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2020 Jリーグ 第31節 ノエビアスタジアム神戸 アウェー ヴィッセル神戸戦

前節は横浜F・マリノスを相手に意図がハマらずギャップを突かれる形で開始早々の3失点を含む6失点で完敗。

スコア的には大敗ですし、色々と議論になりそうな一戦になっちゃいましたけど、個人的にはスコアの差ほど相手に一方的に上回られたっていう内容でもなかったと思っていて、いつも通り自分たちのストロングポイントをぶつけに行ったら相手にうまく外されちゃったっていうか、ウチの 4-4-2 ブロックに対するマリノスの 4-2-1-3 の中盤での配置でかみ合わないっていう構造的な問題と、そのかみ合わなかった場所にキレッキレのオナイウ選手がいていい仕事されちゃったっていうのが重なったことで短期に試合を決められ過ぎちゃったなと。

ということで、ウチは戦い方的には変わっていなくて、あとはかみ合うか否か、みたいなところなので、あまり前節の大敗は気にせず、今節の相手はどっちかなって考えると気が楽です。今節の相手はヴィッセル神戸ですが、3バックのオプションがあるとはいえ、基本は4バックでかみ合いそうな相手。10月以降は勝点が詰めず、直近では4連敗して色々と大変そうな相手ですので、ここはアウェーとはいえきっちり勝って次節のホームゲームにつなげたいところです。

2020 Jリーグ 第31節 ノエビアスタジアム神戸 アウェー ヴィッセル神戸戦

写真は「DAZN」中継映像から引用

さて、ちょっと前置きが長くなりますが、今シーズン、ここまでのウチは、4バックで、かつマッチアップする相手に対してはある程度結果を出せるようになったものの(目の前の相手に負けなきゃいいっていう単純な話なので)、3バックの相手や、前節のマリノスのように4バックながら立ち位置でうまくギャップを作ってくるような相手に対しては、ウチのストロングポイントというか、大きな狙いとしている中央、CMFの強度を活かした、中盤でのポジティブトランジションを発生させることができず、逆にCMFの背中やSHの裏といったライン間や、SBーCB間、所謂ニアゾーンといった、4バックゾーンディフェンスで狙われがちなところをもろに使われて失点、もしくは相手の力量によっては失点まではいかないまでも苦戦するみたいな感じで、ハマる相手、ハマらない相手がはっきりしてきました。

で、気になるのはやはり最初の手がハマらなかったときの次の手がほぼない、っていう引き出しの少なさです。前節のマリノス戦なんかは顕著でしたが、ボランチのところで相手ボランチに規制かけて、そこで前向きにトランジションして出ていきましょう、みたいな狙いに対して、相手のトップ下の選手にボランチの背中で起点作られまくるっていう、ウチの狙いを外してそのギャップをうまく使われてしまったときに、全く対応ができないまま、開始13分で3失点することでほぼ試合が決まってしまいました。やはり、事前の狙いがズレた場合に備えるセカンドプランの必要性が改めて浮き彫りになったんじゃないでしょうか。

こういう話題の時に「ピッチ内での選手の修正能力」みたいなことに話がいきがちですけども、事前にセカンドプランを授けられていない状況で、ピッチ内で選手が状況判断して修正できる範囲など、たかがしれています。もしピッチ内での修正力が高いように見えるチームがあるなら、それはもともと様々なシチュエーションに対して事前の準備がされているために、ピッチ内の選手が、「あぁこれは練習でやったあのシチュエーションに近いな」みたいな感じで多くの選択肢の中から最適な方法にアジャストしているのであって、事前の仕込みがないのになんかうまく行かなかったらあとはお前らで考えて対応しろ、は無茶な話です。

マリノス戦の件も、ボランチの裏で相手トップ下が余ってるからといって、短絡的にボランチが後ろに引いてスペースを消そうみたいな対処になると、重心が後ろに下がって本来高い位置でトランジションしたいウチの狙いが出せなくなりますし、前節のレビューでも書いた通り、何度か相手ハイラインの裏のスペースを突いてチャンスも作れていたことから、(それしか選択肢がなかったのかもしれませんが)勇気を持って引かずに耐えるというのは、選択として間違っていたとも思いません。ピッチ内で修正するにしても何をするべきで、逆にするべきではないのか、という優先順位が重要ですし、前述したとおり、それはピッチ内の選手が勝手に判断するのではなく、トレーニングの時点で整理し、策を授けておかなければなりません。

その意味で、今のウチに足りていないのは様々なシチュエーションを想定した実践的な戦術への熟練であって、これは基本的な部分での戦術構築やその浸透に時間がかかったことで、現状では応用まで手が回っていないというのがその要因かと思います。大槻さんにそんなつもりはないのかもしれませんが、外から見ていると大まかなプレースキームだけ与えられていて、細部は選手任せっぽく見えてしまうのも、やっと大枠が固まったものの、細部の完成度を上げ、さらに相手の出方に応じて対応させるだけの作り込みができていないからでしょう。

シーズンも終盤でそんな状態でどうすんだよという意見もあると思いますし、その辺の評価は見る人によるのかもしれません。そしてそれは時間が解決するかもしれないし、お金が解決するのかもしれないけれど、少なくとも今シーズン、残り数試合で劇的に変わることはないと思いますので、あとはかみ合う相手(単にシステム的にマッチアップするってだけではなく、ウチのセットした 4-4-2 ブロックを混乱させるほどのクオリティを持たない相手も含め)からどれだけきちんと勝点を獲れるのかが最終的な順位に直結するでしょう。

なんか書いてて何が言いたかったのかわからなくなってきたし、長いのでそろそろ本題に入ります。

スターティングラインナップ

2020 Jリーグ 第31節 ノエビアスタジアム神戸 アウェー ヴィッセル神戸戦 スターティングラインナップ

今日のスタメンは最終ライン、CBはトーマス・デンさん、槙野さんのコンビ。右のSBには橋岡さん、左にウガ、ボランチのコンビは青木さんと長澤さん、SH右がマルティノスさん、左が汰木さん。2トップには武藤さん、興梠さんを配置した 4-4-2。GKは西川さん。前節、マリノス戦ではゴール前での対人のところで少しミスが目立ってしまった岩波さんに代わってデンさんが久々のスタメン。エヴェルトンさんはずっとスタメンだったのでコンディションを考慮してですかね、前節、後半から試合に入った青木さんが今節はスタメンです。それ以外は特に変更なし。

冒頭にも書いたとおり、前節の負け方はあれとしても、戦い方的にはウチは変わってなくて、現時点での大槻さんの狙いを体現できるメンツというのはそれ程多くないというのもあり、今節のようなちょこっとした人の入れ替えはあっても、大幅にスタメンが入れ替わるようなことはないでしょう。もちろん、コンディションの問題で外れている選手もいるため、戻ってきてどうなるかはわかりませんが。

対する神戸は、最終ライン、左から初瀬亮選手、渡部博文選手、菊池流帆選手、山川哲史選手。ボランチに山口蛍選手と郷家友太選手の組み合わせ。左のSHに佐々木大樹選手、右に古橋亨梧選手。2トップに田中順也選手と藤本憲明選手を配置した 4-4-2 のフォーメーション。ところで、郷家選手って左のSHにいることが多い記憶があって、ボランチ珍しいなと思ってたんですが、あとで選手コメントを読んだところ、プロでは初のボランチ先発起用だったらしいですね。

神戸というと、セルジ・サンペール選手あたりをアンカーポジションに置いた、4-1-2-3 の形が基本っていうイメージがあったんですけども、今節はシステム的に 4-4-2 で合わせてきてくれました。神戸としては守備的な部分を考えたときに、4-4-2 でマッチアップさせてしまおうという意図があったみたいですけども、システム的にかち合うならウチとしてはやりやすいので助かったなと。

マッチアップして拮抗した試合展開から、途中交代の山中さん→マルティノスさんホットライン開通で勝利

システム的に 4-4-2 でマッチアップして、しかも神戸がスタートポジションからあまり立ち位置を変えないとなれば、局面でのマッチアップで勝った方が勝つ、みたいな単純な話です。マッチアップとしてウチが警戒すべきと感じたのは、神戸の右SHに入った古橋選手のスピードで、対応するウガがそこを抑えられるかという部分でした。

立ち上がりからオーソドックスにSHで幅をとる神戸に対してウチはSBがインサイドに絞り気味の立ち位置でSBーCB間をケアした入り方。ボランチもマリノス戦のように果敢に相手ボランチに対してプレスをかけに行くような積極性より、自陣でスペースを埋める方に舵を切った感じの堅い立ち上がり。

神戸もライン間をコンパクトにブロックを作るため、お互いにボール保持時には危険なところに入っていくことが効率的に出来たとはいいがたく、とても慎重な試合展開に。神戸も直近で失点がかさんでいて、先に失点したくないという意識が強かったでしょうし、前節6失点してるウチも当然、守備面にバランスをとった入り方をしたため、スコアレスで試合が進み、今日は1点を争う試合になりますね、というのがわかりやすい流れ。

今シーズンのウチは何度か守備時の立ち位置で変化があったんですけども、今節のようなSBーCB間を重視して、SBがあまりサイドまで出ていかないやり方は、第9節で名古屋にボコられたあとにもそういうアジャストをしていて、その後、マルティノスさんがスタメン定着して以降はまた元に戻ってたんですけども、大槻さんは大敗したあとSBの立ち位置でバランスとりがちってことでしょうか。

この、SBが大外は捨てて、中に絞るってやり方は、一番危険なニアゾーンをまずは消して、大外から上がってくるクロスに関しては中ではじき返そうっていうやり方ですね。

神戸との前回対戦の時がちょうど名古屋にボコられたあとだったので同じやり方してたんですけども、その時はGKと最終ラインの間に速いクロス入れられたところから失点してて、槙野さんやデンさんの高さや強さが活かせるようなクロス対応の場合はいいんですが、クロスの入ってきかたによっては面倒くさい感じになります。その点で今節のSB、そしてSHの守備に関しては、積極的にサイドまで出てはいかないものの、縦に突破されて速いクロス入れられるのだけは避けるっていう守り方が徹底されていたように見えました。

一方で攻撃面では比較的早めに2トップに当てに行くことを狙っていたように見えますが、神戸のライン間がコンパクトなので、なかなかスペースがなく、その点では効果的な崩しができたとは言いにくい展開。ただ、見ている感じ、ウチの選手たちに前半から飛ばして一気に試合を決めてやろうみたいな感じはあまり見られなかったので、堅い試合になることを想定して、焦らず堅実にやって、どこかでスイッチ入れるタイミングを見てたのかなという。前線からのプレスもいけるときはいってましたけど、ボランチ2枚も無理に前に出て行く感じはありませんでしたし。

その意味で、試合が動き出したのは、59分のウガ→山中さんという交代から、72分に神戸がイニエスタ選手と小川慶治朗選手を投入。それに対して79分に青木さん→エヴェルトンさんとした時間帯からでしょう。

正直イニエスタ選手を投入後、彼がウチのディフェンスのライン間の嫌らしい場所にポジションを獲るようになってから、神戸に危険なエリアに侵入されはじめたので、ああいう臨機応変に立ち位置を獲ってくる選手はやっぱめんどくせぇってなったわけですけども、ウチも左サイドを山中さんに代え、中盤をエヴェルトンさんにして重心を前に持って行ったことで、両チームにとってこの時間帯が勝負所となりました。

で、83分、左サイドでボールを奪った山中さんが、レオナルドさんとのワンツーで一気にハーフスペースを縦に突破、相手ペナルティエリアの角を獲ると、そこから逆サイドをスプリントしていたマルティノスさんへの絶妙なクロス。マルティノスさん、難しいシュートだったと思いますが、うまく右足でミートしてニアをぶち抜くシュートで先制。勝負所の時間帯に素晴らしいゴールを奪ってくれました。この時のレオナルドさんのポジショニングは、相手ライン間にうまくポジションとって前に出て行く山中さんにスペースを作っていて、この辺は地味だけどよい動きだったなと。

ということで、アウェー4連戦はこれで終了。次節はホームに戻ってのガンバ大阪戦ですね。冒頭で書いた、かみ合う相手からは奪いたい勝点3ってところでいうと、ここから対戦が残っているチームは「システム的にはかみ合うけどウチより上位で、ウチの苦手なミスマッチを作り出せるだけの力があるチーム」か「順位は下だけどシステム的に3バックでかみ合わない」チームしか残ってないっていう現実があります。

ぶっちゃけ今節みたいにわざわざシステム合わせて、こちらがやりやすい状況に持って行ってくれるチームなんて希なので今節は運がよかったくらいに思った方がよさそうですし、次のホームで、現時点で2位につけているガンバを相手にどういう試合ができるかが重要だと思いますので、その辺に注目しつつ週末を待ちたいと思います。

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試合ハイライト

試合データ

観客: 8,268人(入場制限付きマッチ)
天候: 晴 / 気温 19.1℃ / 湿度 62%
試合結果: 神戸 0-1 浦和(前半0-0)
レッズ得点者:マルティノス(83分)
警告・退場: 長澤(警告×1/反スポーツ的行為)
主審: 今村 義朗 氏
順位: 8位(13勝10敗6分/勝点45/得失点差-4)

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Yoshiki Kato / burnworks
Yoshiki Kato
埼玉県出身。サッカー、フットサル (観戦 / プレー)、モータースポーツ観戦、格闘技 (主にボクシング) 観戦、インターネット、音楽鑑賞、筋トレ、腕時計収集が趣味。サッカー 4 級審判員、ウオッチコーディネーター(上級 CWC)資格認定者。好物はゼリー、グミ、お酒、ラーメン。