2019 Jリーグ 第2節(ホーム開幕戦) 埼玉スタジアム2002 北海道コンサドーレ札幌戦
前節、アウェーでの開幕戦は仙台を相手にスコアレスドローと、最高の滑り出しとはいかなかったものの、アウェーで勝点1をとって戻ってくるという最低限の結果。課題も多く見られましたが、徐々にそれらも改善されていくだろうと期待を込めつつの今節は、ホーム埼スタでの開幕戦。対戦相手はコンサドーレ札幌。
札幌さんとは昨シーズン、終盤の第32節にアウェーで対戦し、武藤さんの2発で勝利。第9節にホームで対戦した際にはスコアレスドローという戦績で、ミシャさん就任後の札幌に対しては負けなしではあるものの、楽な試合はなく、今節も難しい試合になることは予想できましたが、とはいえホーム開幕ということで是が非でも勝ちたい試合となりました。
さて、今日のスタメンは最終ラインに岩波、マウリシオ、槙野。中盤はエヴェルトン、柏木、長澤を並べた3ボランチ。ウィングバック、右にウガ、左に山中。杉本、興梠の2トップという並び。GKは西川。
スタメン的には前節の仙台戦と同じメンツ。直前のトレーニングマッチでよい動きを見せていた武藤さんがベンチ入りもあるかなと思っていましたが、まだ少し時間がかかりそう。その代わりに、今シーズン山形から新加入のドリブラー、汰木さんがベンチ入り。試合展開によっては出場機会があるかもということでその辺は少し楽しみなメンバー構成となりました。
対する札幌は、アンデルソン・ロペス選手と鈴木武蔵選手を2トップに、チャナティップ選手をシャドーに置いた、3-4-1-2 でスタート。先に結論言ってしまうと、このシャドーに入ったチャナティップ選手のポジショニングによって、特に前半はウチの守備陣形がガッタガタにされるっている最悪の展開になり、ここでの2失点によってほぼ試合を決められてしまった形。ミシャさんのサッカーを嫌というほど知り尽くしているはずのウチが、ミシャさんの求める形をわざわざ提供してやられるっていう、なんとも情けない結果となりました。
目立ったチャナティップ選手の攻守にわたる絶妙なポジショニング
浦和サポとして試合レビューを書いていて、わざわざ相手選手を褒めるようなことはあまり書きたくないのがホンネではありますが、札幌のシャドーに入ったチャナティップ選手の攻守にわたる貢献には特筆ものでした。
攻撃時に中央エリアで上下にポジションを動かしつつ、ウチのエヴェルトンさんをうまいこと引っ張り出すと、エヴェルトンさんと最終ラインの間に2トップの片方が下りてきてボールを受けることでバイタルエリアに起点を作ります。当然、ウチは最終ラインからそこを誰かが潰しに行かないといけないので慌てて出ていくと、そのギャップに2トップのもう片方が連動して入ってくるという流れでフィニッシュまでバンバン持ってかれる展開。
さらにチャナティップ選手は守備時にはまず2トップの間に入って、5-2-3 のブロックを形成、ウチがビルドアップ時にまず使いたい相手2トップの横のスペースをしっかり消しつつ、縦へのコースを消してサイドへボールを誘導。ウチが槙野さん→山中さんとボールを展開すればサイドアタッカーがそこに寄せて前を向かせず、その間にチャナティップ選手は中盤のスペースを消しに移動。中央、エヴェルトンさんのところに入ってくればそこで潰してボール奪取、奪えなくても前を向かせないことで前線へのパス供給は遮断してやればウチの攻撃は両サイドで詰まるか、苦し紛れに前線に蹴ってそこで終わるかという流れでほぼ機能せず。
しかも攻守転換時にはチャナティップ選手が中盤でフリーになっていることでそこでボールを受けられるとエヴェルトンさんが対応に引っ張り出されて・・・・・・ という繰り返し。
同じ3バックを採用しながら、ウチの守備ブロックが2トップを前線に残した 5-3-2 にしたものの、興梠さん、杉本さんのところでは相手のビルドアップに対して2トップ対3バックで数的優位を作られほとんどコースを限定できないまま中盤でチャナティップ選手にボールを引き出されていたのとは対象的に、札幌の守備はボールの奪いどころからしっかり逆算して狙いを持って行われた、組織的なもので、そのキーマンとして90分運動量が落ちず、足元の技術、キープ力のあるチャナティップ選手を使ってくるあたり、さすがミシャさんかなと言ったところ。
前線と最終ラインで連動しない浦和の守備
札幌の守備が非常に組織的に行われていたのに対して、ウチの守備は前線と最終ラインの意思疎通が希薄なまま行われていたように見えました。相手2トップがウチの最終ラインと駆け引きして常に裏への意識を見せることでウチの最終ラインはなかなかラインを上げにくい状況を作らされているにもかかわらず、前線は前からプレスに行っちゃうもんだから中盤にぼっかりスペースができてそこ使われ放題。
試合開始早々の2分に喰らった1失点目のやられ方も、低い位置でボールを受けたアンデルソン・ロペス選手に対してウチが複数人で前からプレスをハメに行ったところで簡単に逆サイドのワイドにサイドチェンジ展開されて前線が一発で置き去りにされた挙げ句、そのままスプリントしてエヴェルトンさんと最終ラインの間に入ってきたアンデルソン・ロペス選手→ワンタッチで鈴木武蔵選手という2トップのコンビネーションであっさり裏に抜けられた形で、ミシャさんのサッカー相手に、一番やってはいけない、「最終ラインの押し上げが連動しない、前線だけの特攻プレス→外されてスペース使われる」ってやつをモロにやらかすという、札幌からしてみればまさに思うつぼというちょっと看過できない失点だったかなと。
それでも失点の時間帯が早かったので、落ち着いて修正できればよかったんですが、前半に関しては全く修正されず。そんな流れの中、27分にはマウリシオさんがエヴェルトンさんに付けようとした縦パスを、チャナティップ選手に完全に先読みして動かれ、インターセプトされると、一発で裏に抜けた鈴木武蔵選手にスルーパス通され、そのままキーパーとの1対1を冷静に流し込まれて痛恨の2失点目。この失点でほぼ試合は決まったと言ってもよいでしょう。
仙台戦のレビューで守備面は安定してきたし、あとは攻撃面の連動性だけ少し時間が・・・ なんて悠長なこと言ってたのを少し後悔しそうな程、この試合では闇雲に前線がプレスをかけるだけの連動性もクソもない守備で中盤も全くコンパクトに保てず間延び、そこをいいように突かれて前半のうちに2失点。もう少し堅い試合を予想していたのでここまで崩れるかねという感じで少し驚きました。
もちろん、青木さんの不在、本来は1列前のポジションが適正なはずのエヴェルトンさんをアンカーで起用している点など、要因はあると思いますが、その辺(あの選手がいれば・・・ みたいな、たらればの話)は言っても仕方ないですし、エヴェルトンさんだけの問題ではないので、この布陣で行くなら、今回出た課題をどう解消していくのかが前半戦、急務になりそうです。
ちなみに前半、中盤のスペースを使われまくる惨状を目の当たりにして、私がハーフタイムにひと言だけつぶやいたのが↓
悪いこと言わんから守備ブロックは5-4-1にしとけって
— Yoshiki Kato (@burnworks) March 2, 2019
いまだハマらない新加入選手
これはまぁたった2試合(FUJI XEROX SUPER CUP 2019 を入れれば3試合ですが)の結果だけでどうこう言っても仕方ないですが、期待値の大きい新加入選手がここまでのところほぼハマっていないのは早いところなんとかしたいですね・・・・・・
杉本さんはまだ自分の特性をどうチーム内で発揮すればよいか模索中って感じで、これは仙台戦のレビューでも書いた通り。色々と動き回って試行錯誤していた感のある仙台戦とは少し異なり、この試合ではなるべく前線に張ってゴールに近いところでプレーしようという意図は見えましたが、逆に興梠さんとの間でお互いの長所、特性の共有や役割分担が明確でないのかプレーエリアがかぶって結果として消えちゃうっていう流れから残念ながらシュート「0」。前半のみで交代となりました。
山中さんも、後半はある程度シンプルに、アーリー気味のクロスを供給することで何度かよい形を作るのに貢献はしていましたが、前半などはほとんどサイドで前を向かせてもらえず、浦和の攻撃が詰まってしまう要因となっていました。これは、仙台戦のレビューでも書いたんですが、逆サイド、岩波さんからの対角線上のフィードが少ないことがひとつ要因として挙げられると思います。
左利きの彼に対して、逆サイドから角度を付けて斜めに入ってくるボールであれば、寄せてくる相手ディフェンスよりも遠い側の足で前を向いてボールをトラップできますし、対応する相手ディフェンスもボールと山中さんを同時に視野に入れられないため対応が難しくなるのですが(左サイドでウガがいい形で抜け出せまくるのも、彼、右利きのくせにトップスピードでの左足トラップがやたらうまいからというのがあるわけです)、同サイドの槙野さんからのパスではボールがでてくる角度が後ろからになるのでどうしても後ろ向きのトラップになりがちですし、相手も自分の前で山中さんとボールを同一視野に入れながら対応できるので対角線上に飛ばされるより対応は楽になります。これは右サイドに移動したウガも同様なんですけどね。
このため、今節のようにマウリシオさんを経由して最終ラインで左右にボールを動かしても、そこから同サイドのサイドハーフに付けるだけではなかなかこの2人が前を向いてスペースに抜け出すことができず、相手サイドの寄せも速いので詰まらされるし、さらに2トップがゴール前にいてあまりサポートに入ってこないこともあり、サイドで数的有利を作ってブレイクという形にもならず。結果として窮屈な攻撃を強いられて、困った挙げ句に、相手ブロックの外から単純なクロスを放り込むだけという流れが続いてしまったのは痛かったですねと。
サイドからの攻撃が鍵になるのは間違いないので、この辺の連動性、クオリティを上げていけるかが、得点への近道かなと思いますので、今後に期待したいと思います。
後半、柴戸さん投入以降は守備が安定
さて、試合は2点リードされたまま後半へ。ハーフタイムに杉本さんを諦めてナバウトさんを投入するも、立ち上がりから前半同様の問題で札幌に中盤のスペースを使われて決定機を作られます。
試合の流れが少し変わったのは60分。長澤さん→柴戸さんとして、柴戸さんをアンカーに、エヴェルトンさんを長澤さんのポジションに1列上げてから。
この交代で守備時のブロックを興梠さんだけを前線に残した 5-4-1 に変えると、中盤、チャナティップ選手のところを柴戸さん、エヴェルトンさんの2枚で対応することで札幌に中盤で起点を作らせず、さらに攻撃も、奪ったら比較的シンプルに、相手の守備陣形が整う前に裏に抜けたナバウトさんや興梠さんに付けるか、両サイドからのアーリークロスで相手GKとディフェンスラインの間にボールを供給するなど、何度かよい形を作りますが、もう一歩のところで得点には至らず。
79分には柏木さん→マルティノスさんとして、縦への圧力を高め、リスクをとって前に出て行きますが、結局1点が遠いまま今節も無得点。ホーム開幕戦は悔しい敗戦ということになってしまいました。
さて、結果だけでなく、内容的にもなかなか厳しいホーム開幕戦になってしまいましたが、落ち込んでいる暇もなく、水曜日にはACLのグループステージが開幕します。オリヴェイラさんも長期的な視野でチーム構築を行っている現状、あまり短期的な結果だけみて落胆しても仕方ありません。今はとにかく苦しい状況ながらも試合を重ねることで徐々でもチームが形になっていくことに期待しつつ、続くホーム埼スタでのACL開幕をきっちりサポートしましょう。
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試合データ
観客: 41,109人
天候: 晴
試合結果: 浦和 0-2 札幌(前半0-2)
レッズ得点者: -
警告・退場: 岩波(警告×1/反スポーツ的行為)、マルティノス(警告×1/反スポーツ的行為)
主審: 今村 義朗 氏
順位:17位(0勝1敗1分/勝点1/得失点差-2)
試合ハイライト
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