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2019 Jリーグ 第19節 日産スタジアム アウェー 横浜F・マリノス戦

前節はホームで仙台に 1-0 で手堅く勝利。決勝点となった興梠さんのゴールは、直前の縦楔→武藤さんのターン→スルーパスまで含めて今シーズンベストゴールと個人的には思っているくらいのビューティフルゴールでしたが、続く第19節はアウェー、日産スタジアムに乗り込んで、前節終了時点で勝点33の2位、しかもホーム無敗、得点数トップ(30得点)と好調のマリノスさんとの対戦。

前回対戦はホームでの第6節、オリヴェイラさん体制での試合でしたが、守備面での連携ミスから早々に失点すると、後半はバランスを崩してボールを奪いにいったところを逆手にとられて結果 0-3 の完敗。ほぼ何もさせてもらえなかったわけですが、今回の対戦では大槻さんに監督が交代してそれがどのような結果として表れるのか、注目の試合となりました。

2019 Jリーグ 第19節 日産スタジアム アウェー 横浜F・マリノス戦

さて、今日のスタメンは最終ラインに岩波、マウリシオ、槙野。中盤は青木、阿部、両サイド、ウィングバックの左にウガ、右に橋岡を配置。長澤、ファブリシオをインサイドハーフ、興梠の1トップという並び。GKは西川。

システム的にはいつも通りの 3-4-2-1。天皇杯で存在感を改めて示し、前節も途中交代で中盤を支えた阿部ちゃんがスタメン。ディフェンシブハーフとして青木さんとコンビを組みます。武藤さんが一時的に離脱したことで代わりにファブリシオさんがインサイドハーフで長澤さんとコンビを組み、ワントップの興梠さんを後ろから支える形。ベンチには古巣対決となる山中さん、マルティノスさんも名をつらねました。

対するマリノスは、仲川選手、エジガル・ジュニオ選手、遠藤渓太選手を最前線に、その下にマルコス・ジュニオール選手を配置し、扇原選手、喜田選手が中盤を支える 4-2-1-3。

攻撃面での特徴としては前線の3枚とマルコス・ジュニオール選手が流動的にポジションを変えつつディフェンスラインの間で中間ポジションをとり、そこに対してインサイドに絞ったサイドバック、あるいはディフェンシブハーフから縦、もしくは斜めに楔が入ってきたところでスイッチが入る形。この楔に反応して複数人が連続してスペースに入り込んでくるため、マークを捕まえるのが非常に難しく、常にスピーディで的確なマークの受け渡しを要求されるため、守備側選手にとっては体力的にも脳みそ的にも負荷が非常に高い相手。

ウチが試合開始前にどういうプランで入ったのかはちょっとわかりませんが、本来はこの縦に入ってくる楔に対して高い位置から出所を抑えに行く守備で相手を機能不全に陥らせるってのが理想型だったんじゃないかなと。しかし中盤で潰しにいって外されると一気にゴール前まで持っていかれるため、徐々にラインが下がって前から行けなくなり、押し込まれるという流れで前半に関してはマリノスに一方的に攻められるっていう我慢の展開にされてしまいました。

また、攻撃面にのみ目がいきがちなマリノスですが、攻撃時の人の配置(所謂距離感)が非常にコンパクト、かつ攻守転換スピード、連続した運動量という点でも非常にレベルが高く、ボールロストした瞬間に複数人がウチのボールホルダーに対してしっかり寄せてくることでボール奪取してもウチは素早い攻撃につなげることがなかなかできず、下げさせられて蹴らされるという時間帯が長く、まさによい攻撃がよい守備につながっているという点で、悔しいけれど完成度高いなと改めて思わされました。

ウチの守備はいつも通り、5-4-1 でブロックを作るやり方でしたが、中に絞ってくるサイドバックに対して特にインサイドハーフの守備対応は重要で、ここがしっかり付いていかないといけないところなのですが、残念ながらインサイドハーフの1枚として入ってたファブリシオさんがそれ程ここがうまくないという根本的な問題がありました(ファブリシオさんは守備面がウリじゃないので仕方ないんですけども)。この点については前半途中で興梠さんとファブリシオさんが守備時の並びを変更(興梠さんが2列目に入ってファブリシオさんがトップに残る形)するなど調整はしていたみたいですが、前述したとおり攻撃のスイッチとなる縦パスを供給するエリアでのプレッシャーはなかなかハマらず、押し込まれる要因となりました。

とはいえ、押し込まれ、シュートをガンガン打たれながらも何とか無失点でしのぎ、0-0 の時間帯を長くして相手を疲弊させつつ後半に勝負を持っていくという点で、プランとしてこれはこれでありかな。とにかくしのごうぜ・・・・・・ なんて思いだした38分、ミスから失点します。

ウチがボール奪取してここから攻撃に出て行こうという状況の中、右サイドでボールを受けた橋岡さんが痛恨のミスでずっこけた瞬間ボールロスト。この瞬間を見逃さず、ハーフスペースで縦の楔を受けて前を向いた遠藤選手に左足を一閃されると、このシュートは西川さんの指先をかすめてゴール左隅に突き刺ささり、長かった 0-0 の均衡が破れます。橋岡さんのミスは悔やまれるところではありますが、ちょっともったいない形で失点し、後半は1点を追いかける状況になってしまいました。

後半は立ち上がりから重心を少し前に。1点を追う展開なので当然ではありますが、パスの出所に対してしっかりプレッシャーをかけつつ、パスコースを限定したところで縦に入ってくる楔を狙ってインターセプトすると、後ろからしっかり押し上げながら、前に人数をかけて出ていくのの繰り返しで多少試合の流れを取り戻します。特に前半はライン間で自由にさせすぎたマルコス・ジュニオール選手をマウリシオさんが捕まえに行く形で最終ラインの守備を整えたのは大きな修正。この流れで決定機を作り、1点奪えればよかったんですが、59分に試合を大きく左右するジャッジが。

ウチの右サイドでボールを受けた遠藤選手に対して橋岡さんが対応。遠藤選手はサポートしてきたエジガル・ジュニオ選手に一旦預けてワンツーで裏を狙いますが、これに橋岡さんが不用意に食いついてしまったことであっさり遠藤選手に裏に抜けられると、ペナルティエリア内から右足での巻いたシュート→これがファーサイドで仲川選手が最終的に触ってゴールに入ります。しかし、遠藤選手のシュート時、仲川選手のポジションはオフサイド。当然ウチの選手はオフサイドをアピールし、一旦は「オフサイド」「ノーゴール」と判定されますが、マリノス側からの抗議の結果、再度ゴールと判定されて2点のビハインドとなります。

どうやらこのシーンの流れとしては下記のような感じだったみたいです。

[2019-07-16 追記]
ジャッジリプレイで正式な見解がでましたので文末に追記してます

  • まず前提として遠藤選手がシュートを打った瞬間の仲川選手のポジションは確実にオフサイド。微妙とかじゃなく文句なしのオフサイドポジション。で、このことは主審も副審も把握してたっぽい。あと仲川選手の前にはウガが競っていて同時に飛び込むような形になってた。
  • これを主審と副審は「ボールはウガに当たって入った」。つまりオウンゴールだったと判断して仲川選手のオフサイドは適用されず(当然仲川選手のプレーへの関与はなかったと判断)ゴールと判定(結果的にジャッジ自体は誤審)。
  • ゴールと判定してプレーを再開しようとしてたところ、第4審からコミュニケーションシステム経由で「ボールに最後に触ったのは仲川選手で、オフサイドでは?」と助言があり、それを受けて松尾主審は判断を変更、「オフサイドでノーゴール」として西川さんにリスタートの準備をさせてた。
  • しかし、第4審は中継映像とゴールの公式記録が仲川選手であるという情報をもって助言したっぽく(「したっぽい」と断定じゃないのは現時点でそこまではっきり経緯が発表されてないから)、だとするとこの行為は規則違反(当たり前だけどリプレイ映像などを見ての判定は認められていない。例えばVARが導入されたとしても、VARの正式な手続きに基づいていない映像での判定はできない)。
  • よって松尾主審がこの状況で判定を変更することは「競技規則適用ミス」(もう誤審なんか比べものにならないくらいヤバイミス。誤審は判断の間違い、誰にでもある。競技規則適用ミスは再試合もありえるくらいまずい)となるためできず、最初の判定通りゴールが認められた(結果的に松尾さんは自分の最初の判定が誤審だったと認識してるわけだけどどうしようもない)。

ということで、みんながこれは誤審だったって気がついちゃったんですけども、競技規則上、最初の判定で通すしかどうしようもないですねと。

ちなみに個人的な見解を言わせて頂ければ、あのシーン、ウガがあの状況でボールに触りに行かなければならなかったのは仲川選手の存在があるためで、つまり仲川選手は「プレーに関与した」とも考えられるのでは? つまり『もし仮に』、あれがウガに当たって入ったオウンゴールだったとしても、仲川選手はオフサイドポジションにありながらプレーに関与したとしてオフサイドと判定されるべきなんじゃないかなと(繰り返しますがあくまで個人的な見解です)。

で、まぁ正直腹立たしいわけですけども、とはいっても、あんまむやみやたらに主審や副審を責めても仕方ない。見えなかったもんは見えなかったんだから。当たり前ですが松尾さんも結果的にあの時点で自分の誤審には気がついてますし、あとで審判部の偉い人に怒られるんでしょう。主審や副審に罵詈雑言ぶつけたところで何か問題が解決するわけでもなし、そこは冷静に。ただ、ウチとしては非常に納得いかない形になってしまいましたね。

ちなみに完全なる余談ですが、この件で『選手交代が成立したから判定を変えられなかった』みたいな記事がTwitterで回ってきましたけど、↓にツイートしたとおり、それは理解が間違ってますよ。

[2019-07-14 追記]
それからバックスタンド側の副審が仲川選手のポジションに対してフラッグアップしなかった件がおかしいみたいな話も見聞きしましたが、恐らく副審も「仲川選手が触ってなければオンサイドだな」と判断して主審に助言だけして判断を委ねたからだと推測します。そういう場合、副審はあえてフラッグアップしないです。
これは例えばオフェンスとディフェンスがヘディングで競ったボールがオフサイドポジションのオフェンス側選手に渡った場合などが同じ状況として考えられますが、この場合、競った両選手のどちらがボールに触ったのかでオンサイドかオフサイドかが変わるので、副審はフラッグアップはせず、「オフェンス側選手がオフサイドポジションにいたよ」という情報だけインカムで伝えて主審に判断を委ねたりします。逆に言えば副審がフラッグアップするのは確実にオフサイドと判断できた場合ですね(なので、明らかにオフサイドポジションに選手がいたけど、ボールを追ったり触ったりといった関与が確定するまでフラッグアップされなかったりするのも同じ理由です。一般には「旗揚げるの遅い」とか文句言われがちですけども)。

この騒動で10分程度試合は中断。なんともモヤモヤする展開になってしまいましたが、マリノスの2点目が認められたことでウチとしては2点を追いかけないといけない状況に。苦しい状況ではありますがサポも選手もまだ諦めていない。そんな中の69分、長澤さんの気合いのキープから左サイドのウガからのグラウンダークロス→興梠さんフィニッシュってところで興梠さんが触る前に相手DFが触ってオウンゴールではありましたが1点返して、何とか望みを繋いだんですけどね・・・・・・

1点差の状況でなんとか食い下がろうと奮戦していた86分、岩波さんのシュートブロックがハンドリングと判断されてPK。これをエジガル・ジュニオ選手に決められて 1-3 とされるとスコア的にはこれで試合は決まってしまいます。結局、その後の追撃も力およばず、ホームでの対戦に続いて3失点の悔しい敗戦となってしまいました。

で、何が納得いかないって、傷心で家帰ってきてリプレイ見てたら、岩波さんのハンドリングも実際に当たってんのは顔じゃねーかと。どういうこっちゃ松尾一氏許すまじこんちくしょー!と、一瞬取り乱しそうになったんですけども、そこはお風呂入って落ち着きました。今日は色々駄目な日だったんだな。で、落ち着いたところで眠い目をこすってこのレビュー書いてます・・・・・・

ウチの選手交代は61分に橋岡さん→山中さんとして、ウガを右に持っていって左に山中さん。73分にはウガ→杉本さんとして、長澤さんを右サイドに移動。杉本さんをワントップにして興梠さんをインサイドハーフに。この辺から後ろはマンマーク気味にして多少守備の人数足りなくてもいいっていう超リスクとるやり方に。最後は81分にファブリシオさん→マルティノスさんとして彼をインサイドハーフに。終盤オープンな試合展開になってきたところでロングカウンターを狙いますが気合いが空回りしてイエローカードもらっただけでしたね(苦笑

まぁこういう最悪な日もありますよねということで、いつまでも落ち込んでても仕方ないので次に切り替えましょう。次もアウェーとなりますが、対戦相手は磐田さん。リーグ優勝だなんだってのは現時点では一旦忘れて、直近の目標は1節でも早く残留に必要な最低限の勝点(例年、36~38くらいかな)に到達すること。勝点38をターゲットとすると、あと「14」必要ということで概ね「5勝」。そのためにも自分達より下位のチームからは確実に勝点3を奪っていかなければなりません。しっかりコンディションを整えて、磐田戦に臨んで欲しいなと思います。

なお、今節ウガがイエローカードもらったことで累積により次節出場停止です。左は山中さんとして、右を今節、結果的に2失点に絡んでリベンジに燃えるであろう橋岡さんを使うのか、はたまた別の人がチャンスを掴むのか。それに関根さんが登録完了してベンチ入り(まさかいきなりスタメンはあまりないと思うので)したりするとまた見どころが増えるかもしれませんね。

このレビュー記事について浦和レッズサポーター向けFacebookグループでメンバーの方々との意見交換などもしています。詳しくはこちらをご覧ください

試合データ

観客: 33,673人
天候: 雨
試合結果: 横浜FM 3-1 浦和(前半1-0)
レッズ得点者: オウンゴール(69分)
警告・退場: ウガ(警告×1/反スポーツ的行為/次節出場停止)、マルティノス(警告×1/反スポーツ的行為)
主審: 松尾 一 氏
順位: 10位(暫定)(7勝8敗3分/勝点24/得失点差-9)

試合ハイライト

ジャッジリプレイを観ての追記

試合から週が明けた火曜日、ジャッジリプレイがDAZNで公開され、この試合の2つのジャッジ(2失点目、オフサイドか否かで判定がゆれた件と岩波さんのハンド、PKという判定について)が取り上げられましたので、補足しておきます。基本的にはレビュー内で私が書いた内容で特にズレはなかったです。

まずゴールが認められるまでの流れですが、

  • バックスタンド側副審(田尻さん)も仲川選手がオフサイドポジションにいることは把握
    • 仲川選手がボールにプレーしたか否か→見えてない→ウガのオウンゴールだと認識
    • ウガのプレーを妨げるようなことをしたか→これはないと判断
    • 上記からオフサイドと断定できなかったのでフラッグアップせずにその場にとどまり主審に判断を委ねた
  • 主審(松尾さん)もポジション的に最後にボールが触ったのが誰かは見えておらず
  • 主審と副審がコミュニケーション→オフサイドだと断定できる情報がない→得点を認めた

ここまではよくある流れですし、外野からみていた我々も容易に状況が理解できた部分ね。誤審は誤審なんですけども、見えなかったものは仕方がないと。

レビューにも書いた通り、これで終わってればよくある誤審で終わってましたが、問題はこの後。

  • 第4審(大坪さん)得点者が誰かがわかればオフサイドか、オンサイドかがわかるんじゃね? ってことで
    • マリノスの運営から「仲川選手が得点者」という情報を得る→じゃあオフサイドじゃん
  • 主審にこの情報が伝わる→マジで?ってことで一旦はこれでオフサイドと判断し判定を変更した

ウチにとってはこれはありがたいことでしたが、ここで主審とメインスタンド側副審(相樂さん)が重要な点に気がつきます。

  • 第4審が言ってる「仲川選手が得点者だ」って情報、どこ情報よ
  • 主審と相樂さんで第4審に確認→運営(第三者)からの情報だと判明
  • 認められていない第三者からの情報でオフサイド判定をしてノーゴールにしたら(判定を変更したら)ダメじゃん
  • 審判団が自分達のみで得た情報を持って判断できる範囲では「オンサイド」と判定するしかなく、ゴールを認めた最初の判定を適用すると決め、その旨を両チーム監督を呼んで説明

という流れで「やっぱゴールです」と。ということで想像通りでした。危なかったですね。判定を変更して再開してたら競技規則の適用ミスで再開以降の試合は無効→再試合ってなるところでしたよ。

この日ジャッジリプレイに解説として出ていた上川徹さんの補足としては、

  • もう少し早く主審と副審が情報共有し、得点となったなら粛々とプレーを再開すべきだった
  • 選手交代の成立で判定の変更ができなかった云々という話に関しては全く関係ない

ということで、後者は上のレビューでも追記したとおり。競技規則を理解していれば当たり前の話です。前者はまぁそうでしょうけど、選手交代とかで少しプレー再開までにやることがあったし、不可抗力かなと。問題は第三者からの情報を不用意に伝えた第4審の行動だと思いますが、その点については特に番組内で言及はなかったです。

それから、試合終了後に「運営が決めている」云々っていう話が一部メディアなどで書かれて論点がずれる形になっていましたけども、これはジャッジリプレイでも明確に言われていたとおり、「ピッチ上の判断を運営が決めている」という話ではありません。

恐らくですが「得点者は「運営」が決めたこと、審判団はその情報で判定を変えられないんですよ」という趣旨の説明をピッチ上でしたところ、それが歪曲して広まったのではないかと思いますが、ピッチ上でみんな判定を巡ってエキサイトしている状況で言ったり聞いたりしたこと、しかもその発言前後の状況などもはっきりと把握されていない状態で、まともなメディアであればわざわざ取り上げて煽ったりするようなことをすべきではありません。本当に一部メディアのレベルの低さには呆れるばかりです。

次に岩波さんのハンドリング→PK判定についてですが、これは明確に「そもそも手に当たってないから誤審です」という解説がされていました。

ということで、結論的には「得点に関係する重大な誤審が2回も発生した」ということで、ジャッジによって試合が壊されたといってもよい状況だったことがはっきりしました。だからといって試合結果が変わるわけではないので、それ以外の部分ででた課題(特に前半一方的にボコられた点などはボールを動かしてくるチームに対する守備の仕方という点で大きな教材になったと思いますし)にきちんと目を向けて、次につなげて欲しいなと思います。

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