2021 Jリーグ 第14節 パナソニック スタジアム吹田 アウェー ガンバ大阪戦
前節はホームで仙台を倒して勝点を「20」に乗せ、週に2試合ペースの連戦もひと段落。1週間のインターバルを経て迎える第14節は、アウェーでのガンバ大阪戦。
ガンバは今シーズン、新型コロナウイルス関連での活動停止期間などもあって試合消化がここまで10試合と少ないというのもありつつ、アウェーでの1勝のみで勝点「7」の降格圏。今節の直前に宮本監督を解任して松波さんが暫定監督という形で立て直しを図っている状況。
そういう相手だからこそ、ここはきっちり倒して監督解任ブーストなどというものが幻想だってことをきっちり証明してやる必要がありますし、順位が下のチームからは確実に勝点を積むのが現状のウチに求められることでもありますので、その点でも非常に重要な一戦となりました。
写真は「DAZN」中継映像から引用
スターティングラインナップ
さて今日のスタメンは、最終ライン、左から明本さん、槙野さん、岩波さん、西さん。ダブルボランチに阿部ちゃんと柴戸さんを配置し、2列目左から、武藤さん、小泉さん、達也さん、1トップにユンカーさんを置いた 4-2-3-1 スタート。GKは前節、リーグ戦では初スタメンデビューをクリーンシートで終えた鈴木彩艶さんが引き続き起用。サブのメンバーとしては山中さん、関根さん、伊藤(敦)さん、汰木さん、杉本さん、興梠さん、それに西川さんが控えます。
前節は、スタート時に小泉さんを左サイドに置いてしまったことで少し中央でのポジショニングがうまく行かず、後半に小泉さんをトップ下に戻して改善した流れがありましたけども、今節は最初から小泉さんがトップ下の立ち位置に。個人的にはこの立ち位置でのスタートの方が各ポジションの役割的にスムーズかなと思います。
対するガンバ大阪は最終ライン左から黒川 圭介選手、昌子 源選手、三浦 弦太選手、奥野 耕平選手。ダブルボランチに矢島 慎也選手と井手口 陽介選手。左のSHに宇佐美 貴史選手、右にチアゴ アウベス選手。最前線は倉田 秋選手、一美 和成選手の2トップという並びの 4-4-2。GKは東口 順昭選手。
ポゼッションで負けて、勝負に勝つ(リカさん的には不本意だろうけど)
立ち上がりからガンバのボール保持に対して、ウチは比較的前からプレスをハメに出ていきますが、ワンタッチでテンポよくパスを回すガンバに対してそこまでうまくプレスがハマったかというとそんなことはなく、時間の経過と共に無理をせずミドルサード以降ではリトリートを優先、守備ブロックをコンパクトに形成して待ち構える守備にシフト。前線に関しては前からハメに行って、そこを外されたら後ろが耐えている間にしっかりプレスバックしてブロック形成に移行、みたいな部分はかなりスムーズにやれるようになってきましたね。
結果として試合は90分を通してガンバがボール保持する展開となりましたが、いい時間帯に先制点が奪えたことと、リードしてからは中央のスペースをうまく切って相手に守備ブロックの外側を移動させるパス回しに終始させ、所謂「ボールを持たせる」展開にできたことで、ある意味効率よく戦うことができたのはポジティブでした。
ユンカーさん加入前のウチは、守備時 4-4-2 ブロックを基本にしていましたが、ユンカーさんに関してはそこまで守備での運動量を求められていないようで、守備ブロック的にもユンカーさんが1トップに残った 4-2-3-1 のまま(というか、4-5-1 ですね)という時間帯も結構あります。
もちろん、ユンカーさんが全く守備していないかというとしっかりブロックを作った際には 4-4-2 の最前線で相手の縦のパスコースを切るような立ち位置は獲っているんですけども、基本的には低い位置までプレスバックする回数もそれ程多くないので、この辺は彼のタスクを絞ることで「点を獲る」という仕事をしっかりやってくれと、そういう感じなんでしょう。まぁそれできっちり来日以降全試合で点獲ってる分けですから誰も文句言えないですけどね。
で、ユンカーさんが多少守備的な部分で免除されている分、頑張んなきゃいけないのが両SHになるわけですけども、特に左に入った武藤さんは純粋なSHとしてクロスの供給元になって欲しいというより、アタッキングサードではユンカーさんと2トップぽくフィニッシュに絡む仕事を期待されているでしょうから、守備では自陣深くまでプレスバックして、ポジトラしたら今度は相手のボックスまで入っていかなきゃいけないんで大変そう。
でも武藤さんはその与えられたタスクを90分やりきるだけの運動量がありますから、現状、ユンカーさんと組ませるFWの選手としては、武藤さんがファーストチョイスで、ユンカーさんが点を獲るというお仕事に専念するためにも不可欠なパートナーになりそうな気がします。
余談ですが、ここ数試合の起用をみていても、サイドの選手に関して攻守両面での運動量と守備強度を重視しているように見えます(前述の武藤さんの件もそうですし、逆サイドでも例えば1点目のシーン、武藤さんのサイドからクロスが上がった時点でファーサイドでも達也さんがしっかりボックス内に入ってきていて、流れたボールに間に合ってるし、2点目も明本さんのクロスに対してフィニッシュしたのは逆サイドからボックス内に入った達也さんだし)ので、汰木さんや山中さんがスタメンを再奪取するためにはこの辺がポイントになりそう。
また、恐らくプレースタイル的にユンカーさんのバックアッパーとしては興梠さんの方がファーストチョイスとすると、杉本さんは武藤さんとポジションを争う感じになるわけで、つまり杉本さんのベンチマーク対象はユンカーさんより武藤さんになりそうな感じですね。そうなると杉本さんも守備面で武藤さんくらいできるってところをアピールしないとスタメンのポジションを奪うのが難しくなりそうだし結構大変そう。頑張りどころです。
話を試合に戻しましょう。
前述したとおり、ガンバはテンポよくパスを繋いでウチのプレスを外すことはできていたと思いますが、ウチでリカさんが目指しているように、立ち位置で相手を動かしたり、それによって作ったスペースに他の選手が立ち位置を獲るといったことをしないため、パスはつながってるんですが実際にウチの守備ブロックは大して動かされないっていう、あくまでブロックの外で足元へのパスがつながるだけで、ウチにとって危険なエリアに人が入ってくる、そこで起点を作られるというシーンはそんなに多くなく、なんて言うんですかね、ウチも数年前に通ってきた道(ゲフン...... ここから立て直していくのは結構大変そうだなと。
パトリック選手だの、外国人選手でデカくて強い選手はいるので、シンプルに中盤省略してそこを狙ったパワープレーぶちかましてこられるとか、宇佐美選手みたいに個で打開できる選手に1対1作って仕掛けられまくるみたいな状況の方がウチにとってはよっぽど嫌だと思うんですけども、そういう割り切りもなく、繋いで繋いで、焦れたような雑なパス前線につけてはウチのディフェンスに引っかかって攻守転換、前線で外国人選手が孤立してイラつくっていう時間が多かったのは助かりました。
一方でガンバの守備はトランジションした瞬間に関しては比較的しっかり前からプレスに出てくるものの、そこのプレスを外すと最終ラインがそこまで高い位置を獲らないこともあって中盤には比較的スペースがありました。立ち上がりから小泉さんなんかがうまくそのスペースに立ち位置を獲って最終ラインから縦にパスを引き出したりしていましたけども、一発目のハイプレスをかいくぐればスペースがあるよっていうのはウチにとっては狙いが出しやすいというか、それを普段からトレーニングしているわけですからその成果を発揮するいい機会。
「再現性」を感じる3ゴール
得点の形に関しても、最終的なフィニッシュ自体が素晴らしいのはもちろん、そのひとつ手前の崩しの部分で恐らくトレーニングから狙っているであろう形が再現されていてこれも素晴らしかった。当然、私はトレーニングを実際に見ることができる立場ではないので推測ですけども、得点シーン含め、アタッキングサードであれだけ各選手が躊躇なくそれぞれのポジションで連動した動きができていたのをみるに、普段のトレーニングから仕込んでるんだろうなというのは想像できます。
16分の先制点は、右で作っておいているあいだに阿部ちゃんが右のハーフスペースにうまくポジションを獲って相手の密集からスペースのあるところにボールを引き出します。この瞬間、左サイドから明本さんが相手SHのチアゴ・アウベス選手の背中を獲る形で裏に仕掛け。同時に武藤さんはそのチアゴ・アウベス選手と相手右SBの奥野選手の間にポジションを獲ってチアゴ・アウベス選手を引っ張ります。
この2人のポジショニングと仕掛けで阿部ちゃんには選択肢が2通り。武藤さん or 武藤さんを飛ばして裏に仕掛けた明本さん、もしくは武藤さんが受けてから明本さんっていう展開もありと、相手に複数の選択肢を見せてプレッシャーをかけます。
実際のパスは阿部ちゃんから縦に武藤さんへと出ますが、相手右SBの奥野選手は明本さんの動きが目に入っているので武藤さんがボール受けた瞬間、明本さんにパスを通されることを警戒して強く寄せられず、これで相手のプレッシャーがなくなった武藤さんはクロスを選択。このクロス自体はユンカーさんにはあわなかったんですが、ファーサイドに流れたボールにしっかり達也さんがサポート。折り返しのクロスをユンカーさんが相手CBの三浦選手に捕まれつつ、しかも後ろに下がりながらの難しいヘディングシュートながらあっさり東口選手の手が届かないコースに鋭く飛ばしてゴール。最後のところはユンカーさんの超絶決定力が炸裂した形ですが、そこに至る過程でも完全に相手を上回りました。
さらに20分の追加点。スローインでのリスタートから同サイドで相手のプレスがぎゅっと集まったところでユンカーさんがボレーシュートみたいな体制でとんでもねぇ精度のサイドチェンジをぶちかまします。左サイドにはスプリントした明本さんがいましたけども、中継のカメラが一瞬その展開の速さについていけなかったほどの大きな展開で一気に相手のプレッシャーをブレイク。
明本さんはペナルティエリア角までボールを運ぶと、グラウンダーのクロスに逆サイドからスプリントしてきた達也さんがドンピシャで合わせてゴール。中央では武藤さんがきっちり相手ディフェンスを引っ張りながら斜めに入ってきていて、その裏で逆サイドのSHがボックス内に侵入→フィニッシュと美しいゴール。
40分のゴールは達也さんのスプリント能力と運動量が形になったもの。相手のちょっと雑なサイドチェンジを西さんがインターセプト、ダイレクトで達也さんへとボールが渡りますが、対応した相手CB、昌子選手の動きをみた達也さんが一気にドリブルで仕掛け、前へと持ち出します。
昌子選手も無理に達也さんに突っかけず、内側を併走してボール奪取のタイミングをうかがい、実際に達也さんの仕掛けが一旦は昌子選手に引っかかるんですが、運のいいことに昌子選手がスライディングして触ったボールがペナルティエリア内で再び達也さんの足元に。
この瞬間、ボックス内にはユンカーさんと小泉さん。小泉さんが達也さんに寄ってボールを受ける動きをしたことで、相手CB、三浦選手が引っ張り出され空いたコースに鋭いクロスを飛ばすと、これを中央でユンカーさんが確実にあわせてこの日2点目。これでほぼ試合は決まりました。
後半、56分には小泉さん→山中さん、ユンカーさん→杉本さんとして見方によっては次節に備えて温存ともいえる交代。67分には武藤さん→興梠さん、阿部ちゃん→伊藤(敦)さん、さらに79分に達也さん→関根さんと、各ポジションで人を入れ替えつつ、どちらかというとガンバにボールを保持させて受ける感じにはなりましたが、前半に作ったセーフティリードを活かす形で時間を進め、最終的には無失点の完勝。彩艶さんも2試合連続クリーンシート。素晴らしい。
リカさん的には後半の戦い方なんかは望んだ形ではないとは思いますけども、ポジティブに捉えればうまく試合をコントロールするだけの余力を残してアウェーで勝点3。素晴らしい結果となりました。
さて、次は平日に行われるルヴァンカップを挟んで、週末にホームで神戸戦と続きます。ルヴァンカップに関しては勝てばグループステージ突破(逆に言えば引き分け以下は今シーズンのルヴァンカップ終了)という重要な試合。今節の勢いをもってきっちりグループステージを突破し、週末のリーグ戦を気持ちよく迎えたいですね。
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試合ハイライト
試合データ
観客: 0人
天候: 曇 / 気温 22.6℃ / 湿度 80%
試合結果:G大阪 0-3 浦和(前半0-3)
レッズ得点者:ユンカー(16分)、田中(20分)、ユンカー(40分)
警告・退場:柴戸(警告×1/ラフプレー)
主審: 笠原 寛貴 氏
順位: 8位(7勝5敗2分/勝点23/得失点差-1)
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