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2021 Jリーグ 第24節 浦和駒場スタジアム サガン鳥栖戦

2021 Jリーグ 第24節 浦和駒場スタジアム サガン鳥栖戦

オリンピック開催に伴う中断期間明け、一発目となった前節のアウェー札幌戦は少し悔しい敗戦となってしまいましたが、気を取り直して迎える第24節は、ホーム浦和駒場スタジアムにサガン鳥栖を迎えて。そういえば駒場でのリーグ戦開催は12年ぶりなんですね(2009年6月27日に行われたJ1第15節 神戸戦以来だそうです)。

鳥栖は第23節終了時点で勝点「41」の3位、一方のウチは勝点「35」ということで、その勝点差は「6」。上位の鳥栖を相手に直接対決で勝点3を奪えれば、一気に勝点差は「3」まで縮まるということで、ここは負けられない重要な一戦。

お互いに選手の配置で相手より優位な状況を作り出そうとするポジショナルなチーム。ただしチームとしての完成度は鳥栖に一日の長ありで、前回、アウェーでの対戦では第2節での対戦ということもあり、その完成度の差をまざまざと見せつけられる形で 2-0 完敗。そこから約半年間を経て、完成度の差がどこまで埋まったのか、きっちり前回対戦の借りを返すことができるのかにも注目です。

スターティングラインナップ

2021 Jリーグ 第24節 浦和駒場スタジアム サガン鳥栖戦 スターティングラインナップ

さて、今節のスタメンは新加入選手がスタメン、ベンチに入ったことで前節とは大きく変わりました。

最終ライン、左から西さん、槙野さん、岩波さん、ついに浦和デビューとなる酒井宏樹さん。ダブルボランチに伊藤(敦)さんと新加入の平野佑一さんを配置。左SHに大久保さん、右に達也さん、トップ下に江坂さん、1トップに明本さんを置いた 4-2-3-1 スタート。GKは西川さん。サブのメンバーとしてはウガ、新加入のアレクサンダー・ショルツさん、汰木さん、柴戸さん、関根さん、興梠さん、それに彩艶さんが控えます。

個人的には酒井さんや平野さん、あとショルツさんが試合に絡み出すのにはもう少し時間がかかるかなと思っていたんですけども、できればホームゲームでデビューさせたいと考えたときに、今節を逃すと次のホームゲームが今月25日の広島戦まで待たないといけなくなることを考えると、今節のデビューは妥当だったのかもしれません。

ショルツさんは試合展開もあってラストの時間稼ぎ交代を兼ねて最後数分の出場にとどまりましたけども、先発した酒井さん、平野さんに関して、酒井さんはまぁ能力はわかっていたので驚きはないですが(と言いつつも目の前でプレーみるとその強度やスキルはすげぇなと思いました。しかも多分まだトップフォームではないと思われるのに)、個人的に平野さんはいい選手だなと感じました。

詳しくは後述しますが、新戦力、公式戦で初めて組み合わせる選手がいる中で上位の鳥栖に挑むっていうのは多少、賭けの要素もあったと思います。うまくいけばいいですけども、結果が伴わなければなんであの選手外したんだとか言われるわけですし。その中で、結果も出て、さらに新加入選手がうまくハマる予感を感じさせてくれたのは大きな収穫だったなと思います。

それから、2試合連続でベンチ外になった小泉さんですが、今節の試合後インタビューでリカさんから「コンディション不良」というコメントがありましたね。まぁそうでしょうね、という感じではありますが、シーズンを通してみれば主力級が怪我や代表戦への参加などで不在になる時期というのは必ずありますから、この機会にきちんとチームとしての総合力を上げていってもらえるといいなと思います。

ビルドアップのスムーズさ、決定機数では鳥栖に軍配、しかしスコアでは上回る

試合に話を戻しましょう。

対する鳥栖は、最終ライン左から、大畑 歩夢選手、エドゥアルド選手、島川 俊郎選手。アンカーの位置に樋口 雄太選手、左のWBに中野 嘉大選手、右に飯野 七聖選手。2シャドーに仙頭 啓矢選手と白崎 凌兵選手を配置し、2トップが小屋松 知哉選手、山下 敬大選手という組み合わせの 3-3-2-2。GKは朴 一圭選手。

鳥栖も中断期間中に林 大地選手がベルギーへ移籍、松岡 大起選手が清水エスパルスに移籍するなどチーム中心選手の離脱がありましたが、同時に岩崎 悠人選手を札幌から、白崎 凌兵選手を鹿島から期限付き移籍で獲得、さらに小泉 慶選手を鹿島から完全移籍で獲得するなど足りない穴は適切に埋めてきた印象。

鳥栖のビルドアップは、最終ラインが左にスライドする形でエドゥアルド選手と島川選手が2CBのような持ち方。そこにGKがサポートすることで最終ラインでは3枚回しになります。左ストッパーの大畑選手が高い位置を獲るのに押される形で左WBの中野選手がインサイドに、それに押される形で2シャドーの仙頭選手が少し落ちつつアンカーの樋口選手とセントラル。なのでぱっと見 4-4-2 のように見える形でのボール保持を基本としていました。

鳥栖は少なくとも前半に関しては守備ブロックも右WBの飯野選手だけが落ちる形で 4-4-2 もしくは 4-3-3 ブロックを作っていたので、鳥栖同様に西川さんを含めて相手の守備ブロック1列目に対しては数的優位でボール保持するウチとしてはうまく相手2トップの両脇から前進する形を作れればというところで、前半、非常にいい立ち位置を獲ってたなと思ったのが新加入の平野さん。

お恥ずかしい話、私、移籍前のJ2での平野さんのプレーをほとんど観たことがなくて、ほぼ今回が初見だったんですけども、まだ一部トップカテゴリーのプレス強度やプレースピードに慣れていない感はあるものの、相手2トップの裏にうまくポジションを獲ってボールを引き出すと、素早く前方、縦のパスコースを突いていく姿勢は素晴らしいなと思いました。中盤の底で常にチャンスメイクできるパスコースを意識しながら自分のポジショニングを決めていけるというのはまさに欲しかったボランチ像なんじゃないでしょうか。楽しみになってきました。

で、鳥栖が4バックでブロックを作ってくれたことで、ウチにとっては比較的サイドのスペースを使いやすい状況が生まれましたけども、前述の通り、平野さんがいい位置でボールを受けて前を向けると、そこから直接、もしくは2列目の江坂さん経由でサイドの裏を達也さんが突くことでアタッキングサードに侵入することはできていました(逆にいえば左サイドはあまりこの形で大久保さんが裏に抜けるシーンは作れなかったですね)。ただ、それで決定機が多く作れたかというとそこまでではなく、最終ラインでのボール保持で鳥栖がうまく同サイド圧縮でプレスをかけてきたときにハマっちゃうシーンも多く、ビルドアップがスムーズだったかといえば微妙。

とはいえ、うまくボールが前進できない時はある程度割り切って裏に蹴ることでプレス回避、最前線で対人の強さがある明本さんのポストプレー、あるいは両サイドのスピードを活かしてチャンスメイクを狙いつつ、鳥栖のビルドアップをうまく引っかけた時はショートカウンターから相手ゴールに迫るという形である程度うまく戦えたかなというところでしょうか。

一方で鳥栖はさすがに良くデザインされたボール保持をしていて、例えば鳥栖左サイドなら幅をとる大畑選手がウチのSHの裏にポジショニングしつつ、インサイドに絞った中野選手がハーフスペースでボランチの脇や最終ラインとの間の中間スペースにポジションを獲ってくるので、ウチのSHが絞れば外、ワイドを意識して立ち位置を獲ればハーフスペースに縦に一発入って来ちゃうし、じゃあってことで待ち構えようとすると2トップの脇から前進されたところで常に最終ラインの裏のスペースに駆け引きしている2トップにロングボールみたいな感じでなかなか的を絞らせてもらえず、改めてめんどくせぇ相手だなと。

ところがウチのチャンスが唐突に訪れます。36分、ウチの左サイドで鳥栖のスローインからこぼれたボールを槙野さんがダイレクトで前線に蹴り込みますが、このボールを江坂さんがうまく胸で明本さんに落とします。このボールにうまく裏に抜け出した明本さんがペナルティエリア内まで持ち運ぶと右足を振り抜いたグラウンダーのシュートを逆サイドネットに突き刺して先制。きっかけは相手のミスに近い感じでしたが、そこからワンタッチプレーを連続させて一気に相手最終ラインをブレイクしました。

いい時間帯に先制できたのでこのままリードして前半を終えたかったんですけども、少し雨が強くなってくる中の前半アディショナルタイム、鳥栖左サイドに一度スライドさせられたところから中央の樋口選手を経由して逆サイドで飯野選手がボール保持、そこからのグラウンダーの斜めのパスがペナルティエリア内でフリーになっていた小屋松選手に入ると、ワンタッチでフリックされたボールを中央で山下選手に合わせられて失点。完全に崩された形ですがもったいない。

後半立ち上がり、50分過ぎに江坂さんが中央、フリーでボール保持したところからカウンターぶちかまして、達也さん→逆サイド大久保さんの戻し→中央の江坂さんって流れで決定機を作りますが決めきれず。さらにその数分後にも西さんがちょっと雑目に蹴ったボールに飛び出した鳥栖のGK朴選手がちょっと目測を誤ったところで明本さんが頭でゴール方向に流したボールがもうちょっとでゴール、もしくは逆サイドの達也さんが触れれば、というところまでいきまいしたが、これも得点とはならず。ここだけ見ればなんかチャンスがきてるぞ的な雰囲気。

ただここ以降は鳥栖にボール保持されて耐える時間帯に。鳥栖の2トップ裏にポジションを獲る平野さんを2トップの1枚がうまく立ち位置を獲ることで消された上でサイドに誘導され、そこで一気にプレッシャーかけられて奪われるという流れが続き、思ったようなボール保持ができない状況に。あと記憶が定かでないですけども(現地でふと気がついたらそうなってたので)、鳥栖が白崎選手→小泉選手とした60分くらいの時間帯からですかね、鳥栖のディフェンスブロックが 5-3-2 に変更されていてサイドのスペースも消されたので、その辺も関係してウチは全くボールが前進しなくなっちゃいました。

ウチの選手交代は72分に達也さん→関根さん、さらに81分には平野さん→柴戸さん、大久保さん→汰木さんとしてサイドでの単独突破能力と中央でのボール奪取を狙ったような交代。ただチャンスは意外な形で。

81分の交代直前に左サイドで大久保さんが仕掛けたところを鳥栖の途中交代で入っていた小泉選手が引っかけてフリーキックを獲得。このリスタートから鳥栖ゴール前の混戦でハイボールが何度か行き来する中で明本さんが中野選手に蹴られてPKゲット。このPKを江坂さんがど豪快に叩き込んで移籍後初ゴールはこれが決勝点になりました。

江坂さんの得点が決まって試合時間は残り、アディショナルタイムを入れて10分弱。ここからは追加点を積極的に狙うというよりはいかに失点せずにしのぐかという戦い。アディショナルタイムには江坂さん→新加入のアレクサンダー・ショルツさんを投入し、3センターバック+サイドバックの5バック態勢で気合いの逃げ切り。上位、鳥栖を相手に苦しい時間帯もありつつしっかり勝点3をゲットという素晴らしい結果を出してくれました。

ということで、次は水曜日に天皇杯(アウェーというか京都開催)を挟んで週末はアウェーでの徳島戦。徳島はリカさんスタイルのサッカーでは先輩にあたるチームですし、順位的には下といっても侮れないチーム。アウェーでの2戦をしっかり勝ってホームに戻ってきてもらいたいものです。

2021 Jリーグ 第24節 浦和駒場スタジアム サガン鳥栖戦

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試合ハイライト

試合データ

観客: 4,704人
天候:雨 / 気温 20.9℃ / 湿度 90%
試合結果:浦和 2-1 鳥栖(前半1-1)
レッズ得点者:明本(36分)、江坂(84分)
警告・退場:-
主審: 木村 博之 氏
順位: 6位(11勝8敗5分/勝点38/得失点差+1)

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