Keep on Jumpin'

2017 Jリーグ YBC ルヴァンカップ 準々決勝 第2戦 埼玉スタジアム2002 セレッソ大阪戦

第1戦はアウェーでスコアレスの引き分け、勝負の行方は第2戦の結果へと持ち越されたルヴァンカップ準々決勝、セレッソ大阪戦ですが、第2戦はホーム埼スタ開催。ここでしっかり勝てばよいというシンプルな状況で迎えた第2戦は、第1戦から中3日となる本日、日曜日開催となりました。

2017 Jリーグ YBC ルヴァンカップ 準々決勝 第2戦 埼玉スタジアム2002 セレッソ大阪戦

さて、今日のスタメンは最終ラインに橋岡、遠藤、田村。ボランチに阿部、長澤。両ワイドにヒラと菊池。矢島、ラファエル・シルバをシャドーに、興梠のワントップ。GKは西川。

第1戦で足を痛めた形で途中交代となったマウリシオさんは欠場。検査は翌日行われたようですが、オフィシャルからの公式な発表がないことを見ると2週間以内の負傷ということで幸いなことに軽傷で済んだ感じ。とはいえ中3日しか経っていない本日の試合はお休みとなりました。

マウリシオさんはリベロとして最終ラインに安定感をもたらしてくれただけでなく、ボランチに付ける縦パスの精度やスピード、タイミングも非常にレベルが高く、加入から日が経っていないにもかかわらずビルドアップの中心として早くもマッチしていた矢先でしたので彼の離脱はチームにとって痛手ですが、幸いなことにこの試合では負傷で離脱していた森脇さんが入れ替わる形でベンチ入り。スタメンは21歳以下スタメン規定により橋岡さんと左は田村さんでスタートしましたが、後半の流れによっては森脇さんの投入が予想される形となりました。

第1戦ではシャドーで先発した伊藤さんは今回ベンチにも入らず、第1戦は途中交代で入った橋岡さんがスタメン抜擢となり、評価的には橋岡さんの方が高かったことがわかります。

さらに堀さんに監督が交代してからコンスタントにスタメンとして抜擢されている矢島さんがこの日はシャドーの一角に。ボランチには阿部ちゃんとコンビで長澤さんが入る形。

またサイドは右にヒラさんが久しぶりの先発。後ろに控える橋岡さんをうまくサポートしながらベテランらしい働きが求められるメンバーでのスタートとなりました。

対するセレッソは第1戦では全スタメンを直前のリーグ戦から入れ替え、ルヴァンカップ仕様の戦いをしてきましたが、第2戦は最終ラインを普段のメンバーに戻し、前線でも柿谷選手、この試合で怪我からの復帰となった山村選手を起用。特に山村選手の高さについてはウチにとって大きな脅威となりました(最初の失点も彼が起点)。

セレッソは攻守にわたって 4-4-2 で、守備時はブロックを作ってウチのサイド攻撃には全体的に素早いスライドで対応してくるやり方。基本的には第1戦を始め、今年リーグ戦で対戦している時と同じやり方ですね。

対してウチは堀さんになってからの特徴ではありますが、非常に慎重な入り。特に中央での縦パスやコンビネーションについては多少封印してボールロスト→被カウンターという状況だけは避けつつ、サイド、もしくは最終ラインからの縦一発という狙いが見える組み立て。

実際、試合開始早々に遠藤さんの持ち出し→縦へのロングフィードから興梠さんが裏に抜けてシュートを放ったシーンもありましたが、さすがにこれだけでは対応されるので相手のディフェンスラインを下げさせるのであればそのスペースをうまく使う中央への入り込みが同時に必要。でもその辺があまり見られませんでしたね。

相手にアウェーゴールを与えると厳しいというのはもちろんわかるのですが、第2戦の状況は、冒頭にも書いたとおり、アウェーゴール獲られようが「勝てば良い」という単純な話ですから、個人的にはもうちょっと勝ちに行く姿勢を立ち上がりから見せて欲しかったというのはありますけども、外から見ている限り、前半は 0-0 で折り返せればプラン通りみたいな感じに見えました。

で、中央ではあまり難しいことをやらずにサイドをという狙いは、相手が4バックで対応してきていることからもそれ自体は良い狙いだと思いますが、セレッソの守備はスライドも速く、ウィングバックとサイドバックが素早くウチのサイドアタッカーに寄せてくるのと、チャレンジ&カバーが徹底されていて、ファーストディフェンダーがしっかり縦を切りつつアプローチ、カバーリングによってカットインするスペースもきっちり消されてしまっていたのでサイドからの個人打開もなかなかうまく行かず徐々に手詰まりな状況に。

その中でも両ワイドの出来にはかなり大きな差がありました。ヒラさんは関根さんや駒井さんのような単独突破が持ち味ではないので、そこでは無理に勝負せず、一見慎重に見えましたが、後方の橋岡さんとうまく連携しながらフリーでボールを受ける工夫が見られましたし、相手がサイドでの突破を警戒してそれ程積極的にボールに対して寄せに来ない(この辺、サッカー経験者ならわかりやすいと思いますが、スピードのあるドリブラー相手にヘタに寄せると逆にやられるので、ちょっと距離をとって相手を先に動かしたい)のをうまく逆手にとって、仕掛けるぞと見せかけてはアーリークロスを中央に供給するなど、さすがはベテランというインテリジェンスなプレーを見せていました。まだまだ彼のようなベテランの力が必要だということを強く感じさせられる素晴らしい仕事をしていたと思います。

一方、左サイドの菊池さんについては立ち上がり単独突破を仕掛けては先に書いたセレッソのしっかりした対応に引っかけられて突破できず、徐々にプレーが消極的になって消えるという感じになってしまっていました。ミシャさん時代に天皇杯などで先発した彼にのプレーに対して、サイドでの突破はもちろん求められながらも、同様の状況で周りをうまく使ったり、例えば自分が行けないなら中に絞ってストッパーを上げさせてコンビネーションしたりみたいな状況に応じた臨機応変なプレーができるようにならないと厳しいかもみたいな評価を過去の試合レビューで何回か書いていますが、この試合での彼はまさにその課題が出てしまった感があります。

さて、それでもベンチには普段のレギュラーメンバーが名を連ねている状況で、後半勝負と考えれば前半はうまく行かないながらも無失点で試合を進められれば良かったんですけどね。ところが試合開始10分、コーナーキックからニアで山村選手にスラされたボールをファーでフリーになったヨニッチ選手に頭で合わせられて早くも失点。

これ、今年のリーグ開幕戦でマリノスさんに狙われたところなんですが、ニアのストーンの裏に速いボール入れられてスラされ→ファーでやられるってヤツですが、山村選手は自分についていたマークの田村さんを、あえてウチのストーンのところに突っ込みながらうまく引っぺがして先に触ると、もうその時点で勝負ありといった感じ。

慎重な入りをしておいてセットプレーから10分で失点というのは完全に想定外だったのではないでしょうか。セレッソにうまく出鼻をくじかれてしまいました。

先に失点してしまうと慎重にやってる意味はあまりないのですが、その後も中央は単純な縦への放り込み、サイドからも決定的な崩しはなかなか発動せずという状況で、試合は膠着した展開に。前半も40分を過ぎ、まぁ1点差のまま折り返せればいいかななんて思っていたら44分、ゴール正面、25m付近で与えた直接フリーキックを丸橋選手に見事に叩き込まれてまさかの追加点を喰らう流れ。

壁の作り方、西川さんの立ち位置的には大きな問題はなかったと思いますが、その壁を越えてゴール左隅に叩き込んだシュートは、まぁ蹴った丸橋選手を褒めた方がいいかなというゴールでした。ただこれでかなり状況的には苦しくなってしまったのは確か。後半、最低でも3得点が必要になりました。

後半は、ハーフタイムに矢島さん→武藤さん、橋岡さん→森脇さんという2枚替え。当然ながら一気に勝負に出ます。矢島さんについてはシャドーにおいては守備対応、運動量共にちと物足りなかったかなと。さらに運動量の多くないラファさんと組み合わせて、オフでの動きの質が高くない2枚をシャドーに置いてしまうことで興梠さんが孤立し、前線のトライアングルはほぼ機能していない状況になっていましたのでこの交代は無難(逆に矢島さんは交代して入った武藤さんのプレーをきちんと目に焼き付けておいた方がいいと思う。あれがシャドーに求められている動きだから)。

橋岡さんは若いしトップチームでの経験もない状態なのに非常に良い働きをしていて、その将来性に期待が持てる出来だったと思いますが、森脇さんとの交代ならまぁ仕方ないでしょう。実際後半、森脇さんが入ってからはヒラさんがより前目のポジションを取れるようになったことで彼のアシストが生まれているわけで、交代策としては正解だったと思います。

ここからウチの反撃タイム。48分にはヒラさんからの絶妙なクロスを武藤さんが頭で合わせてまずは1点を返し、反撃ののろしを上げます。これに対してセレッソは山村選手を最終ラインに下げる守りの体制に。これで守備時5バックにしてゴール前を固める策。リーグ戦で前回対戦した時も同じ策で逃げ切られた記憶が新しいですがそれでもあと2点獲らなければ敗戦なわけで、ウチとしては意地でもこじ開けるしかない。

そんな中、70分に得たコーナーキックのタイミングで田村さん→高木さんとすると71分、その高木さんが蹴ったコーナーキックに浦和のエース、興梠さんがうまく頭で合わせると同点に。あと1点でこの試合での逆転はもちろん、準決勝進出が手に入るところまでセレッソを追い詰めます。

ただ、次の1点が遠かった。引いてブロックを作るセレッソに対して押し込んでボールは保持しているものの全体的な運動量が落ちてしまったこともあってなかなか効果的な攻撃を発動できず。ブロックの外でボール回してはクロスをはじき返されるという状況で時間が経ってしまい、結局決定機を作ることなくそのまま試合終了。トータルスコアは 2-2 の同点ながら、アウェーゴールの差で準々決勝敗退となりました。

個人的には終盤、もう少し思い切ったプレーを見たかったなというのはあります。というのは 2-2 で終わろうが、前に出て行った結果失点して 2-3 で負けようが状況は同じわけで、それなら多少無理してでも出ていかないと勝機は転がり込んでこないでしょうと。

堀さんに監督交代後、もちろん改善された点も多々あるとはいえ、まだチームは全体として失敗を恐れ、無難なプレーを選択しがちで自信を取り戻すところまでは至っていないこと、選手の意識改革を含め、まだまだ課題が山積していることがよくわかる試合でした。

ということで、カップ戦での敗退は残念ですが、これで終盤戦のスケジュール的には多少楽になりますので、その点はポジティブに捉えつつ、1週間後の柏戦、翌週のACL 川崎戦、さらに続く天皇杯 鹿島戦などといった強豪相手の対戦に向けて、さらなる改善を期待したいところです。

このレビュー記事について浦和レッズサポーター向けFacebookグループでメンバーの方々との意見交換などもしています。詳しくはこちらをご覧ください

試合データ

観客: 23,116人
天候: 晴
試合結果: 浦和 2-2 C大阪(前半0-2 / 2戦トータル 2-2)
レッズ得点者: 武藤(48分)、興梠(71分)
警告・退場: -
主審: 松尾 一 氏

記事をここまで御覧頂きありがとうございます。
この記事が気に入ったらサポートしてみませんか?
スタジアムでのビール代にさせて頂きます。
Categories
Publish
Modified