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天皇杯 JFA 第98回全日本サッカー選手権大会 ラウンド16(4回戦) vs東京ヴェルディ

リーグ戦の合間ですがミッドウィーク、水曜日に開催されたのは天皇杯、ベスト8を決める、ラウンド16の対戦相手は、現在はJ2に所属する東京ヴェルディ。

ヴェルディは昨年からスペイン人監督のロティーナさんが就任して、欧州トレンドを取り入れたポジショナルプレーを実践。昨年はJ2で5位と躍進、今年は開幕から第11節まで負けなしでスタートダッシュを決めると現在は6位につけています。

天皇杯では2011年、川勝さんが監督やっている時代のヴェルディと対戦して 2-1 で勝利したのが直近ですが、かなり久しぶりの対戦ですし、最近の好調ぶりをみるとなかなか侮れなさそうな相手。とはいえ、タイトルにひとつでも近づくため、こんなところで負けているわけにはいかない、勝利が必須の対戦となりました。

天皇杯 JFA 第98回全日本サッカー選手権大会 ラウンド16(4回戦)vs東京ヴェルディ

今日は指定席から観戦させてもらったので、試合見やすかった。

さて今日のスタメンは最終ラインに岩波、阿部、マウリシオ。ダブルボランチに青木、柏木。ウィングバック、右に森脇、左にウガ。2シャドーに武藤、ファブリシオを置いた上で、1トップに興梠という並び。GKは西川。

リーグ戦の前節、清水戦では柏木さんをベンチスタート、森脇さん、ウガは帯同せず完全休養でしたが、この試合では全員先発。槙野さんだけベンチからも外れて、このタイミングでお休みという形になりましたが、ほぼベストメンバーという布陣でスタート。オリヴェイラさんの天皇杯にかける意気込みが感じられます。

また、槙野さんを休ませた関係が大きいとは思いますが、阿部ちゃんを3バックの真ん中で起用するあたりに、オリヴェイラさんが、阿部ちゃんの最終ライン統率力に絶大な信頼を寄せていることが見てとれます。マウリシオさん的にはサイドで少し本来とは異なるプレーを要求されるので大変だとは思いますが。

対するヴェルディは、普段は 4-3-3(正確には 4-1-2-3 ですかね)を採用することが多いようですが、今回、見ている限りは 4-4-2 でスタートした様子。前線に外国人選手(この日はアラン・ピニェイロ選手)を中心に足元の技術も高い選手を配した布陣。J2、前節の大分戦からはかなり人を入れ替えてきていました。この辺はJ2も連戦ですので、コンディションのことなどを考慮した結果なのでしょう。

立ち上がりに関してはウチがサイドを有効に使ったところから何度かチャンスを作ります。時間忘れましたけど、武藤さんが左サイドに流れて上げたクロスにファブリシオさんがフリーのシーン、さらにコーナーキックから岩波さんがフリーで合わせたシーンなど、この辺で先制できていればかなり楽な展開になったんじゃないかと思えるような立ち上がり。

ところが20分過ぎくらいから、前半に関しては完全にヴェルディに主導権を持って行かれます。

ヴェルディは守備時、4-4-2 の守備ブロックを作りながら、前の2枚に2列目を加えた3枚から4枚で前線からウチのビルドアップに対してハイプレスを敢行すると、ウチは窮屈になって蹴らされたところで相手にボールを回収されて押し込まれるという時間帯を作られてしまいました。

特にヴェルディの攻撃時におけるビルドアップは注目点でした。

現時点のウチには確固たる守備戦術はまだ確立されておらず、とりあえず 5-4-1 or 5-3-2 の形で後ろに人数を並べて、あとは自分の受け持ちエリアにボールが入ってきたら強く行って前を向かせない、あわよくばそこで奪いきってのカウンターにつなげるというやり方ですが、それに対してヴェルディはポジショナルに各選手が局面局面で各レーン(ポジショナルプレーの基本はピッチを縦に5分割した5レーンと、ボール位置に応じて各レーンにおける各選手のポジショニングを徹底することで、各局面で常にひし形の陣形を作り出すことです。詳しくは下記のリンク先を参照)に適切に配置されパスコースを作ってくるため、ウチの縦に出ていく守備の仕方は相性が悪い。

ポジショナルプレーで特徴的なのは(ひし形を作っているため)パスが斜め前方向に良く動くことですが、ボールホルダーに対して縦を切りながら当たりに行っても、隣のレーン、斜め前方向で次の選手にパスを受けられてしまうので勢いを持って出ていけば行くほど外されてディフェンスがおいて行かれるという状況が生まれやすくなってしまいます。

実際にヴェルディの連続するパス回しに完全にディフェンスラインを崩されて、ポスト直撃、あわや失点というシュートを喰らうなど、かなり苦しい時間帯が前半終了まで続きました。もし先制点を喰らっていれば試合の流れも完全に持って行かれてしまった可能性がありますし、この辺は紙一重だったと思います。

ただ、ヴェルディ強ぇなとばかりも言ってられません。ヴェルディの守備もかなり前からきていましたし、4-3-3 でスライドするので、こちらとしてはパススピードを上げてプレスを外しつつ、速いボールでのサイドチェンジを多用することで左右に振ってやれば、後半に向けて相手の体力を奪いつつ、徐々にスライドが遅れてサイドでフリーの状況を作れるかななんて思いながら見ていたのですが(コーナーキックを観ていて、ファーに飛ばされてから中央に折り返されるような、大きく左右に振られるシーンで結構ヴェルディのマークがズレていましたし苦手っぽい感じはしました)、実際に後半はヴェルディも徐々に運動量が落ちてスペースが生まれ始め、ウチの反撃が始まります。

そんな状況で64分、岩波さんから絶妙なロングフィードが左サイドのウガへ。これをウガがスピードを殺さず絶妙なトラップで一旦サイドを抜けようとしますが、クロスは上げず、サポートしてきた武藤さんへマイナスの戻し。さらにポジションを下げてきた興梠さんが中央で武藤さんからのボールを引き出します。

興梠さんのところで一旦プレースピードは落ちたのですが、これを逆サイドの岩波さんにはたくと同時に興梠さんはペナルティエリア内に向けてスプリント。すると岩波さんがノールックっぽい挙動(身体の開き方は右サイドに出すぞという感じでしたから)でペナルティエリア内に侵入した興梠さんにこれまた超絶ピンポイントのフィードを通します。

これを興梠さんが冷静に頭で落とすと、フォローしていたファブリシオさんはヴェルディディフェンスが興梠さんに注意を引っ張られたことで完全にフリー。落ちてきたボールを豪快にハーフボレーで叩き込むと、先制に成功。岩波さんの正確なフィード、興梠さんのペナルティエリアへ侵入するうまさと冷静な落とし。ファブリシオさんの決定力。全てが融合した素晴らしいゴールでした。

選手交代は56分に森脇さん→橋岡さん。ただこれはアクシデント。森脇さんワイドに張りつつサイドチェンジのボールをうまく受けたり、武藤さんとのパス交換で縦に抜けるなどよかっただけに残念。

さらに73分には興梠さん→荻原さんとして、彼をシャドーの位置へ。ファブリシオさんを1トップに移動します。ヴェルディの運動量が落ちて、バイタルエリアに少しスペースができはじめた時間帯でしたので、そこで単独で仕掛けられて、しかもアグレッシブにいける荻原さんを入れるあたり、相手が嫌がることを淡々とやりますね。オリヴェイラさんは(褒めてる)

最後の交代カードは87分、武藤さん→長澤さんとして長澤さんをシャドーに入れると、これで中盤を締めに行くいつものやり方。この辺からは明確にこのまま試合を終わらせようというメッセージが感じられました。そのメッセージに応えるように、終盤は落ち着いて試合を締め、1点リードのまま終わらせてベスト8進出が決定。

前半、ヴェルディに主導権を握られて苦しい時間帯もありましたが、トーナメントは勝利することが重要。結果的には目的を果たし、次につなげることができました。

さて、続く週末にはアウェーでリーグ戦、名古屋グランパスとの対戦がひかえます。名古屋は一時降格圏に沈むも、中断明けは連勝して一気に降格圏を脱出してきた勢いのあるチーム。とはいえ現状は下位のチームですので、アウェーとはいえ勝点奪取はマストな試合。ちょっとまた週末は予定があわなくて現地行けませんが、しっかり勝って戻って来てもらいたいと思います。

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試合データ

観客: 6,458人
天候: 晴
試合結果: 浦和 1-0 東京V(前半0-0)
レッズ得点者: ファブリシオ(64分)
警告・退場: ファブリシオ(警告×1/反スポーツ的行為)
主審: 池内 明彦 氏

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