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2020 Jリーグ 第20節 埼玉スタジアム2002 名古屋グランパス戦

ホーム3連戦の2つ目となる前節は、ミッドウィークの水曜日、第29節の前倒し開催でしたが、FC東京を相手にほとんどチャンスらしいチャンスも作れずウノゼロの完敗。シーズンダブルを喰らってしまう結果に。そこから中3日で迎える今節はホーム3連戦の最後、名古屋グランパスとの第20節。

リーグ前半戦の最終節がホームでの川崎戦。3失点無得点で完敗し、リーグ後半戦の初戦はアウェーで清水に勝利。しかしその後、ホームで2連敗(横浜FC、FC東京)という状況で、直近4試合は1勝3敗。しかもホームでは3連敗中ということもありますし、名古屋さんは前回対戦で6失点の大敗喰らった相手。今節はなんとか結果を出したい一戦となりました。

2020 Jリーグ 第20節 埼玉スタジアム2002 名古屋グランパス戦

写真は「DAZN」中継映像から引用

スターティングラインナップ

2020 Jリーグ 第20節 埼玉スタジアム2002 名古屋グランパス戦 スターティングラインナップ

さて、今日のスタメンは最終ライン、CBはトーマスデンさん、槙野さんのコンビ。右のSBには橋岡さん、左にウガ、ボランチのコンビはエヴェルトンさんと長澤さん、SH右がマルティノスさん、左が関根さん。2トップには杉本さん、興梠さんを配置した 4-4-2。GKは西川さん。

対する名古屋は、最終ライン左から吉田豊選手、丸山祐市選手、中谷進之介選手、オジェソク選手。ボランチに米本拓司選手と稲垣祥選手。2列目左に相馬勇紀選手、右にマテウス選手、中央に前田直輝選手を配置し、ワントップに金崎夢生選手とした 4-2-3-1 のフォーメーション。GKはランゲラック選手。

ウガの先発は恐らく名古屋右サイドに入るマテウス選手とのマッチアップを想定してのもの。前線に高さのある杉本さんを配置して名古屋がハイプレスを敢行してきた場合は前線の的としつつ、高い位置を獲ってくるであろう相手両サイドの裏で、単独での突破力があるマルティノスさん、関根さんを活かしたい。そして中盤に配置した長澤さんとエヴェルトンさんで中盤の守備強度を上げつつ高い位置で起点を作れれば、といった狙いの見える人選となりました。

両チーム堅い立ち上がり。マルティノスさんが右サイドで存在感を示す

前回対戦時、簡単に言ってしまえばウチはプレスのスタートポジションや連動が整理されていないにもかかわらず、無謀に突っかけていっては外されてという形で6失点喰らったわけですけども、今節の名古屋戦に限らずここ最近のウチは、あまり前からプレスで追い込むみたいなことは狙わず守備ブロックを形成する方を優先した守備のやり方に変わっています。

今節も名古屋が最終ラインまで下げた時はしっかり全体を上げつつ、4-4-2 ブロックを作って中央を固める策。名古屋も前回対戦時はホームゲームだったこともあってだと思いますがかなり前から積極的にプレスかけてくるやり方をしていましたが、今節はそれ程無理に前には出てこず、ウチと同様、4-4-2 ブロックを作って危険なところ、ウチが縦にスイッチを入れるようなパスだけ切るみたいなお互いに堅い入り。

名古屋はウチの中央ブロックが堅いことを想定した上で、中央を回避してサイドを起点としたビルドアップ。両サイドに相馬選手、マテウス選手という単独で突破可能な駒があり、さらに前田選手と金崎選手がハーフスペースを獲ってくるし、特に金崎選手はそのキープ力を活かして前線でうまくボールを収めるため、守る方としては簡単ではありませんが、中央エリアは長澤さんとエヴェルトンさんが狙い通りに強度の高い守備で相手に起点を作らせず、サイドで詰まらせてクロスはきっちりはじき返すという形で、名古屋にそこまで危険なシーンを作られることもなく戦うことができていました。まぁ同時にウチも名古屋のブロックを前になかなか前進できず、相手守備ブロックの外郭をなぞるだけといういつもの感じではあったんですけども。

そんな中、最初の決定機は名古屋。3分過ぎに金崎選手がサイドに流れて溜めを作ったところからマイナスに戻し。バイタルエリアでこれを受けた米本選手からハーフスペースを縦に前田選手への鋭いパス→反転から左足シュートはゴールポストをかすめて外れたものの、ペナルティエリア内の深い位置でフリーでフィニッシュまで持って行かれていて一瞬終わったと思わせるきわどいシーン。

しかしその6分後の9分過ぎ、今度は右サイドで橋岡さんからのパスを受けたマルティノスさんが、絶妙な駆け引きで名古屋の左SB、吉田選手を縦にぶち抜いて一気にペナルティエリア角までドリブルで持ち込むと、そこからのグラウンダーのクロスに興梠さんがトラップ→反転シュートまで持っていったシーンはウチにとってこの試合最大の決定機。

マルティノスさんの突破、クロスに対してニアに杉本さんが潰れに入ってその裏で興梠さんが絶妙な、いや神のごときトラップ&ターンで相手ディフェンスの背中を獲り、シュート打ったところまでは完璧でしたが、相手GK、ランゲラック選手の好セーブに阻まれてゴールとはならず。悔しいけれどランゲラック選手のナイスセーブでした。

この試合で存在感を示したのが右のSHで先発したマルティノスさん。マルティノスさん、出場した場合はいつもそうなんですが、良くも悪くもウチのチームコンセプトに縛られない。それが本人が勝手に無視してるのか、大槻さんから君は自由にやりなさいって言われてるのかはわかりませんけども、橋岡さんとの距離感などクソ食らえ、俺が欲しい位置でボールを受けるぜという強い意志を感じるポジショニング。

守備時のプレスバックも形だけふらっと戻るみたいな感じだったり、味方と複数人で囲んでいるような、行かなくても良いところで無理に突っかけてファールしたりと色々と細かい部分でツッコミどころは多い人ではありますが、ワイドでボールを受けて縦に仕掛けられるシチュエーションではその持ち味をいかんなく発揮し、対面の吉田選手とのマッチアップではほぼ完勝。

ボール保持時、理論的に相手を崩すための立ち位置や動き直しが出来ないウチにとって、チャンス創出のきっかけとなるのは前線で誰かが無茶をした時。要するに無理矢理相手を1、2枚ぶち抜いた時なんかが典型的ですが、こういう無理が利くのが関根さんあたり。マルティノスさんもタイプは違うものの1人で局面を打開できるスピードがあるので、こういうある意味「無秩序」、言い換えれば「オープン」な状況を引き起こせる選手は貴重なのかもしれません。

そしてそのマルティノスさんがPKゲットか、というチャンスを前半42分に創り出します。

相手のアーリークロスをゴール前ではじき返したセカンドボール。杉本さんが落としたボールを興梠さんが中央でまじあんたは神か(何度言うか)と思えるようなボールキープから、反転右サイドを駆け上がるマルティノスさんの元へ絶妙なロングフィード。

これを受けたマルティノスさんが一気に右サイドからペナルティエリア内に侵入したところで吉田選手のアタックを受けて倒されますが、これがノーファールの判定。

ジャッジに文句つける気はないですけども、吉田選手はボールにチャレンジせず、身体ごとマルティノスさんのドリブル進路に飛び込んでくるようなプレー(マルティノスさんがボールをキープしようと足を伸ばしているところに完全に両足が空中にある状態で飛んできたような状況)でしたので、無謀なチャレンジだったと思いますし、もしマルティノスさんが無理にボールキープしようとそのまま踏ん張っていたら体重が乗った軸足に吉田選手が身体ごと突っ込んでくるようなシチュエーションでしたので、あれは自分からジャンプして接触を避けたのは正解でした(それを自分から飛んだのでPKじゃないなんて言われたら理不尽です)。

ボールにチャレンジせず、相手のドリブルコースに身体投げ出してトリッピングを狙ったように見えましたので、あれはPKでよかったと思います。これは別にウチのチャンスだったからひいき目に見ているわけではなく、もう少し吉田選手のチャレンジが正当だったかの方を見極めて欲しかったところです。

で、このシーン、PKにはならなかったですし、得点シーンでもないんですが、マルティノスさんを起用したポジティブな面がとても良く表れていると個人的には思いました。

というのは、このシーン(ビルドアップの中でのプレーではないのでちょっと異なる点はありますが)のように興梠さんが中盤まで下りてきて溜めを作ることってよくあるんですけども、興梠さんが落ちてくるのは、もちろん中盤で起点が作れないので仕方なくという面もあるとは思いますが、自分が落ちることによって相手最終ラインを高い位置に引っ張ってくるという意図もあると思います。

しかし、現状では興梠さんがこういう落ちる動きをした際に、それと入れ替わりに興梠さんが作ったスペースに出ていくような動きをする人があまりおらず、ボランチもSHも興梠さんを追い越すような動きをしないため、結果として前線に人がいないみたいな状況になりがちでした。

しかし、マルティノスさんは興梠さんが中盤に落ちて溜めを作った瞬間には右サイドの高い位置を一気に抜ける動き出しをしていて、興梠さんもそこを見逃さずに気合いのボール保持からピンポイントでそこを狙ったフィードを繰り出し(っていうかあの相手に囲まれた状況でキープするだけじゃなく、マルちゃんの動き出しを見逃さずにピンポイントで合わせるフィードの質も尋常じゃなかったですし興梠さんはやっぱハンパねぇですよ)、一発でチャンスを創出しました。

この辺のポジションの取り方、思い切りの良さなんかはマルティノスさんの良い面が発揮されたシーンだったんじゃないかなと思います。

ということで、前半は惜しいチャンスもありつつ、結局両者無得点で折り返し。前半のポゼッションはウチが58%(DAZN中継の速報値)。シュート数は3本(枠内1)、名古屋が5本(枠内4)と、ぶっちゃけ両チームとも相手ゴールに迫ったとはいえない前半ではありましたが、ここ数試合失点がかさんでいたウチにとっては久々に無失点で終えられた前半。

後半立ち上がりの失点はいつもの形

前半の出来に関しては、ここ数試合の中でもベストと言っていい内容だったと思います。もちろん、前述したとおり、自分たちのボール保持時、ビルドアップでなかなか相手ディフェンスラインの1列目を越えていけず、遅い攻撃ではアタッキングサードに侵入することもままならないのは、今に始まったことではないですが、マルティノスさんによってもたらされる右サイドの単独突破から惜しいチャンスを創出。ここ数試合、まともにチャンス創出すらできていなかった状況を考えればベストというのは言い過ぎではないかと思います。

しかし、欲を言えば前半、マルティノスさんが吉田選手をマッチアップで上回っていた時間帯に先制しておきたかったところ。ドリブル突破しまくっているマルティノスさんの体力が尽るまでがチャンスってことで、後半の立ち上がりは重要だなと思っていたらまさかの失点......

54分、名古屋左サイド、ハーフスペースでボールを保持したマテウス選手が、エヴェルトンさんにマーク付かれながらもドリブルで縦に強引に突破を図ります。エヴェルトンさんと競り合いながら左サイドに流れたところで前方からマルティノスさんがサポートに入りますが、懸命に中を切りつつマテウス選手に併走するエヴェルトンさんに対して、本来は内側から外に追い出すようにサポートしなければならないところを、その辺があまり得意ではないマルティノスさんは不用意に外側からマテウス選手にアプローチしますが、これが意味ないどころか、一瞬エヴェルトンさんをスクリーン(マルちゃんがいることで一瞬スピードを緩めたエヴェルトンさんがマテウス選手に置いて行かれる形になっちゃった)したような状態になってその瞬間、マテウス選手に一気に突破→ペナルティエリア内に侵入されます。

ペナルティエリア内では橋岡さんがマテウス選手を待ち受けますが、ペナルティエリア内ということもあって強く当たりにでられないところをうまく縦に持ち出され、クロス→ファーサイドで金崎選手に頭で合わせられて失点。

ファーに流れた金崎選手に対して、ウガは中央に入っていった前田選手をケアするため絞っていたのと、金崎選手がファーに動き出す前に一番近くにポジションを獲っていた関根さんも、クロス上がった瞬間に大外にいた槙野さんも、金崎選手を視認できずに完全にフリーの状態にしてしまったため、金崎選手にしてみれば合わせるだけというイージーシュート。さすがの西川さんもノーチャンスでした。

失点後の59分、関根さん→柏木さん、杉本さん→レオナルドさんとして、柏木さんをボランチの位置に。長澤さんを右のSH、マルティノスさんを左のSHに移動させます。さらに64分には長澤さん→伊藤(涼太郎)さんとして、伊藤さんをそのまま長澤さんの位置へ入れますが、その後マルティノスさんと左右を入れ替えて、右がマルティノスさん、左に伊藤さんという並びに。

柏木さんのセントラルへの投入で想定通り、中盤でのボール保持と前線へのパス供給元はできますが、なかなかチャンスらしいチャンスは創出できず。81分にはマルティノスさん→武藤さん、ウガ→山中さんとして疲れの見えてきたマルティノスさんを諦め、山中さんのクロスで打開を図りにいきますが、その直後の85分、途中交代で入っていた名古屋、ガブリエル・シャビエル選手の緩急を付けたドリブルに翻弄され後手を踏んだデンさんが後ろから倒してこれがDOGSO、決定機阻止と判定され一発レッドの退場。追いつきたい終盤で1人少ない状況となってしまいました。

ウチのコーナーキック終わりに発動した名古屋カウンターへの対応。中盤でボールを受けてドリブルで前進しようとしたガブリエル・シャビエル選手に対してデンさんが横方向からアプローチしに行った状況でしたが、ガブリエル・シャビエル選手が一瞬スピードを緩めたところで油断したデンさんがスピードダウンした刹那、ガブリエル・シャビエル選手が一気にトップスピードに加速すると遅れたデンさんは完全に後ろから追う形に。

間に合わないと判断したデンさんはペナルティエリア内までまだ距離が遠かったこともあってだと思いますが、後ろから掴んで倒すホールディングの反則。この時点でゴールまでは30メートルくらいはあったと思うので、イエローで済むかな......と思ったら主審の荒木さんは躊躇なくレッドカードを提示。

抜ければGKと1対1は確実、ガブリエル・シャビエル選手はゴールに向かってボールを完全にコントロール下に置いていましたし、あとはゴールまでの距離が焦点だと思います。個人的には厳しいなぁという感じではありますが、決定機阻止と判断されても仕方のないシチュエーションでした。走力には定評のあるデンさんだけに、コンディションの問題なのか、途中交代でフレッシュだったとはいえ、ガブリエル・シャビエル選手に簡単に置いてかれるのはちょっと気になるやられ方でしたね。

デンさんの退場で最終ラインは槙野さんと橋岡さんを中央に、左は山中さん、右は武藤さんが低めにポジションを獲りつつも、ほぼ2バックみたいな形で何とか前線に人を集めて1点を追いますが、結局、名古屋の守備ブロックを打開するには至らず。逆に名古屋にうまく時間を使われてそのままシャットアウト。ホームで痛い3連敗となってしまいました。

さて、週に2試合の連戦も一旦ここで終了。約1週間の中日を挟んで次は来週末の土曜日、アウェーでの鳥栖戦となります。今節も含めてここ3試合、連敗どころか1点も得点できていないなど、なかなか苦しい状況ではありますが、次節までの間に何とか打開策を見いだしていただきたいところです。

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試合ハイライト

試合データ

観客: 9,357人(入場制限付きマッチ)
天候: 曇 / 気温 23.1℃ / 湿度 59%
試合結果: 浦和 0-1 名古屋(前半0-0)
レッズ得点者: -
警告・退場: ウガ(警告×1/ラフプレー)、レオナルド(警告×1/異議)、トーマスデン(退場/DOGSO/次節出場停止)
主審: 荒木 友輔 氏
順位: 10位(9勝9敗3分/勝点30/得失点差-10)

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