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2018 Jリーグ 第16節 埼玉スタジアム2002 名古屋グランパス戦

ワールドカップも終わりましたね。それに伴って1ヶ月ちょっとの間中断していたJリーグも再開。リーグ戦、後半戦の幕開けとなる初戦はホームに名古屋グランパスを迎えての第16節。

中断前はルヴァンカップで敗退したり、直近の第14節第15節は得点を奪えずのスコアレスドローだったりと、ちょっと流れ的にはよろしくない状況ではありますが、先週の天皇杯では松本山雅相手に失点しつつも2得点して勝ちきるなど、徐々にではありますが勝負強さも見せてきているところ。後半戦、勢いをつけるためにもしっかり勝ってスタートを切りたい対戦となりました。

2018 Jリーグ 第16節 埼玉スタジアム2002 名古屋グランパス戦

さて、今日のスタメンは最終ラインに遠藤、マウリシオ、槙野。ダブルボランチに青木、柏木。ウィングバック、右に橋岡、左にウガ。2シャドーに武藤、マルティノスを置いた上で、1トップに興梠という並び。GKは西川。

スタメン的には先週の天皇杯、松本山雅戦と同じで、3-2-4-1 を採用。守備時には両ワイドが最終ラインに下がる形で後ろを5バックにし、5-4-1 のようなブロックを作って特に中央部分を固めて敵の侵入を防ぐ意図が見てとれました。行けるときは前線からプレスをかけますが、無理と判断したらしっかり戻ってブロックを形成という部分はある程度はっきりしていたかと思います。

また、最終ラインに落ちてくる両ワイドもあまりサイドまでは出ていかずにペナルティエリアの幅を5人で守るようなやり方をしていて、この辺は名古屋のニアゾーン(ハーフスペース)からのクロス、もしくはミドルシュートだけケアしておけば、大外レーンからのクロスは中央の3枚ではじき返せるという考えかと思われます。

ただ、中央守備ラインに人が多いことで逆にマークの受け渡しや誰がファーストディフェンスに行くのか、さらにその強度という点で多少曖昧な点も見られ、本来固めたいであろう中央部分でのインテンシティが足りない印象がありました。これが要因ともなって前半のアディショナルタイムに中央を使われてミドルシュートから失点しているので、この辺のオーガナイズに関して、特に前半は少し整理されていない点が見られました。

対する名古屋は 4-4-2 のフォーメーション。ガブリエル・シャビエル選手と長身のジョー選手を前線に並べ、アグレッシブなポゼッションサッカーを意図したやり方。ポジショナルにプレーするわけではなく、各選手がボールを軸に動くやり方ですが、川崎との大きな違いは縦に入ってこないことでしょうか。川崎はボールを動かしながら縦にスイッチを入れるポイントを常に探していますが、名古屋にはその意識があまり感じられず、パスはつなぐ、ボールもポゼッションするものの、縦に入って来ないので正直怖さはないです。その意味ではボールの出口、フィニッシュの形から逆算した攻撃にはなっておらず、それが名古屋で風間さんのサッカーが苦戦している理由かと。この辺は川崎とは選手層が異なると言ってしまえばそれまでですけども。

別に名古屋さんをDisってるわけではないんですが、あれなら中央を締めとけばある程度は守れるんじゃないでしょうか。実際にウチもそう考えて中央を締める守り方を選択したんだと思いますし。

で、結果的にはセットプレーから3点とって、勝利もしているわけですし、それ自体はとても素晴らしいことだと思います。「セットプレーからしか点がとれない」「浦和のイングランド化」とか色々と言われるかもしれませんが、柏木さんという精度の高いプレースキッカーと、遠藤さん、槙野さん、マウリシオさんっていう高さと強さのあるディフェンスラインがそろっているという強みは活かすべきですし、単に偶然から得点しているわけではなく、橋岡さんあたりがニアに入りつつ、槙野さんとマウリシオさんというデカいの2枚がファーに流れることで相手ディフェンスを内と外に引っ張りつつ、中央に遠藤さんが入ってくるというきちんとデザインされたセットプレーの末に、遠藤さんが2発、槙野さんが1発叩き込んでるわけで、同じやり方されて3失点する名古屋の守備もどうなんだというのは多少ありつつも、ウチにとってはセットプレーがとても重要な武器になっていることはポジティブに捉えてよいでしょう。

しかし、一方で相手を崩すという点に関してはかなり厳しい試合でした。もちろん、あの気温の中で試合をしているので、なかなか攻守にわたって運動量を上げるのは難しいとは思いますが、それでも名古屋の守備は前線からほとんどプレスをかけないにも関わらず最終ラインはハーフウェイライン付近まで上げてかなり高い位置をとっていたので、もう少しシンプルに裏に仕掛ける狙いや、最終ラインからドリブルで仕掛けて中央締めさせてのサイドなど、工夫が欲しかったなと。相手がブロック作っているところにバカ正直にボール入れてプレスかけられてロストみたいのが多かったので、ちょっともったいないといいますか、わざわざ相手に合わせてやりにくい方を選択しているように見えたのは少し残念でした。

得点に関しては前述したとおり。きちんと意図を持ってセットプレーを実行し、そこから3得点。素晴らしいと思います。一方の失点に関しても前述したとおり、中央エリアに人はそろっていたものの、サイドに流れたジョー選手に柏木さんが引っ張られたことで空いた中央スペースでガブリエル・シャビエル選手にフリーでボールを受けられ、シュートレンジまで持ち込まれ、慌てて最終ラインからマウリシオさんがシュートブロックに行ったものの遅れたことでディフレクション。これがゴール左隅に突き刺さってのもの。先制して、リードしたまま後半に折り返したい状況のアディショナルタイムでしたので、もう少しうまくやれたら良かったのになとは思いますが、本来固めておきたい中央スペースでガブリエル・シャビエル選手にフリーの時間を与えてしまったのは痛かったなと。

この辺、後半は比較的うまく修正できていましたし、名古屋が中央突破にこだわってあまりサイドを使ってこなかったこともウチにとってはありがたいと言いますか、守りやすかったんじゃないかなと。厳しく言ってしまえば相手がよかったとも。

選手交代はまず59分、マルティノスさん→荻原さん。これは同ポジションの交代で、恐らくマルティノスさんの動きが鈍ってきたのでリフレッシュ。続く68分にはウガ→阿部ちゃんとして、中央をトリプルボランチ気味の逆三角形に。柏木さんと阿部ちゃんを並べ、青木さんがアンカーっぽい位置取り。荻原さんはウガのいた左サイドへ移動。前述の通り、名古屋が中央からの崩しにこだわってくれたおかげで、こちらの選手交代も中央を締めるという点でかなり明確な交代策となりました。

あと最後、後半のアディショナルタイムに興梠さん→森脇さんとして、久々に森脇さんが戦線復帰しましたが、これはまぁ時間消費と森脇さんの試合勘を取り戻すという意味が大きいと思いますが、守備に人を増やしてきっちり試合を終わらせに行くあたり、オリヴェイラさんっぽい感じもします。

ということで、スコア的には 3-1 の快勝。連日の猛暑のなか、夜とはいえ30度超えのコンディションで守備面に関しては最後までしっかり運動量を保った点については素晴らしかったと思います。攻撃面では課題もありましたけども、これは自分たちから積極的にアクションするよりも、名古屋にある程度持たせてカウンターを意図したと考えれば、それはそれでありなんでしょう。実際に名古屋が60%以上ポゼッションしていましたが、それ程押し込まれたという感じもなく、持たせていたという見方もできるかとは思います。ということで、人によっては評価が分かれそうな試合になりましたけども、次のセレッソ戦が注目かなと思います。

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試合データ

観客: 21,250人
天候: 晴
試合結果: 浦和 3-1 名古屋(前半1-1)
レッズ得点者: 遠藤(40分)、槙野(70分)、遠藤(78分)
警告・退場: -
主審: 木村 博之 氏
順位:11位(5勝6敗5分/勝点20/得失点差+1)

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Yoshiki Kato / burnworks
Yoshiki Kato
埼玉県出身。サッカー、フットサル (観戦 / プレー)、モータースポーツ観戦、格闘技 (主にボクシング) 観戦、インターネット、音楽鑑賞、筋トレ、腕時計収集が趣味。サッカー 4 級審判員、ウオッチコーディネーター(上級 CWC)資格認定者。好物はゼリー、グミ、お酒、ラーメン。