2017 Jリーグ 第12節 埼玉スタジアム2002 清水エスパルス戦
前節はアウェーで新潟に6得点の大勝。公式戦3連敗という悪い流れを断ち切ってくれたところで迎えた今節は、今季、久しぶりにJ1に昇格してきた清水エスパルスをホーム埼スタに迎えて。
新潟戦に引き続き相手は下位チームで、きっちり勝たなければならない相手。前線に鄭大世選手、チアゴ・アウベス選手(今季新加入)という強力な2トップを擁するものの、中盤の構成力はそれ程でもなく、守ってカウンターが主体のチーム。逆に言えば不用意な被カウンターを発動させないことと2トップをどう抑えるかがポイントとなる相手でしたが、全体的にはウチが圧倒したものの、たった数分間の悪い時間帯にカウンターから警戒すべき2人に3失点というなんとも残念な内容で痛い引き分けとなってしまいました。
今日のスタメンは最終ラインにウガ、遠藤、槙野。ボランチに阿部ちゃん、柏木。両ワイドに駒井と関根。武藤、李をシャドーに、興梠のワントップ。GKは西川。
前節に引き続き、出場停止中の森脇さんのところにウガ。ラファさんが軽い肉離れで離脱してしまったため、興梠さんをワントップにして忠成さんを先発。前線はKLM体勢となりました。
対する清水はオーソドックスな4-4-2スタートで、多くのチームがウチ対策として採用するボランチなりサイドの選手を1枚最終ラインに落とす5バックでの守備は採用せず、4バックのまま2ラインのブロックを作って守る形。
当然サイドにはスペースがあり、ウチとしては大きなサイドチェンジで左右に揺さぶり、相手のスライドが遅れれば、サイドで優位な状況が作れるし、それで左右が間延びすれば、中央への楔、あるいは斜めにトップへの楔を入れつつコンビネーション発動で仕留めるイメージが明確な対戦となりました。
実際に試合全体を通してほぼウチがペースを握ることはできていました。清水の守備陣はウチの幅と深さを使った攻撃にほぼ対処できておらず、相手の狙いだった中盤ではめてカウンターに対しても、球際の強度、攻守転換の早さでことごとく上回ると清水を自陣に押し込んで決定機を何度も作り、24分には興梠さんの先制点、さらに後半開始早々の57分には興梠さんがこの日、2点目を決めて2-0と、ほぼ完璧といってもよい内容でした。
ところが、2点リードした後の60分くらいから、実際に3失点して試合をひっくり返される70分過ぎまでの約10分間が最悪でした。
最初の失点は鄭大世選手の豪快なミドルで、これについては対応した槙野さんの寄せという点で甘さはありましたが、カウンターからサイドの裏のスペースを使われて戻りながらの守備をさせられたところで生じたマークのズレを、鄭大世選手の個人技で見事に突かれた形で、相手を褒めた方がよいような失点。
2失点目は相手のクイックリスタートからでしたが、実はこの失点の10分くらい前だと思うんですが、実際には失点には至っていないものの、同じような相手のクイックリスタートから決定機(西川さんが片足でビッグセーブ)を作られているんですよね。
その時も相手のリスタートに対して一瞬集中を切らしたところからフリーの選手使われてやられそうになってたんですけども、この2失点目も全く同じで、プレーが切れた瞬間に足を止めて気を抜いたところをクイックリスタートされてフリーでチアゴ・アウベス選手に収められたところに2列目から入ってきたミッチェル・デューク選手への落としからダイレクトシュート。これがポストに当たって流れたところをフリーの鄭大世選手に詰められてという形。
ウチはリスタートからやられるケースって多くて、近いところだと、ついこの間やった埼スタでの鹿島戦でやられたのも、相手のスローインからのリスタート時にマークがズレたところからだったりします。ここについてはいい加減、何度も同じ失敗を繰り返さないようにしっかり修正してもらいたい点かなと思います。
3失点目もカウンターっぽく前掛かりになったところでミスからボールロスト、中盤が間延びしていたことで逆に清水のカウンター喰らって一気にシュートレンジまでボールを運ばれた結果、チアゴ・アウベス選手に技ありのミドル叩き込まれてのもの。これも結果論としては槙野さんの寄せの甘さはあったかもしれませんが、あのモーションからあのコースに巻いて蹴り込んだチアゴ・アウベス選手の技術を褒めた方がよい失点でしたし、その前の攻守転換した時点での全体的にゆるい対応の方が問題だったかと。
この辺は、今日の気温の中でさすがに90分をフルパワーとはいかないことは承知の上で、それでも清水が2点ビハインドでかなりリスクをかけて前掛かりに来る中、それをフワッと受けてしまう試合運びのまずさが如実に表れた形ですが、2点リードした状況からたった7分間で3失点逆転されるというのは、さすがに看過できない脇の甘さではないかと思います。1失点目喰らった時点で、全体的に運動量が落ちて中盤が間延びし、攻守転換のスピードや守備強度が下降線だったのをピッチ上の選手達で立て直せなかったのが痛かった......
と、悪いところばかり指摘しても仕方ないのでいいところも。今節は興梠さんがハットトリックしてくれたおかげでなんとか勝点1を取れましたが、彼の3得点はすべて素晴らしいゴールでした。
1点目は武藤さんが中盤のいい位置でうまくボールを収めつつ前を向いたところからサイドの関根さんへ。カットインしつつ仕掛けた関根さんがゴール前にグラウンダーのボールを入れると、これは相手ディフェンスに当たってボールがルーズな浮き球になりますが、これに抜群の身体能力で反応した興梠さんがビューティフルなオーバーヘッド(バイシクル)シュート叩き込んだもの。
さらに2得点目は駒井さんの縦への仕掛けから中央へのクロス。これをファーサイド、相手ディフェンスの視界の外から一気に前に走り込んで頭で合わせた、ゴール前での動き出しはこうやるんだぞと言わんばかりの、まさにお手本のような素晴らしいヘディングシュート。
逆転されたあとの同点ゴールとなった3点目は、縦への楔を一旦跨いでスルー → それを受けた関根さんとのパス交換で相手守備陣の中央をぶち抜いて崩すと、キーパーをうまく外してゴールに流し込んだ技ありシュート。どれも素晴らしいゴールで、これで勝てなかったのが本当に残念なハットトリックでした。まぁ相手のゴールも含めて今節入った6ゴールはどれも素晴らしいゴールばかりで客観的にみれば面白い試合だったのかもしれないですけどね......
選手交代については68分に忠成さん→高木さんとして彼をトップ下に。その際、阿部ちゃんを最終ライン左(ウガがいた場所)に下げて、ウガを左ワイドに。左ワイドにいた関根さんを右に回すと、駒井さんをボランチにというポジションチェンジを行っていました。高木さんは周りとのコンビネーション的にはまだ完全とはいえない感じでしたが、思いきったプレーでボールを持ち出すなど攻撃には絡んでいて、後半戦に向けて彼の再覚醒に期待したいところ。
80分には関根さん→ズラタンさんとして、駒井さんを再度、右サイドに移動。84分には柏木さん→矢島さんとしますが、これは柏木さんが両足攣っちゃったみたいで動けなくなったため。ここで青木さんではなく矢島さんを投入したところに、ミシャさんの彼への期待と、追加点を取って勝ちきってこいという強いメッセージを感じたものの、残念ながら矢島さんに関しては無難なプレーをしただけで積極的な点もあまり見られず、個人的には正直残念でした。
ちょっと現地で見ている分にはわかりにくかったのですが、ズラタンさんと興梠さんを2トップ気味にして、その下に武藤さんと高木さんを並べ、矢島さんをワンボランチって形にしていたっぽかったですけど、ちとミシャさんの狙い通りには機能しなかったかもですね。
ズラタンさんについては、投入直後にトラップさえうまくいけば1点ものの決定機があったり、決めきるチャンスがなかったわけではなかったのですが得点とはならず、前線でのポストプレー、クロスへの高さを活かした対応など色々と頑張ってはくれましたが、残念ながら決定的な仕事ができたとは言えず。
清水も終盤は勝点1でOKと割り切った守備から隙あらばカウンターというやり方にシフトしていましたが、押し込みはするものの、結局その堅い守備を崩すことはできず、そのままタイムアップとなってしまいました。
あと、個人的にはこの試合、興梠さんと同じくらい西川さんをMOMに推したい。3失点したとはいえ、何度か彼のビッグセーブのおかげで命拾いしましたし、後半アディショナルタイムのラストワンプレーで至近距離から喰らったシュートは、西川さんの足一本でのセーブがなければヘタすりゃ負けてたし。だからこそやっぱ4点目獲ってあげたかったっすね。攻撃陣としては。
ということで引き分けで勝点1をゲットとはいえ、勝点を失ったと言える残念な結果。首位も明け渡す形にはなってしまいましたが、シーズン中盤での順位などに一喜一憂していても仕方ありません。来週水曜日、さらにその翌週の水曜日と2週連続でACLのラウンド16が2試合控えていますし、それが終われば、順位では現時点で上位となる柏レイソルとの対戦も待っています。
得点力については戻って来ていること、さら興梠さんが絶好調な点をポジティブにとらえつつ、次の試合に切り替えてサポートしていきたいと思います。
試合データ
観客: 33,458人
天候: 晴れ
試合結果: 浦和 3-3 清水(前半1-0)
レッズ得点者: 興梠(24分)、興梠(57分)、興梠(74分)
警告・退場: 李(警告×1/ラフプレー)
主審: 村上 伸次 氏
順位(第12節終了時点):3位(7勝3敗2分/勝点23/得失点差+18)
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