2021 Jリーグ 第17節 埼玉スタジアム2002 名古屋グランパス戦
前節はアウェーで広島を相手に勝点1をゲット。2回リードしながら勝ちきれなかったことや終盤、アディショナルタイムに同点にされたっていうことに対する印象でちょっと悔しい感じにはなりましたけども、順位の近い相手にアウェーでしっかり勝点を積んだことはポジティブな要素。
5月5日のルヴァンカップ、柏戦以降、公式戦では負けなし(4勝2分)、全試合で複数得点できているという状況は、個人的にはリカさんが求めるクオリティを徐々にチームが発揮できるようになってきたことを示していると思いますので、前半戦も残り数試合、この勢いを保持していただきたい。そんな中迎える第17節は、現在川崎に次ぐ2位につける名古屋グランパスを埼スタに迎えて。
5月最後に非常に重要な相手との対戦ということで、ここで勝って終わるか、そうでないかで印象も大きく変わりそう。19試合で13失点しかしていない(リーグ2位の堅守)名古屋の守備を攻略することができるのか、注目の一戦となりました。
スターティングラインナップ
さて今日のスタメンは、最終ライン、左から山中さん、槙野さん、岩波さん、西さん。アンカーの位置に柴戸さんを配置し、左SHに明本さん、右に関根さん、トップ下に小泉さんと武田さん、1トップにユンカーさんを置いた 4-1-4-1 スタート。GKは彩艶さん。サブのメンバーとしては達也さん、トーマス・デンさん、汰木さん、伊藤(敦)さん、武藤さん、興梠さん、それに西川さんが控えます。
武田さんがいると採用される 4-1-4-1 システムですが、ユンカーさんをワントップにしてのこのシステム、武田さんとの組み合わせは初めて。ワントップとの縦関係の変化が重要だったりするのに対してユンカーさんはそれ程落ちて2列目とポジションを入れ替えるみたいなことはやらないので、その辺がどう機能するか。
対する名古屋は最終ライン左から吉田 豊選手、中谷 進之介選手、木本 恭生選手、成瀬 竣平選手。ダブルボランチに米本 拓司選手と稲垣 祥選手。左のSHに相馬 勇紀選手、右にマテウス選手。トップ下に柿谷 曜一朗選手を配置し、ワントップが山崎 凌吾選手という並びの 4-2-3-1。GKはランゲラック選手。
名古屋のコンパクトネスと強度に狙いを出せなかった前半
名古屋は守備時、ワントップの山﨑選手と柿谷選手が前線に出る形の 4-4-2。攻守転換や寄せの速さ、局面での強度も非常に高く、なかなか中央エリアで効果的なボールの持ち方をさせてくれないので、ボール保持自体はできるものの、アタッキングサードに相手にとって怖い形で侵入することはほとんどできない前半になってしまいました。
ウチのビルドアップは立ち上がりCB2枚のみを最終ラインに、柴戸さんが相手2トップの間に立つ形をとっていましたが、状況を見て最終ラインの左に小泉さんが落ちる時間帯も多く、そこはダブルボランチでやっているときの1枚の役割を小泉さんが担う形。ただ、小泉さんが低い位置でビルドアップの手助けを割合的に多くやっている時っていうのは傾向的にウチの前線におけるボールの収まりどころが減ってしまうっていうのがあり、それもあってビルドアップの出口が少し見えない感じになったのは残念。
また、守備においても、相手に前線からプレスをかけることで追い込んで蹴らせて最終ラインで回収という形もひとつの狙いですが、名古屋の1トップ、山﨑選手は高さもあり、対応した槙野さんや岩波さんがかなりの確率で競り負けてポストプレーを成功させられちゃってて、ここはひとつ誤算だった感はあります。山﨑選手に落とされちゃうと柿谷選手やマテウス選手っていう前向いてボール持たせたらやべぇ感じの人たちが周囲にいるし、左サイドはマテウス選手と山中さんのマッチアップで少し分が悪い感じだったりと、守備面でもそこまでうまくいったようには見えませんでした。
で、実際に前半スタッツを見ても名古屋にシュート8本(枠内2)喰らってそれ以外にもマテウス選手からのスピードのあるクロスにクロスが合う直前まで持って行かれるシーンも2回ほどありましたし、狙いを出したのは名古屋。ウチは守備でもハマらず、攻撃面ではユンカーさんのところにボールが入る階数もほぼない状態で、2列目での横パスまでが限界。
冒頭であまり縦に大きく動かないユンカーさんとの組み合わせで武田さん入れた 4-1-4-1 のシステムが機能するのか気になるって書いたんですが、悪い方で懸念が当たっちゃったというか、ユンカーさんとポジションチェンジして縦に抜けていくような動きがあまり見られなかったですし、じゃあユンカーさんが裏に駆け引きして作ったバイタルで効果的に前向いてボール持てたかというとそれもあまりなかったため、アタッキングサードで立ち位置によって優位性を作るってことに関しては思い通りにならない前半という感じ。
またさすがに名古屋の各選手はクオリティも高く、個人戦術の部分でも上回られるケースがありましたし、それでいて柿谷選手をはじめ前線からしっかりプレスバックするし、チーム全体としてオーガナイズされた守備の前に、これを崩すのは簡単じゃねぇなという印象が残りました。
後半修正で改善はするも決定機までは遠く
後半は、ハーフタイムで1枚交代。武田さん→伊藤(敦)さんとして 4-2-3-1 にシステムを変更。前半、小泉さんが担っていた役割を敦樹さんにスイッチすると、小泉さんをトップ下に配置して立ち位置を変えます。小泉さんの狙いとしては相手ボランチの裏や両脇で起点を作り、ユンカーさんとの距離感を改善するような立ち位置の取り方。さらに62分には山中さん→汰木さんとして明本さんを左のSBに下げると、汰木さんとの縦関係で左サイドの活性化を図ります。
プレスのかけ方も右SHの関根さんが2トップの脇に出ていって相手ビルドアップに対するプレッシャーを高めるなど、全体としては後半立ち上がりからギアを1段上げた感じで先制点を狙いますが、その狙いはある程度出せていたとは思いますし、前半よりも高い位置で起点を作れるようになったことでゴールの期待値という面では多少高まった感はありました。
70分過ぎに内側に絞った明本さんと大外をとった汰木さんとの縦関係で名古屋最終ラインの裏をとってグランダーのクロス→ユンカーさんの手前で中谷選手にクリアされてCKというシーンが最大の決定機でしたが名古屋の集中した守備に得点とはならず。ユンカーさんは中谷選手との駆け引きで、ニアにプルしておいて背中を獲る動きをしましたが、汰木さんはユンカーさんの駆け引きを見て相手の前に入ってくることに期待して入れた弾道。ちょっとユンカーさんの駆け引きが高度すぎて合わせるのは難しかった感じでしょうか。
なかなか状況が好転しないと考えたのか、79分には関根さん→達也さん、小泉さん→武藤さんとしますが、武藤さんをトップ下に入れるんじゃなく、汰木さんをトップ下にして武藤さんを左サイドという立ち位置の獲らせ方はユニーク。ボール持てる汰木さんをトップ下に、武藤さんにはプレッシャーの少ないサイドからフィニッシュに絡んで欲しいという感じの意図でしょうか。達也さんを入れて右からのクロスが上がってくる可能性が高い状況ならある程度理にかなったやり方かなとは思いますが、実際にそれが形になったかというとそこまではいかなかったですかね。
87分には後半立ち上がりの転倒で肩を痛めたこともあり、少し動きに精彩を欠いていたユンカーさんを諦め興梠さん投入。残された時間は少ないながら、前節今シーズン初ゴールでここからの右肩上がりに期待が高まる興梠さんに託しますが、ゴールをこじ開けるには至らず、スコアレスでのドローとなりました。
結果としては妥当な引き分け、名古屋サイドから見れば決定機も多く、勝ちきれなかった試合という評価になりそうですが、ウチはそこをなんとか耐え、失点せずに90分戦えたことは十分な評価に値すると思います。とはいえこういう相手に対してもきちんと狙いを出し、得点できるようになって初めて上位常連が見えてくるというのもありますので、後半戦での再戦(次の名古屋戦は最終節ですね)に期待したと思います。
さて、リーグ戦の方は前半戦残り2試合(ホームでの湘南戦とアウェーでの柏戦)になりましたが、ここでリーグ戦は少しお休みしてルヴァンカップのプレーオフステージと天皇杯が挟まります。まずは週末のアウェーゲーム、神戸とのプレーオフステージ第1戦ですね。翌週には水曜日に天皇杯(駒場でカターレ富山と)、そしてその週末にはホームでプレーオフステージ第2戦(これも駒場開催)と続きます。カップ戦の方も非常に重要ですから選手の起用も含め楽しみです。
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試合ハイライト
試合データ
観客: 4,685人
天候:曇のち雨 / 気温 20.1℃ / 湿度 80%
試合結果:浦和 0-0 名古屋(前半0-0)
レッズ得点者:-
警告・退場:-
主審: 谷本 涼 氏
順位: 7位(8勝5敗4分/勝点28/得失点差+1)
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