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2020 Jリーグ 第9節 豊田スタジアム アウェー 名古屋グランパス戦

前節は清水エスパルスを相手にホームで引き分け、アウェーでのルヴァンカップを水曜日に挟んでチームは名古屋へ移動。迎える第9節は、アウェー豊田スタジアムでの名古屋グランパス戦。

ルヴァンカップからは中2日での試合、気温も30度を超える暑さの中で、コンディションがどのように影響するのか気になるところではありますが、現在(今節開始時点)、勝点で並んでいる名古屋との対戦、何とか上に食いついて行くためにもアウェーとはいえしっかり勝点を持って帰りたい一戦となりました。

2020 Jリーグ 第9節 豊田スタジアム アウェー 名古屋グランパス戦

写真は「DAZN」中継映像から引用

スターティングラインナップ

2020 Jリーグ 第9節 豊田スタジアム アウェー 名古屋グランパス戦 スターティングラインナップ

さて、今日のスタメンは最終ライン、CBはトーマス・デンさんに、鈴木大輔さんのコンビ。右のSBには橋岡さん、左に山中さん、ボランチのコンビは青木さんと柴戸さん、SH右が汰木さん、左が前試合、ルヴァンカップで久しぶりの出場を果たした武富さん。2トップには杉本さん、レオナルドさんを配置した 4-4-2。GKは西川さん。

対する名古屋は、最終ライン、左から吉田豊選手、丸山祐市選手、中谷進之介選手、成瀬竣平選手。ボランチにジョアン・シミッチ選手と稲垣祥選手を配置。前線は1トップに金崎夢生選手を置き、2列目左にマテウス選手、右に前田直輝選手、中央に久々に復帰のガブリエル・シャビエルを配した 4-2-3-1 のフォーメーション。

立ち上がりはいい感じで入るも守備組織が機能せず前半だけで5失点

もうあれです。前半の失点だけ、というか3失点目喰らった時点で今日はもう終わったっていう感じでしたので後半とかちょっと試合観る集中力が続かなかったんですけども、シーズン通して観れば1試合くらいはこういうどうしようもないボロ負けってのはあるものなので早いところ記憶から抹消したいですね。ということで気持ち切り替えて行きましょう・・・・・・ おっとあぶない、レビュー書かずに締めそうになっちゃいましたが、頑張って気になったところだけ書きます。

前半、初っぱなの失点は9分に前田選手に喰らってるんですけども、立ち上がりから5分くらいに限定すれば、ウチの入りは悪くはなかったですよね。ここ数試合、シーズン開幕当初狙っていたサイド攻撃はどうしたんだよってくらいシンプルに中央で縦に付けたり、最終ラインから前線にロングフィード一発でレオナルドさん辺りを狙う形が増えていますが、今節も立ち上がりに関しては積極的に中央で縦に付けにいったり、裏への仕掛けにシンプルに蹴ったり、みたいな感じでアタッキングサードに侵入することはできていました。

名古屋は立ち上がりかなり高い位置から積極的にプレッシングに出てきていて、前線の1トップ+2列目3枚がウチのビルドアップに対して出てくるので、少しそこで詰まらされた感じではありましたが、ウチには西川さんというロングフィードの精度が抜群のGKが最後尾にいますからね。下げたところからでも西川さんが前線に精度の高い配球をすることによって、名古屋の中盤のプレスをすっ飛ばす形で打開できるのはひとつの強み。

勢いを持ってアタッキングサードに侵入できていたことで、フィニッシュで終わらずボールロストしても、相手陣の高い位置で再度奪い返すことができていましたし、ウチの入りに対して名古屋が少し受けに回って中盤でのプレッシャーが弱まったこともあり、試合の流れをこのままウチが持って行ってもおかしくない立ち上がりでした。例えば 7分くらいでしたか、デンさんからの縦の楔に前線でレオナルドさんと杉本さんがいい距離感で抜け出しそうになったシーン(残念ながら杉本さんの腕にボールが当たってハンドリングになっちゃったんですけども)なんかは可能性を感じさせてくれたんですけどね・・・・・・

そんな希望を打ち砕く名古屋の先制点は 9分。ちょっと DAZN さんの中継映像をお借りして、その時の状況を順を追って簡単にみてみましょうか。

名古屋の左サイドでガブリエル・シャビエル選手がボール保持して溜めたところに吉田選手がオーバーラップしてきたところから始まるんですけども、シャビエル選手に対して武富さん、吉田選手に対して橋岡さんが対応し、さらにマテウス選手の動きを警戒した青木さんがそこに付いていったことでウチのディフェンスは3枚がサイドに引っ張り出される形になりました。結果としてバイタルエリアで金崎選手がフリーになっているのと、下の画像の斜線部分ですが、ここにスペースが生まれ、金崎選手はきっちりそこのスペースを見つけて入ってきます。

2020 Jリーグ 第9節 豊田スタジアム アウェー 名古屋グランパス戦 浦和 1失点目の流れ(1)

で、下の画像の通り。青木さんをうまく引っ張ったマテウス選手が吉田選手からのパスをスルー → 金崎選手が青木さんの裏のスペースでボールを受けた瞬間には柴戸さんのカバーリングが遅れている状態で、さらに中央に絞った前田選手はいつでもゴール前、ニアのスペースに飛び込める準備態勢が整っちゃってます。この時点で完全にウチのディフェンスは後手に回っていて、ほぼ勝負ありという状況。

2020 Jリーグ 第9節 豊田スタジアム アウェー 名古屋グランパス戦 浦和 1失点目の流れ(2)

で、金崎選手からのシュート性のパス(金崎選手的にはシュート狙ったっぽい感じでしたが)がこの空いたニアのスペースに供給されますが、これを万全の体制で待っていた前田選手にフリーで合わせられた形。西川さんが気合いで一度は弾きますが、こぼれ球をさらに前田選手に詰められて押し込まれたと。

ちなみに、前田選手が押し込む瞬間の吉田選手のポジションが西川さんのプレーに影響したかで、オフサイドではなかったかという見方もあるとは思いますが、リプレイを見る限り、吉田選手の存在は西川さんがボールにプレーするのを妨げてはいませんので、個人的には特に問題なしだったと考えます。

さて、問題は次の失点の仕方の方。最初の失点から1分後の前半 10分、またも前田選手にやられます。

まず名古屋左サイド、吉田選手がボールを保持した際の武富さんの守備なんですけども、この辺は前から積極的にプレスかけて行こうというチーム内でのコンセンサスがあるんだと思いますが、そこに連動性や約束事的なものが全く見られないですね。

このシーン、下の画像だとちょっと切れちゃっててわかりにくいんですが、武富さんがプレスをかけに行っている時点で画像右端にパスを引き出しにきているマテウス選手に対して橋岡さんのマークが間に合ってないんですよね。さらに武富さんのプレスのかけ方も、縦を切らずに寄せちゃうので吉田選手からあっさりマテウス選手にパスが入ります。

2020 Jリーグ 第9節 豊田スタジアム アウェー 名古屋グランパス戦 浦和 2失点目の流れ(1)

で、マテウス選手に橋岡さんが頑張って寄せますが、遅れているので詰めきれず。この時、金崎選手をマークするため、デンさんがこの位置まで引っ張り出されているのがわかりますが、これによって最終ライン裏には広大なスペースが。

2020 Jリーグ 第9節 豊田スタジアム アウェー 名古屋グランパス戦 浦和 2失点目の流れ(2)

マテウス選手と金崎選手のパス交換であっさりそのスペースを攻略されると、この時点で3対3の数的同数、かつ山中さんはすでに前田選手に対して遅れていて、完全に前に入られてしまっています。西川さんの前には「ここ使ってください」といわんばかりの完璧なスペース。もうこの時点でほぼ失点確定です。

2020 Jリーグ 第9節 豊田スタジアム アウェー 名古屋グランパス戦 浦和 2失点目の流れ(3)

あとはマテウス選手からこのスペースに完璧なボールが入って来たことで、前田選手は触るだけでゴールと。こんなもん、西川さんでもノーチャンスですよ。

サイドエリアで中盤の選手と最終ラインが連動しない無秩序なプレスから簡単にラインをブレイクされ、あっさり失点。そこにあるのは緻密な連携や守備の理論ではなく、単に「前からガンガン行こうぜ」というフワッとした約束事と根性論。そんなもので戦えるほどプロの世界は甘くないです。この辺は別にこの試合で大敗したからイラついて言っているわけではなく、昨年から同じようなことレビューでずーっと書いていますけど、さすがにひでぇなと。30度を超える暑さが続く夏場に、前からガンガン行こうなんて戦い方が、いくら交代枠が5枚あるからといって90分継続できるわけもなく、実際に今試合でもアプローチが遅れたり、強度が足りずにやられているわけで、ここに来て戦術的引き出しの少なさが致命的になってきているのを感じます。

さらにこれで今日は終わった、と思ったダメ押しの3失点目を18分に喰らいます。名古屋コーナーキックはショートコーナーから上がったクロスにジョアン・シミッチ選手の頭、という形でしたが、デンさん、鈴木さんともう1枚誰だったか、3枚で囲んでいる真ん中でシミッチ選手にやられるっていう、どうしようもない形で失点すると、試合的にはこれでもう決まり。

せめて3失点で前半は止めてくれと思った38分には中央でシャビエル選手がボールを受けたところに鈴木さんがアプローチに行きますが、あっさり反転されて右サイドから駆け上がった前田選手へのラストパス→持ち込まれてファーに流し込まれる技ありシュートで4失点目。前田選手はプロ初のハットトリックだってさ。

さらに前半終了間際の45分には名古屋のクリアボールに右サイドで金崎選手が落とし、このボールを受けようとしたシャビエル選手にサイドまで出ていって鈴木さんが対応しますが、ここでも寄せが遅れて中途半端になったところでシャビエル選手にワンタッチでサクッと外され、ぶっちぎられてゴール前に侵入されます。カバーリングに入ってシャビエル選手に対応したデンさんは、中央に走り込んだ金崎選手を気にして一旦パスコースを切りにバックステップして一瞬、シャビエル選手への寄せが遅れますが、この隙を突いたシャビエル選手にフリーでのシュートを許すと、これも西川さんからすればノーチャンスの巻いたボールをファーサイドに叩き込まれて5失点目。書いてて辛くなってきた。

後半の2得点はレオナルドさん(焼け石に水)

後半に関してはレオナルドさんが2得点、前田選手に個人としてこの日4点目となる失点を喰らって最終的には 6-2 での敗戦となりました。後半ウチが盛り返したか?といえば別にそんなことはないです。単に安全圏の得点差を付けた名古屋が、53分にジョアン・シミッチ選手、前田選手、さらに69分にはガブリエル・シャビエル選手を交代させ、主力を温存しつつペースを落としたからというだけで、何かウチが根本的に改善されたわけではありません。

もちろん、ハーフタイムに交代で入った槙野さん、関根さん、武藤さんがその運動量とコンビネーション(特に関根さんが左に入ったことで左サイドからの攻撃は活性化しましたし)で攻守に奮闘し、結果としてレオナルドさんの2得点につながったことはポジティブな要素ではありますが、名古屋からすれば1失点しても直後に得点して5点差に戻し、ある意味集中力が切れて雑になりそうな試合をその後1失点だけに抑えているわけで、スコア的には全く危なげない勝利、という現実からすれば、ウチにとってそんなに特筆するような後半ではなかったです。

90分を通して少し気になる点としては、冒頭の方でも触れたんですが、今シーズン開始から今年のウチの特徴になるだろうなと思っていたサイドでのポジションチェンジを織り交ぜた崩しというのがここのところ形骸化してきたなという点。それに対してここ数試合は中央のレオナルドさんやその周辺にシンプルに縦に楔を付けていくやり方の方が顕著で、まぁそれ自体はゴールへの最短距離なので狙うのは悪くないと思うんですけども、当然ながらゴール前中央ってのは相手ディフェンスもガッツリ数をそろえてるわけですし、いくらレオナルドさんがスーパーストライカーだとはいっても、そう簡単にフリーでシュートまで行けるような状況にはなりません。

中央に起点作って相手を中央に寄せておいて、相手サイドを攻略するための布石にするといった狙いがあるなら別にいいんですが、そういう感じもみられず、攻撃面での主軸であるはずの左サイドは相手の立ち位置に応じてマークを混乱させるようなポジションチェンジする、ということもなく、汰木さん大外、山中さんインサイド~みたいな約束事を繰り返すだけで(ひと言でいってしまえばワンパターン)なので名古屋ディフェンスはサイドでバランスを崩すこともなく、きっちりマーク付かれて封殺。

じゃあ右サイドに入った武富さんと橋岡さんの方はどうかというと、武富さんと橋岡さんの距離感はいまいちで橋岡さんが高い位置をとることもなく、逆に名古屋左サイドに対する守備対応では連携、強度不足から後手を踏んで失点のきっかけになりまくるという散々な状況。ちと厳しいですね。

ということで、サポにとってはメンタルを削られる敗戦ではありましたが、酒でも飲んで忘れましょう。

これで1週間の休みを挟んで、次はホームに戻ってのサンフレッチェ広島戦となります。ひでぇ試合した時は次が大事ってことで、ホームで広島相手にどういう試合ができるのか、注目したいと思います。

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試合ハイライト

試合データ

観客: 4,956人(入場 5,000人以下の制限付きマッチ)
天候: 曇 / 気温 30.3℃ / 湿度 47%
試合結果: 名古屋 6-2 浦和(前半5-0)
レッズ得点者: レオナルド(48分)、レオナルド(76分)
警告・退場: 汰木(警告×1/反スポーツ的行為)
主審: 家本 政明 氏
順位: 7位(4勝3敗2分/勝点14/得失点差-5)

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