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2021 Jリーグ 第6節 埼玉スタジアム2002 川崎フロンターレ戦

2021 Jリーグ 第6節 埼玉スタジアム2002 川崎フロンターレ戦

前節はホームで札幌を相手に多少割り切った守備なども見せつつ現実的な戦いをして勝点1をゲット。

札幌戦はマリノスを相手に3失点という負け方をした後の試合だっただけに、連敗を避けつつ現実的にまずは勝点を獲りに行ったあたり、リカルド・ロドリゲス監督も目指す理想と現実の中でバランスをとりながらリーグ戦を戦っているんだなということを改めて確認させられた一戦でしたが、そんな状況で迎えるのは昨シーズン、Jリーグ、天皇杯の二冠王者、川崎フロンターレとのホームゲーム。

ぶっちゃけポゼッション志向でチームを再構築中の状態では一番やりたくない相手(せめてもう少し後の日程でさ......)ですけども、まぁ仕方ない。逆にいえば一番強い川崎を相手に、現状でどこまでできるのかを確認するには良い機会ですし、川崎からみれば、リカルド・ロドリゲス体制でのウチとは初対戦で不明な点も多いだろうって意味では、もしかしたらいい線いくんじゃねーかという淡い期待もちょっとだけある一戦となりました。

スターティングラインナップ

2021 Jリーグ 第6節 埼玉スタジアム2002 川崎フロンターレ戦 スターティングラインナップ

さて今日のスタメンは、最終ライン、左から山中さん、槙野さん、岩波さん、ウガ。ボランチに伊藤(敦)さんと金子さん、左のSHに汰木さん、右に関根さん、トップ下に小泉さん、ワントップに杉本さんという並びの 4-2-3-1 スタート。GKは西川さん。サブのメンバーとしては達也さん、伊藤(敦)さん、大久保さん、阿部ちゃん、柴戸さん、武田さん。それに彩艶さん。

前節は負傷で一時的に離脱していたウガが右のSBに復帰。前節はSBでフル出場だった阿部ちゃんがお休みしてボランチは伊藤(敦)さんと金子さんになりました。

対する川崎は、最終ライン左から旗手 怜央選手、谷口 彰悟選手、ジェジエウ選手、山根 視来選手。ジョアン・シミッチ選手をアンカーに、脇坂 泰斗選手、田中 碧選手がインサイドハーフ。最前線は左に長谷川 竜也選手、右に小林 悠選手、中央にレアンドロ・ダミアン選手を配置した 4-1-2-3 のフォーメーション。GKはチョン・ソンリョン選手。

前半に関しては守備もうまく機能して可能性を感じさせるも

川崎はウチの 4-4-2 ブロックに対して、インサイドハーフの田中碧選手が最終ラインまで落ちる形の 3枚回し。田中選手が落ちることで出来るスペースに右サイドから小林悠選手が入ってきてレアンドロ・ダミアン選手と2トップ気味になると同時に、小林悠選手が空けたサイドでは山根選手が高い位置を獲ってくるスライドの仕方が見てとれました。

ただ、田中選手が落ちた時に両CBの立ち位置があまり幅を獲らないこともあって、ウチの前線2枚(小泉さんと杉本さん)である程度規制がかかる形になっていましたし、そこから外に追い出したところでプレスのスイッチ入れて川崎のビルドアップを詰まらせることができていました。なので、前半に関してはウチの方がいい立ち位置獲れてんじゃん、ってことで驚きもあったりして。

一方、川崎の守備は基本的に3トップの両翼がサイドバックに付いてきつつ、CF+インサイドハーフの2枚で相手最終ラインに対してプレスをかけてくる形になりますが、これに対してウチは金子さんが最終ラインに落ちたりしつつうまく立ち位置を獲ってビルドアップ。で、これは過渡期だからだと思うんですが、相手のプレスで詰まった時は杉本さんに向かって蹴ることで相手前線プレスを裏っ返すような組み立て方も多用。これはゴールキックでのリスタート時もそうなんですが、詰まって自陣で致命的なミスするくらいなら蹴ってもいいよっていう感じのやり方をしていて、杉本さんが1対1なら対人である程度収められることもあって、それなりに機能していたと思います。

また、この日も小泉さんの動きは際立っていて、ボランチの位置に落ちてビルドアップを保持しつつ、機を見て最前線まで出ていくなど、彼のポジションの取り方、中盤での時間の作り方は今のウチには不可欠な要素になっていますね。一方で小泉さんが落ちた時にその空けたスペースをどうするかってのは課題でもあって、そこがシームレスに埋まらないことで杉本さん孤立問題みたいのも起きていましたが、今節は小泉さんがボランチの1枚が縦関係を作ったり、杉本さんがトップ下に落ちれば前線に汰木さんが絞ってきたりと、各選手が移動して空いたスペースに対して別の選手が入って立ち位置を獲るという連動性も少しずつよくなっているのは感じました。

もちろん、まだまだ発展途上なのは観ていても感じて、例えば個々の状況判断スピードや狭いスペースでボール受けたときのプレー精度なんかについては改善の余地が多々ありました。また、アタッキングサードでフィニッシャーの選択肢が杉本さんしかない問題みたいのも継続していて、これは逆に言えば杉本さんの能力が評価されているからこそ、みんながそこに頼りすぎるというのもあるかもしれませんけども、もう少し杉本さんをおとりに別の人がフリーのスペースを見つけて入ってくるみたいなことが出来るようにならないと、チームとして得点の量産は難しいだろうなと。

ちなみにプレー精度の部分に関しては、ウチのいる選手ってみんなうまい人たちのはずなのにダメなの?って思うかもしれませんが、私がここで言っている「プレー精度」って、狭いスペースでボール受けて相手のプレッシャーがかかる中でも足元の狙った位置にボールを止めて置く、みたいなボールコントロールの「技術」だけじゃなく、「正しい状況判断」と「判断スピード」も含みます。単にボールを正確に止めさえすればいいってわけじゃなく、例えば「今の状況でどの位置にボールを置くのがベストか」を瞬時に判断し、その上でそれを正確に実行してはじめて相手を上回れるわけですが、一方でそういう部分って常にトレーニングから求められて継続していないと、なかなか上がっていかないものでもあります。

リカさんのトレーニングではそういう部分が自然と向上するようにメニューが組まれていると思われますが、そんな一朝一夕に形になるなら苦労しないよねと。個人的には戦術理解云々よりもこっちの方に時間がかかるんじゃないかなと思ってるので、現時点でそこに難があってもまぁ想定内ってことであまり気にしていませんが、今節も、折角誰かがいい立ち位置を獲ってボールを受けたのに周りの選手のポジション修正が遅いとか、ポジションが正しくないとか、あるいは次の数メートルのパスがズレたりみたいなことが結構起こってましたね(まぁ今節は雨の影響もあったと思いますが)。

で、川崎が少し様子見してただけなのか、ウチのプレスに対して本当に難儀していたのかはわかりませんけども(試合後の川崎、旗手選手のコメントなんかでは前半は相手(つまり浦和ですね)がよくってうまく行かなかったみたいな話をしていたので素直にウチがよかったと思いたいですが)、前半に関してはウチが主導権を握って何度かよい形も作り、十分な可能性はみせてもらえたかなと。惜しむらくは流れがよい時間帯に1点獲っておけなかったことですけども。

ただそんないい流れの中でつまらない形で失点します。前半42分の失点は山根選手のクロスに小林悠選手の頭という形でしたが、最後の失点の部分よりも、その前の奪われ方が最悪。自分たちのスローインからカウンター喰らうとかなんなのマジで。

ウガがスローインを杉本さんに付けようとしたところで相手2枚のプレスを受けてボールロスト。川崎のカウンターが発動します。ボールを奪ったシミッチ選手から落ちてきたレアンドロ・ダミアン選手に入ったところで相手のプレーを切ろうと岩波さんがファール覚悟でぶっ潰しに行きますが、ルーズボールが川崎に渡ったことでアドバンテージ。田中碧選手を経由して右サイドを駆け上がった山根選手に展開。ここからのアーリークロスに槙野さんの背中を獲った小林悠選手の頭でフィニッシュ。

帰ってきてリプレイ観たら、山根選手に対して山中さんの寄せが甘かった的な事をDAZN中継解説の水沼さんはおっしゃってましたけど、山根選手がトップスピードでボール受けた状況だったので、対応した山中さんとしては、縦に抜かれないように一旦距離をとる、というか無闇に突っ込まずにまずは縦をケアするってのはセオリー通りっちゃセオリー通りなんですよね。逆にいえばそういう思考に山中さんをコントロールしておいてその刹那、一度スピードを落としつつ、ルックアップしてクロス入れた山根選手の方が一枚上手だったと言えるかと思います。まぁさすが代表に呼ばれるだけのことはあるっすね。

後半開始から10分間はひどすぎて記憶が飛んだわ

前半終了間際にもったいない失点はしたものの、前半だけを観れば十分後半に立て直せると思ってたわけですけども、現実はそんなに甘くなかったですね。後半立ち上がり早々に相手のミスからチャンスがあって、よし、これで流れをこちらに...... なんて思った矢先、そんな淡い期待をそこからのたった10分間で粉々に粉砕してくれちゃいましたよ川崎さん。もう後半の記憶がぶっ飛ぶレベル。

49分の失点は、伊藤さんが杉本さんにかなり無理目に縦の楔入れようとしたところで失敗してひっくり返されたところから小林悠選手→レアンドロ・ダミアン選手という流れで喰らったもの。ダミアン選手の個人技もすごかったけどさ、ボールの失い方悪いよね。もちろん、チャレンジするパスは大切なんだけど、マーク2枚に囲まれた杉本さんに無理に付けても可能性低いじゃん。もう少し考えよう。

それにミスは仕方ないから許容するとしてもミスった後の切り替え遅いですよね。これは怒濤の失点喰らったこの時間帯に共通でしたが、なんかフワッとして、切り替えは遅いしプレスの強度も下がるし、前が規制かけられないから最終ラインは上がらないし...... 前半にみせてたあのプレーはどこへ?って感じでしたね。今は比較的若い人が多いチームなので、こういう立て続けに失点して混乱しているような状況で立て直せるリーダーが不在ってのは感じます。この辺は経験を積みながら育っていただくしかないんですけども。

51分には旗手選手に岩波さん、ウガの間のスペースを縦にぶっちぎられて3失点目。関根さんがインサイドに絞って外に川崎の選手が1枚浮いていた状況なのでウガが外に少し引っ張られるのは仕方ないんですけども、その空いたスペースに縦にスプリントした旗手選手とそこに通したシミッチ選手にやられた形。

さらに止まらない失点は53分、ウチの左サイドで田中碧選手を山中さん、サイドまで出ていった伊藤さんで一旦追い込むも小林悠選手との連携でうまく外されたところから逆サイド、ハーフスペースを獲った脇坂選手を経由して、ペナルティエリア内に進入した長谷川選手のクロスにファーでダミアン選手→頭で落として中央、小林悠選手のフィニッシュ。

どのシーンもちょっとした判断の遅れ、プレー選択ミスによって作られたピンチをことごとく決められるっていう。川崎の決定力もあって一方的にボコられた感じのスコアになっちゃいましたが、本当にこの後半立ち上がりの数分間だけ、一気に流れ持って行かれて、試合を終わらされちゃいました。つらい。

選手交代は56分に3枚同時。伊藤(敦)さん→阿部ちゃん、汰木さん→大久保さん、関根さん→武田さんとして、1ボランチと2SHを一気にリフレッシュします。が、67分、その交代した大久保さんがゴール前でクリアボールを納めて前に出て行こうとしたところで脇坂選手にボール奪取されたところから左足で巻いたとんでもねぇビューティフルミドル叩き込まれて5失点目。スタジアムはお通夜モードに。

72分には小泉さん→明本さんとして前線での守備強度を上げる策。さらに88分には山中さん→達也さんとして、達也さんを左のSBに。5失点して負けるにしても、1点でも返すか、無得点、完封負け終わるかでは印象的にかなり違うので、なんとか1点でも返して欲しかったんですけどね。とはいえ、このスコア差になっちゃうともうどうしようもないというか、どうしても各選手が一発狙いのプレーに走りがちになるし、各選手の特性に合わせて正しいポジションを獲る、ってことより、みんなで前へ前へみたいな感じになっちゃってチームとして何か改善した部分もなく逆にバランスが崩れる結果。もちろん、選手は最後まで諦めずに闘ってくれましたけども、まぁ正直特筆するようなプレーもなかったかなと。

ということで、ホームで川崎の強さを見せつけられる結果になってしまいましたが、これでリーグ戦は代表戦ウィークの関係で少しだけ小休止。来週の週末はルヴァンカップの柏戦、次のリーグ戦は4月になります。この貴重な時間を有効に活用していただいて、次のルヴァンカップ、そして続くリーグ戦の鹿島戦で重くなってしまった雰囲気を吹っ飛ばしていただきたいなと思います。

重要なのは現在やっていることの方向性が正しいこと、そしてその進む延長線上に明るい未来が待っている可能性が高いことですよ。今はそれを信じて待つしかないっす。彼らならできると思ってるんでね。

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試合ハイライト

試合データ

観客: 4,679人(上限5,000人)
天候: 雨 / 気温 19.7℃ / 湿度 90%
試合結果: 浦和 0-5 川崎(前半0-1)
レッズ得点者:-
警告・退場: -
主審: 飯田 淳平 氏
順位: (暫定)13位(1勝3敗2分/勝点5/得失点差-8)

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Yoshiki Kato / burnworks
Yoshiki Kato
埼玉県出身。サッカー、フットサル (観戦 / プレー)、モータースポーツ観戦、格闘技 (主にボクシング) 観戦、インターネット、音楽鑑賞、筋トレ、腕時計収集が趣味。サッカー 4 級審判員、ウオッチコーディネーター(上級 CWC)資格認定者。好物はゼリー、グミ、お酒、ラーメン。