2022 Jリーグ YBC ルヴァンカップ プライムステージ 準決勝 第1戦 ヨドコウ桜スタジアム アウェー セレッソ大阪戦
写真は「スカパー! サッカー配信」中継映像から引用
リーグ戦の方はしばらくお休み(再開は10月)。この間に我々は唯一残る国内タイトル獲得のチャンスを掴むため、ルヴァンカップ準決勝にのぞみます。
準決勝の相手は昨年同様にセレッソ大阪。昨年はホーム → アウェーという順番での2戦を戦って、ホームが 1-1 ドロー、アウェーで敗戦して準決勝敗退という結果に終わってしまいましたが、今回はアウェー → ホームという順番での2戦。
毎度のことですが、ホーム&アウェー方式の戦いは180分勝負。その前半戦となるアウェーでの戦いについては、まずは負けないことが重要。もちろん勝てればベストだけど、引き分けでも全然オッケー。可能ならアウェーゴールを最低1つくらいは持ち帰りたいですよねというのがセオリー。
セレッソ相手に先制されると、あちらはリスクをそこまで積極的には犯さず、特に守備面で大崩れしない相手ということもあって面倒くさい。できれば先制して少し相手を慌てさせつつ、前に出てこなければならない状況を与えて裏っ返すってのが理想ですが、まぁ言うのは簡単。まずはテンション高くも、自分たちのミスからやられるようなことがないように慎重に試合に入れるか、試合巧者ぶりが試される一戦です。
スターティングラインナップ
さて今日のスタメンは、最終ライン左から明本さん、ショルツさん、岩波さん、関根さん。ダブルボランチに岩尾さんと敦樹さん、左のSHに大久保さん、右にモーベルグさん、トップ下に小泉さんを配置し、1トップに松尾さんを置いた 4-2-3-1 スタート。GKは西川さん。サブには馬渡さん、知念さん、宮本さん、柴戸さん、松崎さん、江坂さん、そして牲川さんが控えます。
前回対戦でも中央が堅く、無理にポジションを動かさないセレッソに対して、中央はなかなか起点を作れず苦労しましたけども、同時にセレッソは無茶なハイラインを獲ってきたりもしないので、裏のスペースもそこまでない。そうなると裏一発みたいな、ある程度スペースが必要なユニット、例えばユンカーさんなんかは使いにくいということでのベンチ外か。
一方、中央が難しいなら突破口はサイドでの攻防を1対1で上回ることだと思いますが、関根さんのSB起用、モーベルグさん、大久保さんと、1対1を個人打開できそうな人たちをサイドに並べる策は、その点理にかなっているか。サイドで起点が作れれば相手も大きくスライドしなければならず、何度もそれを強いれば、結果的に中央のスペースも空いてくる可能性が高いということでここは重要なポイント。
もちろん、大畑さんや酒井さんが代表で抜かれてしまっている難しさはありますけども、代わって出る明本さん、関根さんがどこまで攻撃面でアクセントになれるか、両SBに求められているのが縦への推進力なのは明白。運動量含めてタスクは多いと思いますが、期待したい初期配置です。
対するセレッソ大阪は、最終ライン左から山中 亮輔選手、鳥海 晃司選手、マテイ ヨニッチ選手、松田 陸選手。ダブルボランチに鈴木 徳真選手と奥埜 博亮選手。左のSHに為田 大貴選手、右SHに毎熊 晟矢選手。最前線の2トップに加藤 陸次樹選手と上門 知樹選手を配置した 4-4-2。GKは清水 圭介選手。
セレッソはGKのキム ジンヒョン選手が欠場なのは想定外か。ウチにとってはこの守備範囲が広く、足元の技術、フィードも安定している守護神が相手にいないというのはうまく付け入りたいところ。
いきなりの先制パンチは効いたけど、後半しっかり修正してアウェーゴールゲットは及第点
試合始まって、さてさて、どう攻めますかね...... なんて余裕ぶっこいてみていたら、開始2分にいきなりエグいミドルシュートで失点して白目むきそうになりましたけども、まぁあれは蹴った上門選手を褒めるべきですかね。
とはいえ、相手ボランチ(主に奥埜選手のポジショニングの獲り方がうまい)がウチのボランチ全面で起点つくっておいて、そこに引っ張られるとウチの最終ラインと2列目の中間ポジションに2トップがうまく浮いたポジション獲ってくるあたりは、この失点シーン以外でも前半は何度か狙ってやられていた形なので、ここをどう抑えるかはまず感じた今試合の課題。
失点シーンも岩尾さんの背中で上門選手に受けられて前向かれたところから、最終ラインはタイミングと距離的に潰しに出ていけず、岩尾さんがプレスバックするも、相手にチャレンジする直前にすげぇミドル(ほぼ無回転であの速度とコース。さすがに西川さんもノーチャンス)を打たれてしまったので厳しかった。
欲を言えば、セレッソのボール位置に応じて、もう少し最終ラインが押し上げつつ、味方ボランチとの距離感を詰められればというのはありましたが、最終ラインは裏のケアもしないといけないし、ボランチがポジション下げ過ぎると前線プレスの効力が減るし、押し込まれる要因にもなるのでこの辺はなかなか難しい。
やられちまったものは仕方ないということで、まずは1点を奪い返しに行くわけですけども、やはりセレッソの中央エリアは堅い。前プレもバランスが崩れるような無茶な出てき方はしないし、中盤でのスライドも速く、常にコンパクトネスが保たれるので、ウチの選手たちが間、間にポジションを獲っていても、ちょっとパスは付けにくいよなという状況。
前回、リーグ戦での対セレッソ、試合後インタビューで岩尾さんが、『(パスを)出せないことはないが、パスの費用対効果というか、リスクの方が高いパスになりそうで難しい』みたいなことをおっしゃっていて、さすが岩尾さん、わかりやすい言い方するわと感心した覚えがありますけども、要するに岩尾さんもパスコースは多分みえてるんですよね。だけどそこに付けた次の手が見えない。パスの出し手と受け手、その2者間においてはパスを付けようと思えば付けられる。でもそこに付けた瞬間、受け手は相手に囲まれて奪われるリスク高すぎね?って話。
ここで、パスの出し手と受け手の次の一手、3人目のサポートが見えるなら恐らくリスク獲ってでもパス付けると思うんですが、現状ではそこが見えにくいのでちょっと詰まってしまうという状態でしょうか。あとは受け手選手が、パスもらった初動で相手の寄せを外せればもちろんチャンスにはなりますけども、そこは相手のレベルが上がればそう簡単ではなくなってくるので難しい。
ということで、前半に関してはボールは保持できるけど、そこまで効果的な前進はできず。失点直後に小泉さんが素晴らしい前プレからボール奪取してGKと1対1になった場面、その直後のコーナーキックでショルツさんのヘディング、あとは25分くらいでしたか、コーナーキックから松尾さんがフリーでボレー合わせたあたりがチャンスらしいチャンス。その内、小泉さんのシーン以外は決定機といえるほど決定的な状況ではなかったので、押し込めてるけどゴールまでは少し距離があるっていう流れで終了。
冒頭、スタメンのところでも書いた通り、今試合はサイドに単独打開力と縦に推進力のある人を置いているので、どうやってこの両サイドがフリーな状況を作り出し、そこにボールを届けるか。(前半も途中からやっているように見えましたが)後半は特にこの辺を修正してセレッソ守備陣形を間延びさせ、早々の同点ゴールを奪うことに成功します。
特に顕著だったのは岩尾さんが最終ラインに落ちて、その代わりに小泉さんが引いて相手ボランチ周辺にパスコースを作り始めたこと。さらに敦樹さん、インサイドワークした大久保さんが相手ダブルボランチの背中や脇にポジショニング。
中央エリアから人をあまり動かしたくないセレッソは浮いたポジションに立つ小泉さんらに対してSHが締めることで対応しようとしますが、このSHの背後に両SB(もしくはSH)が進出しつつ、ここに岩尾さんや岩波さんから斜めに飛ばすことで一気に相手SB前面に起点を作りはじめます。
邪魔な相手SHを内側にどけといて、その裏、SBとの間にパスコースを作る策ですね。セレッソは中央の堅さで守るチームなので、内側、内側に入ってこられる分には距離感も縮めやすく守りやすい。この中を締めて奪いたい相手の心理を逆利用。
これで相手SBがつり出されれば最終ラインを横方向に間延びさせることでハーフスペースが獲りやすくなりますし、そこに敦樹さんや松尾さん、インサイドワークしたSHが入ることで相手最終ラインと2列目間を攻略、相手をゴール前に押し込んでチャンスを作ります。
で、53分、左サイド、大久保さんとのパス交換でペナルティエリア内の深いところ、ニアゾーンを明本さんがうまく攻略。セオリー通り相手ディフェンスラインが引き切ったところでのマイナスクロスに小泉さんスルー → 背中で敦樹さんが強烈な左足グラウンダーミドル。これを相手GKが弾いたところにしっかり動き直していた小泉さんが詰めて同点ゴール。よい時間帯によい形で1点奪いきることに成功しました。素晴らしい。
同点にしたことでウチとしては慌てずに試合を進めることができるように。セレッソ側の方がホームで、かつアウェーゴールを獲られた状態での引き分けという結果はあまりうれしくないこともあってか選手交代もアグレッシブに前線の攻撃的なカードを切ってくる展開。
ウチの選手交代は72分に小泉さん→江坂さん、88分にモーベルグさん→松崎さんという最低限。小泉さん、なんか交代させられたときに不満そうでしたけども、見た目によらず彼のああいう熱いところ個人的には好きですよ。でも180分勝負ですからね。次戦を考えて江坂さんへのバトンタッチは妥当だったと思います。
欲を言えば流れ的には追加点が獲れてもおかしくないくらいウチが押し込んだので、勝つことができれば最高でしたが、そこはセレッソもさすがに堅い。個人的には途中交代で入ってきた松崎さんにはもっと果敢に縦に仕掛けて欲しかったですけど(セレッソが嫌がるのはサイドを縦に深く突破されることで、カットインして狭いところに入ってきてくれる人は逆に抑えやすくなっちゃう)、その点では途中交代の割におとなしいプレーで終わったなと。
この辺は逆足(要するに左利きの人を右サイドに置く or その逆もしかり)配置だとどうしても縦に行きにくくなるのは仕方ないんですけども、モーベルグさんも逆足ながら縦に行く選択肢があることで相手に脅威を与えている(ここ数試合、モーベルグさんのキレがなくなっていて心配ですが)ことを考えれば、彼もカットインだけじゃない武器を身につけて欲しいなと思います。
一方で90分フル出場した関根さんなんかは、慣れないSB(3バックでのWBは経験があっても4バックのSBとはまた違いますからね)で色々と苦労もあったと思いますが、SBのところまで無理に前プレに出てこないセレッソの守備の仕方とも相まってか、逆に長い距離のスプリントを繰り返せる彼の特長が、SB起用で活きる形になっていたのは面白かった。リカさんがその辺まで読んで起用したのか、そこまではわかりませんけども、対面の山中選手を守勢に回らせて、押し込めたのは大きかったと思います。
ということで、180分ゲームの前半戦は 1-1 のドロー。ウチがアウェーゴール分だけリードとも言えますが、次の試合でシンプルに勝った方が決勝進出と考えれば、そんな差はあってないようなもの。2戦目をホームで戦えるメリットを最大限活かして、日曜日はきっちりセレッソを粉砕して気持ちよく決勝に駒を進めたいところです。
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試合ハイライト
試合データ
観客: 10,399人
天候: 曇 / 気温 24.1℃ / 湿度 50%
試合結果: C大阪 1-1 浦和(前半1-0)
レッズ得点者: 小泉(53分)
警告・退場: 敦樹(警告×1/反スポーツ的行為)、岩波(警告×1/反スポーツ的行為)
主審: 松尾 一 氏
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