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2022 Jリーグ 第16節 ベスト電器スタジアム アウェー アビスパ福岡戦

2022 Jリーグ 第16節 ベスト電器スタジアム アウェー アビスパ福岡戦

前節はセレッソを相手に無得点、2失点で久しぶりに敗戦して勝点を積めず。問題はこの久しぶりの敗戦が、7連続引き分けの後だったってことで、「直近8試合勝てていない」という現実が重くのしかかる状況に。

前節レビューでも書いた通り、ちょっと今はチーム全体が勝てないプレッシャーで焦ってるんじゃないかと思えるようなプレー選択をしたり、結果的に細部のプレー精度が落ちているように見えるのが懸念材料。なんていうか、例えるなら劣勢に立たされたボクサーが一発逆転KOパンチ狙って大振りしまくってるみたいな......

一旦冷静に、昨シーズンできていたこと、今できることの中から練度の高いプレーを選択してくれとも思いますが、プロである以上結果を求められるのは当然ですし、やはりまずはどんな形でもよいのでひとつ勝たないとどんどんマネジメントが難しくなってしまう状況。そんな中でも過密日程は待ってくれず、中2日で迎える今節は引き続きアウェーでアビスパ福岡との対戦です。

福岡はリーグ内でも屈指の守備力を誇るチーム(実際に現時点で失点数の少なさはリーグトップとなる10失点)。一方で得点力的にはそこまで高くなく、所謂ウノゼロを積み重ねていくタイプの堅実なチームなので、特に先制を許したりすると面倒くさい。福岡は相手にボールを持たれても全く困らないというタイプなので、逆にいえばこちらがボール保持する時間帯は長く作れると思いますが、じっくり時間かけてでも相手を押し込んで穴を探せるかの忍耐力が求められるタフな試合になるでしょう。

この試合が終われば5月の連戦もひと段落。週明けに天皇杯はありますがその後は代表戦ウィークに入って6月18日のホーム名古屋戦までしばらく時間が空きます。少しでもいい雰囲気で中断期間に入れるように、この試合は勝利がマストとなる一戦となりました。

スターティングラインナップ

2022 Jリーグ 第16節 ベスト電器スタジアム アウェー アビスパ福岡戦 スターティングラインナップ

さて今節のスタメンは、最終ライン左から大畑さん、岩波さん、ショルツさん、宮本さん。ダブルボランチに岩尾さんと敦樹さん、左のSHにシャルクさん、右に明本さん、トップ下に小泉さんを配置し、1トップに松尾さんを置いた 4-2-3-1 スタート。GKは西川さん。サブには知念さん、関根さん、松崎さん、平野さん、大久保さん、江坂さん、そして彩艶さんが控えます。

ユンカーさんが前節の前半終了間際に少し痛めてしまってような交代をして今節はベンチ外。ちょっと状況が気になりますが、代わりにワントップ起用されたのが松尾さん。2列目は前節同様、左SHにシャルクさん、トップ下に小泉さんの配置ですが、右SHに明本さんを置き、久しぶりに明本さんが前線でのスタメン。

最終ラインのメンツは前節同様ですが、ショルツさんと岩波さんの配置は左右入れ替えていました。この辺は普段から相手に応じて変更している部分ですが、今回は宮本さんを片上がりさせて、大畑さん、岩波さん、ショルツさんという並びの疑似3バックで中央に岩波さんが立つ事を意識した配置か。

対する福岡は、最終ライン左から志知 孝明選手、ドウグラス グローリ選手、奈良 竜樹選手、前嶋 洋太選手。ダブルボランチに前 寛之選手と中村 駿選手。左のSHに田中 達也選手、右SHにジョルディ クルークス選手。前線の2トップに山岸 祐也選手とフアンマ デルガド選手を置いた 4-4-2。GKは村上 昌謙選手。

冒頭にも書いたとおり堅守が持ち味のチームですが、ドン引きして縦ポンというような単純なチームでもなく、前線からの守備や中盤での切り替え、強度も高く、特に右SHのジョルディ クルークス選手を起点にしたサイド攻撃はハマると危険。ただ、彼は対面の相手を個でぶち抜いてくるようなタイプではなく、スペースがある方が活きるタイプなので、そこを活かしてカウンター受けるような状況は作られたくない相手。

また、相手2CBは高さもあって強いので、単純なクロスで得点できるほど甘い相手でもなく、ここをどう外してフィニッシュまで持って行くか、またこの2CBがバイタルエリアに対して縦に強く迎撃に出てこれるような状況を作らせないためにも、相手最終ライン、裏へのプレッシャーをかけ続けることができるか。これができて中盤を間延びさせることができれば得点機会も生まれそうということでその辺にも注目です。

攻めども攻めどもゴールは生まれず...... チャンスは多いけど決定機を決めきる程の詰めは足りず

福岡の守備ブロックは 4-4-2 で、2トップがウチの2CBに対して規制をかけにくるオーソドックスなやり方ですが、ここの規制に対しては無理にボランチは最終ラインまで落ちず、相手2トップの背中に立つ事で縦にボールを引き出し、比較的簡単に相手1列目を越えることはできていて、この辺は慣れたもの。

前線も明本さんが前のポジションにいることで松尾さんが下がって受けに来たらそれと入れ替わりで明本さんがハーフスペースを縦に抜けるなど、立ち上がりからここの連動性は好感触。特に前線に縦の楔を打ち込んでいく積極的な姿勢は顕著で、開始5分にはショルツさんからの縦パスをバイタルエリアで受けてターンした松尾さんのミドルシュートがこぼれたところに明本さんが反応してポストに当てる惜しいシュートをいきなり放つなど、非常によい入り。

攻守転換も速いし、特に中盤では敦樹さんが攻守にとてもよい働きをしていたりと、試合全体を通したクオリティでは完全にウチが相手を上回ったと思いますが、それでも最終的なスコアは 0-0 なわけで、内容よりも結果が欲しいウチにしてみればとにかく1点が遠い試合になってしまいました。

で、もちろん最後のフィニッシュのところ、所謂「ラスト30m」的な話でいえば決定機決めてればねっていういつもの話になってしまうんですが、じゃあ「確実に決まったなこれ」っていうシーンがいくつあったかといえばそこまでの決定機を連発していたわけではないので、ポゼッションでは圧倒しつつも「本来浦和が勝てる試合だった」と自信を持って言えるほどの圧倒的な差はなかったですし、運がなかったで済ませてはいけない話だと思います。

例えばチャンスに見えるシーンでもひとつトラップしてしまったことで相手の寄せが間に合っちゃって相手に当たる、あるいはシュートコース消されて枠に飛ばせなくなるみたいなシーンも結構あって、逆にいえばワントラップする時間もないくらいの、針の穴通さないと決まらないくらいの薄いチャンスしか作れていないともいえますよね。

また、25分ごろでしたか、左サイドで大外に流れたシャルクさんと入れ替わる形でハーフスペース獲った大畑さんが斜めにニアゾーンまで侵入してグラウンダークロス入れたシーンなんかは、大畑さんの侵入コースからクロスの軌道は相手GKの前を横切る速いクロスが想定される状況でニアに松尾さんが入っていて、彼の動きはセオリー通り。しかし中央にいた小泉さんも、ファーサイドの明本さんもここにクロスが来ると想定していなかったのか、松尾さんが触ると思ったのかは知りませんが、ボールにコンタクトできる位置まで入ってきておらず、味方がほぼフリーでニアゾーン獲るっていう得点に一番近い状況でクロスに対するフィニッシュの準備ができていないのとか、もはやクロス供給側のプレー精度や運の問題ではない。

実際に松尾さんが振り返って「なんで誰も入ってきてねーんだよ」って顔してましたけど、まさにこれが「9番タイプ」不在の典型的な問題点かなと思います。例えばあのシーンでストライカータイプが小泉さんの位置にいれば、大畑さんがクロス上げる瞬間にスプリントして一瞬でも相手のマーク外し、先にボールにコンタクトするでしょう。小泉さんにそういうプレーを求めても仕方ないかもしれませんが、最後、フィニッシュのプレーでやって欲しい動きをする選手が、フィニッシュに絡める位置にいないってのは結構辛いなと。

リカさんは当初シャルクさんにそういう役割を期待したっぽい起用をしていましたが、ACL、および戻ってからのリーグ戦ここ数試合でそういうタイプではないことを悟ったようですし、結局ユンカーさんくらいしかフィニッシュの仕事ができる人がいない。でもユンカーさんだって万能ではなく相手とのかみ合わせもあるし、そんな毎試合ボコスカ点獲れるほど甘い世界でもない。ついでに彼は年間通してフル稼働が前提の選手でもない。となるととれる選択肢は2つで、前線の選手たちにフィニッシャーとしての動きを求めてトレーニング(これはある程度のパターン化とその刷り込みも含め)していくか、手っ取り早くそれができる人を外から連れてくるか。

長期的には前者を目指すべきだと思いますし、リカさんもそんなことはわかってるんだと思いますが、限られたトレーニング時間の中で次の試合までに落とし込める部分なんてそんなに多くはないですし、時間がかかる話です。

個人的には来年以降も見据えて、リカさんに長期的な取り組みで徐々にできることを増やして行くことで、毎年優勝争いをコンスタントにできる本当の意味での強豪チームへと育てていって欲しいというのを前提に、J1残留を確実にしたり、カップ戦でのタイトルでワンチャンス狙うなど、短期的な結果を最大限狙う(要するに今年なんとかする)ためには、明確に9番タイプを補強しないといかんでしょうねと思いますので、その辺はクラブの仕事に期待したいところです(噂は色々と聞きますけどね)。

なんか試合の内容からかなり離れてしまいましたけども、最後に簡単に気になった部分だけメモっときます。

55分(後半10分)過ぎ、右サイドの小泉さんから大きな展開で左サイドのシャルクさんに渡ったシーン。この時、小泉さんがルックアップすると同時に左サイドのハーフスペースを相手最終ライン裏にスプリントした敦樹さんの動き(これで外側のシャルクさんがフリーになった)と、シャルクさんがボール受けた瞬間に大外をオーバーラップした大畑さんの動き。シャルクさん含めたこの3人の連動性のある動きによって結果的にシャルクさんがペナルティエリア角からミドルシュート打てる状況を作りましたが、ここの連動性は素晴らしかった。

また、シャルクさんの良さを出すにはこういう風にシャルクさんが左サイド、ペナルティエリア角付近でフリーでボール持つ状況を作ってあげるのが一番だと思いますから、この辺はシャルクさんを使うなら周りが意図してやって欲しい動きの見本のようなシーンでした。逆にいうとシャルクさんが活きるパターンってこれくらいなので、モーベルグさんと同じである意味カットイン専用機みたいな感じですが、得意な形を作った状態でのパンチ力はいいもの持ってるので活かしてあげて欲しいなと。

あとは今節、コーナーキックも含めてセットプレーの機会が多くありましたけども、昨年や今シーズン開幕当初に見られたようなセットプレーでの工夫が少し足りないというか、バリエーションが少ないのが気になりました。前述しましたが福岡は最終ラインに高さもあるので素直に競るような形ではちょっと難しい気がします。なんかひとつズラす工夫みたいのがあれだけ回数があったのなら欲しかった気がしますけども(立ち上がり早々、最初のコーナーキックではショートコーナーで少し変化つけてましたが)、今節みたいにキッカーが岩尾さんしかいない状況だとそこまでバリエーションもつけずらいってのもあるんでしょうけども。

さて、また勝てなかったですね。マジつれぇ。これで一旦リーグ戦の連戦はひと段落。週明けの水曜日に天皇杯(2回戦)がありますが、まずはトーナメントをひとつ上に進めるというタスクをしっかり果たしていただくのは当然として、中断期間を有意義に使ってなんとかリーグ後半戦の巻き返しにつなげて欲しいなと思います。

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試合ハイライト

試合データ

観客: 9,136人
天候: 晴 / 気温 26℃ / 湿度 38%
試合結果: 福岡 0-0 浦和(前半0-0)
レッズ得点者: -
警告・退場: -
主審: 今村 義朗 氏
順位: 14位(2勝5敗9分/勝点15/得失点差-1)

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