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2020 Jリーグ 第29節 埼玉スタジアム2002 FC東京戦

前節は横浜FCにホームで2失点の完敗。リーグ後半戦のスタートをアウェー清水戦の勝利で飾ったと思いきやホームに戻っての痛い敗戦、連敗は避けたい状況の中で迎える今節は、対戦相手となるFC東京が参戦しているAFCチャンピオンズリーグの日程変更に伴い、前倒しで開催される第29節になります。

前節の横浜FC戦からは中3日、ホームでの連戦とはいえ厳しい日程の中でどこまで前節の反省を活かして立て直せるのか。相手は今シーズン1度目の対戦(アウェー)で2失点して完敗しているFC東京ということもあってシーズンダブルは避けたいところです。

2020 Jリーグ 第29節 埼玉スタジアム2002 FC東京戦

写真は「DAZN」中継映像から引用

スターティングラインナップ

2020 Jリーグ 第29節 埼玉スタジアム2002 FC東京戦 スターティングラインナップ

さて、今日のスタメンは最終ライン、CBはトーマスデンさん、槙野さんのコンビ。右のSBには橋岡さん、左にウガ、ボランチのコンビは柏木さんと柴戸さん、SH右が長澤さん、左が汰木さん。2トップには武藤さん、興梠さんを配置した 4-4-2。GKは西川さん。

対するFC東京は、最終ライン左から小川諒也選手、森重真人選手、渡辺剛選手、中村拓海選手。ダブルボランチには安部柊斗選手とアルトゥール・シルバ選手。SH左に田川亨介選手、右に三田啓貴選手を配置し、前線の2トップは永井謙佑選手、レアンドロ選手という組み合わせの 4-4-2。GKは林彰洋選手。

FC東京はディエゴ・オリヴェイラ選手がイエローカードの累積で出場停止。前回対戦後に室屋選手、橋本選手という第一線の主力級が海外に引っこ抜かれ、それなりに厳しい台所事情。前節は鳥栖に3-0の完敗を喰らって連勝が2でストップしています。

埼スタでの対戦成績はウチがルヴァンカップも含めて2003年以降は負けなしと相手にとっては苦手意識があるかもという状況ながら、相手は前節終了時点で3位の好位置につける「上位チーム」。今シーズン上位からは勝点がほとんど獲れていないウチがどういう戦いができるのかにも注目です。

試合内容とは関係ない前置き

前節のレビューでちらっと書いたんですけども、後半、柏木さんをボランチに起用してから中盤でボール保持できるようになったことを受けて、もし今節柏木さんボランチで先発みたいなことするなら、(それは柏木さんにとっては最善の起用方法ではありますけども)今シーズン目指してきたと思われるコンセプトからすれば後退というか先祖帰りですし、それやるなら何のためにここまで柴戸さん、エヴェルトンさん、青木さんで中盤をまわしてきたの?って根本的な部分がブレますけどって話をしました。

柏木さんの能力に関して疑いはありませんし、彼を活かすならボランチ起用がベストなのはわかりきったこととして、それでも「属人的な」中盤でのポゼッションへの依存、そして柏木さんのプレースタイル的に速攻よりもじっくりボール保持して前進するスタイルの方が向いていることを考えれば、今シーズンここまでやってきた、中盤での守備強度を上げて高い位置でのトランジションを発生させ、そこから2トップを狙った縦に速い攻撃というコンセプト下におけるボランチ像とは全く方向性が異なる選手であることも確か(シーズン開幕から第3節までは柏木さんがボランチで起用されてたので、当初は彼を適正ポジションでこのコンセプトになんとか当てはめ、活かそうとしたスタートではありましたけども)。

もちろん、今シーズンここまでやってきたコンセプト自体の是非、あるいは現時点での完成度について色々な意見はあると思いますけども、基本的にSBやSHのインサイドワークにしてもいかに中盤でボール奪って縦に中央レーン、もしくはハーフスペースを獲っていくかってことを重視してやってきて、そのためにはボランチに広範囲なスペースカバーと対人能力が必要ってことで柴戸さんがほぼ不動のスタメンとして抜擢され、エヴェルトンと青木さんをローテーションに加えることで中盤、というかセントラルポジションを構成してきたわけです。

ただし、柴戸さんもエヴェルトンさんも青木さんも今のコンセプトで求められる、所謂ボックストゥボックスタイプの選手ではあるものの、中盤でボール保持してゲームコントロールするような選手ではなく、トップ下のポジションも存在しない中で中盤でボール握れる選手がいないっていうのは確か。結果として自分たちでボール保持しても中盤で作れないのでなかなか主体的に相手を崩すようなこともできず、相手ボールを中盤で刈り取ってカウンター当てる、所謂リアクションの方が良さがでちゃうっていう状態になっていたわけです。

で、それを解消しようと柏木さんや武藤さんみたいに中盤でボール保持できる人をSHに入れてやってみたけど本来の適正ポジションではないため思ったようには結果がでない。じゃあ柏木さんボランチに戻せば良いじゃんってなるんですけど、先に書いたとおり、今さらそれをやるならここまで目指してたコンセプトはなんだったんよという話。

ここで例の3年計画的な話がでてくるわけですけども、3年計画の中身について細かく言うつもりはないです。そもそも外部に公開されている情報だけはざっくりしすぎていてなんとも言えないので。ただ、ミシャさん時代に浦和に加入し、毎年優勝争いしてくれていたころの主力選手も皆さんキャリアのピークを越えてベテランの域に。ミシャさんもいないわけですし、いつまでもミシャサッカーの遺産と、彼らの個人能力に頼ったサッカーをやっていては先が見えているということで、3年くらいの長期計画で次の世代を担う選手を台頭させ、「脱ミシャサッカー」した上で浦和の新しいスタイルを築いてくれというのがクラブが大槻さんに求めてることだと思うんですよ(合ってるかどうかは知らない。単に私の解釈として)。

それを任せるのが大槻さんでいいのかみたいな話はし出すとキリがないので(昨シーズン終わりに書いていますけど、私は明確に彼の監督としての続投には反対でしたからね)置いておくとして、大槻さんなりに新しいコンセプトで色々と取り組んで、ここまでシーズンを消化してきたわけです。

なので、先を見据えて現在のチーム構築、コンセプトの確立に取り組んでいると認識しているわけですけども、中盤でボール保持できないからやっぱ柏木さんボランチでいいじゃんみたいな、ある意味近視眼的な話を今さらされると、なんなのかなって思うわけです。もちろんプロの監督さんは結果を出さなければ職を追われる厳しい環境でやってるわけですので、結果出すためなら多少近視眼的といわれようが知ったことかというのもひとつの考えですし、それを否定はしませんけども、短期的な結果にこだわるのか、長期的なチーム構築に力を入れるのか、どっちかにした方がいいんじゃいの?というのがあり、個人的には後者を目指してるんだろうなと思って多少のことには目をつぶってきた手前、今さらブレないで欲しいなって意味で前節のレビューにちらっと書いたわけです。

が、その心配していたことが今節起こったと。まぁそれで結果が出る分にはいいんですけどちょっと残念な感じだなという感想を持ちつつのキックオフとなりました。

前置きが長い...... 本題に入りましょう。

ボール保持で良さが出ない同士の対戦で、狙いを得点につなげたのはFC東京

FC東京は守備時永井選手のみ少し残り気味にした 4-4-2 ブロック。高い位置でウチの最終ラインに対して出て行けるときは2トップ+SHでプレスかけてサイドに追い出し、そこで回収できればショートカウンター。蹴らせたら強さと高さのある最終ラインでしっかり跳ね返して中盤でセカンドボール回収という感じの狙い。特にウチは右サイドの橋岡さんがかなり高い位置をとっていたので、その裏でスピードのある永井選手がサイドに流れると結構嫌な感じ。

FC東京は前プレを外されて相手に前進された場合は即座にリトリートしつつ全体を下げてブロックを形成し、3ラインをコンパクトに保ってバイタルエリアのスペースを消す守備をしてくるため、ただでさえボール保持させられるとアイデアのないウチとしてはボール保持で効果的なところに入っていくことができない流れ。

それでも試合の立ち上がりは、ウチも守備時、2トップが相手のビルドアップに規制をかけつつ狭いところに追い込み、ロングボール蹴らせて回収という感じでよい入りができていたと思います。

まぁそもそもFC東京さんはあまりボールを保持して前進してくるというよりは、一旦蹴って前線で競ったところからのセカンドボール回収でショートカウンターのチャンスを自分たちから作ってくるってのも狙いにあるので、「相手にロングボール蹴らせた」というよりもFC東京さんにとってはある程度想定内だと思うんですが、それでも高い位置で相手の狙い通りトランジションされないようにブロックをセットしつつ、ビルドアップにプレッシャーがかかった場合は一旦西川さんまで下げたところで前線に向けてロングフィードで一気に相手を裏返すような狙いは見せていました。

また、最終ラインまで落ちてゲームコントロールする柏木さんの存在と、ミシャさん時代からそこは慣れてる左サイドのウガから前線の武藤さん、興梠さんに対して斜めにいい形の楔が供給されていて、そこからフリックやスルー、ワンタッチプレーで相手最終ラインをブレイクする仕掛けを見せるなど、ミシャさん時代のKLM(Lは移籍しちゃいましたけど)に対してストッパーやボランチから縦に当てるような形の再現が見られました。ウガがCBの脇に絞り気味にポジションを獲って所謂、偽サイドバック的な動きを頻繁にしていたのも彼から前線へのパス供給を狙ってのものでしょう。

とはいえ、最後のフィニッシュの部分に関してはなかなか決定的な3人目、4人目の動きが連動せず決定機という意味では少ない展開になりましたけども。

お互いにカウンターが持ち味のチームということで、どちらが先制点を獲るのか、それによって試合を有利に進めることが期待できるわけですけども、そんな中で避けたかった失点を先にしてしまったのはウチでした。

37分、相手GKからのリスタート。自陣で競ったルーズボールを柴戸さんが収めるかと思いましたが、縦に持ち出そうとしたところをFC東京、アルトゥール・シルバ選手が深いタックルで柴戸さんからボールを刈り取ります。そのままバイタルエリアにドリブルで持ち込まれると相手右サイドをフォローしてきた中村選手へと開いたところからダイレクトでウチの最終ラインとGKの間を狙った低くて速いクロス。

これは戻りながら対応したデンさんがはじき返しますが、グラウンダーになったクリアがペナルティエリア中央のレアンドロ選手にインターセプトされると、レアンドロ選手のシュート。これは当たりそこないのミスキックだったんですが、運悪くペナルティエリア内にポジションを獲っていた永井選手の足元へ。急にボールが来た永井選手は一旦はしょぼいシュート放って西川さんに弾かれますが、この弾いたボールが永井選手のところに戻ってしまったことで再度ゴール上隅へと強烈なシュートを叩き込まれて失点。

本来ウチがやりたい、そしてFC東京も得意の、中盤の高い位置で引っかけてのショートカウンターを見事に炸裂させられてしまいました。つらい。

終盤は前線にストライカー全員入れちゃえ作戦もフィニッシュまでは遠く......

ゲームは1点ビハインドのまま後半へ。

66分には長澤さん→マルティノスさんとして、マルティノスさんをそのまま右のSHへ。続く75分には汰木さん→レオナルドさんとして武藤さんを左のSHに移動させ、レオナルドさんと興梠さんの2トップ体勢に。前線に攻撃的な選手を増やしていきます。

極めつけは85分にウガ→山中さん、柏木さん→杉本さんとして、山中さんはそのまま左のSBへ。柏木さんを下げたことでいなくなった中盤は、柴戸さんがアンカーのようなポジションで1枚、興梠さんが1列下がり目のトップ下っぽいポジションに入る、4-1-3-2、あるいはレオナルドさんが1トップ気味の 4-1-4-1(前線は流動的だったので恐らく明確には決まっておらず、要するにもう 4-1-5 みたいな前線に人を突っ込む) のような形にして前線がストライカーだらけの状態に。

もうここまでくると狙いは「事故」ですね。なんかこう崩そうとかいう狙いがあってとかではなく、山中さんとマルティノスさんからバンバンアーリークロスぶっ込んで、例えば杉本さんがスラしてレオナルドさん、興梠さん、武藤さんあたりの誰かがこぼれ球に先に触れれば何か起こるんじゃねーの的な。ビハインドは1点なのでそういう雑なパワープレーでも何とかなりそうと考えたのかもしれませんが、FC東京の守備はほとんど動かされてない状態でしたので、特に何も起こらず(シュート打てたのが確か杉本さんのミドル1本だけだったんじゃないですかね)そのまま試合終了と。

コンセプト的なものも一旦脇に置いて柏木さんのボランチ起用で起死回生を図ったのに、結局その結果も出ずに敗戦という悲しい結末になってしまいました。

さて、連敗して苦しい状況ですが試合の方は待ってくれません。週末には中3日で名古屋戦を迎えます。ホーム3連戦の最後ですね。またも上位チームとの対戦となりますし、名古屋さんには前回対戦時、アウェーでボッコボコにされる(6失点)っていう屈辱を味わわされている相手ですので、何とか雪辱を果たしてもらいたいものです。

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試合ハイライト

試合データ

観客: 5,623人(入場制限付きマッチ)
天候: 晴 / 気温 20.3℃ / 湿度 64%
試合結果: 浦和 0-1 FC東京(前半0-1)
レッズ得点者: -
警告・退場: -
主審: 福島 孝一郎 氏
順位: 9位(9勝8敗3分/勝点30/得失点差-9)

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Yoshiki Kato / burnworks
Yoshiki Kato
埼玉県出身。サッカー、フットサル (観戦 / プレー)、モータースポーツ観戦、格闘技 (主にボクシング) 観戦、インターネット、音楽鑑賞、筋トレ、腕時計収集が趣味。サッカー 4 級審判員、ウオッチコーディネーター(上級 CWC)資格認定者。好物はゼリー、グミ、お酒、ラーメン。