2022 Jリーグ 第28節 県立カシマサッカースタジアム アウェー 鹿島アントラーズ戦
写真は「DAZN」中継映像から引用
ACLがひと段落してここからはリーグ戦の残り試合とルヴァンカップを残すのみ。リーグ戦の方は他力本願ではあるものの、ここからの勝点の積み方によっては(相当厳しいとはいえ)ACL圏内も狙える可能性がないとはいえない。それが無理でもせめて昨シーズンの順位、6位以上は狙いたい状況ですが、順位に関しては他力本願な部分も大きいのであまりそこの最終的な結果から逆算してもしかたない。とにかく今は目の前の1試合1試合をしっかり勝って勝点を積んでいくことに集中したいところですが、そんな中迎えるのがアウェーの鹿島戦。
アウェーでの鹿島戦は相性的にはあまりよくないのですが、そんな過去のことは置いておいて、1つでも上を目指すならここで上位の鹿島を叩く強さを見せたいところ。幸い、ACLからは少し時間が空いて、コンディション的には余裕がある状況。9月リーグ戦のスタートダッシュをよい形で切るためにも、アウェーとはいえ結果を求めたい一戦となりました。
スターティングラインナップ
さて今節のスタメンは、最終ライン左から大畑さん、ショルツさん、岩波さん、宮本さん。ダブルボランチに岩尾さんと敦樹さん、左のSHに松尾さん、右に関根さん、トップ下に小泉さんを配置し、1トップにユンカーさんを置いた 4-2-3-1 スタート。GKは彩艶さん。サブには知念さん、明本さん、柴戸さん、安居さん、松崎さん、シャルクさん、そして牲川さんが控えます。
ACLである程度固定したスタメン、そして控えのメンツから考えると、西川さん、酒井さん、モーベルグさん、江坂さん、さらに大久保さん、馬渡さんあたりがベンチ外というのは大きな選手の入れ替え。
試合後に発表されたのでスタメン発表時は理由がわかりませんでしたが酒井さんの離脱理由は右下腿三頭筋肉離れ(状態によりますが最低でも9月は絶望...... とにかくお大事に)。西川さんやモーベルグさん、江坂さんなどがベンチ外の理由はわかりませんが、そこは何らかの事情か監督の判断なので仕方なし。
結果としてユンカーさんが久々に先発して松尾さんが本来のポジションである左サイドで先発。右サイドの陣容が関根さん、宮本さんペアに変更という形。
CBペアは岩波さん、ショルツさん、ボランチペアも安定の岩尾さん、敦樹さんコンビにトップ下小泉さんと中央ラインはベストな布陣なので、ビルドアップに関してはそこまで心配な感じはないですが、特にモーベルグさんと酒井さんという強烈なセットがいない右サイドがどうなるか、またサイドにスタートポジションを移した松尾さんがユンカーさんとどういう相乗効果を発揮できるのかは注目ポイントでした。
対する鹿島は、最終ライン左から安西 幸輝選手、三竿 健斗選手、関川 郁万選手、広瀬 陸斗選手。中央がダイヤモンド(仲間選手が1列目っぽかったので明確な感じではなかったですが)に見えましたけども、アンカーっぽい位置にディエゴ ピトゥカ選手、トップ下に仲間 隼斗選手、左に和泉 竜司選手、右に樋口 雄太選手という並び。最前線2トップにアルトゥール カイキ選手と鈴木 優磨選手を配置した 4-3-1-2 (前述の通り仲間選手の立ち位置的には 4-3-3 に近い) スタート。GKは沖 悠哉選手。
あちらは直近で監督が代わっていますが、やっているサッカーは今シーズンスタートからそんなに変化したようには見えず、縦に素早く攻めきるっていう部分が特徴的なポイントとなっています。夏の移籍で得点源だった上田綺世選手が海外移籍しており、これが後半戦、鹿島を苦しめているという点では「コンスタントに点が獲れるFWを確保するのはどのチームも大変」ってことを表していますが、鹿島らしい堅守は健在ですし、トランジションも速く、鈴木優磨選手はポイントポイントに顔出してボールを引き出すのがうまいですし、アタッキングサードでの強さもあってボールも収まるので、ここにゴール前で効果的な仕事をされると面倒くさい。
特にボール保持では中盤で相手のプレッシャーをいかに外して相手ディフェンスライン裏のスペースでユンカーさんを活かせるかが鍵になりそう。相手ディフェンスラインにプレッシャーかけて中盤を間延びさせることで、並び的に強固な相手中盤を機能不全に追いやりたいところです。
メンツによる振れ幅デカすぎ問題。その中でも2点ビハインドを追いついての勝点1は評価すべきか
前述の通り、鹿島はディエゴ ピトゥカ選手をアンカーに、中盤をダイヤモンド型に近くにしてスペースを埋める意図が見える立ち位置。守備時にはトップ下から仲間選手が2トップの間に出てくる形で 4-3-3 のような立ち位置になるので、ウチのボール保持に対しては1列目が3枚で規制をかけてくることに。それに対してウチのボール保持は宮本さんが残る形の疑似3バックを基本に、状況に応じて岩尾さんが最終ラインに落ちてサポートする形のビルドアップスタート。
相手3枚が規制に出てくることで、数的に何か問題が起こるってことはないんですが、ショルツさんのドリブルでの持ち上がりが制限されると結構ビルドアップの選択肢が狭まる問題ってのがあって、鹿島の立ち位置のとり方は結構ここを意識してきた感はあります。
一方で鹿島は守備ブロック2列目が3枚になるので、その左右に関してはある程度スペースがある状況。小泉さんやインサイドワークした大畑さんはそのスペースをうまく使って立ち位置を獲れていたように見えましたが、鹿島の4バックに対して数的同数では相手も局面強度もあるしなかなか難しい。
本来なら敦樹さんが岩尾さんと縦関係を作ることでインサイドハーフ化して相手ボックス付近まで入り込んだり、酒井さんがいる時なんかはSHを追い越す形で前線に攻撃参加することで局所的な数的優位を作ってそこから押し崩すのがよいときの流れですが、今日は前線のユニットが大きく変わったことも影響してかその部分がスムーズに行かなかった印象。
また、モーベルグさんという強烈な飛び道具を失っていることで、「多少相手の好守転換が速く、守備ブロックの形成が素早かったとしても、とりあえず右サイドで1対1の状況作れれば、モーベルグさんでなんか起こせる」みたいな期待感が減衰してしまったのは地味に痛かった。
下記、試合中につぶやいたやつですが......
言っても詮無いがモーベルグさん酒井さんセットで攻撃15守備10な状態から関根さん宮本さんセットだと攻撃7守備5みたいになるのさすがにつれぇ
— Yoshiki Kato (@burnworks) September 3, 2022
これ別に関根さんと宮本さんが「悪い」って言っているわけじゃないんですよ。モーベルグさん、酒井さんペアが凄すぎるんでそれと比べるとってことです。
で、別に関根さんにモーベルグさんと同じプレーをしろとは思いませんし、彼には彼の特長があるので、それを活かすプレーをしてくれれば良いと思っています。実際に攻守転換時の速度とか、守備のインテンシティに関しては関根さんの方がモーベルグさんを上回っている部分もあると思いますので。
ただ、どうしても右利きで左がないのがわかってる関根さんが右サイドだと、相手からすれば「縦しかねぇな」ってなるしわかりやすい状況だと正直、1対1の状況をなんとかしてきてくださいっていう任せ方においては、関根さんの良さは(特に攻撃面では)出にくかったかなと。もう少し周りと連携して関根さんがニアゾーン獲りに行くみたいな動きが増えたら面白かったですけどね。
その点で、下記も試合中に感じたこと(というか宮本さん観ていていつも思うことなんですけども)、
宮本さんもう少しポジショニングとか動き出しのタイミングとかで気が利くとよくなると思うんだけどな
— Yoshiki Kato (@burnworks) September 3, 2022
そこ、あと5メートル高い位置獲って、相手の背中側に立ってあげればいいのに......とか、もうワンテンポ速くオーバーラップしてあげればとか、そこ、裏に抜ける動きで相手引っ張ってあげれば関根さんがもう少し楽に仕掛けられるのに...... みたいなケースが結構あるんですよね。
もちろん、そういう良い動きしている時もあって、ルヴァンカップの名古屋戦だったと思いますが、モーベルグさんのクロスのタイミングで絶妙なオーバーラップして相手をひとり引っ張るみたいな動きは素晴らしかったですから、本来できる子のはずなんですけども、どうしても拮抗した試合展開だと、守備から逆算するのか思い切りが足りないなと思ってしまう時があります。
まぁ比較されるのが酒井さんっていう化け物で、今の競争が激しいチーム状況でワンミスが次の出場機会に影響するという怖さはあるんだと思いますけども、個人的には思い切ってチャレンジした結果の失敗はそんなに悪い方には影響しないと思うんですけどね。
フィジカルや縦への推進力みたいな部分で酒井さんに打ち勝つのは相当大変なので、宮本さんには宮本さんなりの良さ、例えば的確なポジショニングとか、若さと体力を活かした思い切った駆け上がり、それでボールロストしたら、気合いで最終ラインまで全力ダッシュするみたいな部分で違いを見せてくれたらいいなと思うんですが。
とまぁ、別に個人がどうこうというより、メンツが変わったときに、その変わったメンツなりの良さが別の部分で発揮される(実際、ACLなんかでは途中交代で入ってきた江坂さん、ユンカーさんセットがまた違った意味で相手に脅威を与えてましたよね)というより、単純にできてた部分ができなくなるだけでチーム全体の能力が低下するっていう状態はちょっと辛いなと。現状ではまだまだ特定の選手の組み合わせ以外では100%の性能が発揮できないという点で発展途上なのだということを改めて認識させられました。
話を試合の内容に戻しましょう。
失点に関しては1失点目はビルドアップで引っかかった(中盤で相手1列目をうまく外したかなと思ったところで小泉さんが縦に付けようとしたのが相手に引っかかった)ところから鹿島のショートカウンター。落ちてボール引き出した樋口を少し小泉さんがマーク外してしまったところでフリーでアーリークロス→中の準備も整っていなかったことでフリーのカイキ選手に頭で合わされてというもの。
被ショートコーナーの状況だったので少しマークの部分でも混乱があったとは思いますが、ちょっともったいない失点だったなと。
2失点目はGKからのロングボールをカイキ選手が競って落として、再度受けてドリブルみたいな感じで中央持ち運ばれたところからのミドルシュートでしたが、まぁこれは単純に彩艶さんのミスなのでどうしようもないですね。西川さんが神がかっている今、彩艶さんはこういうチャンスが回ってきた試合でさらに神ってる部分を見せない限りポジションを奪い取ることは難しいと思いますが、そういう意味では西川さんとの差を感じてしまう結果で残念でした。
ただ、その直後にすぐに1点返します。相手を押し込んだところから小泉さんがいいタイミングで右のニアゾーンを狙ったところに宮本さんからパス。これを小泉さんが背中側でサポートした関根さんに落として関根さんがペナルティエリア内で前を向きますがちょっと手詰まったかなというところで中央バイタルエリアの岩尾さんへ戻しのパス。
ここで岩尾さんが凄かったのが、これをダイレクトで斜めにペナルティエリア内の松尾さんにパスをブッ刺したところ。パスを受けた松尾さんは素早くターンすると左足を一閃。このシュート自体は相手ディフェンスに当たってディフレクションしますが、GKの届かないゴール右隅に吸い込まれてゴール。ここのところ乗ってる松尾さんがしっかり結果を出してくれました。
前半は1点ビバインドで折り返し。
後半、67分にはユンカーさん→柴戸さんとして、松尾さんをワントップに。前半はちょっといつものようにボックス付近にポジションを獲れなかった敦樹さんを左サイドに出して初期配置を変更。恐らくですが守備時の2トップを松尾さん、小泉さんといういつものセットにして初期プレスの精度と強度を高めたかったんじゃないかなという点と、前述の通り、ちょっと前半は消えちゃってた感のある敦樹さんをもう少し相手ボックス付近で仕事させたいがための苦肉の策だった気がしますが、この交代直後に岩波さんの同点ゴール。
左サイド、岩尾さんからのセットプレーでしたが、ニアでショルツさんが縦に相手を引っ張りながら、その前に岩波さんが斜めに入ってくる形からスラすっていう完璧な形でのゴール。岩波さん素晴らしい。チームが苦しいときにセットプレーで点が獲れるCBは頼もしい。
78分には(カード1枚もらっていたことも影響したと思いますが)小泉さん→明本さんとして、トップ下に明本さんを置いたような形になりましたが、ほぼ松尾さんと明本さんの2トップ状態にして圧力を高めます。
前半かなり飛ばしたように見えた鹿島は後半予想通り運動量が落ちたので流れ的にはウチ。90分には松尾さん→シャルクさんとしてアディショナルタイムにシャルクさん→明本さんで決定機を作りますが、相手のシュートブロックにあってゴールとはならず。そのまま試合終了となりました。
明本さんのシーンは、止めて→狙って→打つ、っていう素直な3テンポをかけちゃうとさすがにJ1ではそこまでゴール前で時間を与えてくれないです。(ボールが来たのが逆足だったので)止めるのはいいとしてもタイミング外すとか、あるいはダイレクトでちょこんと突くだけで枠に飛ばすとか、そういうことができるともっと得点できると思うんですが、まぁ純然たるストライカーでない人にそれを求めても酷な気もしますから仕方ないんでしょう。
ということで、前半によくない失点の仕方をして2点のビハインドを負いながら、後半立て直して2点を追いついたという点では評価すべき内容だったかと思います。とはいえ、前半の失点の仕方、後半の内容からすれば「勝点2を失った」と感じる人が多くてもおかしくないよねという試合でしたから、その辺をどう捉えるか。ただ、前述したとおり、今節は人の入れ替えによってクオリティがかなり変わってしまったのも事実ですから、その辺は課題として捉えないといけない部分かもしれません。
次節は来週末のホーム柏戦。ホームでしっかり勝点3を詰めるようにサポートしましょう。
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試合ハイライト
試合データ
観客: 20,664人
天候: 曇 / 気温 23.5℃ / 湿度 90%
試合結果: 鹿島 2-2 浦和(前半2-1)
レッズ得点者: 松尾(30分)、岩波(69分)
警告・退場: 小泉(警告×1/ラフプレー)、関根(警告×1/遅延行為)
主審: 笠原 寛貴 氏
順位: 9位(8勝6敗12分/勝点36/得失点差+12)
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