2017 Jリーグ 第30節 埼玉スタジアム2002 ガンバ大阪戦
水曜日のACL準決勝第2戦では強力な攻撃陣を誇る上海上港をシャットアウトして10年ぶりのACL決勝進出、連戦ですがその勢いのままのぞむリーグ戦は、ホーム埼スタにガンバ大阪を迎えて。
超大型台風接近中ということで天候的にはなかなか厳しいコンディションでの対戦となりましたが、状況的には厳しいとはいえ、ACL圏内に望みをつなぐためにも、しっかり勝点3をゲットしておきたい試合となりました。
さて、今日のスタメンは最終ラインに遠藤、阿部、マウリシオ、槙野。アンカーに青木、インサイドハーフに柏木、長澤、両ワイドにラファエル・シルバ、ズラタン。ワントップに興梠。GKは西川。
ACL準決勝第2戦のメンバーから、連戦でフル出場を続けていた武藤さんだけを完全休養させて、代わりにズラタンさんを今季リーグ戦初スタメン。ワイドはズラタンさん左、ラファさん右という並び。インサイドハーフでACLに引き続き長澤さんがスタメンをゲット。柏木さんをコンビを組みます。
ここ数試合をみていて、基本的にはACL第2戦でのメンツ、つまり今節のスタメンに武藤さんを加えたメンツが堀さん体勢における現時点でのベストメンバーと考えてよいと思いますので、その意味ではこの試合、しっかり勝点3を獲りきろうという意図がスタメンからは見てとれました。
ピッチコンディション的にはウォーミングアップ始まる前の時点で見た限りでは北、バックスタンド側、ゴールから30mくらいの位置に水たまりができていたのと、南、メインスタンド側の同じくらいの位置にも少しボールが止まる場所があって、特に味方ゴール前に関しては注意が必要な感じ。雨の量は試合開始時には少し弱まっていましたので、ピッチコンディション以外で、雨の強さがプレーに影響を与えそうな感じではありませんでした。
ガンバはヤットさんをトップ下に置いた4-3-1-2でスタート。ただ、今季ガンバの低調ぶりを示すかのような中盤での中途半端な守備、球際への寄せも甘く、ウチのワントップ、インサイドハーフ、さらにオーバーラップしていく青木さんをある程度フリーにしてくれるので、ウチの前線の選手がかなり前を向いてプレーできたことから、比較的攻撃面に関しては狙い通りにやれたんじゃないでしょうか。
特に青木さん、長澤さん、柏木さんのトライアングルから前線の興梠さんというラインはかなり機能していて、青木さんが思いきったオーバーラップで前線を前に押し出しつつ、柏木さんがうまくボールをさばく、長澤さんはその強靱なフィジカルを活かして前線でボールをキープしまくるというところから、裏に仕掛ける興梠さんへの効果的なパスを何本も通していて、前半から何度か惜しいシーンを作りだしていました。
また、ACLも含め、ここ数試合、右SB遠藤さん、左SB槙野さんっていう組み合わせの時にある程度役割分担がはっきりしてきたかなと思うのは、槙野さんはあまり無理にオーバーラップさせず守備に専念させ、逆に遠藤さんは思いきったオーバーラップで特にサイドからのクロス供給源として高い位置を取るというやり方をしていて、この試合もその傾向が強かったですが、個人的にはこのやり方は正しいと思います。
本来は、左が攻撃参加したら右は下がる、逆の場合はその逆という形で連動したポジショニングを取ることが重要なのは基本なのですが、ウチはその辺の基本的なことが比較的適当というか、長いことミシャさん方式の3バックに特化した選手をサイドで使っていたことから、4バックでのやり方に対応できず、ひどいときなんか両SBが同時に上がっちまって人がいないなんて事になっていました。
徐々にではありますが、その辺が整理されてきて、前述したように役割をある程度はっきりさせることで、個々が得意とするタスクに集中させる(槙野さんは対人守備は強いのでそこに注力させた方がよいし、遠藤さんは思い切ったインターセプトから前への推進力が特長の選手ですし、クロスの精度もある程度高いので)やり方ができていて、その辺はディフェンス面での安定感を生んでいるとは思います。
ただ、攻撃面では前線の連動性が徐々にですが戻ってきて、さらにゾーンディフェンスでの安定感が(まだ問題点はあるとしても)ある程度出てきたところで、今節の大きな問題となったのはセットプレー時のマークの付き方や、相手に身体をきちんと当てるみたいな対人守備の基本的な部分、つまり個の問題によって勝てるべき試合を引き分けになるような打ち合いにしてしまったという稚拙なゲーム運びと言えるでしょう。
先制点から3点目まで、ウチの得点は全て素晴らしいものでした。先制点は青木さんが思いきったオーバーラップを見せて敵陣をドリブルで切り裂くと、興梠さんへの楔、これを興梠さんがヒールで流すとそのままゴール前に走り込んだ青木さんが少し遅れながらもスライディングシュート。これは相手GKの東口選手に弾かれますが、こぼれ球をラファさんが冷静に詰めてのもの。青木さんの素晴らしいオーバーラップ、興梠さんとのワンツーという前線での連動が生んだ素晴らしいゴール。
2点目はラファさんの個人技が炸裂。右サイドでボールを受けて前を向いた長澤さんから左サイドに開いたラファさんに展開すると、そこからラファさんが技ありの巻いたミドルを叩き込んでのもの。ここしかないというコースに正確に叩き込んだラファさんのシュートセンスが光るゴールでした。
3点目は待望の興梠さんゴール。中盤でマウリシオさんが相手のドリブルを潰してボール奪取するとそこからカウンター発動。ボールを受けた柏木さんが、これぞ柏木さんという素晴らしいスルーパスを絶妙なタイミングで裏に仕掛けた興梠さんに通すと、これを興梠さんがワンタッチで流し込んで今季リーグ戦20得点目。気持ちのよいカウンターでゴールを奪いきりました。
一方で失点に関してはどうした? っていうくらい軽いものばかり。しかも1失点目、2失点目共に、リードを奪った数分後に返されるという試合運びのヘタさが目立つ失点タイミング。
1失点目はフリーキックで放り込まれたボールをファーでヤットさんに折り返されて、ゴール前フリーだったファン・ウィジョ選手に頭で押し込まれたもの。ヤットさんのマークについていた興梠さんが対応ミスって簡単に前に入られてしまった時点で勝負ありだけど、ボールウォッチしてファン・ウィジョ選手を誰もマークしてないっていうのもお粗末。
2失点目はウチの左サイドで倉田選手にボールを持たれると、そこから上げられたクロスを中央で赤崎選手にボレーシュート合わされて失点。倉田選手に対しては槙野さんとサポートとして青木さんが対応していましたが、槙野さんがボールに寄せきれなかったことで簡単にクロスを許した挙げ句、ゴール前でも赤崎選手を完全にフリーにしてしまったことで楽にシュート打てる状態にしてしまったという、ちょっとした対応ミスが重なった形ですが、数的不利で崩されたわけでもなく、これは十分防げた失点だったと思います。
ちなみに、失点にはならなかったですけど、前半にも槙野さん青木さんの2人で対応しているのに倉田選手に間をドリブルで簡単に抜かれてシュートまで行かれたシーンがあって、数的有利、または同数な状況で寄せが甘くなるというのは課題かもしれません(ACL準決勝第1戦でフッキ選手にやられたときも2人で対応に行って間抜かれたんですよね)。
トドメは試合終了間際、アディショナルタイムのコーナーキックを呉屋選手に頭(背中?)で合わせられて3失点目。興梠さんのゴールで3度目のリードをして、あとはコーナーキックはじき返せばほぼ終わりという状況で痛恨のマークミスからやられるっていう......
堀さんには短期間で連動した守備を完璧に仕上げて欲しいなんて無茶を言う気はないし、そもそもどんな優秀な監督さんをもってしても守備組織の構築は時間がかかるものですし、簡単なことではないのでそこは別にいいのですが、球際、寄せのスピード、セットプレーでのマークなど、組織戦術というよりも、個々のプレー精度や強度で解決できる部分に関しては同じようなやられ方を繰り返さないような意識付けはして欲しいなと。上海上港戦ではできたんだからもしかすると個々のモチベーションの問題かもしれませんけども。
とにかく失点数が「51」とか、失点数でウチより悪いのって最下位の新潟さんだけですからね。失点数50点台ってのは例年でいえばJ2に降格するチームの失点数(ちなみに内訳的にはミシャさん「36失点/20試合/1試合平均1.8失点」、堀さん「15失点/10試合/1試合平均1.5失点」)ですから、さすがにここはなんとかしないと勝てる試合も落としちゃってもったいない。
もちろん、現代サッカーは攻撃と守備を分けては考えられないですし、守備だけ考えても仕方ないんですが、今節のようにボールを支配して攻撃もしっかり狙い通りにできている、攻撃面での質に対して失点の仕方が簡単すぎるというバランスの悪さだけはどうしても気になってしまいます。
さて、内容的には勝ち試合だったと思いますけども、ガンバさんの粘り強い戦い方によって勝点2を失う形となった今節。これで残り試合も「4試合」となりました。ACL圏内を考えたときにターゲットとなる3位のマリノスさんが今節勝利したことで勝点差は「9」。状況的には絶望的ではありますが、来季に向けてもあるので最後までしっかりやりきって欲しいなと思います。
ということで次はアウェーで広島さんと。残留争い真っ只中の広島さんですが、ここはしっかり叩いて勝点3をゲットして戻ってきてほしいものです(私、広島戦は現地行けないのでテレビ前から見守ります)。
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試合データ
観客: 21,603人
天候: 雨
試合結果: 浦和 3-3 G大阪(前半0-0)
レッズ得点者: ラファエル・シルバ(50分)、ラファエル・シルバ(64分)、興梠(73分)
警告・退場: -
主審: 松尾 一 氏
順位(第30節終了時点):7位(13勝10敗7分/勝点46/得失点差+12)
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