2020 Jリーグ 第28節 埼玉スタジアム2002 ガンバ大阪戦
前節はアウェー4連戦の最後を神戸に勝利。ホームに戻って迎えるのは、現在2位につけて川崎以外では唯一優勝の可能性を残すガンバ大阪との第28節。
リーグ戦も残すところ、今節を入れてあと5節。そのうち、ホームゲームは3節ということで、終わりが見えてきましたね。ウチも可能性はかなり低くなってしまったとはいえ、一応目標としているACL圏内までは可能性を残しているため、残り試合でどこまで勝点を積めるのかは課題(今節開始前の状況でウチの到達可能最大勝点は「60」)。その意味で、ホームでのガンバ戦は、上位との対戦ということもあり、何とか勝点を奪いたい重要な一戦となりました。
写真は「DAZN」中継映像から引用
スターティングラインナップ
さて、今日のスタメンは最終ライン、CBはトーマス・デンさん、槙野さんのコンビ。右のSBには橋岡さん、左に山中さん、ボランチのコンビは青木さんと長澤さん、SH右がマルティノスさん、左が汰木さん。2トップにはレオナルドさん、興梠さんを配置した 4-4-2。GKは西川さん。
前節から引き続き青木さんがスタメン。山中さんが左のSBにスタメン起用されたほか、久しぶりにレオナルドさんが先発復帰して、興梠さんとコンビを組みます。チーム内得点数1位と2位が2トップにそろう形ですね。
対するガンバ大阪は、最終ライン、左から藤春廣輝選手、キム・ヨングォン選手、昌子源選手、高尾瑠選手。ボランチに矢島慎也選手と山本悠樹選手のコンビ。左のSHに倉田秋選手、右に小野瀬康介選手。宇佐美貴史選手、パトリック選手の2トップという並びの 4-4-2。GKは東口順昭選手。
前回、アウェーで対戦した際は、矢島慎也選手をアンカーポジションに置いた 3-5-2(3ー1ー4ー2) での対戦で、相手のミスをうまく突いたこともあって、ウチが3得点で勝利しています。それが第11節、8月のことだったのですが、その後、ガンバは第12節から第16節までの5試合を1勝1分3敗って感じで少し低迷していて、第15節、第16節を連敗したところで第17節以降は4バックにしてるんですよね。で、そこから6連勝を含んで、前節、仙台に敗戦するまで負けなしの快進撃でした。気がつけば順位も2位に。
ということで、前回は少し3バックがうまくハマらず苦しんでいる時期の対戦、今節は4バックにして(システム変更だけが理由ではないと思いますが)絶好調な状況ということで、もうこれは別のチームだと思って戦わなければならない一戦でした。
システム的には4バックでマッチアップする形ですし、ビルドアップで多少のシステム可変はするんですが、ほぼマッチアップする相手。ウチはシステム的にかみ合えばそれなりにストロングポイントが出せるので、その辺、忍耐強く戦いたい試合になりそうだなというのが戦前の予想でした。
予想通りマッチアップして中盤バッチバチにやり合う展開に
お互いに 4-4-2 のフォーメーション。守備ブロックも基本的には 4-4-2 でセットするため、前線は2トップに対して、ビルドアップでどうやって数的優位を作るかがまずは基本になりますが、ウチは青木さんが最終ラインの真ん中、もしくは相手2トップの間に落ちることで 3対2を作り出す形。
一方ガンバは、ボランチが落ちず、左SHの倉田選手がインサイドに絞って作ったスペースに左SBの藤春選手を押し上げつつ、最終ラインは全体に左側にスライドする形でキム・ヨングォン選手、昌子選手、高尾選手が3枚でのビルドアップ。お互いに同じシステムを採用しながら、ビルドアップの部分では少し違いが。
このやり方の差で、中盤での枚数が少し合わない状況ができちゃったりと、ウチにとっては少し問題も。また、ガンバはある程度ボールを握ってサイド、特に右サイドを起点に、左右に大きい展開を織り交ぜながらゲームを作ってくる狙いでしたが、ウチはファーストチョイスが縦に裏、相手ゴールに近いところを積極的に狙っていこうっていうところでも両者の差が見えて興味深かったですね。
ウチの青木さん、というかボランチ1枚が最終ラインの間に落ちる形は、相手守備ブロックが2トップの場合にたまにやっている形なので目新しくはないですが、この形だとどうしても長澤さんが中盤で1枚になりがちですし、ガンバは当然ながらそこに入った時に寄せてくるので、長澤さんが中盤でボール受けて前を向くのはちょっと難しい。なので、自陣向き、相手を背負ってボールを受けたときに、前向きにフォローしてあげる動きがないとちょっと厳しくなっちゃいます。
25分くらいだったと思いますが、槙野さんから青木さんに縦→長澤さんと渡ったとことで、長澤さんの落としに青木さんがいい距離感で前向きにサポートしたので、落ちてきたレオナルドさん→落としたあとターンした長澤さんっていうところで中盤、相手のプレスをうまくブレイクしたシーンなんかは素晴らしかったんで(最終的には興梠さんがフィニッシュまで行った)、こういうプレーがでると中盤で長澤さんがもっと前を向けたと思いますが、その辺に関してはまだはっきりと形にはなっていないみたい。
一方で左SBに入った山中さんはさすがの左足の精度で、インサイドワークしてハーフスペースでボールを受けると、一発で縦に興梠さんやレオナルドさんのところを狙うパスがそれなりに機能していて、うまく縦関係を作って相手ボランチ裏でボールを引き出したり、最終ライン裏に仕掛けたりする2トップの動きの精度と相まって、少ないながらもチャンスは作れていました。また、西川さんの左足の精度を活かした縦一発ってのもいつも通り狙っていて、この辺、中盤であまり手数をかけずにシンプルに2トップのところを使っていこうっていうコンセプトは一貫していました。
一方の守備面ではサイドに起点を作ってくるガンバに対して、かなりボールサイドに守備ブロック全体をスライドするやり方をしていましたが、前半に関してはスライドの速度、ボールサイドへの寄せも徹底されていて、中盤で強度の高い守備が展開できていたかなと。
ガンバは前線にパトリック選手がいますので、パトリック選手に縦に当てられて、キープされたりすると深さ(要するに最終ラインを押し下げられる)を作られることになり、そこで空いたスペースに倉田選手や宇佐美選手が入ってきたりすると危険。そうならないためにも中盤での素早い寄せと、相手のサイドの展開に対してしっかりスライドしてスペースを埋めるというのは重要でしたが、前半に関してはそれなりにうまく対応できていたんじゃないでしょうか。
後半、セットプレーからのひと工夫で先制するも、リードした展開をうまく活かせず
試合は両者決定機までは少し遠い、ボール自体はガンバに持たれる時間が長く、徐々に押し込まれた感もありましたが、ほぼ互角といえる状況で後半に折り返し。
後半立ち上がり、最初に決定機を作ったのはウチで、後半開始早々、相手のパスミスをかっさらったレオナルドさんがペナルティエリア内に侵入→溜めたところで2列目から走り込んできた長澤さんへの落としをミドル→クロスバーに直撃という決定機を皮切りに、54分くらいにも中盤に落ちた興梠さんが山中さんからの縦パスを受けてうまくターン→前線でスプリントしたレオナルドさんへのパスで一気に相手ゴール前へ。少し時間はかかったものの、レオナルドさんが最終的には右足でシュートまで持って行って惜しくもポストに当たったシーンなど、少し得点の匂いが。
そんな流れの中の62分、コーナーキックからのサインプレーで山中さんに一旦戻したところからファーサイドへのクロスに、2列目から入ったデンさんがうまく折り返したところに槙野さんっていう形で先制。山中さんの左足の精度をうまく活かしたよい得点でした。後半立ち上がりからのよい流れの中で先制するっていう、ここまではかなり狙い通りに運んだなというところで、問題はこのリードした状況をどう活かすか、リードした時間帯を長くキープしつつ、追加点を狙う展開に持っていけるかというところでしたが、今節はそれがちょっとうまく行きませんでした。
66分、ガンバのボランチ、山本選手が中盤、(ガンバ)右サイドでボールを持ったところでウチは2列目が寄せるより少し引いてブロックを作る対応をしますが、これによって逆サイドの藤春選手によいサイドチェンジのパスを通されてスライドが遅れます。これによってゆとりを持った状態で藤春選手にクロスを上げられると、中央、ゴール前でパトリック選手→槙野さんが競りますが、パトリック選手に身体寄せられてクリアしきれず、ペナルティエリア内に落ちたルーズボールが(前半に小野瀬選手のアクシデントで交代出場していた)福田選手→宇佐美選手と渡ったところで狭いところからでしたがうまく右足を振り抜かれると、グラウンダーのシュートはシュートブロックに入った槙野さんの股下を抜ける形で失点。
上の方でも怖いって書いた、パトリック選手に深さを作られて、空いたスペースに宇佐美選手っていう形を作り出されてしまいました。先制点からわずか4分くらいで失点してしまったので、ガンバとしてみれば勢いが出てしまいますし、ウチとしてはもったいない失点だったなと。
同点に追いつかれたことで70分、レオナルドさん→武藤さん、興梠さん→杉本さんと2トップを刷新。さらに79分には山中さん→ウガとします。この時間帯、ガンバがサイドでかなり深い位置を獲るようになっていて、全体的にも少しオープンな展開になっていたこともあって、山中さんのところの裏や対人守備を気にしたんだと思いますけども、個人的にはこの交代で左サイドで精度の高いクロス、フィードを供給できる武器を失ったのが結構痛かったんじゃないかなと感じました。
ちなみに勝点3がなんとしても欲しいガンバも、79分に奥野選手、渡邉千真選手、唐山選手を一気に投入する3枚替え。高さのあるパトリック選手を残しつつ、さらに高さもある渡邉選手を投入したあたりが、ある程度セットプレーでのチャンスも狙っていたんだと思いますが、81分、そのセットプレーから失点します。コーナーキックからガンバ右SBの高尾選手に頭で合わされたものですが、ウチはゾーンで守っている関係上、中央でパトリック選手、昌子選手と高さのある2枚が入ってきた裏の橋岡さんの前っていう、所謂エアポケットっぽくなっていたところに落とされてしまったので、ちょっと守りようがなかったなと。西川さんとしてもさすがにノーチャンスでした。
85分には長澤さん→エヴェルトンさん、汰木さん→武富さんとしますが、前半からスプリントしまくって消耗したマルティノスさんのところはほぼ守備が機能しなくなってるし、攻撃面での切れもなくなって苦しい流れ。何度か相手ゴール前には迫りますが決定機というところまでは持っていけないままガンバに時間を使われタイムアップ。悔しい逆転負けを喫する結果となってしまいました。
さて、これで残り試合は4試合。ホームとアウェーが2試合ずつとなりました。ここまで30試合を消化して勝点45、1試合当たり平均勝点が「1.5」ということで、残り試合を考えると現実的な最終勝点としては「51」前後になりそう。すでに3位の名古屋が勝点で「55」に到達しているため、残り4試合を全勝しても「57」までしか勝点が伸びないウチがACL圏内というのは数値上の可能性はともかく、現実的にはほぼなくなりました。
ここから先はもうACLがどうこうとかいう話は一旦忘れて、とにかくホームの残り2試合を確実に勝つこと、アウェーで鹿島、川崎っていうきつい相手が残っているので、そこで来シーズンにつながる何かを見せる試合をすること、この辺に期待しつつ残りシーズンを楽しもうと思います。
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試合ハイライト
試合データ
観客: 20,288人(入場制限付きマッチ)
天候: 晴 / 気温 19.8℃ / 湿度 49%
試合結果: 浦和 1-2 G大阪(前半0-0)
レッズ得点者:槙野(62分)
警告・退場: -
主審: 家本 政明 氏
順位: 9位(13勝11敗6分/勝点45/得失点差-5)
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