2019 Jリーグ 第10節 埼玉スタジアム2002 ジュビロ磐田戦
世間はゴールデンウィーク真っ只中。元号も平成から令和になって最初のJリーグは第10節。ホーム埼スタにジュビロ磐田を迎えて。
前節はアウェーで清水に勝利し、内容がどうこうと言われながらもリーグ戦は3連勝。首位に勝点6差の5位と悪くない位置につけつつのぞんだホームゲーム、相手はウチとは真逆の3連敗中で降格圏に沈む磐田と言うこともあり、ここは無慈悲にきっちり勝って勝点を積みつつ、気持ちよく残りの連休を楽しみたいところ。
さて、今日のスタメンは最終ラインに鈴木、マウリシオ、槙野。中盤は青木、エヴェルトン、長澤、両ワイドに森脇、山中。武藤、興梠の2トップという並び。GKは西川。
スタメンは前節の清水戦から変化なし。まぁうまくいっているときはメンバーをいじらないってのはある意味鉄則ではありますので、連戦の中でコンディションが気になるところではありますが、スターティングメンバーにはとりあえずいけるところまで頑張ってもらう感じなんでしょうか。システムももちろん、3-5-2(3-3-2-2)を継続です。
対する磐田は2トップにロドリゲス選手、アダイウトン選手という強力外国人選手を並べた、こちらも 3-5-2(3-3-2-2)で、システム的にはウチとマッチアップする形。山田大紀選手、上原選手、田口選手が中盤のトライアングルを形成します。
守備時にワイドが最終ラインに吸収される形で 5-3-2 or 5-4-1 のブロックを形成する守り方についても基本的には同じ。ただし、ウチの2トップがかなり前線から献身的にパスコースを切ったり相手ビルドアップにプレッシャーをかけたりと守備でのタスクをしっかりこなすのに対して、相手の2トップはそれ程守備のタスクを献身的には行わないため、お互い、相手がブロックを作った状態でのビルドアップに関してはウチの方がスムーズに行うことはできていました。
両チームともシステム的には同じながら、攻撃時における前進の仕方、狙いは異なっていて、ウチはいつも通りボールサイドに人を集めてサイドからのブレイクを狙う形。
今節は、前節にも見られましたが、ビルドアップ時に右サイドに固執するわけではなく、左サイドにもある程度人が流れて、左右からのビルドアップをある程度バランスよく行っていましたが、磐田が 5-3-2 でブロック作っている状態では、前の2枚がアリバイ守備しかしないので、最終ラインではある程度自由にボールを持てることと、磐田が中央ブロックの構築を最優先に守備ブロックを左右にスライドさせてこなかった点をうまく利用しつつ、相手守備ブロック2列目両脇のスペースを起点に相手最終ラインをブレイクする、もしくは最終ラインから縦一発で裏のスペースを狙うという形でアタッキングサードまでは侵入できていました。
青木さんが最終ラインに落ちて鈴木さんをサイドの高い位置に押し出していくやり方も前節同様のやり方ですね。前述の通り磐田の2トップがあまり積極的にプレスをかけにこないので、鈴木さんが高い位置をとりやすく、これもサイドでのビルドアップのスムーズさにつながったかと思います。ただし、磐田がスライドしてこなかったことで同サイドで詰まるとサイドチェンジするにも逆サイドにスペースがなく、その点では見方によっては持たされた感も多少ありましたけども。
そんな中、前半終盤には左サイドに流れた興梠さんが気合いでボールキープしたところから中央へと展開したところに最終ラインから鈴木さんがペナルティエリア内に侵入したところで後ろから倒されるというシーンも作りましたが、残念ながらPKの判定とはならず(リプレイを見る限りは相手はボールにプレーできておらず、鈴木さんの足に後ろから関与する形だったのでPKが妥当だったと思いますが・・・)得点チャンスを逃すなど、ゴールまでもう一歩のところまで迫ります。しかし毎度のことながらアタッキングサードにボールを運ぶまではある程度いけるものの、その後のフィニッシュまでの形、枚数、精度が足りずに「惜しい」止まり。結局、前半に流れの中から枠に飛ばしたシュートはゼロだったと思うのでこの辺の課題は継続中。
一方の磐田の狙いもある程度明確で、前にキープ力のある外国人選手がいることを利用して、ウチの最終ラインの前のスペースで起点を作りつつ、そこで時間を作っているうちに2列目から押し上げて一気にアタッキングサードに侵入してくるというやり方をしてきました。
この辺、前節のレビューでも少し書きましたが、ウチは最終ラインのメンバー、および守備陣形の特性上、最終ラインの前にスペースができやすく、基本的にそれは仕方ないとした上で、そこに入ってきたときは最終ラインから思い切って潰しに出ることで何とかするっていう守り方をするのですが、問題はそこにCBが出ていって潰せなかったときに、最終ラインにギャップが生まれ、これは相手にとっては狙い所。
今節の磐田は、2トップにフィジカルが強くキープ力のある外国人選手を置くことではっきりとこの最終ライン前のスペースを狙いにきていましたし、ウチのCB、3枚がバイタルに入ってきた相手に対して積極的に前に出て潰しに行くことを利用して、2列目の山田、上原、両選手が、わざとサイドに流れながら2トップを追い越すことで槙野さんや鈴木さんをサイドに引っ張りつつ、そこで広げたマウリシオさんとの間のスペースを狙って2トップや田口選手が入ってくるなど、この辺はウチの守備の特性をきっちりスカウティングしてきているのがわかる狙われ方をしていました。
とはいえ、最後のところで西川神という大きな壁が立ち塞がり、なんとか先に失点という状況にはならず試合は後半へ。
交代カードを先に切ったのはウチ。63分に武藤さん→汰木さんとして彼をそのまま武藤さんの位置に。バランス悪くなかったのでもう少し武藤さんを引っ張っても良いかなと個人的には思いましたが、清水戦での活躍をみての早めの起用だったのでしょう。
続いて71分には長澤さん→マルティノスさんとして、立て続けに攻撃のカードを切ります。この辺に関して、相手が下位のチームであることや、ホームゲームであることを考えれば、先に得点が欲しいという状況は理解できるのですが、ちょっと慌てて先に動きすぎたんじゃないかなと言うのが正直な感想。
というのも、最終盤にある程度オープンな展開に持っていって決め切っちまおうってのはウチのプランにもあるのでもう少し遅い時間帯にこれを狙うなら別にいいと思うんですが、早い時間帯にオープンな展開になって得をするのは2トップにショートカウンターで効果を発揮する個人能力に優れた選手を置いている磐田の方。ウチは先に失点さえしなければセットプレーなどでは磐田よりも高さという点で上回っており、堅い試合にして押し込みつつ、獲得したCKやFKから得点を狙う方が理にかなっていますし、一方でポジティブトランジションした瞬間に引っかけられてショートカウンター喰らうと、ただでさえ運動量の多い両ワイドが余計にスプリントさせられて死ぬのと、ウチのCBの特性上、後ろ向きの守備させられると良さが出にくいっていう問題も発生します。
にもかかわらず、中盤にマルティノスさん、前線に汰木さんと攻撃面にバランスを振った選手交代で前掛かりにリスク覚悟で出て行った結果、中盤での攻守転換回数が増えて磐田にとってはショートカウンターを当てやすいシチュエーションを作ってしまいましたし、前線に元気で攻撃的な選手が投入されたことで前線は完全に得点しに行くモードになってしまっているのに対して運動量の低下した最終ラインは着いていけず、中盤にスペースができることでそれに拍車をかけてしまいました。
で、この状況をうけて最後の交代は86分、森脇さん→ナバウトさんとするとナバウトさんを2トップに入れて汰木さんをワイドに出します。汰木さん的にはこれでボールは受けやすくなったとは思いますが、先ほど書いた最終盤にオープンな展開に持っていきたいウチに対して、磐田は逆にそれに付き合わず、勝点1を意識してスペースを消しにきたためウチの狙う形に持っていけず試合は膠着状態に。
しかし、それでも89分にはこの日一番のビッグチャンス。カウンターから山中さんが裏のスペースに抜けて一気に相手ゴール前へ。自身でシュートも打てたと思いますが選択は逆サイドを走った興梠さんへのラストパス。相手GKカミンスキーと50:50の際どいボールではありましたが先にカミンスキー選手に触られてしまったことで得点とはならず。
ラストパスが出ると同時に素早くボールに寄せたカミンスキー選手を褒めるべきかもしれませんが、欲を言えば山中さんにはもう少しシュートを打つぞという殺気をだしつつパスでGKを外すような駆け引きが欲しかったかも・・・・・・ ボール受けた瞬間、「はいパスですね」っていうのがまるわかりのプレーだったので、カミンスキー選手は素早く切り替えて興梠さんに寄せることができてしまいました。まぁ磐田のディフェンスも精一杯スプリントして山中さんが中に入っていくコースを切りに来ていましたし、あとワンタッチしたらプレーの選択肢がなかった可能性もあるのでなんとも言えませんけども。
で、この惜しいシーンを逃して、試合は残りアディショナルタイムのみ。勝ちたかったけどまぁ引き分けで勝点1も仕方ないかな~ なんて思っていた矢先にまさかのミス。左サイドでボールを受けた青木さんがバックパスを選択しますが、これがマウリシオさんには全く合わず、西川さんには弱すぎて届かない代わりに、磐田のロドリゲス選手にはぴったりっていう痛恨のミスキック。あっさりロドリゲス選手にボールをかっさらわれると、そのまま西川さんとの1対1を冷静に流し込まれて土壇場で失点。アディショナルタイム、残り時間、同点にかけて選手も頑張りますがさすがに時間なさ過ぎてそのまま敗戦となってしまいました。
まぁあれです、ミスは誰でもするものなのでそれ自体は仕方ないと思いますし、青木さんだけを責めても仕方ないのでそこは切り替えてやってもらうしかないと思いますが、やはり全体として足りないチャンス創出力がそもそもの敗戦の要因でもありますので、そこの課題をどう解決するのか。開幕からずーっと同じ事書いていますけども、これをなんとかしなければ同じ事の繰り返しになりますので注目すべきポイントはそこでしょう。
さて、次はミッドウィーク、ゴールデンウィーク明け早々の火曜日に開催されるアウェーでのACL、ブリーラムユナイテッド戦ですね。ACLは次節敗戦したりすると最悪の場合グループステージ敗退もありえますし、ACL、リーグ戦両タイトル獲ります!なんて馬鹿でかい目標をシーズン前に掲げておいてグループステージ敗退じゃ情けないもいいところになりますから、ここは気合いでなんとしても勝点3をゲットして戻ってきてほしいものです。残念ながら現地は行けないので日本から念を送ることになりますが、現地行かれる方はお気を付けて、また熱いサポートをお願いします。
このレビュー記事について浦和レッズサポーター向けFacebookグループでメンバーの方々との意見交換などもしています。詳しくはこちらをご覧ください。
試合データ
観客: 53,361人
天候: 晴
試合結果: 浦和 0-1 磐田(前半0-0)
レッズ得点者: -
警告・退場: -
主審: 松尾 一 氏
順位: 9位(5勝3敗2分/勝点17/得失点差+-0)
試合ハイライト
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