2023 Jリーグ 第1節(リーグ開幕戦) 味の素スタジアム アウェー FC東京戦
写真は「DAZN」中継映像から引用
お久しぶりです。ついに2023年シーズンも開幕ですね。ひと足早く金曜の夜に川崎フロンターレ×横浜F・マリノスの試合が行われ、昨シーズンのリーグチャンピオンであるマリノスが勝利。マルノスと第2節に早速ぶち当たる我々としてはスカウティング的な部分も含めて開幕戦の内容に興味があったわけですが、川崎さんの前線駒不足感はありつつも、マリノスさんは今シーズンもさすがの強者ぶりで序盤から厳しい相手になりそう。
そんな次節の心配はとりあえず脇に置いておいて、我々の開幕戦の相手はFC東京。アウェー味スタに乗り込んでの対戦となりました。なんていうか、対FC東京、アウェーというと、データ的には相性がよいとされている対戦。直近10年間くらいでみてもウチが2敗くらい(引き分けはあれど)しかしてなかったんじゃないですかね。
なのでなんとなく楽観ムードが漂いそうな開幕戦ではありますが、FC東京はクオリティの高い選手を並べた最前線3トップ、強度のある中盤、高さと強さのある最終ラインと、戦力的には整ったチーム。アルベル監督体制で昨シーズンからの積み上げもあります。一方のウチは今シーズンから新体制となり、リカさん体制からの継続点はあるものの、実質的にはここからチームを再構築していく状態。
分があるのは相手ということで、ウチとしてはトレーニングキャンプを通じてチームに新しく落とし込んだ戦術が、実戦でどこまで形になるのか...... 期待も大きい反面、色々と様子見な部分も多い開幕戦となりました。ちなみに今シーズンの開幕戦はスケジュールがあわずテレビ観戦です。
スターティングラインナップ
さて注目の開幕戦スタメンは、最終ライン左から明本さん、ホイブラーテンさん、ショルツさん、酒井さん。ダブルボランチに岩尾さんと敦樹さん、左のSHに大久保さん、右にモーベルグさん、トップ下に小泉さんを配置し、1トップにリンセンさんを置いた 4-2-3-1 スタート。GKは西川さん。サブには犬飼さん、大畑さん、関根さん、柴戸さん、松崎さん、興梠さん、そして彩艶さんが控えます。
驚きだったのは、今シーズン新加入した期待のCB、ホイブラーテンさんがいきなりの先発メンバー入りという点。合流して時間も経っていませんでしたし、コンディション的な問題からもう少し時間かかるのかなと思っていましたが、これはうれしい誤算。犬飼さんもそうですが、左利きのホイブラーテンさんが左CBに入ることでショルツさんが本来彼の利き足が活かせる右CBという並びにできることは大きい。
左のSBに関しては大畑さん予想というのがメディアなどでも結構多かったと思いますが明本さんでスタート。注目のワントップ+トップ下の組み合わせはリンセンさん、小泉さんということでついにリンセンさんの本領が発揮される日が来るか。小泉さんがフィニッシュワークの部分でどこまで機能するかでチームの得点力が大きく変わってきそうです。
対するFC東京は、最終ライン左からバングーナガンデ 佳史扶選手、エンリケ トレヴィザン選手、木本 恭生選手、中村 帆高選手。アンカーの位置に東 慶悟選手、2シャドーに松木 玖生選手と小泉 慶選手。前線3トップは、左からアダイウトン選手、ディエゴ オリヴェイラ選手、仲川 輝人選手という並びの 4-1-2-3 スタート。GKはヤクブ スウォビィク選手。
立ち上がり今シーズン浦和が目指すサッカーの片鱗を見せるも得点ならず。後半強度が落ちた所で2失点完敗
キャンプ中のトレーニングマッチはちょろっと映像で観ただけで実際に今シーズンの試合を観るのは初めてなので、まずはどういう部分で昨シーズンと違いがあるのかなという所を観ていたんですが、まずボール保持局面での大きな変化として昨シーズン、ビルドアップ時に岩尾さんが2CBの間など、最終ラインまで落ちてボール受けてたような動きは一切なくなりましたね。
基本的に2CB+どちらかのSBで3バック、逆サイドのSBは高い位置に押し上げつつ、ボランチに関しては相手守備ライン1列目背中でCBからボールを受けられる立ち位置を獲るというのが基本のようです。その意味では昨シーズンまでのポジショナルな、立ち位置で優位性を獲りましょうという部分でやってきたことはそのまま活かせる形。
一方で昨シーズンのように相手のファーストディフェンスが出てこない場合にショルツさんがドリブルで持ち出すようなビルドアップを頻繁にするということはほぼなくなり、基本、2CBは最終ラインに構えてライン設定もそこまで無理して高くせず、前線はハイプレスを意識しながらも、最終ラインについてはリスクを軽減している印象を受けました(中継映像だとカメラが寄り気味になるので最前線から最終ラインまでの状況が同時に見えないんですけどね)。
ボランチ2人の立ち位置としては前述の通り、ビルドアップでも最終ラインまでサポートに行くような動きよりは中盤でパスを引き出し、前線へとリンクできるポジショニング。敦樹さんはモーベルグさんサイドのケアもあると思いますが、守備時にサイドまで出ていったりしていましたけど、岩尾さんは中央で前線を後ろから支える立ち位置で、この2人は攻守にわたって重要ながらさすがの安定感といったところ。
モーベルグさんは右サイドのスペシャリストということで基本は右に開いていることが多かったですが、トップ下の小泉さんと左サイドの大久保さんは状況によって立ち位置を入れ替え、大久保さんが中央から右サイドに流れたりみたいなことも。
リンセンさんはワントップとして常に相手ディフェンスライン裏のスペースに駆け引き。彼は動き出すタイミングやオフサイドに引っかからない動き方がうまい(まだ彼の動き出しのタイミングとパスが出るタイミングが合わずにオフサイドになっているケースが多かったので、まだまだブラッシュアップが必要そうな感じではありましたが)ので、2列目からのボールはもちろん、ホイブラーテンさんからのロングフィード一発で裏抜けするようなシーンもあり、この辺の連携がピタッとハマってくると面白くなりそう。
両SBにはかなりの運動量と縦に勢いを持ってハーフスペースに入ってくるような動きが求められているようで、その点で右の酒井さんは欠かせないピースになりそう(1年通してコンディションがキープできるかに注目)。左も明本さん、そして後半から投入された大畑さんにはそういう動きとラストパス、クロスの精度的なものが求められることになりそうです。
ボール非保持時についてはリンセンさん、小泉さんを最前線に残す 4-4-2 ブロックで、この辺は昨シーズン同様、というかオーソドックス。今回の対戦相手はアンカーがいるシステムだったので、小泉さんがアンカーの東選手をうまく消しつつ、相手2シャドーにはダブルボランチで蓋をする形で特に前半に関しては相手の前進をうまく阻止できていました。
前線プレスのスイッチは小泉さんが入れるケースが多いように見えましたが、いけると判断したら相手GKまで出て行っていたので、この辺はかなりアグレッシブ。無茶な特攻プレスは簡単にベクトルをズラされてプレス回避されるケースもありますが、小泉さんやリンセンさんは元々守備的な能力が高いこともあるでしょうし、キャンプでの仕込みの成果もあってか、うまく背中でパスコースを切りつつ寄せるということができていて、前線の選手に求められる守備のタスクとしては及第点の出来か。
ただ、もうちょいブロック作って相手に持たせるような状況と使い分けてもいいかなというのはあって、開幕戦はテンション高くなりがちなのでこれでよいとして、気温や連戦具合など、コンディションによってはペース配分が重要になりそう。実際に今節も後半は相手が少し立ち位置を変えたこともあってプレス回避されるケースが増えてしまいましたし(前述の通り最終ラインがあまり高くないので中盤が間延びすると簡単に裏っ返されてしまう)。
また、攻守転換、特にネガティブトランジション(攻→守の切り替え)については相当意識しているようで、インテンシティが高い。そこで奪い切れれば即座にシュートカウンターというのは約束事としてはっきりしているようでしたし、バチッとハマったときの切れ味は鋭そう。残念ながら今節は奪うところまではいいけど、フィニッシュワークまで持って行く作業で連携ミスや縦に急ぎ過ぎてバタついてしまう感はあってこの辺は今後の課題か。
と、まぁ初戦ながらチームが目指していることについてはある程度わかりやすく、わかりやすい分、練度を上げるのにそこまで時間はかからなそうと楽観できる部分もある一方でショートカウンター一発で仕留めるには前線にかなりのクオリティがないと厳しいよねという部分で昨シーズン同様の駒不足感(ずっとラストピース探し中......)もうっすらあったりなかなか難しい。
モーベルグさんもリンセンさんもまだトップフォームではないように見えましたし、ここからコンディションが上がってくれば爆発し出す可能性もあるので悲観することはないと思いますが、自信をつけるためにも早めに1つ結果が欲しいところですね。
後半は立ち上がりにFC東京が東選手を下げて(イエローカードを早めにもらってた影響か)安部 柊斗選手を投入。これでアンカーシステムをやめて、ダブルボランチ(松木選手と小泉選手)+1シャドー(安部選手)の並びに変更したように見えましたが、これで前線からプレスかけたときにダブルボランチ、もしくはその背中に落ちてくる安部選手のところでパスコース作られるようになって撤退させられるケースが増えちゃったんですよね。
撤退させられるとボール奪取位置がどうしても下がってしまうので、前線までの距離感の問題でなかなか効果的なカウンターは発動できず、徐々にFC東京にボール保持される展開に。
最初の失点は66分のオウンゴールですが、最後、小泉さんに当たってしまったのはペナルティエリア内まで頑張ってプレスバックした結果の不可抗力ということで小泉さんが気にする必要は無いと思いますけども、きっかけになった部分で大外に開いたバングーナガンデ選手からハーフスペースを縦に抜けてきた安部選手への対応で途中交代していた松崎さんの対応が遅れたことと、遅れた結果、無理に突っ込んでペナルティエリア内で不用意にスライディングしてしまったことで簡単に切り替えされてフリーでニアゾーンから折り返されたのが問題。ここの対応はちょっとよくなかったかなと思います。
まだ時間もありましたし、焦らず1点返せればよかったんですけども、試合を決めてしまったのは74分の2失点目。ディエゴ オリヴェイラ選手が後ろ向きにボール収めたところで潰しにいったショルツさんが潰しきれずターンされたしまったのが想定外。これで左サイドに途中交代で入っていた渡邊 凌磨選手がフリー。酒井さんが一時的にディエゴ オリヴェイラ選手と渡邊選手の2人をみなければならなくなったことで渡邊選手選手にパスが渡ったときにはワンテンポ遅れている状態。酒井さんも必死にシュートブロック入りますが、結果的には酒井さんでディフレクションしたことで西川さんにとってはノーチャンスなシュートになってしまった形。
酒井さんの対応はあれが精一杯だったと思いますし、まぁ欲をいえばショルツさんのところでディエゴ オリヴェイラ選手を離さなければというのはありましたけど、最終ラインに人数はそろっていただけにもったいない失点だったなと。
ウチの選手交代は4枚。56分のモーベルグさん→松崎さんは同ポジションでの交代。69分に小泉さん→関根さん、リンセンさん→興梠さんと前線をリフレッシュ。大久保さんをトップ下に移動して関根さんが左サイドへ。81分には酒井さん→大畑さんとして、明本さんを右SBに移動しつつ大畑さんを左SBに投入しますが、選手交代がポジティブに働いた感は残念ながらあまりなく、シュートチャンスもないままタイムアップとなってしまいました。
前半に見せた可能性の片鱗。一方で前半のよい時間帯もフィニッシュまで持っていけたシーンはほぼなく(オフサイドのケースが何回か)、後半は相手の修正に対してこちらが上回ることが出来ず、運動量が落ちた時間帯に失点して結果的には2失点完封負けと、初戦という部分をひいき目に見てもちょっと期待外れな感じになってしまいましたが、個人的にはこの時点では課題はあって当然ということで、よい時間帯に出せていた攻守転換速度やプレー強度をポジティブに捉えて次戦を待ちたいなと思います。
次戦はアウェーでマリノス戦なんで相手としては厳しいんですけど、思い切ってぶつかってもらいたいなと思います。
ということで、初戦は残念ながら結果が出ませんでしたけども、チームの成長を信じて今シーズンも楽しみましょう。
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試合ハイライト
試合データ
観客: 38,051人
天候: 晴 / 気温 14.2℃ / 湿度 30%
試合結果: FC東京 2-0 浦和(前半0-0)
レッズ得点者: -
警告・退場: 酒井(警告×1/異議)、モーベルグ(警告×1/反スポーツ的行為)
主審: 笠原 寛貴 氏
順位: 16位(0勝1敗0分/勝点0/得失点差-2)
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