AFCチャンピオンズリーグ2017 ラウンド16 第2戦 埼玉スタジアム2002 済州ユナイテッドFC
1stレグはアウェーで残念ながら2失点の敗戦。アウェーゴールも獲れなかったことで、今節、ホームで行われた2ndレグは最低でも3点差勝利が必要。しかも相手のアウェーゴールは絶対阻止しないといけないという条件的にはかなり厳しい状況での対戦となりました。
攻撃陣がかみ合えば3得点以上はウチにとって無茶な数字ではないとはいえ、相手は引いて守ってのカウンターが武器のチーム、相手の武器を発動させず、失点せずに3点以上獲るという難しいミッションをクリアできるかという、ある意味見応えのある試合となりました。サポとしてもこういう難しいシチュエーションはテンション上がるところ。
結果的には延長までもつれ込む激しい試合ながら、3得点無失点という難しいミッションをやり遂げたウチがベスト8進出。最高に熱い水曜夜となりましたが、家に帰ったらもう日付け変わる直前で疲れて寝てしまったため、翌朝起きてから頑張ってこの記事書いております。
さて、今日のスタメンは最終ラインに森脇、遠藤、槙野。ボランチに阿部ちゃん、柏木。両ワイドに駒井と関根。武藤、李をシャドーに、興梠のワントップ。GKは西川。
1stレグではズラタンさんをワントップに、興梠さんと武藤さんをシャドーに配置したスタメンでしたが、今節は昨年得点面で大爆発したおなじみのKLMで3得点以上というノルマを達成しにいく布陣。
ラファさんはこの試合に向けてコンディションを調整していましたが、結局間に合わずということで残念ながらこの試合も欠場。前日練習ではウガ(祝・日本代表選出)が体調不良で別メニューになっていたことで心配されていましたが、結局帯同せず、駒井さんが右で先発して関根さんを左に。あとはウチの出来を左右する要素として、柏木さんのコンディションが気になるといった立ち上がり。
済州は1stレグ同様に、守備時5-4-1(or 5-3-2)の布陣を作ってブロックを固めるやり方。相手としてはそこからウチのパスミスや楔を引っかけて一気にカウンターというのが狙いで、ウチのミッションとしてはその相手の狙いにハマらないようにしつつ効果的な崩しを発動できるかという点になりました。
前回対戦では阿部ちゃんから入る楔や、前線でコンビネーションしたときのフリックや横パスを狙われてそこから一気に裏のスペースにスプリントされてカウンター喰らうという状況を何度も作られ、結果的に2失点してしまいましたが、今回はかなり慎重に、ロングレンジでの無理な楔は避けつつ、相手が引いてブロックを作るなら最終ラインが多少持ち出して前線との距離を詰めつつ要所要所で楔を入れる、パスコースがなければ丁寧に左右に動かして相手のスライドを誘発させ、マークのズレを細かく狙うなど、かなり丁寧なビルドアップをしていて、ビルドアップ時の最終ラインのポジショニングなどをみても、前回の失点をうけて、きっちり修正してきたことがうかがえる立ち上がりとなりました。
その意味で前半に関してはほぼ完璧な出来。18分にセットプレーから興梠さんが頭で合わせてさい先良く先制点。柏木さんの素晴らしいクロスに混戦の中から頭ひとつ抜けた興梠さんがドンピシャでゴール右隅に流し込み、相手GKが全く反応できない素晴らしいゴール。
さらに、34分には忠成さんが2点目を奪ってこれで試合はトータルスコア同点に。ゴール前で一旦はボールを失いますが、素早く囲んでボールを奪いきると、そこから興梠さんが斜めにドリブルしつつ身体をひねって絶妙な裏へのパス。これにタイミング良く抜け出した忠成さんが詰めてきた相手GKをあざ笑うかのようなシュートを流し込んでのもの。
忠成さん、1stレグでも同じような状況で放ったシュートがGKに触られて得点とならなかったシーンがありましたが、今回はきっちり決めきってくれました。この得点の前にもミドルレンジから放ったミドルがポストに直撃するなど、惜しいシーンを作っていたので、今日は忠成さんくるでぇと思ってたんですが、難しい試合できっちり結果を出すあたり、さすがです。
試合は2点リード(トータルスコア同点)のまま後半に折り返しますが、2点獲ったとはいっても、相手はアウェーゴール1点でも奪えばウチはさらに2点必要になる状況で、まだ状況的には済州が若干心理的に有利。ウチはもう1点獲らなければならない、でも1点でも失えば一気に流れは相手に持っていかれてしまう。試合はさらに難しい時間帯に入ります。
それでもピッチ上の選手達はこの難しい時間帯を焦らずリスクマネジメントしながら、前半同様に丁寧な左右への展開を繰り返して相手を走らせつつ、サイドで相手のスライドが遅れれば仕掛け、あるいは斜めに前線への楔を入れつつ前線のコンビネーションでシュートシーンを作るなど、無闇に攻め急がず、でも積極的に3得点目を狙いに行きます。
1stレグのレビューでも書いたのですが、済州は縦にまっすぐ入ってくる楔に対しては強さがあるものの、斜めに入ってくる楔、あるいはダイアゴナルな選手の動きに対してはマークの受け渡しや当たりにいく、行かないの判断がまだまだ甘い点があり、そこを狙って崩しやすい。
もちろんそこで中途半端なプレーやミスをしてボールを失えば、相手カウンターが発動してしまう怖さはありますが、ウチの選手達も攻守転換素早く、球際も激しく失った瞬間に寄せることができていましたので、そこで遅らせる、あるいは再奪取することで、高い位置から攻撃を再開できていたことや、最終ラインの3人も、裏へのロングボールに果敢にチャレンジして攻撃の芽を摘んでくれていたので、本当にヤバイというカウンターはほとんど喰らわずに相手を押し込むことができたのは素晴らしかったと思います。
後半の選手交代は2枚。70分に忠成さん→青木さんとして、柏木さんを1列上げ、彼の守備の負担を軽減しつつ前線に厚みを加え、同時に青木さんで中盤を締める策。さらに76分には駒井さん→高木さんとして、高木さんを左サイドに、関根さんを右サイドに移動します。高木さんの精度の高いクロス、あるいはミドルレンジからのパンチ力(引いた相手には効果的)に期待した交代。
ここで去年までのミシャさんなら、90分で試合決めてこいって感じで3枚目のカードも切ってた気がするんですけど、今日は自重したのか(笑)、3枚目のカードは切らず。現地で見ている限りは興梠さんが相当疲れていて、興梠さん→ズラが最後のカードかなと思っていたのですが、とはいえ今日の興梠さんは前線で圧倒的なキープ力を発揮して相手ディフェンス陣の前に君臨していて、代えにくいのも確かだよなという印象。延長戦に入る可能性も考えると、3枚目のカードを残したのは素晴らしい判断だったと思います。
結局、90分にわたって攻め続けるも相手ディフェンスも堅く、トータルスコア同点で試合は延長戦へ(延長に入るとアウェーゴールはなくなります)。あとは30分でゴール決めきって勝つか、PK戦までもつれ込むかという状況でしたが、30分で決着を付けるべく、スタジアムの空気は最高潮へ。選手も疲労困憊の中、諦めずに走り続けます。
100分(延長前半10分)には足攣ってヘロヘロだった関根さん→ズラタンさんとして最後のカードを切ります。これによって武藤さんがワイドに出る形をとっていたようですが、この時間帯から運動量の求められるワイドに移動させられた武藤さんは大変。彼の運動量がそれだけ信頼されているということでしょう。
そして、試合も延長後半残りわずかになった114分(延長後半9分)、途中交代で入っていた高木さんが左サイドでボールを持つと、ボールを彼の得意のゾーンであるペナルティエリア角の位置まで持ちだして右足一閃。スピードのあるクロスは、相手ディフェンスラインとゴールの間、GKも出られない、相手ディフェンスも足を出せない絶妙なエリアを切り裂くと、相手ディフェンスラインの大外で待っていた森脇さんへのピンポイントクロスに。これを素晴らしい反応で飛び出して合わせたシュートが見事に決まってついにノルマの3得点目を奪いきってくれました。
狙い通り、「KLM」大爆発だったわけですが、最後の「M」がまさかの「Moriwaki」さんでしたね(笑)。鹿島戦での問題があって色々と落ち込んでいたであろう森脇さんですが、守備面での貢献はもちろん、大一番で決勝点という素晴らしい仕事をしてくれました。
リードしたところで残り時間は5分ほど。あとは無理せず、したたかに時間を使ってそのまま勝利。9年ぶりのベスト8進出を決めてくれました。絶対にやってくれると信じてたけど実現してくれてほんとうれしい。
試合終了間際と終了後に相手との間で起こったいざこざは残念でした。折角熱い試合でお互い奮戦したのに最後がああいう感じではね。相手が起こした問題行動については粛々とクラブからAFCに抗議するなりしていただくとして、感情論は不要。くだらないことは忘れて、戦ってくれた選手達を称えましょう。
さて、これでACLはしばらくお休み。次の準々決勝、1stレグは8月後半になります。それまではリーグ戦等、国内に集中ですね。
ということで、次は日曜日のアウェー柏戦。120分激しい試合をして中3日で迎えるこの試合は、コンディション的にはかなり厳しいとは思いますけども、今日の試合で5月に入ってからの、リーグ戦を含めたちょっと良くない流れを断ち切ってくれたと思いますので、この勢いで現在首位の柏をぶっ倒し、6月以降はまた強い浦和を取り戻していただくきっかけにしてもらいたいです。
試合データ
観客:19,149人
天候: 晴れ
試合結果: 浦和 3-0 済州(前半2-0 / 90分 2-0 / 延長前半 0-0)
レッズ得点者: 興梠(18分)、李(34分)、森脇(114分)
警告・退場: ズラタン(警告×1)、武藤(警告×1)
主審: リュウ・クォックマン 氏
この記事が気に入ったらサポートしてみませんか?
スタジアムでのビール代にさせて頂きます。