2020 Jリーグ 第23節 埼玉スタジアム2002 ベガルタ仙台戦
前節はアウェーで柏を相手に 1-1 の引き分け。前々節のアウェー鳥栖戦で連敗を止め、柏戦では今シーズンなかなか勝点を奪うことができなかった上位チームを相手に引き分けとはいえ内容では上回っての勝点1をゲット。このよい流れの中、ホームに戻っての第23節は、ベガルタ仙台との対戦。
アウェーである程度結果がでて、次の課題はホームでの連敗を止めること。ホーム埼スタでは8月29日の大分戦(第13節)での勝利以降、ここまで勝ちなしの1分4敗(4連敗中)という厳しい結果になっていて、今節の対戦相手であるベガルタ仙台が、前節終了時点で16位と低迷していることを考えても、今節は確実に勝点3を奪わなければならない試合となりました。
写真は「DAZN」中継映像から引用
スターティングラインナップ
さて、今日のスタメンは最終ライン、CBは岩波さん、槙野さんのコンビ。右のSBには橋岡さん、左にウガ、ボランチのコンビはエヴェルトンさんと長澤さん、SH右がマルティノスさん、左が汰木さん。2トップには武藤さん、興梠さんを配置した 4-4-2。GKは西川さん。
うまくいっているときはなるべく人選や配置をいじらないのはセオリーですし、今節が終わると次節までは1週間の間隔が空くため、中3日での3連戦の最後の試合、連続してスタメンを張る選手たちにとっては少し疲れも見え始めるころではありますが、これを乗り切ればということで、前節、柏を相手に可能性を見せたスタメンを今節も引き続き起用。一切の変更なしで挑む形となりました。
対する仙台は、最終ライン左から柳 貴博選手、シマオ・マテ選手、アピアタウィア・久選手(舌噛みそう)、飯尾竜太朗選手。ボランチに田中渉選手と椎橋慧也選手のコンビ。トップ下のような形でイサック・クエンカ選手、最前線に左から石原崇兆選手、アレクサンドレ・ゲデス選手、道渕諒平選手を並べた 4-2-1-3 のフォーメーション。GKはヤクブ・スウォビィク選手。
仙台の狙いは明確も、ウチの強みを発揮させる形に
仙台のビルドアップの狙いとしては、サイドを起点にハーフスペース、相手SBーCBのスペースを積極的に獲りに行く形。ビルドアップ時にはボランチが最終ラインに1枚落ちて疑似的な3バックを形成、両SBがワイドの高い位置に張ったところでボールを引き出し、その内側をインサイドワークしたウィング+中央の3枚、あるいは2列目からトップ下の選手が獲りに行くという狙いは明確。
しかし、SBがワイドで高い位置を獲るため、中盤でボールを失うとシンプルにSB裏のスペースを使われやすいという問題点もあって、ある程度相手にボールを保持されても、中盤での高い守備強度でぶっ潰して縦に速攻を狙いとするウチにとってはかみ合う要素は多く、今節の2トップが裏への仕掛け、スペースを見つけて入っていくのが超得意な興梠さん、武藤さんのコンビとあってはなおさら。このSBが高い位置を獲る仙台のポジショニングは、精度の高いフィードを蹴れる西川さんを擁するウチにとっては、相手が前からハメてくるなら中盤すっ飛ばして一発で裏を獲るような狙いも出しやすいという利点もあります。
また、仙台の最終ラインはディフェンスリーダーが誰なのか知りませんけども(シマオ・マテ選手になるのかな?)、裏のスペースを警戒してか、自チームの前2列のポジションに対して押し上げが足りない状況が見られ、ビルドアップ時にもドリブルで持ち出すみたいなことをあまりしないので、比較的中盤にはスペースが空きがち。前節、柏戦でもそうでしたけども、相手最終ライン前面にスペースがあるとウチは強みが出ちゃうんですよ。
両翼にマルティノスさん、汰木さんというスピード系アタッカーがいて、中央にも裏抜けが超絶えげつない2トップ。ここを抑えるには、とにかくライン間をコンパクトに、前を向いてボールを受けさせないというのがまずは相手からすれば鉄則になると思いますが、最終ラインの押し上げが足りないことでウチの前線が前向きにボール持って仕掛けられるシチュエーションが多く作れました。
ウチとしては中盤でトランジションしたい狙いがありますけども、仙台は中盤での距離感が遠いことでテンポがそれ程あがらず、中盤でのプレスやインターセプトを狙うウチのディフェンスにとっては的を絞りやすく好都合。結果としてボールの奪いどころが整理され、トランジション後も前向きに厚みのある速攻を繰り出しやすい状況がそろっていたため、これがウチの攻撃を活性化させる要因のひとつになりました。
1点目なんかはその狙いがきっちりハマった形。インサイドワークした橋岡さんが前線で一旦は相手に囲まれてボールロストしますが、ボール保持した仙台のボランチ、田中渉選手が中盤でパスコースを探して少し判断が遅れたところをプレスバックした橋岡さんとサポートした武藤さんでうまく囲んで再奪取。
田中選手の背後にはスペースがあったため、武藤さんが一気にドリブルで中央を仕掛け。この瞬間に空いていたSBとCBの間のスペースに斜めにスプリントする興梠さん。武藤さんはすかさず興梠さんへパス。いつもならこの2人だけの関係で攻撃が終わっていたんですが、ここ2試合くらい好転しているのが周囲との連動(所謂3人目、4人目の動き)。汰木さんが興梠さんとクロスするように内側を獲って追い越してくれたことで、相手SBが汰木さんに引っ張られ、興梠さんがフリーでボールを受ける形に。
さらに長澤さんが興梠さんを追い越すようにペナルティエリアに侵入したことで興梠さんは長澤さんへのスルーパス。少しボールが長くなりましたが、そこに先ほど興梠さんを追い越していた汰木さんが反応してCBを引っ張りつつ相手より先にボールを触ると、クロスラインで背中側を走った長澤さんにヒールで落とし。これを長澤さんが冷静に沈めて開始8分で先制。
ボールの奪いどころ、そこからの縦へのドリブルによる仕掛けで相手最終ラインをピン止め→裏に抜けた興梠さんを追い越した汰木さんの動き、2列目からペナルティエリア内に侵入した長澤さんのサポートと、複数人が連動した動きで相手ディフェンスを完全に崩してのゴール。長いこと出なかった形がここに来てやっと出るようになりました。素晴らしいゴール。
ウガの守備強度が汰木さんの攻撃面を活性化させる
ここ数試合、ウガが左のSBに入っているわけですけども、ウガ、汰木さんの縦関係は非常にうまく機能していると思います。これはウガのプレス強度、潰しに出ていくタイミングなど、守備的な能力の高さはもちろん、恐らくコーチングなどの面でもうまく後ろからサポートして上げることで、守備時にも汰木さんが自分の受け持ちエリアに集中できる状況を作れているように見えますし、出ていくときも思いきって出ていくことができているんじゃないかなと。今節、ウガがイエローカードもらって、累積で次節出場停止なので、その辺がどう影響するかちょっとだけ心配ですが、そのくらい、ウガの存在は大きいんじゃないかなと個人的には思ってますね。
さて、今節はいっぱい点が入ったので全部書いているとキリがないんですが(うれしい悲鳴)、前述した中盤でのトランジションから相手SBが空けたスペースを使っての攻撃という狙いがうまく出たという得点としては 3点目の興梠さんがPKをゲットしたシーンなども完璧でした。
相手中盤での横パスを汰木さんが狙いすましてインターセプト → 一気に縦にドリブル仕掛けて相手ディフェンスラインをピン止めしている間に興梠さんがラインブレイク → スルーパスにGKと1対1を作ってという流れでしたが、最後は倒されてPKでしたが、倒されなければ抜け出した興梠さんが無人のゴールに流し込むだけでしたし、興梠さんが相手ディフェンスラインの裏を獲った時点で勝負ありという素晴らしい崩し。
4点目(興梠さんの2点目)も汰木さんからのアーリークロスにヘディングで合わせたものでしたし、汰木さん、今節の6得点のうち、半分となる 3つのゴールでアシストだったんですよね。いやぁ素晴らしい。まさに覚醒。
後半の立ち上がりに4点目が入ったことで53分には興梠さん→レオナルドさん、ウガ→山中さんと交代。興梠さんを温存、イエローカードを1枚もらっていたウガは安全策という意味での交代かと思われます。レオナルドさんは交代後の67分に、マルティノスさんのアシストでチーム5点目となるゴールを記録。69分にはエヴェルトンさん→柴戸さん、武藤さん→杉本さんとして、前線の2トップを杉本さん、レオナルドさんに変更。
77分にはマルティノスさん→関根さんとして交代カードを使い切ります。マルティノスさんはこの日の2得点目となる素晴らしい直接フリーキックを叩き込んでくれました。素晴らしい。マルティノスさんも波に乗ってきましたね。
86分にはレオナルドさんがこの日2得点目となる6点目をマーク。橋岡さんのクロスからでしたが、ゴール前、相手ディフェンスに挟まれた狭い空間で、少しマイナスにズレたボールをつま先で超絶トラップしてシュート打てるところに落としたそのテクニックには脱帽。もうワンタッチしたらシュートする時間はなかったと思いますが、さすがのストライカー。その後も仙台GKのスウォビィク選手のビッグセーブに阻まれたもののハットトリックのチャンスも作るなどここ数試合、少し出番とチャンスがなくて溜まっていたであろうフラストレーションを発散するような活躍。いい仕事してくれました。
結局試合は 6-0 で終了。マストだった勝点3を最高の形で実現してくれました。
さて、ホームでこれだけの得点をし、しかも無失点で終われたというのはいつぶりですかね。すげぇ久しぶりな気がしますが、最初に書いた仙台との相性的な面、降格圏に沈む低調なチーム相手だったという事実もあるとはいえ、ホームで快勝してくれたことは素晴らしい。観に行っていた人たちも久々に気持ちよく帰宅できたんじゃないでしょうか(笑)
これで1週間のインターバルをおき、次節はホームでセレッソ大阪との対戦となります。仙台さんには失礼かもしれませんが、今節はある意味勝って当たり前の試合。次のセレッソに対してどういう戦い方ができるのかが、本番といいますか、現時点でのウチを評価する面で重要な試合になることは確実です。この快勝の勢いを、よい形で次につなげて、ホームでの連勝を目指して欲しいなと思います。
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試合ハイライト
試合データ
観客: 9,831人(入場制限付きマッチ)
天候: 曇のち晴 / 気温 21.1℃ / 湿度 42%
試合結果: 浦和 6-0 仙台(前半3-0)
レッズ得点者:長澤(8分)、マルティノス(36分)、興梠(39分)、興梠(51分)、レオナルド(67分)、レオナルド(86分)
警告・退場: ウガ(警告×1/反スポーツ的行為/次節出場停止)
主審: 家本 政明 氏
順位: 9位(11勝9敗4分/勝点37/得失点差-3)
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