2020 Jリーグ 第8節 埼玉スタジアム2002 清水エスパルス戦
前節はアウェーで横浜FCに2得点の完封勝利。FC東京、柏と続いた連敗を止めてひと安心。
リーグ戦は前節でようやく7節を消化したところですが、気がつけばもう8月ですね。関東も梅雨明けしたみたいですし、ここからは暑さとの戦いになる中で連戦は変わらず。前節から1週間のお休みを挟んで迎える第8節は、ホーム埼スタに清水エスパルスを迎えて。
清水は今シーズンから監督が交代しての新体制。開幕から前節、第7節で大分を相手に勝利するまで、6連敗を含む 1分6敗と非常に苦労している感がありましたが、前節は4得点した全得点がセットプレーからといいう珍しい形ながら、今シーズン初勝利をあげて長いトンネルの出口が少し見えたような状態。当然、ここからの巻き返しのためにも連勝を狙ってくるのは間違いない状況の中で、同じく連勝で勢いを取り戻したいウチがどのように迎え撃つのか、注目の対戦となりました。
写真は「DAZN」中継映像から引用
スターティングラインナップ
さて、今日のスタメンは最終ライン、CBコンビは前節から引き続きの先発となる槙野さんに、怪我から復帰したトーマス・デンさんのコンビ。右のSBには橋岡さん、左に山中さん、ボランチのコンビは青木さんとエヴェルトンさん、SH右が汰木さん、左が関根さん。2トップには杉本さん、レオナルドさんを配置した 4-4-2。GKは西川さん。
前節、負傷で途中交代した興梠さんはベンチ外。幸い、重い怪我ではなかったみたいですが、前日練習は別メニューで調整のみということで、少なくとも8月最初の連戦は興梠さん抜きで戦うことになりそう。ちなみに、今日のベンチには武富さんが久しぶりに入り、途中交代策にも注目です。
対する清水は最終ライン、左からファン・ソッコ、立田悠悟、ヴァウド、エウシーニョ選手という並び、ボランチに竹内涼選手とヘナト・アウグスト選手、2列目に左から西澤健太、後藤優介、金子翔太選手を並べ、ワントップにカルリーニョス・ジュニオ選手を配置した 4-2-3-1 のフォーメーション。守備ブロックも、基本的にはそのまま 4-2-3-1 で作る形になっていました。
前半は清水にペースを握られ耐える展開に
前節対戦した横浜FCにしても、今節の清水にしても、自分たちでボールを保持したい相手に対してはそんなに無理して前からプレスをハメに行かず、行けるっていうときだけ前線がスイッチを入れてどちらかのサイドにボールを追い込み、蹴らせて回収→ショートカウンターっていう狙いは出しやすいのですが、今節もそんな感じでボールを保持したい清水にある程度ポゼッションを許しても、うまくプレスがかけられたときは高い位置で奪ってチャンスにつなげるという形は立ち上がりに出せました。
8分くらいに青木さんの中盤でのインターセプトからゴール前にダイアゴナルランした関根さんが抜け出したシーンと、10分過ぎにレオナルドさんとのパス交換で、相手CB2枚のど真ん中をぶっちぎった汰木さんの突破→こぼれ球を杉本さんミドル、っていうシーンがその狙いがハマったシーンですが、まぁこれを続けていれば前半のうちに何回かは決定機を作れるかな~なんて呑気にみていたところ、結局それ以外はほぼチャンスらしいチャンスを作れないまま、前半は清水に試合をコントロールされます。
清水はサイドでのポジショニングが明確で、SBとSHは頻繁にポジションチェンジを繰り返します。基本的にはウチが今シーズン、サイドで狙っていることと同じなのですが、SBのインサイドワーク、SHとのポジションチェンジでワイドに1枚張って相手を引っ張っておいたところでハーフスペースにインナーラップしてくるみたいなビルドアップは、守備側としては相手がポジションチェンジした場合にそのままマークを捕まえにいくのか、受け渡すのか、みたいなところで混乱が起きやすく、ディフェンスのオーガナイズが非常に重要。
4バック守備でワイドに張った相手に対してSBが引っ張り出されたときに、考えられる対応方法としては、ディフェンスライン全体がボールサイドにスライドしてスペースを埋める、CBが出ていく、もしくはCBは中央にとどまったまま、ボランチの1枚、もしくはSHがSBとCBの間のスペースを埋める、というのが考えられます。全体がスライドするというのは即座に対応したい場合になかなか難しいのと、一般的にはCBはサイドに引っ張り出されたくないので、ボランチとSHが連携して、SBとCBの間のスペースを埋めに行くのが常套手段になります。
ウチは基本的にはボランチがそこを埋めに行くっていう決まり事になっているように見えます。しかし、ボランチが間に合わないときにSHが埋める、みたいな連携がまだ完全には仕込まれていないようで、SBが引っ張り出された裏のスペースを誰も埋めていないことが多々あります。これは今節の清水戦に始まったことではなく、前節も横浜FCにここを使われてアタッキングサードに侵入されているんですが、最終的にはやべぇことに気がついたCB、ボランチが遅れながらも気合いで何とかする、みたいなので事なきを得ているわけですけども、この辺は4バック(4-4-2ブロックでの)守備の基本みたいな所なので、そろそろしっかり仕込まないと上位との対戦ではキツいんじゃないかなと。
とにかくボランチがそこのスペースを埋めに前後左右に運動量が求められるような形になっていますが、ちょっと消耗が激しすぎるし(今は5枚交代枠があるので何とかなるっちゃ何とかなるかもしれないけど・・・・・・)、守備対応で最終ラインまで下がったところからポジティブトランジションでは前に出て行かないといけないので、そこが遅れると中盤に人がいなくて攻撃に厚みが出にくくなっちゃう(そんな状況にもかかわらず前節とか、90分の終了間際にゴール前までスプリントしていってゴール決めるエヴェルトンさんの偉大さがわかるわけですけども)、青木さんなんかは中盤でのチャンスメイクに能力を発揮してもらいたいんだけど、守備面でのバランスを気にしすぎるせいかイマイチ埋没しちゃってもったいないみたいな。
特に25分過ぎくらいから、清水のSBがウチのSBとSHの中間ポジション(4-4 ブロックの最終ラインと2列目の間ですね)にポジションをとるようになって、そこに入ったボールに対してSBが対応せざるを得ない状況になると、SBが引っ張り出された裏のスペースをガンガン狙われて清水に押し込まれます。最後の所ははじき返しているものの、前半だけで清水のコーナーキックは10本と、それだけゴール前に迫られていたことがわかります。
とはいえ、流れは持って行かれながらも得点は許さず、無失点のまま後半へ折り返し。
後半立ち上がりに戦術レオナルドさんが炸裂
ハーフタイムで青木さん→柴戸さん。これは前述の通りボランチのところの負荷が非常に高く、この日の青木さんも前半だけで6km近い走行距離をたたき出していましたので、そこの運動量を確保するための交代カードを早めに切ったものと思われます。
さて、チャンスを多く作りながらもそれを決めきれないと、思わぬところで失点して流れを失うのがサッカーの怖いところ。前半は試合の流れを完全に清水に持って行かれたウチですが、後半立ち上がりに試合を動かします。
54分、相手陣でボールを失ったところからレオナルドさんが相手GKまでプレスをかけに行きます。これをつなごうとヴァウド選手に対して付けたところに関根さんがアタック。相手を倒しながらもスローインを獲得しますが、ここで少し清水の中盤が集中を切らしたのか自陣に戻るのが遅れ、バイタルエリアにスペースが。杉本さんがフリーでバイタルエリアにポジションをとります。
それを見逃さず、関根さんが素早くスローインでリスタート。スローインのボールを受けたレオナルドさんがインサイドにドリブルしつつ杉本さんとパス交換でペナルティエリアに侵入すると、相手ディフェンスに囲まれながらも冷静に切り返しで相手をずらしつつ、GKの位置を確認した上でコンパクトに右足を振り抜いたグラウンダーのシュートを流し込んで先制。まぁなんていうか、言ってしまえばレオナルド様個人の力技でゴールをこじ開け、試合の流れをひっくり返してくれました。
得点後は 4-4-2 ブロックを強固に、バイタルエリアを埋めて清水に中央への侵入を許さず、清水が選手交代の影響もあってかサイドよりも中央で起点を作ることに固執してくれた感もあり、ブロックの外側でボールをまわされることはあっても、前半のようにサイドの深いところに侵入されるというシーンはほとんどなく、前半とはうって変わって危なげなく試合を進めます。
追加点か、守り切るのかが少し曖昧になったところでもったいない失点
65分には汰木さん→荻原さん、81分には関根さん→武富さんとして両サイドハーフをリフレッシュしますが、たらればですけども前線で杉本さんがかなりへばっているように見えましたので、武藤さんを武富さんと同時投入するなりして、守備面での運動量を担保しておいた方がよかったかもしれませんね。結局、疲弊した杉本さんがサイドの深いところで守備対応に駆り出されてしまったことで86分の同点ゴールを喰らうきっかけになります。
清水コーナーキックからのリスタート。これをレオナルドさんがクリアしますが少し中途半端に。途中交代で入っていた中村選手に拾われ、サイドを縦に仕掛けられたところでこれに対応したのが杉本さん。しっかりついていければよかったんですが、中村選手の最初のボールコントロールが大きかったのでそのままゴールラインを割ると思ったのか、それとも疲労で足が動かなかったのかはわかりませんが、追うのを途中でやめてしまったことで完全にフリーでクロスを上げられることに。
このボールをファーサイドでヴァウド選手に頭で合わせられて土壇場で失点。勝点2が失われた瞬間でした。ファーサイドで橋岡さんが裏を獲られてしまったというのはありますけども、どちらかというとクロスがフリーで上がってきてしまったのが問題だったかなと思います。もちろん、FWの杉本さんに強度の高い守備を求めても、っていうのはありますし、根本的にあそこで杉本さんが対応している時点で負けっていうのもあるんですが、もったいない失点でした。
ということで、前半の出来など、90分を通してみれば妥当な引き分け、ともいえますし、前半耐え忍んで1点を先に奪ったのを狙い通りだったとみれば勝点2を失った試合とも、どちらとも捉えられる試合ではありましたが、守るなら守り切る、追加点を奪うなら奪いに行く、ってところで少し中途半端な感じになってしまった感はありました。この辺をどのように考えるかで今節の評価も変わるかもしれません。
次は水曜日にルヴァンカップを挟みます。選手の入れ替えをあるでしょうし、その辺がどうなるか注目です。
試合ハイライト
試合データ
観客: 4,237人(入場 5,000人以下の制限付きマッチ)
天候: 晴 / 気温 25.6℃ / 湿度 63%
試合結果: 浦和 1-1 清水(前半0-0)
レッズ得点者: レオナルド(54分)
警告・退場: 青木(警告×1/反スポーツ的行為)、トーマスデン(警告×1/ラフプレー)
主審: 荒木 友輔 氏
順位: 7位(4勝2敗2分/勝点14/得失点差-1)
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