2022 Jリーグ 第23節 埼玉スタジアム2002 川崎フロンターレ戦
前節、アウェーでの清水エスパルス戦を勝利して、6月以降はリーグ戦負けなし(4勝2分)とよい流れに乗った感がありますが、E-1選手権による2週間のリーグ戦中断期間を経て迎える今節は、ホーム埼スタに川崎フロンターレを迎えて。
ここまでのよい流れを本当の意味での上昇気流に乗せられるかどうか、川崎を相手にどれだけ今まで積み上げた成果を発揮することができるかが今節の注目ポイント。ここでしっかり勝ちきることができれば、後半戦での躍進を確信できる大きな勝利になるでしょう。
新加入したリンセンさんが残念ながらPSG戦で負傷して恐らく実戦投入が少し遅れることが予想され、事前情報ではユンカーさんが間に合いそうな感じではありますがまだフルでやるのは難しそう。それは同じく復帰してPSG戦でも少しだけプレーしたシャルクさんも同様ということで、戦力的には夏以降に期待した上積みはまだなく、もうしばらくは現有戦力で乗り切るしかなさそう。ここのところワントップを務め、前節はついに初ゴールを決めた松尾さんの爆発に期待がかかります。
スターティングラインナップ
さて今節のスタメンは、最終ライン左から明本さん、知念さん、岩波さん、酒井さん。ダブルボランチに岩尾さんと敦樹さん、左のSHに関根さん、右にモーベルグさん、トップ下に江坂さんを配置し、1トップに松尾さんを置いた 4-2-3-1 スタート。GKは西川さん。サブには馬渡さん、小泉さん、柴戸さん、松崎さん、安居さん、ユンカーさん、そして彩艶さんが控えます。
ショルツさんがベンチ外になって岩波さんとCBコンビを組むのは今シーズン初スタメンの知念さん。ボランチコンビの岩尾さん、敦樹さんはここ数試合でもうこの2人で中盤のスタメンは決まったなというくらいの安定感をみせていますので引き続き。
トップ下は小泉さんと江坂さんを交代交代使っているような状況が直近では続いていますが、今節は江坂さん先発。そして冒頭にも書いたとおり、リンセンさん、シャルクさん、ユンカーさんが少し出遅れている状況で、前節、移籍後リーグ戦初ゴールを決め調子が上がってきた感もあり期待のかかる松尾さんがワントップとして引き続き先発。ベンチにはユンカーさんが久々に復帰。リードして試合を進められれば、後半ユンカーさんでトドメ刺すみたいな展開も期待できます。
対する川崎は最終ライン左から橘田 健人選手、谷口 彰悟選手、ジェジエウ選手、瀬古 樹選手。アンカーにジョアン シミッチ選手、インサイドハーフに遠野 大弥選手、脇坂 泰斗選手を置いた中盤トライアングル。最前線は左にマルシーニョ選手、右に家長 昭博選手、中央にレアンドロ ダミアン選手という並びの 4-1-2-3。GKはチョン ソンリョン選手。
この日の川崎は諸事情によりエントリー選手がギリギリ。今シーズンにおけるJリーグの試合開催方針では
- トップチーム登録、第2種トップ可および特別指定選手合計13名以上(ゴールキーパーを必ず1名含む)をエントリーしなければならない
となっていて(これはコロナ禍を受けて「エントリー下限人数」として新たに定められたもの)、簡単にいえば13人以上、つまり、スタメン11人以外に2人の交代選手がいれば試合開催可能となっていますが、控えGKとしてコンスタントにベンチ入りしている丹野 研太選手を含めてGK登録の選手が計3人控えに入る異常事態。純然たるフィールドプレーヤーの控えとしては山村 和也選手と宮城 天選手のみという状況でしたので、かなり苦しい。
この状況でもなんとかエントリー選手を集めて試合開催に漕ぎ着けてくれた川崎には最大限のリスペクトをしつつも、そこは勝負の世界。相手の交代枠が少ないことをうまく活かした戦い方をしたいところ。
早い時間帯に連続得点してスコア的には完勝。有利な時間帯における試合運びに多少の課題ありか
ウチの守備ブロックはいつも通り1トップ+シャドーの2枚が最前線に出る 4-4-2 ブロックでスタート。松尾さんと江坂さんがファーストディフェンスとして相手ビルドアップに対して出ていく形になりますが、川崎のビルドアップは2CB+アンカーにいるシミッチ選手からスタートするので、この3枚に対して松尾さんと江坂さんが規制をかけに行くところから。
相手3枚回しに対して2人で出ていくので、そのままだと当然数的不利なんですが、ここは当初からスカウティングしてのことか、まずは松尾さんと江坂さんでシミッチ選手を挟む感じでパスコースを消しながら、機を見て2CBに対して規制をかけに行ってくれたので、川崎はウチの1列目背中でパスを受けるということができず、サイドを経由しての前進に。そこにはしっかり両SBとSHが連携して蓋をしたので川崎が狙ってくるニアゾーンへの侵入に関してはその回数をかなり制限できたのではないかなと思います。
また、ウチのボール保持に関しては2CBでのホール保持に、岩尾さんが相手1列目背中を獲りつつ相手プレスに対する回避路を確保。敦樹さんが岩尾さんを縦関係を作って高い位置に侵入し、トップから落ちてくる松尾さんらと連携しつつシミッチ選手の脇のスペースを起点に相手守備ライン2列目を越えていく形を立ち上がりから作れていて、これが前半での2得点につながりました。
試合開始早々の3分過ぎ、中央、バイタルエリア付近でのルーズボールの攻防から江坂さんがダイレクトで右サイドのモーベルグさんへと展開。川崎、左SBの橘田選手と1対1の局面に。ここで仕掛けるそぶりを見せたモーベルグさんに対して川崎はマルシーニョ選手がサポートに駆けつけモーベルグさん得意の左足側を切りに行きますが、その刹那、縦に持ちだして右足でクロスを上げたモーベルグさん。このクロスに中央、川崎CB、谷口選手の背中をうまく獲った敦樹さんが頭で合わせて先制点。
川崎の選手たち、モーベルグさんの左足には相当警戒していたようで、最初に対応した橘田選手はマルシーニョ選手がサポートに来ているにもかかわらず縦を切らないというミスがひとつ、さらに谷口選手もモーベルグ選手のカットインを意識しすぎて敦樹さんを全く確認しないままポジション修正が遅れたことが河崎川からみたときの問題点だったと思いますが、逆にウチの選手たちはモーベルグさんが左だけじゃなく右でもクロス上げてくるってことをしっかりわかった上でタイミングを合わせてそのクロスに対応したあたり、完全に相手を上回ったなという印象。
ただ、モーベルグさん、このシーンの前にも同じようなシチュエーションで縦行って右でクロス上げてるんですけどね。余程彼の左足の印象が強烈なんでしょう。こうやって強みである方の左足のインパクトを強烈に残しておけば今回のような右でのクロスで相手の裏もかけますし、相手が「右もある」って思ってくれれば逆に左がより活きるシチュエーションも出てくるでしょうし、益々相手にとっては怖い選手になること間違いなしです。
さらに17分、最終ラインでのボール保持から岩波さん→シミッチ選手の背中に落ちてきた松尾さんへの鋭い縦パスで一気に相手2列目を突破。ボールを受けてターンした松尾さんは左サイドの関根さんに一旦ボールを預けると、そのまま縦にスプリント。
そこに関根さんから鋭い斜めのパスが正確に松尾さんの足元へ。これをトラップして切り替えして相手CBを外して→シュートっていう流れでしたがちょっと芝に足を取られて滑ってしまいます。しかしそこに敦樹さんが素早く寄せてルーズボールを再奪取すると、ドリブルするような感じで運んだボールが松尾さんの足元へ。入れ違いざまに松尾さんが右足を一閃すると、グラウンダーのシュートは川崎GK、チョン ソンリョン選手の伸ばした手をすり抜けてゴールに突き刺さる追加点。松尾さん、前節の移籍後リーグ戦初ゴールに続き、今度はホームでの初ゴールとなりました。素晴らしい。
川崎としては交代選手がいない関係上、90分を見越したペース配分を考えなければならず、ベストは先制して逃げる展開、それが難しければ無理せず余力を残しながら 0-0 の時間を延ばすってのが恐らくの狙いで、逆に避けたかったのが前半のうちに相手に先制されて追いかけないといけない展開。その中でも最悪の複数失点という状況に開始20分までに追い込めたのはウチとしては最高の展開。
あとは2点を追って出てくる相手をうまく疲弊させつつ、トドメとなる3点目を奪っちまえば試合は終わりってことで時間を進めたかったところですが、川崎もさすがにそう簡単な相手ではない。37分過ぎには縦パス一発でニアゾーンを脇坂選手に獲られると、そこからの折り返しにレアンドロ ダミアン選手が合わせてあわや失点という決定機を作られます。しかしここは西川さんが神がかった反応でセーブ。川崎に反撃の隙を与えず。その直後に相手陣でのボール奪取から江坂さん→モーベルグさんでGKとの1対1、決定機を作りますが惜しくもモーベルグさんのループシュートは相手GKに触られて得点とはならず...... 2点リードのまま後半へ折り返し。
61分、酒井さん→馬渡さん、江坂さん→小泉さんとして同ポジションをリフレッシュ。さらに69分には敦樹さん→柴戸さん、松尾さん→ユンカーと交代カードを切ります。柴戸さんで前からのプレス強度を補完しつつ、ユンカーさんの縦へのスピードを活かして川崎にボール握られ、押し込まれつつあった状況を押し返す意図を感じましたが、ユンカーさんを活かそうとするとどうしても中央に縦を早めにというのが多くなるのでそこでボール失うとそのままボールが自陣に戻って来ちゃう感じになってちょっと落ち着かないなという印象。
例えばもう少しサイドに流れたユンカーさんに対してボールつけて、彼がそこで少し時間作ってくれるとかがあると全体として押し上げたりポジション修正したりって時間もできるんですけどね。まぁでもユンカーさんいたらゴールに向かう方向で使ってあげたくなるのは当然なのでいいとは思いますが、勝っている状況で毎度自分たちからちょっとオープンな感じにしてしまうのは狙ってんのか、不可抗力なのか。
80分、相手のクロスボールを岩波さんが競ってはじき返したセカンドボールに反応した柴戸さん。たいして難しいボールではなかったと思いますが、橘田選手の寄せに対して少し慌てたか、ボールコントロールを失敗してペナルティエリア内でボールを失いそうになったところで思わずユニフォームを掴んで倒すっていうどうしようもないプレーをしてPK献上。いや、マジで不要なプレー。橘田選手に対しては岩波さんもサポートに入って寄せていたし、最悪2人で挟んでしまえば何とかなったシーンだったと思いますが、なんでユニ掴むねん...... このPKを家長選手に決められて1点差に。
1点差になってちょっと嫌な空気が流れますが、即座にベンチは対応。83分、モーベルグさん→安居さんとすると、安居さんをボランチに入れて柴戸さんを右サイドバックの位置へ。守備時には馬渡さんを柴戸さんの右側に落とす 5-4-1 ブロックにシフトしてスペースを消しつつ、終盤の相手の猛攻に備えます。
するとその直後、右サイドから馬渡さんのスローインからユンカーさんがそのスピードを活かして縦に抜けると、ノールックで内側に折り返し。
ハーフスペースをスプリントした関根さんがこれに反応してボールをキープすると、一気にドリブルでペナルティエリア内に侵入していきます。多少強引にニアゾーンまで突っ込むと、ジェジエウ選手と競りながらライン際、気合いで折り返したボールは、中央に走り込んでいた岩尾さんへの完璧なラストパスに。
これを岩尾さんが冷静に押し込んで3点目を叩き込むと、これで川崎の反撃の意思を挫いて試合を決めてくれました。
ということで川崎の状況がとても厳しかったという多少のハンデはありつつも、前半の立ち上がりからうまく相手を圧倒して押し込み、早い時間帯に2得点できたことで試合を優位に進め、終盤少し相手に勢いを与える状況になるも失点直後に3点目を決めきって試合をクローズ。
リードした時間帯の時計の進め方という点では課題を感じつつも難しい相手にスコア的には完勝してこれで3連勝。勝点も30台に乗せて上位追撃の勢いがついてきました。
ここからは連戦。ルヴァンカップ(A)→リーグ戦(A)→ルヴァンカップ(H)と中2日、中3日で名古屋との3連戦。これが終わると中2日で今度はアウェー磐田戦と続きます。
このクソ暑い中、非常に厳しい戦いが続きますが、ここでしっかり下位を叩いて勝点を積み上げたいところ。期待しつつ試合を待ちたいと思います。
そういえば今節ベンチ外だったショルツさんはトレーニング復帰、リンセンさんは右足ハムの肉離れで復帰は9月初旬になりそうという情報が出てましたね。リンセンさんの件は少し残念ですが焦らず治して、終盤戦で爆発してもらいましょう。
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試合ハイライト
試合データ
観客: 35,451人
天候: 晴 / 気温 30.6℃ / 湿度 73%
試合結果: 浦和 3-1 川崎(前半2-0)
レッズ得点者: 伊藤敦樹(4分)、松尾(17分)、岩尾(85分)
警告・退場: 小泉(警告×1/反スポーツ的行為)、柴戸(警告×1/反スポーツ的行為)
主審: 松尾 一 氏
順位: 8位(7勝5敗11分/勝点32/得失点差+9)
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