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AFCチャンピオンズリーグ2022 グループステージ MD4 大邱FC(韓国)戦

AFCチャンピオンズリーグ2022 グループステージ MD4 大邱FC(韓国)戦

写真は「DAZN」中継映像から引用

セントラル方式で開催されている2022年のACL、グループステージの第4戦は、韓国代表として出場している大邱FCと、第3節に続く連戦。前節は 5-4-1 ブロックで堅く守る大邱FCの守備ブロックを崩しきることができず、相手のワンチャンスに沈んで 0-1 敗戦。2連勝でスタートを切ったグループステージでしたが初黒星を喫する結果に。

前節のレビューでも「この大邱FCとの2連戦は 180分試合として勝ち越すことが重要。2勝は理想というか完璧。1勝1分けはほぼベストに近い。1勝1敗は及第点」と書きましたけども、最も重要な2試合の最初を敗戦してしまったことで、今後のグループステージ突破を考えれば、今節は勝ち以外の選択肢はない状況に追い込まれてしまったとも言えます。

グループ全体での得失点差は今大会のレギュレーション上はそこまで重要ではなく、同勝点で並んだ場合の順位決定は「直接対決の結果(つまり勝点)」→「直接対決における得失点差」という順で重み付けがされていますので、大邱FCが第5節以降の残り2試合を連勝すると仮定すれば、今節求められるのは絶対の勝利。

仮に今節引き分けだった場合、ウチが残りを2連勝しても大邱FCと勝点で並ぶのが精一杯。その場合、直接対決の結果が1敗1分では相手を上回れませんのでグループ2位が目指せる最高位となり、あとは他グループの結果次第になっちゃいます。要するに引き分け以下だと「自力での」グループステージ突破は消滅するということ。

前節は少し消極的、よく言えば慎重? スマートに戦おうとした? まぁどちらでも良いですが、逆に厳しめに言ってしまえば主に先発した各選手に「俺が何か状況を変えてやる」とか「俺が試合を決めるんだ」的な気迫、勝利に対する執着心的なものが少し足りないように「見えてしまった」(選手たちは全員、絶対に勝ちたいという気持ちで戦ってるなんてことは当たり前とした上で)中で、今節、どういう戦い方をしてくれるのか、非常に注目の一戦となりました。

スターティングラインナップ

AFCチャンピオンズリーグ2022 グループステージ MD4 大邱FC(韓国)戦 スターティングラインナップ

さて今節のスタメンは、最終ライン左から明本さん、ショルツさん、岩波さん、酒井さん。ダブルボランチに柴戸さんと敦樹さん、左のSHに関根さん、右にモーベルグさん、トップ下に江坂さんを配置し、1トップにシャルクさんを置いた 4-2-3-1 スタート。GKは彩艶さん。サブには馬渡さん、知念さん、宮本さん、大畑さん、安居さん、大久保さん、松崎さん、平野さん、松尾さん、そして西川さんが控えます。

主に球際で戦えそうなメンツをセレクトしたイメージ。理想はこのスタメンでしっかり立ち上がりから主導権を握って早めに先制点を奪いたい。あとポジティブな要素としては平野さんがベンチスタートながら復帰してくれました。ある程度押し込んでボール持てる状況なら平野さんの展開力も活きる可能性。

対する大邱FCは、最終ライン、左からキム ジンヒョク選手、チョン テウク選手、ジョ ジヌ選手。ダブルボランチにブルーノ ラマ選手とイ ジンヨン選手。左のWBに鈴木 圭太選手、右WBにファン ジェウォン選手。インサイドハーフにアン ヨンウ選手、チョン チイン選手を配置し、ワントップがゼカ選手という並びの 3-4-2-1。GKはオ スンフン選手。

相手2列目中央をずらす立ち位置はハマったが......
ラストプレーの精度の低さは致命的

大邱FCは守備時、5-4-1 ブロックというのは前節と変わらず。前節はこの守備ブロックに対して効果的な立ち位置を獲れなかったことで特に相手2列目が全くズレず、結果として狭いところでのプレーを強いられて引っかかるか、それを嫌がってブロックの外に逃げちゃって効果的な前進ができずという結果になってしまいましたが、今節はこの部分に対してしっかり手を打ってきたのがわかる人の配置。

相手ワントップとなる、ゼカ選手の背中側、相手ダブルボランチの前面、中間ポジションに柴戸さんが立ち位置を獲りつつ、敦樹さんは前方に進出して相手ダブルボランチの脇、2列目に落ちるインサイドハーフとの中間にポジショニング。さらに江坂さんも敦樹さんとは逆サイド側でこのダブルボランチの脇に立つポジショニングを獲ります。

この中央で相手ダブルボランチに対して2対3の数的優位を作りつつ、特に柴戸さんの立ち位置によって、相手ダブルボランチが中央をケアするために自分の横に立つ浦和の選手を捨てて柴戸さんのところに出ていくか、それともそこのマークを重視して柴戸さんをほっとくか、という選択肢を突きつけて圧迫。柴戸さんは相手が来なければ持ち出せばいいし、食いついてきたら敦樹さんや江坂さんを使って相手2列目を越えるという戦い方は立ち上がりからしっかりできていました。

前節は右SHに入れた小泉さんがインサイドに入ることで今回の敦樹さんと同じ立ち位置を獲ろうとしていましたが、ウチのダブルボランチが2枚とも後方に並ぶことで前述したような相手ダブルボランチのズレが起こらず(要するにこの2枚をうまく中央からどかすことができず)、結果として小泉さんのところにスペースができない→受けられないから外に逃げちゃうっていう流れになってしまいましたが、この辺はリカさん、さすがの修正力といったところ。

相手守備ブロックはワントップなので、ウチの2CBに対しては規制がかからない前提になりますし、2列目のダブルボランチ2枚が前述したウチの立ち位置によって自分周辺の対応で手一杯になって前に出てこれなくなればウチがボール保持してゲームコントロール可能な状態にはできます。

さらに右サイドではモーベルグさんが幅を獲りつつ、酒井さんがインナーラップする動きと連動したり、それを囮にして自ら仕掛けたりという多彩な攻撃のバリエーションを見せ、さらに個人能力でも対面の鈴木選手をほぼチンチンにしてて、ここで相手ディフェンスを2枚は引っ張ることができていたのでそれで空いたスペースに敦樹さんなどが入っていくことでアタッキングサードの崩しに関しても可能性を感じさせる出来。特に敦樹さんは機を見て前線に出て行く動き、攻守転換でのプレスバックと非常によい働きをしていたのではないでしょうか。

左サイドでも明本さんが積極的に高い位置を獲って相手WBを押し込み、関根さんがインサイドワークしつつそのドリブル突破力を活かしてペナルティエリア内に侵入するシーンもあり、こっちで作って前進できなければ逆サイドで幅を獲ったモーベルグさんを使って1対1の状況を作るなど、前半に関しては大邱FCの守備を混乱させ、あとは最後のゴール決めるところだけっていう状況に追い込みました。

ただこの1点が遠いってのが、このACLにはじまったことではなく、今シーズンのリーグ戦でもずーっと課題になっているところ。

もうホント、最後のワンプレーってところまでは相手ゴールに迫ってるんですけどね...... あと合わせるだけっていうところでのボールの出し手と受け手のタイミングや出す場所のズレ、みたいな部分の精度が上がんないままこの試合でも継続されてしまいました。まぁ数試合でそんな簡単に修正されるなら苦労しないんで仕方ないんですけども。

この辺、どこか忘れましたが他のレビューでも過去に書いた記憶がありますが、相手をズラして前進してアタッキングサードまで侵入し、チャンスを創出するという部分ではリカさんの手腕もあってかなり短期間で形になり、ゴール期待値という面では圧倒的に高い状態を作りながらも(このチャンス創出という部分での再現性はかなり高い)、最後のフィニッシュの部分に関してはまだ明確な型がなく、選手間でのフィーリングに任せられちゃってるってのが昨シーズンから多くの選手が入れ替わっている状況下でやり直しになっちゃってる部分。

もう少し受け手が欲しいタイミング、場所にスパンとボール入れることができればあとはワンタッチ触るだけっていうシーンでズレちゃうみたいなことがこの試合でも多くあって、結果として崩しまでは期待させといてラストワンプレーで全く可能性のない感じになっちゃってたり、最後触れても難しいシュートになっちゃってたりする。

ACLの連戦がこの辺の精度を向上させるためのいい機会になることを期待していましたが、やはり第1節、第2節とレベル差がありすぎる相手とでは、この辺の精度が多少低くても個人の能力だけで簡単にゴールが入ってしまうことであまり問題として表面化せず、大邱FC戦になって再認識させられるっていう状況になってしまいました。

後半になって柴戸さんと交代する形で久しぶりにピッチになった平野さんなんかは、その展開力、(特に後半は相手が少し守備を修正してゼカ選手の左右からインサイドハーフが押し出す形で多少前から来ていたところをうまくひっくり返すような)縦に付けるパスの狙い所など、さすがというか、待っていましたというプレーを見せてくれましたが、ケガ明けで久しぶりに実戦に戻った選手にプレーさせるならあのくらいのプレー時間が限界でしょうし、柴戸さんがイエローカード1枚もらった上に下手すれば2枚目もらいそうなプレーをぶちかましたのを観ればどちらかというと緊急避難的な部分のあったと思いますので、やはり彼の投入前に1点獲っておかなければならない試合でした。

ということで中継のスタッツを観ても前半だけで放ったシュート8本(うち枠内シュート5本)、約70%をボール支配して無得点。90分を通してのスタッツでもシュート18本(枠内12本)と被シュート4本(枠内2本)という相手スタッツと比べてもほぼ一方的な内容にしておきながらスコア的には 0-0 と、相手にとっては狙い通りの試合にされてしまったことについてはかなり深刻に受け止める必要はあるかなと思います。

今節の結果をうけて冒頭に書いたとおり「自力での」グループ首位突破はなくなりました。ウチは残り2試合を連勝するだけ。あとはグループ2位で突破した場合の他グループとの兼ね合いを考えて、特にライオン・シティ・セーラーズ戦でなるべく多くの得点をして勝っておいて、あとは運を天に任せるのみとなりました。

最終節でライオン・シティ・セーラーズが大邱FCに引き分けたり勝っちゃったりすればそれは超ラッキーな形での首位突破になりますが、そんな他力本願は考えるだけ無駄なのでまずは次のライオン・シティ・セーラーズ戦に全集中していきましょう。

試合ハイライト

試合データ

会場: ブリーラムシティスタジアム / タイ
観客: 436人
天候: 晴 / 気温 34℃ / 湿度 70%
試合結果: 浦和 0-0 大邱(前半0-0)
レッズ得点者: -
警告・退場: -
主審: アリレザ・ファガニ 氏

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Yoshiki Kato / burnworks
Yoshiki Kato
埼玉県出身。サッカー、フットサル (観戦 / プレー)、モータースポーツ観戦、格闘技 (主にボクシング) 観戦、インターネット、音楽鑑賞、筋トレ、腕時計収集が趣味。サッカー 4 級審判員、ウオッチコーディネーター(上級 CWC)資格認定者。好物はゼリー、グミ、お酒、ラーメン。