと思います。

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試合データ

観客: 32,711人
天候: 晴
試合結果: C大阪 4-2 浦和(前半4-2)
レッズ得点者: ズラタン(18分)、ラファエル シルバ(45+1分)
警告・退場: ラファエル シルバ(警告×1/ラフプレー/次節出場停止)
主審: 扇谷 健司 氏
順位(第22節終了時点/暫定):8位(9勝8敗2分/勝点29/得失点差+11)

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Yoshiki Kato / burnworks
Yoshiki Kato
埼玉県出身。サッカー、フットサル (観戦 / プレー)、モータースポーツ観戦、格闘技 (主にボクシング) 観戦、インターネット、音楽鑑賞、筋トレ、腕時計収集が趣味。サッカー 4 級審判員、ウオッチコーディネーター(上級 CWC)資格認定者。好物はゼリー、グミ、お酒、ラーメン。